黒猫チビ追悼記

玄未マオ

文字の大きさ
上 下
2 / 7

なつかない子猫たち

しおりを挟む
 白猫母さんがうちの庭で育て始めた子猫は白二匹と黒一匹の三匹。
(もう一匹の白は画面の外側にいます)

『君がノラとしてのニャン生を貫きたいならそれもいい。でも子供たちには別のニャン生をおくらせてあげる可能性を考えてくれないかな?』

 私は心で白猫母さんに語りかけます。

 でも、通じてないのかな?

 人間の心、猫知らず……。

 三匹の子猫は母猫に似た警戒心の強い子たちでした。

 ただ月日を重ねるとお互いに慣れが出てきます。

 私がちょっと手を伸ばして触れることくらいは許してくれるようになりました。

 そして、隙あり、と、白毛玉一匹捕獲!

 さっそく私はその子を家に入れ、とりあえずうちで飼っている犬のバックにその子を入れて水とカリカリを与えてみました。

 しかし、白毛玉微動だにせず……。

 しばらく放置してみましたが様子は変わらず、子猫はバックの奥の方で固まっています。

 ウ~ン、困った……。

 カリカリはすでに食べているのだからもう母猫と離しても問題ないと思うのです。
 このように一匹ずつ捕獲して家での飼育にシフトしようと思っていたのに、最初から行きづまってしまいました。

 そしていっちょこまえに歯をむき出して威嚇してくるのです。

 はっきり言って怖かった……。

 成猫と同じくらいの迫力がありました。

 そして、バックを開けた瞬間、逃走。

 どうにもこうにもやりようがなくいったん外へ話してやることにしました。

 保護作戦は振り出しに戻りました。

 その翌日から、捕まっていた白子猫は、他の二匹の子猫が、なにやっているの、と、不思議がるくらい後退しニャーニャー泣き喚くようにありました。

 これは通訳すると、

「みんな、気をつけろ! こいつは誘拐犯だ!」

 と、言ったところでしょうか。

「ごめんなさい、食べているときは席を外しますので、ご自由にどうぞ」

 と、言う形で、えさをやらなきゃならなくなりました。

 いやはや、それまでは、

「子猫は成猫と違って人懐っこいものだよね」

 そう思いこんでいたから、捕獲して家に入れてしまえば何とかなるって思いこんでいたのです。

 でも、それは違っていました。

 子猫が人懐っこいのではなく、人懐っこい子猫がノラでも人間の前に姿を現し、体を撫でさせてくれたりしていただけなのですね。


しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

緑の指を持つ娘

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:18,855pt お気に入り:2,102

月星人と少年

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:8

月が導く異世界道中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:56,297pt お気に入り:55,672

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,844pt お気に入り:1,670

幼馴染に振られたので薬学魔法士目指す

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:152,928pt お気に入り:5,812

処理中です...