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第16話 エルフについて雑談
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すでに日は暮れていたので、今夜は駐屯所に泊まり、明日夜が明けてからクローディアたちと一緒に彼らの国に向かうという話になった。
「アランティアも同行させよう。久々に姪の女王にも会いたいだろうからの」
森の主は後ろに控えていたプラチナブロンドの青年を紹介した。
青年はシエラに対し軽く一礼をした。
「若く見えるけど百歳は過ぎているのよ」
クローディアはシエラに耳打ちした。
「エルフというのはな、森の東南にある巨木の森の精気が集まって生まれるのじゃ。その中でも最も大きなユグドレーシアと呼ばれる巨木の精から生まれたエルフは次代の王となる。こいつは百数十年前に生まれたわしの後継じゃ」
森の主は説明した。
「でも、それじゃ、人間と一緒になったエルフって?」
シエラは疑問に思った。
そもそもの生まれ方が人間と違うエルフが、どうやって人間との間に子をもうけることができるのか?
「ふむ、人間と愛し合ったエルフは、長い寿命の一部をその人間に渡すのと引き換えに、その者の魂の力を一部譲り受け人間と愛し合うことのできる体を手に入れることができる。エルフの寿命を受け取った人間は、普通よりは年の取りにくい体になるな。まあ、それでも人間じゃからほんのちょっとそうでない者より長寿になるだけじゃがの」
「すでに引退されておられるミューレア様の夫君はもう八十代だけど、見た目四十代くらいにしか見えないわね。そしてミューレア様はもっと若い」
クローディアが説明を付け加えた。
「国のことはフリーダ女王に任せて、今は悠々自適の余生を送ってらっしゃいますから」
アルベルトも説明を加えた。
「先ほどフリーダ女王がこの方の姪とおっしゃっておりましたが、森の精からエルフが誕生するなら兄弟姉妹はいったいどういう基準で?」
シエラはさらに質問した。
「同じ時期に生まれたエルフ同士はみな兄弟姉妹とみなされる。だからミューレアは私の妹だ」
ずっと黙っていたアランティアが初めて言葉を発した。
「こやつは無口じゃがなかなかの激情家でな。王家に嫁いだミューレアが環境になじめず苦しんでいるのを知った時には、仲間のエルフを引き連れて王都で抗議の大暴れをしたくらいじゃからの」
「あれは、ミューレアが先に暴れだしたので、我々はその助太刀に……」
大暴れ……?
穏やかならぬことをさらっというエルフ二人。
「あの事件は僕の生まれる前だけどすごかったらしいですね。エルフが大挙して王都で暴れたって」
「フリーダ女王が生まれてすぐのことだったよね」
「ああ、僕はその話おじいちゃんに聞きました」
「俺は両親に聞いたぞ。家財道具とかを壊しまくったとか」
アルベルトを含む部屋にいた騎士たちが口々に語った。
ごほん、と、アルベルトは咳ばらいをし、この話を終わらせるよう目でみなに合図をした。
「今夜はもう休んだ方がええの、疲れておるじゃろ。さ、こちらを見て」
森の主がシエラの前で手を振った。
シエラの意識は急に遠のき、そのまま深い眠りに落ちた。
「明日は森の抜けるのだから体力は回復させにゃならんけど、今日はいろいろあったからの。眠れるように術をかけたぞ。ほれ、ベットに運んでやりなされ」
眠りに落ちたシエラを託されたアルベルトは、彼女を駐屯所の一室に用意されたベットの上に寝かせてあげるのだった。
「アランティアも同行させよう。久々に姪の女王にも会いたいだろうからの」
森の主は後ろに控えていたプラチナブロンドの青年を紹介した。
青年はシエラに対し軽く一礼をした。
「若く見えるけど百歳は過ぎているのよ」
クローディアはシエラに耳打ちした。
「エルフというのはな、森の東南にある巨木の森の精気が集まって生まれるのじゃ。その中でも最も大きなユグドレーシアと呼ばれる巨木の精から生まれたエルフは次代の王となる。こいつは百数十年前に生まれたわしの後継じゃ」
森の主は説明した。
「でも、それじゃ、人間と一緒になったエルフって?」
シエラは疑問に思った。
そもそもの生まれ方が人間と違うエルフが、どうやって人間との間に子をもうけることができるのか?
「ふむ、人間と愛し合ったエルフは、長い寿命の一部をその人間に渡すのと引き換えに、その者の魂の力を一部譲り受け人間と愛し合うことのできる体を手に入れることができる。エルフの寿命を受け取った人間は、普通よりは年の取りにくい体になるな。まあ、それでも人間じゃからほんのちょっとそうでない者より長寿になるだけじゃがの」
「すでに引退されておられるミューレア様の夫君はもう八十代だけど、見た目四十代くらいにしか見えないわね。そしてミューレア様はもっと若い」
クローディアが説明を付け加えた。
「国のことはフリーダ女王に任せて、今は悠々自適の余生を送ってらっしゃいますから」
アルベルトも説明を加えた。
「先ほどフリーダ女王がこの方の姪とおっしゃっておりましたが、森の精からエルフが誕生するなら兄弟姉妹はいったいどういう基準で?」
シエラはさらに質問した。
「同じ時期に生まれたエルフ同士はみな兄弟姉妹とみなされる。だからミューレアは私の妹だ」
ずっと黙っていたアランティアが初めて言葉を発した。
「こやつは無口じゃがなかなかの激情家でな。王家に嫁いだミューレアが環境になじめず苦しんでいるのを知った時には、仲間のエルフを引き連れて王都で抗議の大暴れをしたくらいじゃからの」
「あれは、ミューレアが先に暴れだしたので、我々はその助太刀に……」
大暴れ……?
穏やかならぬことをさらっというエルフ二人。
「あの事件は僕の生まれる前だけどすごかったらしいですね。エルフが大挙して王都で暴れたって」
「フリーダ女王が生まれてすぐのことだったよね」
「ああ、僕はその話おじいちゃんに聞きました」
「俺は両親に聞いたぞ。家財道具とかを壊しまくったとか」
アルベルトを含む部屋にいた騎士たちが口々に語った。
ごほん、と、アルベルトは咳ばらいをし、この話を終わらせるよう目でみなに合図をした。
「今夜はもう休んだ方がええの、疲れておるじゃろ。さ、こちらを見て」
森の主がシエラの前で手を振った。
シエラの意識は急に遠のき、そのまま深い眠りに落ちた。
「明日は森の抜けるのだから体力は回復させにゃならんけど、今日はいろいろあったからの。眠れるように術をかけたぞ。ほれ、ベットに運んでやりなされ」
眠りに落ちたシエラを託されたアルベルトは、彼女を駐屯所の一室に用意されたベットの上に寝かせてあげるのだった。
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