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第6章 相談所にて密談編

第76話 カードをさらけ出す

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「どうしてそれを⁈」

 リーニャは目を丸くする。

「リーニャ・クルージュ、あなたには詫びなければならない。正体を隠してあなたの話を聞いたことを」

 私はおもみろに立ちあがり変身を解いて素の姿をさらけだした。
 リーニャはくるくるとしたつぶらな瞳をさらに丸くする。

「すまないね、ここで相談員をやるときには変身魔法で違う姿に見せかけているんだ」

「いや、あの……」

「ここは私が運営している相談所でね、実家の経営している研究所と提携して、万もめごとなどの解決を請け負ったりしている。普段は社員に任せきりなんだが休みの日には顔を出すんだ。君が生徒会長の私にも言えないことをわざわざ相談しに来たのが気になって、相談員に成りすまして話を聞いたってわけだ」

「すいません……」

「謝るのはこちらの方だ。で、君が言ってた友人とはミリア・プレディスのことかい?」

「はい、あ……、でも、なぜ乙女ゲームのタイトルを? もしやサラ会長も日本から……?」

「それを言うってことは、君も日本という国の記憶を持っているという事だね、そしてミリアも」

 リーニャは黙ってうなづく。

「ならば改めてよろしく。サラ・ヴァイスハーフェン。君たちの言う乙女ゲームパート2の悪役令嬢だ」

 私は自分のカードをさらけ出した。

「『虹色コンチェルト』は前世で私の妹がね、はまっていたゲームで飽きるほどいろいろ聞かされていたんだ。ちなみにさっき名乗ったキムラーは前世の姓をもじったものなんだけどね」
 
 私はリーニャが私たちの側についてきてくれることに賭けることにした。
 そして、さらに詳しい事情を話してみる。

「『木村さん』だったということですか?」

「はは、そうだよ」

「それで、物心がついてジーク王太子の婚約者にさせられた時に、ここがゲームの世界だと気づいたのだよ」

「そうだったんですか」

 リーニャが神妙にうなづく。

「ゲームスタートはジークの弟のエミール王子が学園に入学した時とわかっていた。で、私はエミールとヒロイン役の女生徒が入るであろう生徒会の長として待ち構えていたわけだ」

「最初から分かっていたと?」

「名前はうろ覚えだったけど、ピンク色の髪が特徴となっていたからすぐ君だってわかったよ。それで君たちがどう動くのか注視していたんだけど、ゲームストーリーにはない想定外の出来事が次から次へと起こり、こっちもいろいろ驚いている」

「ミリアもそんなことを言っていました。でも彼女はそれで頭を切り替えることをしないで……」

「う~ん、私の立ち位置は悪役令嬢だからさ、想定外の出来事の方が破滅フラグを回避できる可能性が広がるから大歓迎なんだけどね」

 パート2ヒロインのミリアからすれば違うだろうけどね。

 
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