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第6章 相談所にて密談
第80話 朱鷺色・翡翠色
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フォーゲル先生の指摘にリーニャは戸惑っていた。
「見た目や振る舞いが少し違うだけでも、狭い学園内では目立ってくるからね」
私はフォローする。
「そんなに変わっていますか、わたしは?」
リーニャは恐る恐る尋ねまる。
フォローになってなかったか、さっきのは?
「この学園は貴族出身のものが九割を占めるから、平民は振る舞いが少し違っていて目立つことはよくある。その髪色も、魔力持ちは鮮やかな髪色をしている者が多いけどめずらしいからね」
ああ、これではリーニャが変わっていることの指摘になるだけかな……。
「昔、同じような髪色でいじめられている女の子がいたんだよ。学園じゃなく、僕が初等学校の教師をやっていた頃の話だけど、それで同じように……」
フォーゲル先生が言葉をはさむ。
なるほどそれでリーニャに対するいじめを?
フォーゲル先生は視線を上に向けさらに記憶を探るように語る。
「その子は自分の髪色を嫌がっていたから、朱鷺色だって言って慰めたんだ。でも、なんであんなこと言っちゃったのかな。自分でも何考えていたんだろうな。鮮やかな桃色の羽をもつ大きな鳥が頭に浮かんでその子に……」
あらら、ここには存在しない鳥の名の発言、他でもやらかしてたのか。
「あ、あの……、フォーゲル先生。その初等学校っていつどこで……」
「この学園を卒業してすぐ派遣された、確か王都の東南地域で、あの頃は実家のエーデルフォーゲルを名乗っていたかな。うちは成人すると本家の跡取りのみがその名を名乗り、他の者は成人するとただのフォーゲルになるんだ。学園にあった名簿のまま派遣されたから、当時はその名で通っていたのだけど……」
「エーデル先生!」
リーニャは立ち上がって大きな声を出した。
「あの、覚えてらっしゃいますか? 先生が朱鷺色っておっしゃった髪の毛の主は私です!」
なんとまあ、フォーゲル先生の記憶の中の少女はリーニャだったようだ。
「君があの時の! 気づかなくて済まない。でも大きくなったんだなあ」
先生が感慨深げに言う。
「つまり、リーニャは初等学校での先生の教え子?」
私は頭を整理する、それにしても、世間は狭い。
「昔見た子と同じような髪色の子がいるな、と、思っていたけど、まさか本人だったとはね」
そうか、学園の卒業生はまず平民の子が通う学校に派遣される。
そして平民の子がこの学園に通えるのはレアなことだから、フォーゲル先生もまさかと思っていたわけだ。
「あのころはエーデル先生と呼んでましたし、それから、先生の髪は前より青味が強くなっていませんか。いえ、昔のことだから記憶違いかもしれませんが……」
姓はエーデルフォーゲルからフォーゲルへ、そして髪の色も若干変化。
リーニャの方が気づかなかった理由はそれか。
再会に喜ぶ二人の話はさらに盛り上がりを見せる。
「学園を卒業してからも若干魔力量が増えて、それにともない髪の色が濃くなったんだ。翡翠の色により近くなってこっちのほうが気に入っているんだけどね」
「翡翠って『カワセミ』って鳥が語源なんですよね」
「『カワセミ』? 僕は君にそんな話もしたのかな? 図鑑をいくら調べてもそういう名の鳥は存在しなくてね、でも僕はその名前と鳥の姿が何となく頭に入っていて……。『トキ』にしてもそうだし……」
先生、それもやらかしていたか……。
まてよ、今の場合は、リーニャが前世の記憶をうっかり漏らしただけかな。
「見た目や振る舞いが少し違うだけでも、狭い学園内では目立ってくるからね」
私はフォローする。
「そんなに変わっていますか、わたしは?」
リーニャは恐る恐る尋ねまる。
フォローになってなかったか、さっきのは?
「この学園は貴族出身のものが九割を占めるから、平民は振る舞いが少し違っていて目立つことはよくある。その髪色も、魔力持ちは鮮やかな髪色をしている者が多いけどめずらしいからね」
ああ、これではリーニャが変わっていることの指摘になるだけかな……。
「昔、同じような髪色でいじめられている女の子がいたんだよ。学園じゃなく、僕が初等学校の教師をやっていた頃の話だけど、それで同じように……」
フォーゲル先生が言葉をはさむ。
なるほどそれでリーニャに対するいじめを?
フォーゲル先生は視線を上に向けさらに記憶を探るように語る。
「その子は自分の髪色を嫌がっていたから、朱鷺色だって言って慰めたんだ。でも、なんであんなこと言っちゃったのかな。自分でも何考えていたんだろうな。鮮やかな桃色の羽をもつ大きな鳥が頭に浮かんでその子に……」
あらら、ここには存在しない鳥の名の発言、他でもやらかしてたのか。
「あ、あの……、フォーゲル先生。その初等学校っていつどこで……」
「この学園を卒業してすぐ派遣された、確か王都の東南地域で、あの頃は実家のエーデルフォーゲルを名乗っていたかな。うちは成人すると本家の跡取りのみがその名を名乗り、他の者は成人するとただのフォーゲルになるんだ。学園にあった名簿のまま派遣されたから、当時はその名で通っていたのだけど……」
「エーデル先生!」
リーニャは立ち上がって大きな声を出した。
「あの、覚えてらっしゃいますか? 先生が朱鷺色っておっしゃった髪の毛の主は私です!」
なんとまあ、フォーゲル先生の記憶の中の少女はリーニャだったようだ。
「君があの時の! 気づかなくて済まない。でも大きくなったんだなあ」
先生が感慨深げに言う。
「つまり、リーニャは初等学校での先生の教え子?」
私は頭を整理する、それにしても、世間は狭い。
「昔見た子と同じような髪色の子がいるな、と、思っていたけど、まさか本人だったとはね」
そうか、学園の卒業生はまず平民の子が通う学校に派遣される。
そして平民の子がこの学園に通えるのはレアなことだから、フォーゲル先生もまさかと思っていたわけだ。
「あのころはエーデル先生と呼んでましたし、それから、先生の髪は前より青味が強くなっていませんか。いえ、昔のことだから記憶違いかもしれませんが……」
姓はエーデルフォーゲルからフォーゲルへ、そして髪の色も若干変化。
リーニャの方が気づかなかった理由はそれか。
再会に喜ぶ二人の話はさらに盛り上がりを見せる。
「学園を卒業してからも若干魔力量が増えて、それにともない髪の色が濃くなったんだ。翡翠の色により近くなってこっちのほうが気に入っているんだけどね」
「翡翠って『カワセミ』って鳥が語源なんですよね」
「『カワセミ』? 僕は君にそんな話もしたのかな? 図鑑をいくら調べてもそういう名の鳥は存在しなくてね、でも僕はその名前と鳥の姿が何となく頭に入っていて……。『トキ』にしてもそうだし……」
先生、それもやらかしていたか……。
まてよ、今の場合は、リーニャが前世の記憶をうっかり漏らしただけかな。
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