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第15話 シエラの能力
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「そういうことだから、あなたは正真正銘公爵家のご令嬢なわけだけど、どうする? 帰りたいのならなんとか理由づけて、もとの立場に戻れるよう計らうけど?」
クローディアがシエラにたずね、シエラは無言で首を振った。
「あちらの方でも、エルフが人々に溶け込んでいる時代はあったのじゃがのう。しばらく見んうちに偏見だけがきつうなったのじゃのう」
森の主がため息をつく。
「ええ、われらの国は森の反対側に抜けるだけの力ができたけど、あちらの国々と交流を持とうとしないのは、私たちのような通常と異なった髪色を持った人間を異端視する傾向が強い国が増えたからです。そういう髪を持った子供は幼いころに誘拐され、見世物小屋や娼館に高く売り飛ばされるという事例もかなり見られます。だから、今交流を持つのは危険と判断したからなんです」
アルベルトが森の主に説明をする。
「どういうことでお役に立つかわかりませんが、そちらの国に連れて行ってください」
シエラはクローディアやアルベルト、そして中にいる騎士たちに頼んだ。
「「「「「それはもちろん大歓迎だよ!」」」」」
一同は声をそろえた。
彼らの温かい歓迎にシエラは感動する。
森の主はそんなシエラを凝視した。
「ふむ、そなた治癒魔法が使えるみたいじゃな」
しばらく視たあと森の主がそう指摘した。
「治癒魔法、そんなものを使ったことはありませんが?」
シエラは反論した。
「いやいや、そなたの魔力を見てみるとその力が渦巻いているぞ、活性化しているぞ」
森の主がさらに主張する。
「ちょっと、ためしてもらったら? ねえ、誰か怪我している人いる?」
クローディアが他の騎士たちに声をかけた。
騎士が数名、クローディアの声かけで名乗りを上げた。
本日の魔物討伐で、命に別状はないが怪我をした者たちである。
「応急処置はされているようだけど、ちょっとこの連中の怪我治せるかどうか試してみたら?」
「?????」
試すと言われてもどうすればいいのかシエラにはわからない。
「そなたの、力の残滓が自分の体に残っておるぞ、自分で自分の体を治療したことがあるじゃろ」
森の主の指摘に、えっ、と、シエラは首を傾げた。
「ここにも、それからここにも、残滓が見える」
主はシエラの腕や足の各所を指摘した。
「たしかに、先日、あのパーティより前のことですが、使用人につねられたり、王太子殿下におされて転んだりして痛いところに手を当てて、痛みを和らげた覚えは……」
「それじゃ、その要領でやってみなされ」
森の主に促されけがしている兵士の患部に軽く手を当てて気持ちを込める。
すると兵士のけががみるみる癒えていく様を見て、一同目を丸くした。
「できるじゃない!」
「すばらしい!」
「ありがとうございます!」
部屋の中の者たちが感嘆の声を上げるのを聞いて、シエラは周りを見回しながら戸惑いを隠せなかった。
「その……、今まで自分にしかやったことなくて……」
「あなた、そんなに怪我させられていたの?」
「ええ、でも、手を当てれば痛くなくなるし傷跡も残らないから……。自分は単に傷の治りが早く、痛みに対して鈍いだけかと思ってました」
「そうなんだ……」
「そうなのね……」
クローディアはシエラのこれまでの境遇が痛ましすぎてこみ上げるものがあった。
アルベルトも全部は理解できないまでも、シエラが相当苦労してきたことは理解した。
クローディアがシエラにたずね、シエラは無言で首を振った。
「あちらの方でも、エルフが人々に溶け込んでいる時代はあったのじゃがのう。しばらく見んうちに偏見だけがきつうなったのじゃのう」
森の主がため息をつく。
「ええ、われらの国は森の反対側に抜けるだけの力ができたけど、あちらの国々と交流を持とうとしないのは、私たちのような通常と異なった髪色を持った人間を異端視する傾向が強い国が増えたからです。そういう髪を持った子供は幼いころに誘拐され、見世物小屋や娼館に高く売り飛ばされるという事例もかなり見られます。だから、今交流を持つのは危険と判断したからなんです」
アルベルトが森の主に説明をする。
「どういうことでお役に立つかわかりませんが、そちらの国に連れて行ってください」
シエラはクローディアやアルベルト、そして中にいる騎士たちに頼んだ。
「「「「「それはもちろん大歓迎だよ!」」」」」
一同は声をそろえた。
彼らの温かい歓迎にシエラは感動する。
森の主はそんなシエラを凝視した。
「ふむ、そなた治癒魔法が使えるみたいじゃな」
しばらく視たあと森の主がそう指摘した。
「治癒魔法、そんなものを使ったことはありませんが?」
シエラは反論した。
「いやいや、そなたの魔力を見てみるとその力が渦巻いているぞ、活性化しているぞ」
森の主がさらに主張する。
「ちょっと、ためしてもらったら? ねえ、誰か怪我している人いる?」
クローディアが他の騎士たちに声をかけた。
騎士が数名、クローディアの声かけで名乗りを上げた。
本日の魔物討伐で、命に別状はないが怪我をした者たちである。
「応急処置はされているようだけど、ちょっとこの連中の怪我治せるかどうか試してみたら?」
「?????」
試すと言われてもどうすればいいのかシエラにはわからない。
「そなたの、力の残滓が自分の体に残っておるぞ、自分で自分の体を治療したことがあるじゃろ」
森の主の指摘に、えっ、と、シエラは首を傾げた。
「ここにも、それからここにも、残滓が見える」
主はシエラの腕や足の各所を指摘した。
「たしかに、先日、あのパーティより前のことですが、使用人につねられたり、王太子殿下におされて転んだりして痛いところに手を当てて、痛みを和らげた覚えは……」
「それじゃ、その要領でやってみなされ」
森の主に促されけがしている兵士の患部に軽く手を当てて気持ちを込める。
すると兵士のけががみるみる癒えていく様を見て、一同目を丸くした。
「できるじゃない!」
「すばらしい!」
「ありがとうございます!」
部屋の中の者たちが感嘆の声を上げるのを聞いて、シエラは周りを見回しながら戸惑いを隠せなかった。
「その……、今まで自分にしかやったことなくて……」
「あなた、そんなに怪我させられていたの?」
「ええ、でも、手を当てれば痛くなくなるし傷跡も残らないから……。自分は単に傷の治りが早く、痛みに対して鈍いだけかと思ってました」
「そうなんだ……」
「そうなのね……」
クローディアはシエラのこれまでの境遇が痛ましすぎてこみ上げるものがあった。
アルベルトも全部は理解できないまでも、シエラが相当苦労してきたことは理解した。
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