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第1章 悪役令嬢の婚約
第15話 第二王子エミールの婚約
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「エミール王子殿下は確か今年十一歳におなりになられたのですわね」
ジークは現在十四歳、弟のエミールとは三つ離れている。
「ああ、僕も十一歳の時にサラと婚約したから、エミールも同じようにね。フェリシア嬢はエミールと同い年なんだよ」
ちなみに私はジークの一つ下の現在十三歳である。
「発表は次の新年の王宮でのパーティの時になる予定だよ」
「それではパーティの主役はお二人で決まりですね」
私は自分たちの婚約発表の時を思い出していた。
私もジークもお人形のように飾り立てられ、お祝いを言いにくる各貴族にお礼を言うだけでいっぱいいっぱいで他には何も覚えていない。
あれをエミール王子とフェリシア嬢もやるのか……。
ちょっと同情しちゃうな。
「もちろん主役は二人に持っていかれるだろうけど、年末に何か身に着けられるようなものを贈るからサラも楽しみにしておいて。パーティの時に身に着けてくれたらうれしいな」
ジークは言った。
「ジークが選んでくれるの?」
「もちろん」
私の質問に即答したジーク。
婚約以来、誕生日にジークの名で贈り物が届いていたけど、てっきり役人の誰かが適当に選んで送ってくるものだと思っていた。
◇ ◇ ◇
年の瀬にはジークが言った通り、私宛の贈り物が届いた。
それは髪を後ろでまとめるためのバレッタのような髪飾りだった。
小さなダイヤが留め具の周りだけでなく、タッセル状の房飾りにもちりばめられていて、シャンデリアに照らされればキラキラと輝くであろう。
「まあ、素敵! 新年に切るサラのドレスともよく合いそうね」
母はジークからの贈り物を見て言った。
パーティ用に新調したのは、光沢のある白銀色の生地に青から紫のグラデーションのかかった刺繍が施されたドレス。
「お母様、もしかして殿下にドレスのデザインを教えられました?」
「まさか。この髪飾りは比較的どんなデザインにもマッチするタイプのものよ。それこそクールにもスイートにもね」
「確かに……」
「末永くいろんな場面でつけてもらいたいってことかしらね」
◇ ◇ ◇
そして新年のパーティ。
父や次兄や私など紺色の髪の者は、公爵家のシンボルカラーでもある青系統を強調した刺繍がアクセント。
オレンジ色の髪の母や長兄は青も少し混ざっているが主に金糸を中心とした刺繍と、それぞれの髪色に合わせて若干デザインを変えながらも、白銀色の生地で統一感のある装いにしていた。
ヴァイスハーフェン公爵家は一番初めに家族そろって、国王一家へのあいさつを行う。
その次にフェリシアのいるブリステル公爵家。
さらに侯爵位の貴族一家のあいさつが続き、伯爵以下は家長だけが国王夫妻の正面に出てきて団体でのあいさつになる。
それらがすべて終わったとき、国王は再び場内の者たちに注目を促した。
「この度、第二王子エミールとブリステル公爵家のフェリシア嬢との婚約が決まったのでここに発表する」
フェリシアも壇上に呼ばれ、エミールと二人並んでお辞儀をさせられていた。
私は家族から離れ、テーブルの前でジュースを飲みながら軽食をつまんでいる最中だったのだが、ジークがいつの間にか横に来ていた。
ジークは現在十四歳、弟のエミールとは三つ離れている。
「ああ、僕も十一歳の時にサラと婚約したから、エミールも同じようにね。フェリシア嬢はエミールと同い年なんだよ」
ちなみに私はジークの一つ下の現在十三歳である。
「発表は次の新年の王宮でのパーティの時になる予定だよ」
「それではパーティの主役はお二人で決まりですね」
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私もジークもお人形のように飾り立てられ、お祝いを言いにくる各貴族にお礼を言うだけでいっぱいいっぱいで他には何も覚えていない。
あれをエミール王子とフェリシア嬢もやるのか……。
ちょっと同情しちゃうな。
「もちろん主役は二人に持っていかれるだろうけど、年末に何か身に着けられるようなものを贈るからサラも楽しみにしておいて。パーティの時に身に着けてくれたらうれしいな」
ジークは言った。
「ジークが選んでくれるの?」
「もちろん」
私の質問に即答したジーク。
婚約以来、誕生日にジークの名で贈り物が届いていたけど、てっきり役人の誰かが適当に選んで送ってくるものだと思っていた。
◇ ◇ ◇
年の瀬にはジークが言った通り、私宛の贈り物が届いた。
それは髪を後ろでまとめるためのバレッタのような髪飾りだった。
小さなダイヤが留め具の周りだけでなく、タッセル状の房飾りにもちりばめられていて、シャンデリアに照らされればキラキラと輝くであろう。
「まあ、素敵! 新年に切るサラのドレスともよく合いそうね」
母はジークからの贈り物を見て言った。
パーティ用に新調したのは、光沢のある白銀色の生地に青から紫のグラデーションのかかった刺繍が施されたドレス。
「お母様、もしかして殿下にドレスのデザインを教えられました?」
「まさか。この髪飾りは比較的どんなデザインにもマッチするタイプのものよ。それこそクールにもスイートにもね」
「確かに……」
「末永くいろんな場面でつけてもらいたいってことかしらね」
◇ ◇ ◇
そして新年のパーティ。
父や次兄や私など紺色の髪の者は、公爵家のシンボルカラーでもある青系統を強調した刺繍がアクセント。
オレンジ色の髪の母や長兄は青も少し混ざっているが主に金糸を中心とした刺繍と、それぞれの髪色に合わせて若干デザインを変えながらも、白銀色の生地で統一感のある装いにしていた。
ヴァイスハーフェン公爵家は一番初めに家族そろって、国王一家へのあいさつを行う。
その次にフェリシアのいるブリステル公爵家。
さらに侯爵位の貴族一家のあいさつが続き、伯爵以下は家長だけが国王夫妻の正面に出てきて団体でのあいさつになる。
それらがすべて終わったとき、国王は再び場内の者たちに注目を促した。
「この度、第二王子エミールとブリステル公爵家のフェリシア嬢との婚約が決まったのでここに発表する」
フェリシアも壇上に呼ばれ、エミールと二人並んでお辞儀をさせられていた。
私は家族から離れ、テーブルの前でジュースを飲みながら軽食をつまんでいる最中だったのだが、ジークがいつの間にか横に来ていた。
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