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第6章 相談所にて密談
第79話 犯人特定の難しさ
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「ご存じだったようですね。均等にそそぐ魔力の強さも中くらいの力で良いのですが、全てを均等にというのがなかなか難しい。だから六属性を均等に上げる練習のために要らなくなった新入生用の杖を練習台に使う上級者はけっこういるのですよ」
とりあえず私はフォーゲル先生と話を続ける。
「自分が使わなくなった杖を練習台に使い、壊してしまうのはまあいいです。ただ、リーニャ君の杖がなぜそんな目にあったのか?」
「そこがわからなかったのです。追跡魔法をかけてみると、確かに、持ち主以外の人間が杖に手を触れた痕跡がありましたが、それが誰か調べるにはあらかじめあたりをつけて、その人物と痕跡を見比べてみないとわからない」
「ふうむ……」
「要するに指紋があっても記録がなければ照合できない……」
「指紋?」
「ああ、失礼。魔法紋でした。リーニャ、君はまだ知らないだろうけど、魔法にはそれを発する人間それぞれに特徴があり、残存している魔力から発した人間を特定することができるんだよ。素質的に自然とそれが分かる者もいるけど、普通は鑑定する魔道具がいるんだ」
またまた、前世の知識がつい出てしまった。
「う~ん、それ以上の追及は犯人捜しのようなことになってしまうのだな。そもそもそんな知識も技術も新入生が持っているとは思えないし……」
フォーゲル先生が腕を組んで考え込む。
「一応、在学中の素行の悪い生徒の魔法紋の記録はこちらにあったのでそれを照合してみましたが適合者は無しでした。これ以上調べるとなると、在校生や学園に出入りする者全部の記録を取らなければならなくなる」
ここで言葉を切り、私はリーニャの方を見る。
「君にも聞いてもらったのは、ここから先、犯人の特定はできなくもないが、そこまでの調査を君が希望するかどうかを確かめたいと思ってね。無差別の愉快犯かもしれないし、そうなると範囲が広すぎて特定は難しくなる……」
彼女に判断をゆだねるべく言葉を続けた。
「何かいじめのようなものにあっているということはないだろうね?」
フォーゲル先生が考え込むリーニャに質問をした。
「いえっ、そんなことは! どうしてそんなことを……」
リーニャが慌てて否定する。
「すまない。違うのならいいんだ。君たちのような年頃の子らは、他人のことが気にかかりすぎて無責任なうわさも横行することがあるから」
ああ、フォーゲル先生も一応学園内のうわさは知り及んでいるんだ。
とりあえず私はフォーゲル先生と話を続ける。
「自分が使わなくなった杖を練習台に使い、壊してしまうのはまあいいです。ただ、リーニャ君の杖がなぜそんな目にあったのか?」
「そこがわからなかったのです。追跡魔法をかけてみると、確かに、持ち主以外の人間が杖に手を触れた痕跡がありましたが、それが誰か調べるにはあらかじめあたりをつけて、その人物と痕跡を見比べてみないとわからない」
「ふうむ……」
「要するに指紋があっても記録がなければ照合できない……」
「指紋?」
「ああ、失礼。魔法紋でした。リーニャ、君はまだ知らないだろうけど、魔法にはそれを発する人間それぞれに特徴があり、残存している魔力から発した人間を特定することができるんだよ。素質的に自然とそれが分かる者もいるけど、普通は鑑定する魔道具がいるんだ」
またまた、前世の知識がつい出てしまった。
「う~ん、それ以上の追及は犯人捜しのようなことになってしまうのだな。そもそもそんな知識も技術も新入生が持っているとは思えないし……」
フォーゲル先生が腕を組んで考え込む。
「一応、在学中の素行の悪い生徒の魔法紋の記録はこちらにあったのでそれを照合してみましたが適合者は無しでした。これ以上調べるとなると、在校生や学園に出入りする者全部の記録を取らなければならなくなる」
ここで言葉を切り、私はリーニャの方を見る。
「君にも聞いてもらったのは、ここから先、犯人の特定はできなくもないが、そこまでの調査を君が希望するかどうかを確かめたいと思ってね。無差別の愉快犯かもしれないし、そうなると範囲が広すぎて特定は難しくなる……」
彼女に判断をゆだねるべく言葉を続けた。
「何かいじめのようなものにあっているということはないだろうね?」
フォーゲル先生が考え込むリーニャに質問をした。
「いえっ、そんなことは! どうしてそんなことを……」
リーニャが慌てて否定する。
「すまない。違うのならいいんだ。君たちのような年頃の子らは、他人のことが気にかかりすぎて無責任なうわさも横行することがあるから」
ああ、フォーゲル先生も一応学園内のうわさは知り及んでいるんだ。
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