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第14話 森の主の来訪
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「えっ、あの、僕、何か悪いことでも言いました?」
突然泣き出したシエラにアルベルトは慌てた。
「いえ……、違います……。他人からこの髪をそんな風に言われたことがなかったから……」
シエラがすすりながら言葉を発した。
クローディアが、あーあ、と、いう顔をする。
「えっと、なんかよくわからないけど、ごめんなさい!」
「謝らなくていいんです。悲しいわけじゃなくて、えっと……」
悲しいわけじゃない、むしろその逆なのに、涙が止まらない。
早く止めようとするのに逆にどんどんあふれてきている。
せっかく自分の髪色について優しいことを言ってくれたのに、そんな人を困らせてどうするんだ?
「やっと、息つける安全な場所にたどり着いたんじゃ、もろもろのことで涙があふれても当然じゃろう」
音もさせず建物の中に入ってきた白髪の老人が言った。
「「「「森の主!」」」」
クローディアやアルベルトをはじめ、部屋にいた者がみな彼を見て声を上げた。
「お久しぶりです」
「お出ましになってくださるとは!」
皆が口々に歓待の言葉を述べた。
「ほほ、クロディちゃんがわしにきれいな娘さんを合わせようというのだから、足を運ばんわけにはいかんじゃろ」
老人がおどけたような口調で言った。
「あー、私たちのやっていることを知ってらっしゃったのですね」
クローディアがちょっと気まずそうに言った。
「まあな、こちらがその娘さんじゃな」
老人がしゃくりあげていたシエラの方を向いて言った。
「森の主、この方が?」
シエラは老人を見つめた。
彼の後ろにはプラチナブロンドの青年が控えていた。
「アンタは今まで現実はともかく、心の中は、素足のまま剣先のようなするどい葉っぱの草原を魔物から逃げるために走り回っていたような状態じゃったんじゃ。そういう状態なら草や石ころで怪我をしようと、痛いと自覚することすらできなかったじゃろう。そういうことっておまえさんらにもあるじゃろう」
老人はシエラと駐屯所の騎士たちに語りかけた。
「安全な場所まで逃げられて初めて怪我した場所が痛いと感じる。冷たい人間に囲まれてものすごく痛かったんじゃろ。アルベルトの言葉は、怪我した場所を手当てしようとしたらしみて痛くなったようなもんじゃな」
老人の言葉に、シエラは初めて自分がひどく傷つけられていたことに思い至った。
「あの国じゃ、私もさんざん髪色について言われたからわからないではないけどね」
クローディアが言葉をはさんだ。
「それでほっとけなかったというわけじゃな。まあ、あの王太子ではクロディちゃんが関与しなくても、いずれこのお嬢さんを非情な形で排除しようとしただろうがな」
森の主はクローディアの気まずい表情を和らげようとした。
「肝心のシエラの意志は確かめず、適当に話を作って、その……、あの話は正直、国王や公爵が聞いたらどんな顔をするだろうか、と、いうのを知りたいという気持ちもあったのが本音だし、怖い思いもさせちゃったからね……」
クローディアははかりごとに対する釈明をした。
「あの話がでたらめって、じゃあ、私は?」
「先も言ったとおり、正真正銘、公爵家の娘さんよ」
「でも、私の髪は……?」
「いいかな、エルフの中には王妃となったミューレアだけでなく、他にも人間と恋に落ち、子孫を残すものも少なからずおる。エルフの血が濃いと魔力が強くなり、髪色も通常の人間より植物の色に近い色になるんじゃ。あんたの先祖もどこかでエルフの血が混じっっておったのじゃろうな」
シエラの疑問に森の主が説明した。
「ああ、先祖返りってやつかしら」
クローディアの相槌に森の主は、そうじゃ、と、答えた。
突然泣き出したシエラにアルベルトは慌てた。
「いえ……、違います……。他人からこの髪をそんな風に言われたことがなかったから……」
シエラがすすりながら言葉を発した。
クローディアが、あーあ、と、いう顔をする。
「えっと、なんかよくわからないけど、ごめんなさい!」
「謝らなくていいんです。悲しいわけじゃなくて、えっと……」
悲しいわけじゃない、むしろその逆なのに、涙が止まらない。
早く止めようとするのに逆にどんどんあふれてきている。
せっかく自分の髪色について優しいことを言ってくれたのに、そんな人を困らせてどうするんだ?
「やっと、息つける安全な場所にたどり着いたんじゃ、もろもろのことで涙があふれても当然じゃろう」
音もさせず建物の中に入ってきた白髪の老人が言った。
「「「「森の主!」」」」
クローディアやアルベルトをはじめ、部屋にいた者がみな彼を見て声を上げた。
「お久しぶりです」
「お出ましになってくださるとは!」
皆が口々に歓待の言葉を述べた。
「ほほ、クロディちゃんがわしにきれいな娘さんを合わせようというのだから、足を運ばんわけにはいかんじゃろ」
老人がおどけたような口調で言った。
「あー、私たちのやっていることを知ってらっしゃったのですね」
クローディアがちょっと気まずそうに言った。
「まあな、こちらがその娘さんじゃな」
老人がしゃくりあげていたシエラの方を向いて言った。
「森の主、この方が?」
シエラは老人を見つめた。
彼の後ろにはプラチナブロンドの青年が控えていた。
「アンタは今まで現実はともかく、心の中は、素足のまま剣先のようなするどい葉っぱの草原を魔物から逃げるために走り回っていたような状態じゃったんじゃ。そういう状態なら草や石ころで怪我をしようと、痛いと自覚することすらできなかったじゃろう。そういうことっておまえさんらにもあるじゃろう」
老人はシエラと駐屯所の騎士たちに語りかけた。
「安全な場所まで逃げられて初めて怪我した場所が痛いと感じる。冷たい人間に囲まれてものすごく痛かったんじゃろ。アルベルトの言葉は、怪我した場所を手当てしようとしたらしみて痛くなったようなもんじゃな」
老人の言葉に、シエラは初めて自分がひどく傷つけられていたことに思い至った。
「あの国じゃ、私もさんざん髪色について言われたからわからないではないけどね」
クローディアが言葉をはさんだ。
「それでほっとけなかったというわけじゃな。まあ、あの王太子ではクロディちゃんが関与しなくても、いずれこのお嬢さんを非情な形で排除しようとしただろうがな」
森の主はクローディアの気まずい表情を和らげようとした。
「肝心のシエラの意志は確かめず、適当に話を作って、その……、あの話は正直、国王や公爵が聞いたらどんな顔をするだろうか、と、いうのを知りたいという気持ちもあったのが本音だし、怖い思いもさせちゃったからね……」
クローディアははかりごとに対する釈明をした。
「あの話がでたらめって、じゃあ、私は?」
「先も言ったとおり、正真正銘、公爵家の娘さんよ」
「でも、私の髪は……?」
「いいかな、エルフの中には王妃となったミューレアだけでなく、他にも人間と恋に落ち、子孫を残すものも少なからずおる。エルフの血が濃いと魔力が強くなり、髪色も通常の人間より植物の色に近い色になるんじゃ。あんたの先祖もどこかでエルフの血が混じっっておったのじゃろうな」
シエラの疑問に森の主が説明した。
「ああ、先祖返りってやつかしら」
クローディアの相槌に森の主は、そうじゃ、と、答えた。
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