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第23話 呪いの無効化

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「言いにくいんだけどさ、日輪に祈った術だからね。一度かけたら本人ですら解けないのよ」

 妻メディアが気まずそうな顔で言い訳する。

「日輪がこの世から消えればできるかもしれないけどな」

 口ごもりながら答えた妻に続いて夫の方もさらに説明を加えた。

「そんな……」

 実現不可能な状況を条件に出され、メルは絶望的な声を上げた。

「でも、私自身が術を解くことはできないけど、呪いの効果を完全に無効化することはできるわよ」

 励ますように女魔王メディアが言った。

「それを早く言いなさいよ」

 テティスがきつい口調で妻メディアに言った。

「何よ、その言い方!」

 すねたようにメディアがふくれっ面をする。

「まあまあ。ならテティスに質問だが、日輪の神に唱えた呪文はどうしてそうでない術より強力になると思う?」

 夫メディアがなだめるように魔女のテティスに逆質問をした。

「えっ、そりゃ、やっぱり太陽の神の強い力を借りて……?」

 そういうもんだと思っていたテティスはあてずっぽうで理由を推測する。

「うん、日輪というのは毎日継続して昇っては地に沈み、そして再び姿を現し、また昇っていく。それを繰り返す。だから、日輪の神に祈るとな、特に連続性や継続性のようなものが強化されるんだ。魔法効果が長く続いたり、術によっては子々孫々にまで影響を及ぼすことがある」

 夫魔王の説明に、そうだったのか、と、テティスは納得する。
 
 魔法については門外漢のメルにも理解できた。

「ああ、だからその連続性を断ち切ってやればいいんだ。問題の呪いだが、メディア王家に代々一人、そして術が及ぶ範囲はメディア国内だけ。この状態がずっと連続して続いているんだ」

「なるほどそれで、次の代の王太子夫妻に第一王子が生まれると、その子に呪いが移るんだ。で、連続性を断ち切るって?」

 テティスがさらに質問をした。

「簡単だよ。今現在呪われた王子が国外に出ればいいんだ。国外に出れば術の影響力は無くなるから呪いは消える。そしてメディア国に呪われた王子がいなくなることで連続性が途絶え、もう一度その王子がメディア国に戻っても呪いが再びかかることはない」

「そんな簡単なことだったのですか!」

 思ってもみなかった発想にメルは驚く。

「そういえば、レナートも国を出たのはベネットが生まれてからだったらしいし、その先代のヴァルカン殿も国を出たのはレナートが生まれてからだから、それは試してなかったわね」

 テティスも考えを巡らせながら言う。

「言っておくけどさ、その方法なら百年ほど前に王家に伝えたわよ」

 意外な発想の転換に希望を見出したような顔のメルやテティスに妻メディアはさらに意外な発言をした。



 
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