天乃ジャック先生は放課後あやかしポリス

第１話 悪商人

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　ガラガラと前の方のドアを開けて、誰かが教室に入ってきた。

　ドアが開く前から騒がしかった教室内がさらに騒がしくなる。その理由は、教壇に立った人物が金髪で碧い瞳をした外国人の大人だったからだ。僕ら日本人の子供にとって外国人は珍しい。

　僕は教室のちょうど真ん中にある自分の席に座って、その人物の動きを目で追った。若めで、グレーのスーツを着ていて、背が高くて、全部のパーツが綺麗にそろっているように見えるその男の人は、教壇に立って何も言わずに黒板に何かを書いた。

『天乃ジャック』

　白いチョークで書かれた綺麗な字だった。

「今日からお前たちの担任になった天乃ジャックだ。よろしく」

　天乃と名乗ったその先生は、外国人とは思えないほどペラペラと日本語を話した。

　そして、教卓に両手をついて、「最初に言っておくが……、俺にはお前たちの心が見える」と言った。