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第1章 悪役令嬢の婚約
第13話 王太子の訪問
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エシャール王妃からの『クレーム』の後、親同士の話し合いで十日に一度の王宮への訪問は取りやめになった。どのみち、もうすぐ妃教育のために王宮に通うことになるので、その時に顔を合わせればいいだろうという結論である。
周囲の人が目を光らせている状況では思うことも話せないし、まあ、いいや、と、私は思ったが、ジークの方はかなりがっかりしたらしい。
そりゃ、同年代の『友人』との交流を、母親の『過保護』でぶち壊されては気落ちもするよね。
その代わり、ジークの要望で二か月に一度、非公式にヴァイスハーフェン家を訪問することも話がまとまった。
そして当日、非公式であってもそれなりに準備は大変で使用人たちは数日前から残業をせざるを得なかったらしい。
王太子一行のご到着。
非公式なので、お付きの者はそんなについてこない?
いや、ついてこないはずだったが、それでも護衛の兵士が数十名……。
これが王宮スタンダードってやつですか?
彼らには屋敷の玄関前で待機してもらうことになった。
ただ待っていてもらうわけにもいかないのでお茶くらいはふるまうことにする。
兵士たちは立ったまま、ふるまわれたお茶と菓子をいただいているらしい。
応接室には王太子と従者のトロイア、二名だけが通された。
「サラ、会いたかったよ!」
私が応接室に入った途端、笑顔でそう告げるジーク。
私もです、とは、なんとなく照れくさくて、あいまいな笑顔を浮かべながら向かいのソファに座る。
しばらくは談笑をしていたが、そんな和やかな時間を、突然の兄たちの乱入がぶち破った。
「お久しぶりです、王太子殿下」
「僕たちもやはりあいさつをと思いまして」
一応ていねいな挨拶を二人はする。
そしてすぐ部屋を出て行かずさらにジークに話しかける。
「殿下は最近、剣の訓練を始めたそうですね。非常に上達が早いって評判ですよ」
「そうそう、すでに騎士数名と対峙して互角に戦えるとか?」
あらま、男同士の会話っぽい。
こういうところ、私も『男同士の友情』もどきをを目指しているが、本物にはかなわないのかな?
「僕は魔法の訓練は好きなんですけど、剣は苦手でね」
「そうそう、ライナートにちょっと教えてやってくださいよ、殿下」
ちょっと待って、お兄様方!
聞いていると、どうも王太子殿下を剣の実地訓練に引っ張り込もうとしているみたいだけど……?
あ~あ、二人して顔を見合わせながらにやにやしちゃって、これ絶対しめし合わせてるよね。
長兄15歳、次兄13歳、対する王太子殿下は11歳。
教えてください、と、二人は低姿勢でものを言っちゃってる。
それは見かけだけで、年下の男の子を二人がかりでしめてやるって気満々の提案をするってどうなんですか?
「サラも殿下のかっこいいところを見たいよな」
ちょっと、私まで巻き込まないで!
「えっ、そうなの?」
ジークが私の方を見る。
「い、いえっ……、兄たちの申し出をまともに受ける必要は……」
私は否定する。
ジークはしばらく考え込んでいたけど、トロイアから何か耳打ちされた後、おもむろに立ち上がった。
「じゃあ、やってみましょう。僕も体をうごかしたかったところですよ」
へっ、乗り気ですか?
従者のトロイアも止めないの?
「おお、そうこなくっちゃ!」
「じゃあ、庭の方へ」
兄たちは嬉々とした声を上げ、ジークを促し、彼らは応接室に続くサンルームから庭に出た。
周囲の人が目を光らせている状況では思うことも話せないし、まあ、いいや、と、私は思ったが、ジークの方はかなりがっかりしたらしい。
そりゃ、同年代の『友人』との交流を、母親の『過保護』でぶち壊されては気落ちもするよね。
その代わり、ジークの要望で二か月に一度、非公式にヴァイスハーフェン家を訪問することも話がまとまった。
そして当日、非公式であってもそれなりに準備は大変で使用人たちは数日前から残業をせざるを得なかったらしい。
王太子一行のご到着。
非公式なので、お付きの者はそんなについてこない?
いや、ついてこないはずだったが、それでも護衛の兵士が数十名……。
これが王宮スタンダードってやつですか?
彼らには屋敷の玄関前で待機してもらうことになった。
ただ待っていてもらうわけにもいかないのでお茶くらいはふるまうことにする。
兵士たちは立ったまま、ふるまわれたお茶と菓子をいただいているらしい。
応接室には王太子と従者のトロイア、二名だけが通された。
「サラ、会いたかったよ!」
私が応接室に入った途端、笑顔でそう告げるジーク。
私もです、とは、なんとなく照れくさくて、あいまいな笑顔を浮かべながら向かいのソファに座る。
しばらくは談笑をしていたが、そんな和やかな時間を、突然の兄たちの乱入がぶち破った。
「お久しぶりです、王太子殿下」
「僕たちもやはりあいさつをと思いまして」
一応ていねいな挨拶を二人はする。
そしてすぐ部屋を出て行かずさらにジークに話しかける。
「殿下は最近、剣の訓練を始めたそうですね。非常に上達が早いって評判ですよ」
「そうそう、すでに騎士数名と対峙して互角に戦えるとか?」
あらま、男同士の会話っぽい。
こういうところ、私も『男同士の友情』もどきをを目指しているが、本物にはかなわないのかな?
「僕は魔法の訓練は好きなんですけど、剣は苦手でね」
「そうそう、ライナートにちょっと教えてやってくださいよ、殿下」
ちょっと待って、お兄様方!
聞いていると、どうも王太子殿下を剣の実地訓練に引っ張り込もうとしているみたいだけど……?
あ~あ、二人して顔を見合わせながらにやにやしちゃって、これ絶対しめし合わせてるよね。
長兄15歳、次兄13歳、対する王太子殿下は11歳。
教えてください、と、二人は低姿勢でものを言っちゃってる。
それは見かけだけで、年下の男の子を二人がかりでしめてやるって気満々の提案をするってどうなんですか?
「サラも殿下のかっこいいところを見たいよな」
ちょっと、私まで巻き込まないで!
「えっ、そうなの?」
ジークが私の方を見る。
「い、いえっ……、兄たちの申し出をまともに受ける必要は……」
私は否定する。
ジークはしばらく考え込んでいたけど、トロイアから何か耳打ちされた後、おもむろに立ち上がった。
「じゃあ、やってみましょう。僕も体をうごかしたかったところですよ」
へっ、乗り気ですか?
従者のトロイアも止めないの?
「おお、そうこなくっちゃ!」
「じゃあ、庭の方へ」
兄たちは嬉々とした声を上げ、ジークを促し、彼らは応接室に続くサンルームから庭に出た。
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