悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない

玄未マオ

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第3章 いよいよゲーム開始

第39話 サラ会長キレかける

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「ありがとう、以上の七名だね。これから実技の授業も始まれば、そこでの成績優秀者に声をかけることもあるかもしれないし、人員は流動的な形で行くからね。君たちも他にやりたいことができたり、生徒会の活動を続けるのがしんどくなった時には遠慮なく相談してくれたまえ」

 七名の自己紹介が終わると、私はそう言って締めくくった。

「一位はフェリシア様だったのですね。どうして生徒会の仕事を辞退したのでしょう。エミール殿下は何か知っています?」

 ペルティナが質問を投げかけた。
 みんな興味はあったが、なんとなく聞くのがはばかられるようなことをあっさりと……。物おじしない子なんだな。

「彼女は王宮での仕事や勉強が忙しいのさ」

 エミールが少し不機嫌な顔で答えたくなさそうだったので、私が代わりに当たり障りのない返事をした。

「王宮のことが大変なのはわかるけど、生徒会でのことは今しかできないのに。彼女は学園の活動を下に見ているのかもな」 

 エミールが私に続けて答えた。

 お前、どの口が!

 私はエミールをにらみつけたが、彼の言葉を皮切りに新入生たちが口々に言いだした。

「高慢ちきな方なんでしょうかね」

 そう言ったのはミリア。

「何考えているのかわからない感じがするな」

 続けて騎士団長の息子バルドリック。

「生徒会の運営は、将来上の立場に立った時に役に立つ経験なんだけどな」

 そして再びエミール。

 こいつら、事情も知らないくせにふざけるなよ!

「いない人間を悪く言うのは感心しないな」

 キレそうになっている私の代わりに副会長サージェスが新入生たちをいさめた。

「さあ、明日からいろいろ仕事を頼むと思うけど、今日はもういいよ」

 サージェスの言葉で失いかけた冷静さを取り戻した私はそう言って新入生たちを見送った。新入生が全員退出した後、私はサージェスに話しかけた。

「助かったよ、サージェス。私がブチ切れたら大変なことになるかもしれなかった」

「いえ、僕もあの言いようはちょっとどうかな、と、思いましたので。それにしても、フェリシア嬢はどうして参加されないのですかね。会長は知ってます? あの、言えない事情があるなら話さなくてもいいですけど……」

「そうだね、君たちには知っておいてくれてもいいかもしれないね、フェリシアはエミール王子の仕事の肩代わりをするために辞退したんだよ。去年のジーク会長の事情を知っている君たちならわかるだろう」

「なるほど、でも……」

 サージェスは納得しながらも言いよどんだ。
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