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第48話 メディア国のその後 ~『呪い』を失った王宮~
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「どういうことだ、二人がいないとは!」
報告の者に対し国王は声を荒げて追及する。
「見張りの兵士たちは何をやっていたのですか?」
王妃も国王に続いて質問を浴びせる。
報告の者の話によると、元王太子夫妻のベネットとメルの姿は屋敷のどこにも見えなかった。
そして、見張りの兵士たちが滞在していた施設は火事があったようで、建物が全焼し跡形もなかった
ベネットたちがメディア国を去った後、テティスは魔法でしばらく窓に影を見せて元王太子夫妻がいるように偽装する。
もともとこのためにベネットとメルは兵士たちの前にはあまり姿を見せなかった。
ばあやがしばらくとどまって兵士たちの前に姿を見せていたので、兵士たちは窓から見える影を確認しただけで、二人が変わらず離宮にいると錯覚したのだ。
それを十日ほど続けたのち、テティスとばあやはリザに乗って離宮を去る。
ばあやのサモワまで姿を見せなくなってしまい、さすがにおかしいと思った兵士たちは離宮の中に入り、建物内部を隅から隅まで調べた。
そして、人っ子一人見えず、彼らがまんまと逃亡したことを知る。
兵士たちは青くなった。
このことが知れたら……?
「処刑か、良くても強制労働だな」
「俺たちだけじゃなく、家族まで罰せられるかも……」
任務の重大さはわかっていた。
しかし彼らの約半分は現地採用の元一般人で、もう半分は王都の下っ端の兵士。
一番上の立場の者でもせいぜい軍曹クラスであった。
そんな彼らをこんな僻地に派遣して、失敗したら厳しく処罰される重大任務を丸投げして放置している中央に対し、皆一様に反感を持っている
「俺は逃げる、こんなくだらない仕事で罰せられてたまるか!」
まず王都からやってきた下っ端兵士たちが言う。
「俺たちだって責任を取らされるのはごめんだ」
「だけど逃げるったって……」
「いい考えがある、おーい、お前らも耳かせ」
彼らは滞在していた施設ごと焼き払い、そこにいた人間の痕跡、名簿やその他もろもろを消滅させた。
兵舎の焼け跡を見た調査の者たちは、ここにいた兵士たちがどうなったのか全く分からなかったし、王宮も下っ端兵士たちの行方を追おうとは思わなかった。
それよりも重大なことがあった。
「魔石の山はどうなっているのだ?」
そちらの報告の方はいまいちはっきりしなかった。
山で取れる魔石がいきなり目の前から消えてしまったわけではなかったからだ。
しかし、新しく湧き出る魔石は無くなったのだから、とればとるほどそこにある魔石は減るようになる。
呪い、言葉を変えれば王家の富の源泉が本当になくなってしまったのだ、と、王家の者たちは認めざるを得なくなってしまった。
国王は必死に知恵を絞り、もう一度魔王に頼めばいい、と、言う結論に落ち着いた。
召喚の儀式で魔王メディアを呼び出し、かつて彼の先祖と同じように彼女に頼みごとをする。
「はあっ? 一度だまされた相手と再度契約する馬鹿がいると思うの?」
好奇心で呼び出しに応じたメディアが答える。
「そ、それは……、何百年前も先祖の話で私は決して……」
「信用できないね」
けんもほろろの返答をし、メディアはすぐに掻き消えた。
報告の者に対し国王は声を荒げて追及する。
「見張りの兵士たちは何をやっていたのですか?」
王妃も国王に続いて質問を浴びせる。
報告の者の話によると、元王太子夫妻のベネットとメルの姿は屋敷のどこにも見えなかった。
そして、見張りの兵士たちが滞在していた施設は火事があったようで、建物が全焼し跡形もなかった
ベネットたちがメディア国を去った後、テティスは魔法でしばらく窓に影を見せて元王太子夫妻がいるように偽装する。
もともとこのためにベネットとメルは兵士たちの前にはあまり姿を見せなかった。
ばあやがしばらくとどまって兵士たちの前に姿を見せていたので、兵士たちは窓から見える影を確認しただけで、二人が変わらず離宮にいると錯覚したのだ。
それを十日ほど続けたのち、テティスとばあやはリザに乗って離宮を去る。
ばあやのサモワまで姿を見せなくなってしまい、さすがにおかしいと思った兵士たちは離宮の中に入り、建物内部を隅から隅まで調べた。
そして、人っ子一人見えず、彼らがまんまと逃亡したことを知る。
兵士たちは青くなった。
このことが知れたら……?
「処刑か、良くても強制労働だな」
「俺たちだけじゃなく、家族まで罰せられるかも……」
任務の重大さはわかっていた。
しかし彼らの約半分は現地採用の元一般人で、もう半分は王都の下っ端の兵士。
一番上の立場の者でもせいぜい軍曹クラスであった。
そんな彼らをこんな僻地に派遣して、失敗したら厳しく処罰される重大任務を丸投げして放置している中央に対し、皆一様に反感を持っている
「俺は逃げる、こんなくだらない仕事で罰せられてたまるか!」
まず王都からやってきた下っ端兵士たちが言う。
「俺たちだって責任を取らされるのはごめんだ」
「だけど逃げるったって……」
「いい考えがある、おーい、お前らも耳かせ」
彼らは滞在していた施設ごと焼き払い、そこにいた人間の痕跡、名簿やその他もろもろを消滅させた。
兵舎の焼け跡を見た調査の者たちは、ここにいた兵士たちがどうなったのか全く分からなかったし、王宮も下っ端兵士たちの行方を追おうとは思わなかった。
それよりも重大なことがあった。
「魔石の山はどうなっているのだ?」
そちらの報告の方はいまいちはっきりしなかった。
山で取れる魔石がいきなり目の前から消えてしまったわけではなかったからだ。
しかし、新しく湧き出る魔石は無くなったのだから、とればとるほどそこにある魔石は減るようになる。
呪い、言葉を変えれば王家の富の源泉が本当になくなってしまったのだ、と、王家の者たちは認めざるを得なくなってしまった。
国王は必死に知恵を絞り、もう一度魔王に頼めばいい、と、言う結論に落ち着いた。
召喚の儀式で魔王メディアを呼び出し、かつて彼の先祖と同じように彼女に頼みごとをする。
「はあっ? 一度だまされた相手と再度契約する馬鹿がいると思うの?」
好奇心で呼び出しに応じたメディアが答える。
「そ、それは……、何百年前も先祖の話で私は決して……」
「信用できないね」
けんもほろろの返答をし、メディアはすぐに掻き消えた。
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