78 / 104
第6章 相談所にて密談
第76話 カードをさらけ出す
しおりを挟む
「どうしてそれを⁈」
リーニャは目を丸くする。
「リーニャ・クルージュ、あなたには詫びなければならない。正体を隠してあなたの話を聞いたことを」
私はおもみろに立ちあがり変身を解いて素の姿をさらけだした。
リーニャはくるくるとしたつぶらな瞳をさらに丸くする。
「すまないね、ここで相談員をやるときには変身魔法で違う姿に見せかけているんだ」
「いや、あの……」
「ここは私が運営している相談所でね、実家の経営している研究所と提携して、万もめごとなどの解決を請け負ったりしている。普段は社員に任せきりなんだが休みの日には顔を出すんだ。君が生徒会長の私にも言えないことをわざわざ相談しに来たのが気になって、相談員に成りすまして話を聞いたってわけだ」
「すいません……」
「謝るのはこちらの方だ。で、君が言ってた友人とはミリア・プレディスのことかい?」
「はい、あ……、でも、なぜ乙女ゲームのタイトルを? もしやサラ会長も日本から……?」
「それを言うってことは、君も日本という国の記憶を持っているという事だね、そしてミリアも」
リーニャは黙ってうなづく。
「ならば改めてよろしく。サラ・ヴァイスハーフェン。君たちの言う乙女ゲームパート2の悪役令嬢だ」
私は自分のカードをさらけ出した。
「『虹色コンチェルト』は前世で私の妹がね、はまっていたゲームで飽きるほどいろいろ聞かされていたんだ。ちなみにさっき名乗ったキムラーは前世の姓をもじったものなんだけどね」
私はリーニャが私たちの側についてきてくれることに賭けることにした。
そして、さらに詳しい事情を話してみる。
「『木村さん』だったということですか?」
「はは、そうだよ」
「それで、物心がついてジーク王太子の婚約者にさせられた時に、ここがゲームの世界だと気づいたのだよ」
「そうだったんですか」
リーニャが神妙にうなづく。
「ゲームスタートは彼の弟のエミール王子が学園に入学した時とわかっていた。で、私はエミールとヒロイン役の女生徒が入るであろう生徒会の長として待ち構えていたわけだ」
「最初から分かっていたと?」
「名前はうろ覚えだったけど、ピンク色の髪が特徴となっていたからすぐ君だってわかったよ。それで君たちがどう動くのか注視していたんだけど、ゲームストーリーにはない想定外の出来事が次から次へと起こり、こっちもいろいろ驚いている」
「ミリアもそんなことを言っていました。でも彼女はそれで頭を切り替えることをしないで……」
「う~ん、私の立ち位置は悪役令嬢だからさ、想定外の出来事の方が破滅フラグを回避できる可能性が広がるから大歓迎なんだけどね」
パート2ヒロインのミリアからすれば違うだろうけどね。
リーニャは目を丸くする。
「リーニャ・クルージュ、あなたには詫びなければならない。正体を隠してあなたの話を聞いたことを」
私はおもみろに立ちあがり変身を解いて素の姿をさらけだした。
リーニャはくるくるとしたつぶらな瞳をさらに丸くする。
「すまないね、ここで相談員をやるときには変身魔法で違う姿に見せかけているんだ」
「いや、あの……」
「ここは私が運営している相談所でね、実家の経営している研究所と提携して、万もめごとなどの解決を請け負ったりしている。普段は社員に任せきりなんだが休みの日には顔を出すんだ。君が生徒会長の私にも言えないことをわざわざ相談しに来たのが気になって、相談員に成りすまして話を聞いたってわけだ」
「すいません……」
「謝るのはこちらの方だ。で、君が言ってた友人とはミリア・プレディスのことかい?」
「はい、あ……、でも、なぜ乙女ゲームのタイトルを? もしやサラ会長も日本から……?」
「それを言うってことは、君も日本という国の記憶を持っているという事だね、そしてミリアも」
リーニャは黙ってうなづく。
「ならば改めてよろしく。サラ・ヴァイスハーフェン。君たちの言う乙女ゲームパート2の悪役令嬢だ」
私は自分のカードをさらけ出した。
「『虹色コンチェルト』は前世で私の妹がね、はまっていたゲームで飽きるほどいろいろ聞かされていたんだ。ちなみにさっき名乗ったキムラーは前世の姓をもじったものなんだけどね」
私はリーニャが私たちの側についてきてくれることに賭けることにした。
そして、さらに詳しい事情を話してみる。
「『木村さん』だったということですか?」
「はは、そうだよ」
「それで、物心がついてジーク王太子の婚約者にさせられた時に、ここがゲームの世界だと気づいたのだよ」
「そうだったんですか」
リーニャが神妙にうなづく。
「ゲームスタートは彼の弟のエミール王子が学園に入学した時とわかっていた。で、私はエミールとヒロイン役の女生徒が入るであろう生徒会の長として待ち構えていたわけだ」
「最初から分かっていたと?」
「名前はうろ覚えだったけど、ピンク色の髪が特徴となっていたからすぐ君だってわかったよ。それで君たちがどう動くのか注視していたんだけど、ゲームストーリーにはない想定外の出来事が次から次へと起こり、こっちもいろいろ驚いている」
「ミリアもそんなことを言っていました。でも彼女はそれで頭を切り替えることをしないで……」
「う~ん、私の立ち位置は悪役令嬢だからさ、想定外の出来事の方が破滅フラグを回避できる可能性が広がるから大歓迎なんだけどね」
パート2ヒロインのミリアからすれば違うだろうけどね。
2
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
月城光稀
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?
りーさん
恋愛
気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?
こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。
他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。
もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!
そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……?
※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。
1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前
前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!
Akila
ファンタジー
旧題:前世持ち貧乏公爵令嬢のワクワク領地改革!私、イイ事思いついちゃったぁ〜!
【第2章スタート】【第1章完結約30万字】
王都から馬車で約10日かかる、東北の超田舎街「ロンテーヌ公爵領」。
主人公の公爵令嬢ジェシカ(14歳)は両親の死をきっかけに『異なる世界の記憶』が頭に流れ込む。
それは、54歳主婦の記憶だった。
その前世?の記憶を頼りに、自分の生活をより便利にするため、みんなを巻き込んであーでもないこーでもないと思いつきを次々と形にしていく。はずが。。。
異なる世界の記憶=前世の知識はどこまで通じるのか?知識チート?なのか、はたまたただの雑学なのか。
領地改革とちょっとラブと、友情と、涙と。。。『脱☆貧乏』をスローガンに奮闘する貧乏公爵令嬢のお話です。
1章「ロンテーヌ兄妹」 妹のジェシカが前世あるある知識チートをして領地経営に奮闘します!
2章「魔法使いとストッカー」 ジェシカは貴族学校へ。癖のある?仲間と学校生活を満喫します。乞うご期待。←イマココ
恐らく長編作になるかと思いますが、最後までよろしくお願いします。
<<おいおい、何番煎じだよ!ってごもっとも。しかし、暖かく見守って下さると嬉しいです。>>
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる