半ノラ黒猫チビのニャン生

エンジェルタイム

　その夏のとんでもない暑さゆえ、夏を超すことはないだろうと思われたチビは生き延び、秋を迎えました。

　しかし、秋の半ば、１オ月ごろにはいつ息をしなくなっても不思議ではない状態になっていました。

　その頃、チビはよく高く育ちすぎて電線に引っかかるようになったので、切り倒した木の切り株の上に座っていました。

　

　
　やせ衰えてからのチビの姿は痛ましすぎて写真には残しておりません。
　ガラス細工の黒猫で代用。

　晴れた日はその上に座ってずっと周囲を眺めていました。

　そして１０月末ごろ、チビは再び私にすり寄ってくるようになりました。

　義理で答えるという風ではなく本当に甘えた声で鳴いておでこをスリスリ。

　ちゅ～〇もほんの少しなら舐めてくれました。

　この調子なら抱き上げて獣医に連れていけそうな雰囲気でしたが、運んでいる最中に息絶えそうだったので無理でした。

　最期を迎えた猫が一瞬だけ元気になって飼い主に甘えてくるという話があり、それを「エンジェルタイム」と、言うのだそうですが今思えば、これがそうだったのかもしれません。