悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない

玄未マオ

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第2章 乙女ゲーム開始準備

第24話 それぞれの得意属性

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「でっかい円盤に手のひらを当てて測るんだよ」

 ジークは最初の授業の様子も教えてくれた。

 学園で新入生が受ける最初の授業は、生徒それぞれの得意属性を測る。
 その時に使われたのが、六個の色の違う石がはめ込まれた大きな円盤だった。

 火属性-赤
 水属性ー青
 土属性ー黄色
 風属性―緑
 光属性-白
 闇属性ー黒

 潜在的に強い属性ほど、その色の石が強く輝く。

 実は得意属性を測る魔道具は王族や高位貴族ならすでに持っていて、子供がある程度育つとそれで測る。
 それは学園で使われているよりコンパクトで懐中時計くらいの大きさ。
 だから、私やジークはすでに自分の得意属性は知っている。

 私は風、ジークは光と火。

「あの大きな魔導具は全員に見せるためのものなのかな?」

「古いものを大事に使っているのかもしれませんね」

 基本的に、魔導具は進化していくとコンパクトになってゆく傾向にある。

「手を当てて赤と白の石が強く光ったときにはやっぱりって思ったけどね」
 
 うんうん。

 ただ、すべての生徒が私たちと同じように前もって得意属性を知っているわけではない。それぞれの家庭の富や身分の格差によって魔法についての予備知識は天と地ほど違う。

「一年の時はすべての属性の授業を受けなければならないんだ」

「特異属性の時は鼻高々になるけど、逆の属性だとちょっとつらいってことになりそうですね」

「そうそう。僕の場合、水と闇だな」

 すでに家庭教師から学んでいることだが、それぞれの属性は、その自然現象を引き出して操るだけでなく、物質の状態を変える能力にも関わってくる。

 例えば、物を温める能力は火属性、逆に冷やすのは水属性。
 物を固めるのは土属性、逆にばらすのは風属性。
 隠されたものを明るみにするのが光属性で、逆に隠すのが闇属性。

 火と水、土と風、光と闇はそれぞれ逆の性質を帯びているので、基本的に得意属性の逆の属性は苦手なことが多い。

 他にもいろいろあるが基本としてはそれを押さえておけばいい。

 数年前、お互いの得意属性を知った後、それを教え合おうとして逆に失敗したことがある。

 ジークが火や光を簡単に出すのを見て、どうやっているの、と、質問したのだが答えが……。

「う~ん、ハッとしてパッと……」

 いや、それじゃあわからないよ、ジーク……。

 でも、私も風のことを聞かれたら同じようなものだった。

 得意属性というのは自然にできるので、教えるとなると具体的な説明が難しい。
 だから、属性の教師は得意でも苦手でもない属性を伸し、それを教えていることが多い。初心者にはその方が伝わりやすいそうだ。

 つまり、ジークは私の『風』とは逆の『土』を。
 私はジークの『光』や『火』とは逆の『闇』と『水』を。

 お互い頑張って身に着けて教え合おうと約束した。

 今はまだ二人とも修行中だが。

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