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第4章 変わってゆくシナリオ
第49話 あなたのためって誰のため?【リーニャ視点】
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「いやぁ~、なんなのあれ。『嫉妬』とか言っちゃって、二人の女にはさまれた僕チンって悦に入ってるようで気持ち悪いわ!」
もう目の前に相手はいないが、ペルティナは追い打ちをかけるようなことを言う。
前々から思っていたけど、人が場の空気や相手との人間関係をおもんばかり、言うのをためらう事でも、ペルティナは頓着せず言うところがある。
でも、ペルティナの言葉で、私も王子の態度でモヤッとしていた部分がはっきりわかったような気がした。
「私、そんなに王子殿下になれなれしかった?」
「う~ん、貴族の令嬢とは立ち居振る舞いやしゃべり方が少し違うかなとは思ったけど、私はそれほどとは……」
「うわさは本当困ります……」
「そのうわさだけど広まるのが早すぎだよね。誰かが意図的に流しているかのような……」
「へっ?」
「しいてあげるとしたら、王族とブリステル公爵家との縁組をつぶしたい勢力? 王族が力を持つのが嫌な連中? いやいやそれなら、王太子殿下とサラ会長の縁組の方を壊そうとするのが先だよね」
「ちょっと、そんなとんでもない陰謀に巻き込まれたくない!」
私はビビった。
一般人をそんなえげつない権力闘争に巻き込まないで!
「単なる推測だし、そんなにおびえることないわよ」
「いや、まじでうわさかんべんです!」
「だったらうちのザロモ行っとく?」
「はあ?」
突拍子もない提案キター!
「あの、ザロモ行っとくって?」
「言葉通りの意味よ。うわさを打ち消すには、あなたに別の相手ができたってことになるのが一番でしょ。ザロモなんてどう?」
「……?」
「なに、目を白黒させているのよ。確かに好みもあるからね、無理強いはできないけど」
「いや、あの、ペルティナは弟のザロモに近づく女を徹底的に排除する人だって聞いていたから、ちょっと意外過ぎて……」
「ああ、それね。だってザロモには家の跡目を継いでほしいから、伴侶はクルーグ家をちゃんと切り盛りしてくれる女じゃなきゃ困るじゃない。少なくとも私よりは頭がよくなきゃ。その点、あなたは座学の成績だけだけど、私たちより上の成績で、決まった相手もいないんだったら条件にぴったりなのよ」
「あの、そこにザロモの意思はないですよね」
「まあね、でもザロモのためでもあるのよ」
相手の意思を無視しているのに相手のためって無茶ぶりすぎ!
「うちの一族はさ、研究好きの変わり者ぞろいで、よそだったら跡目を巡って争うところが押し付け合うのよ。雑務の多い家長の座なんてごめんこうむるってね。ザロモは頭は悪くないんだけど、ちょっと大事なところを見落とす癖があるというか、抜けてるのね。でも、そのくらい凡庸な方が家長には向いてそうでしょ」
ペルティナは悪びれず言う。
確信した。
あなたのためって言ってくる人は自分のための下心を隠しているものだと。
だとしたら、ミリアの言う「あなたのため」って何?
ミリアがエミール王子を好きになって自分がアプローチをかけるというなら、良くないとは思うけど、その心理はまだ理解できる。
でも、私がエミール王子と結ばれたところでミリアには何の得もないのに?
まさか、噂を広めたのはミリア?
いやいや考えすぎか。
一日が終わり寮に戻ってきてミリアと話した。
「ペルティナがザロモを勧めた! すごい、もうザロモルート攻略できたの!」
彼女が歓声を上げる。
ザロモの意思はガン無視の提案だったから、そういう事じゃないのだけどね。
もう目の前に相手はいないが、ペルティナは追い打ちをかけるようなことを言う。
前々から思っていたけど、人が場の空気や相手との人間関係をおもんばかり、言うのをためらう事でも、ペルティナは頓着せず言うところがある。
でも、ペルティナの言葉で、私も王子の態度でモヤッとしていた部分がはっきりわかったような気がした。
「私、そんなに王子殿下になれなれしかった?」
「う~ん、貴族の令嬢とは立ち居振る舞いやしゃべり方が少し違うかなとは思ったけど、私はそれほどとは……」
「うわさは本当困ります……」
「そのうわさだけど広まるのが早すぎだよね。誰かが意図的に流しているかのような……」
「へっ?」
「しいてあげるとしたら、王族とブリステル公爵家との縁組をつぶしたい勢力? 王族が力を持つのが嫌な連中? いやいやそれなら、王太子殿下とサラ会長の縁組の方を壊そうとするのが先だよね」
「ちょっと、そんなとんでもない陰謀に巻き込まれたくない!」
私はビビった。
一般人をそんなえげつない権力闘争に巻き込まないで!
「単なる推測だし、そんなにおびえることないわよ」
「いや、まじでうわさかんべんです!」
「だったらうちのザロモ行っとく?」
「はあ?」
突拍子もない提案キター!
「あの、ザロモ行っとくって?」
「言葉通りの意味よ。うわさを打ち消すには、あなたに別の相手ができたってことになるのが一番でしょ。ザロモなんてどう?」
「……?」
「なに、目を白黒させているのよ。確かに好みもあるからね、無理強いはできないけど」
「いや、あの、ペルティナは弟のザロモに近づく女を徹底的に排除する人だって聞いていたから、ちょっと意外過ぎて……」
「ああ、それね。だってザロモには家の跡目を継いでほしいから、伴侶はクルーグ家をちゃんと切り盛りしてくれる女じゃなきゃ困るじゃない。少なくとも私よりは頭がよくなきゃ。その点、あなたは座学の成績だけだけど、私たちより上の成績で、決まった相手もいないんだったら条件にぴったりなのよ」
「あの、そこにザロモの意思はないですよね」
「まあね、でもザロモのためでもあるのよ」
相手の意思を無視しているのに相手のためって無茶ぶりすぎ!
「うちの一族はさ、研究好きの変わり者ぞろいで、よそだったら跡目を巡って争うところが押し付け合うのよ。雑務の多い家長の座なんてごめんこうむるってね。ザロモは頭は悪くないんだけど、ちょっと大事なところを見落とす癖があるというか、抜けてるのね。でも、そのくらい凡庸な方が家長には向いてそうでしょ」
ペルティナは悪びれず言う。
確信した。
あなたのためって言ってくる人は自分のための下心を隠しているものだと。
だとしたら、ミリアの言う「あなたのため」って何?
ミリアがエミール王子を好きになって自分がアプローチをかけるというなら、良くないとは思うけど、その心理はまだ理解できる。
でも、私がエミール王子と結ばれたところでミリアには何の得もないのに?
まさか、噂を広めたのはミリア?
いやいや考えすぎか。
一日が終わり寮に戻ってきてミリアと話した。
「ペルティナがザロモを勧めた! すごい、もうザロモルート攻略できたの!」
彼女が歓声を上げる。
ザロモの意思はガン無視の提案だったから、そういう事じゃないのだけどね。
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