ペニスマン

終焉の愛終(しゅうえんのあいうぉあ)

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12.脅し☆

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 自分を記者だと名乗る明間メルという女。
 真弓は優しくて美しい女性とたまたま廊下でぶつかって、運が良かったなとさっきまでは思っていたのだが、彼女が記者だと知って感情が反転する。
 ──記者……この学校に何の用があるんだろう。ちょっとまて、目の前の女性は本当に信用していい人なのか? 今すぐ逃げた方がいいのでは?

「もしかして不審者……」
「ち、ちがーーーう! 私、大真面目に東京の衝撃新聞っていう会社に勤めてるんだよ! これ、名刺」
「オカルト専門課……?」

 彼女に渡された名刺にはこう書いてある。
 株式会社 衝撃新聞社
 オカルト専門課 明間メル
 その他郵便番号、電話番号etc……

「そう、私は衝撃新聞の中のオカルトを専攻に記事を書いているわ。どう、やっと信じてくれた?」
「まあ……衝撃新聞は有名ですし、この名刺も偽物ではなさそうです。すみません、疑ってしまって。信じますよ、明間さん」
「ふぅ……よかったよかった。それで、単刀直入なんだけど、君、赤い巨人のこと知ってる?」
「赤い……巨人、ですか?」
「最近この街に現れた赤い巨人の噂。私は、その赤い巨人の影を追って、東京を出て、はるばるこの大宮区にやってきたんだ。君は……そういえば、君の名前を聞いていなかったね」
「僕は……有式真弓です。2-Dクラスの」
「有式真弓……すごい、出会った初生徒が君だったなんて! 君だよ、君、私が会いたかったのは!」
「あちょっと、近っ」
「君、有式真弓くん! 赤い巨人に三度出くわしたことがある! やっぱり、私持ってるー最高にツいてるわ! 君を探してたんだよ!」

 明間メルは真弓の顔面至近距離で、興奮したように大きい瞳を開いてまくし立てる。
 彼女の頭が少し揺れるたびに、大人の女性特有の甘い匂いが真弓の鼻孔をくすぐって、彼女のその勢いに押され続けていく。
 比較的気の弱い性格である真弓は、変わった勢いを持つ彼女に抵抗できない。
 いつの間にか、廊下の壁にまさしく”壁ドン”の形になり、構図が少しばかり反対な気がするが……明間メルが真弓を廊下端に押し上げる。

「ねえ、君、赤い巨人の事、知ってるよね? ──私に、話してくれない?」
「僕は──何も、知りません」
「は?」

 だが、真弓は切り捨てるように、彼女に赤い巨人のことは何も知らないと断言した。
 そのことを言われた明間メルは、目を点にして唖然する。

「知らないって……三回も、赤い巨人と会って?」
「明間さんが、どこで、何の情報を聞いたかは知りませんけど、僕は赤い巨人を見たことがないし、直接会ったこともありません。残念ですが、僕は明間さんの役には立てないようです。じゃあ、赤い巨人探り、頑張ってください。僕はこれで」
「あ、ちょっと、待っ……行っちゃった……何でよ」

 彼女は一人廊下に残されて、小さい声で呟く。

「やっと掴んだ、特ダネなのに……諦めない。私、絶対に諦めないから。この街を襲っている不思議な超常現象を私は、必ず記事にして、世に明かしてみせる」

 彼女は野望を語るように、覚悟を決めた目で窓ガラス越しに大宮の街を見つめる。
 これ如きの挫折で止まらないことを、その目に炎を宿らせることで示していた。

===

「マスター、事情を話します。だから、その僕にエッチなことをしてもらえませんでしょうか!?」
「はぁ!?」

 喫茶店『古時計』の店内にて、真弓は額を床に擦り付けて土下座をしていた。その相手は当然、このお店の店長でもあり、マスターの藍田潮だ。
 放課後、真弓は真っ先にこの喫茶店の扉を開けて、マスターに対して土下座しながら、突飛な発言をしたというのが現在。
 
「マスターが困惑するのも分かります! でも、冷静になって聞いて欲しいんです! お願いです、マスター!」
「お、お前なア、冷静になれるわけないだろうが! 何だ、僕にエッチなことをしてほしいって! た、確かにこの前は勢いで、真弓の溜まった性欲を私が責任をもって解消してやるとは言ったが……その、お前が本気にするとか、思ってなかったんだ……」

 頭を抱えるマスターは、必死になって土下座し続ける真弓を見て、「少しは話を聞いてやるか」と考え直す。
 
「マスターはこの街で噂になっている”赤い巨人”のこと知ってますか?」
「赤い巨人? あぁ、そういえば、この前来た客が、赤い巨人がどうのこうの言っていたな。なんだ、なにかの映画の話か?」
「知らないってことですね。分かりました、じゃあ一から話しますね……実は──」

 真弓はマスターに、大地震があった日から、今の今までの話を所々話を端折りつつ、大まかに分かりやすく説明した。
 
「つまりだな、真弓がその赤い巨人で、この前、私に襲い掛かったのは、力の暴走で、性欲が抑えきれなくなったから。それで、また力の暴走が真弓に起こりつつあって、それを防ぐために私の下へきたと?」
「そういうことです。信じてくれました?」
「信じるも何も……そういう、映画やフィクションの中の話は私あまり得意じゃなくってな。真弓が真剣に話してるっちゅうのは、私にとって信じる材料にはなるか……いいよ、信じるさ」
「マスター! ありがとうございます!」
「おい、でも、何で私がお前にエッチなことをしなくちゃならんのだ。真弓が赤い巨人だとしても、話が繋がらないぞ」
「その……マスターを襲った後は、溜まり切った性欲が消化されたというか、そのあとは一週間ほど落ち着いたので、マスターしかいないんです! 僕も自分で言ってて気持ち悪いし、変態だってことは理解してるんです! それでも、もう誰かを無理やりに襲うようなことはしたくないんです!」

 確かに、青少年として大人の女性にエッチなことをしてもらいたいという性的欲求が存在してるのは事実だし、マスターにそんなお願いをしたくないという真弓の気持ちもある。
 しかし、前みたいにまた力が暴走して、今度はマスターだけじゃなくて街の女性を襲ってしまうのは何としても避けたいのだ、真弓の本心としては。
 それをしてしまえば、本当に真弓は街の脅威と化し、人々の敵になってしまうだろう。
 今度は元の真弓に戻るという保証もない。
 このような理屈を四の五の並べながら、自分自身がただエッチなことをしてもらいたいのではないかという自分への疑惑もあった。
 ──流石にマスターでも、ダメに決まってる。マスターも女性の一人なんだ……セクハラだったな、ごめんなさいマスター……。

「……いいぞ」
「え、今何て」
「エッチなことしてやるって言ってるんだ。お前が暴走して、暴れる姿なんて見たくないしな。真弓、次にお前が暴れそうになった時、責任をもって止めさせると言ったのは私だ。私は嘘をつかない女だからな、別にお前とエッチなことをしたいからではない! あくまでもお前を救うためにしてやる」
「ありがとう……ありがとうございます……っ」
「おい、何で泣いてるんだよ。せっかくお願いを聞いてやったっていうのに」
「だって、こんな無理なお願いほんとに聞いてくれると思ってなくて……ひくっ、だから、マスターありがどうございます」
「真弓、ったく、お前は……臆病なくせして」

 店をOPENからCLOSEDに変え、閉店となりプライベートな空間になった店内の裏奥で、壁際に真弓が立ち、マスターがしゃがみ込み真弓の膨らんだ一物を長い指で握りしめていた。

「うっ」
「これが、真弓の……大き過ぎだろ。どうだ、女に初めて握られた心地は」
「触っただけなのに、気持よくてイキそうになってます……はぁ、マスター」
「それじゃ、早くしねえとな……始めるぞ、真弓」
「は、はい……お願いします」

 一物を握るマスターの手がゆっくりと上下に振り始める。
 手で一物を扱く、いわゆる手コキというやつだ。
 マスターがしゃがみこんで、真弓の反り立った一物を顔の近くで握ってくれる、それだけで我慢汁が一物の切り口から溢れ出して、粘液の糸を伸ばす。
 
「熱い……真弓のちんぽ……気持ちいいか、真弓」
「あっ、気持ち、いいです……マスター」
「もう我慢汁が出てるぞ……変態め。もっと速く、するからな」

 徐々にマスターの手を振る速度が増していく。
 その度にじゅぴ、じゅぴと一物の皮が我慢汁と擦れ合い、いやらしい音を奏でる。
 
「臭いな、真弓のちんぽは……」
「はぁ、そんなことっ」
「男の匂いで店ン中が充満してるな、お前のせいだぞ真弓……」
「ご、めんなさい、マスター、あぁ」
「こうか、こう指で裏筋を撫でまわすのが気持ちいいんだな?」
「そこ……気持ち、良いっ」

 マスターが中指と人差し指を上手く使って裏筋を撫でまわす。
 真弓は上下の抽送に加え、裏筋を触られ、射精感が一気に高まるのを感じた。

「もうイキそうなんだろ? それとも、もっと速いのがお好みなのか」
「あぁ、マスターそんなに速くしたらっ」
「早く出せよ、気持ちいいんなら、抗うより素直に出した方が身のためだ。ほら、早く」

 射精を急かす言葉とともに、一物を振る速さのボルテージが上がっていく。
 くちゅくちゅ、我慢汁が溢れ、その速い動きで床に散りばめられる。
 もう、限界だった。
 
「ま、すたー、イキそう、です」
「いいぜ、出していいんだ。情けない顔しながら、私に手コキされてイけ。びゅーびゅー精液出してイっちまえ」
「マスター、い、イクッ──!」

 射精感が限界線を越え、凄まじい快感と同時に一物の中を精液が駆け巡り、一気に解放した。
 迸る白い濁液が、マスターの顔にかかって、その綺麗な顔を自分色に染め上げる。
 出し切った真弓の一物は、一時の静寂を得て、行き場所を失いだらりと宙にぶら下がった。

「せ、精液……こんなにたくさん……出しやがって。顔がびちょびちょじゃねえか……」
「ごめんなさい、マスター……」
「特別に許してやるよ……こんなに熱くて濃いの、頑張って出したんだ。ってまだ、お前……起って」
「ま、マスターまだ射精したりなくて……もう一回、してください、したいんですマスター」
「しょうがない奴だ、だったら次は」
「っ……!」
「口でしてやるよ、わがままな真弓のちんぽを、な」

 再び硬くなり、勃起状態を維持した真弓の一物は更に膨れ上がり、びくびくと震える。
 マスターが口を大きく開けて、真弓のあり得ないくらい大きくなった一物を口に咥えるとじゅぼ、と卑猥な音が響いた。
 
「ま、スター……気持ちよすぎますっ、女の人の口の中ってこんなにあったかくて、ぬめぬめしてて、気持ちいいなんて──」
「そう、か? 動らしたらこんなもんじゃないぞ……えあっ、動らすぞ」

 一物を口に含めて、マスターの滑舌が低下する。舌を行使して舐めながらしゃべっているせいだ。
 口に咥えただけでまた射精しそうになった真弓に、追い打ちをかけるように、マスターは一物を喉奥まで押し込んで抽送を開始した。

「れろ、ちゅっ、ちゅろ、れちゅちゅるっ」
「ぁあっ!」
「じゅるっぢゅる、ちゅっちゅあっんじゅるっんん、ちゅ、れろっじゅ、じゅっじゅるる……ハぁハぁ、どうだ、溶けるほど気持ちいいか?」
「は、はい、最高に気持ちいいです」

 呼吸のために一回一物から口を離したマスターは妖艶な笑みを向ける。
 自分の一物を、いつもはぶっらきらぼうで、誰の物でもなかったマスターが口に咥えて舐めてくれる。それが、最高に背徳的で、メスをオスが支配している、そんな快感を覚える。

「そうか、それならいいんだが。ぷは、じゅる、ぢゅ、ぢゅるっんじゅ……!」
「っあァ」
「……んじゅるっれろ、じゅじゅっ、んじゅるる」

 またマスターは一物を口に咥え、前後にピストン運動を再開する。
 それが気持ちよすぎて、普段の真弓だったらもっと早くに出していたところだ。マスターのフェラが気持ちよすぎで、快感が少し麻痺していたから、耐えられた。でも、それももう限界に近い。

「マスター、出そう、です、もう限界……っ!」
「らせ……私の口の中に出せ……じゅる、んじゅ……れろ……じゅるるる…っ……真弓の精液、私の口の中に出していいぞ……我慢するな」
「だ、出すから、マスター!」
「んじゅる、出せ、じゅる、ちゅぱ、お前の精液、私の口の中に、だせ……じゅるるるる、じゅぽ、じゅるんじゅるるる……っ!」
「だ、出す!」
「うううう──ッ!?」

 真弓はマスターの頭を両手で掴み、喉奥に一物を押し込んでそのまま射精して大量の精液を口の中に流し込んでいく。
 精液が口に収まりきらなかったのか、隙間から外へ溢れ飛び出る。
 ゴホ、ゴホと咳をしながら、マスターは真弓の精液をティッシュに吐き出す。

「出し過ぎ、だ……真弓の馬鹿」

 そういって、マスターはセクシーにほほ笑んだ。

===

 マスターと事が済んだ真弓が、喫茶店『古時計』を出て、駅を抜けた時だった。
 夕陽が空に輝く時刻、一人の影が真弓の前に伸びる。
 その影は、女性であり、その服装は黒づくめ──。
 
「君──一人で閉店している喫茶店に入って、何をしていたの? 有式真弓くん」
「貴方は……明間さん」
「店が閉まっていたんだから、喫茶店目的じゃないよね? すんすん、おや、この香水の匂いは……女性のかな?」
「…………」
「ねえ、君、もしかして、あのお店のマスターと、まだ成人を迎えていないのにも関わらず、不純性行為とか──まさかねえ」
「もしかしてみてたのか……っ」
「そんな私が覗きをしたみたいな言い方しないでよ。店が閉まっているとはしらずに間違って入ってしまっただけのことだよ。ねえ、有式真弓くん?」

 彼女──明間メルが真弓とマスターが事に及ぶ瞬間を覗いていたことは間違いない。
 真弓はまだ成人を迎えておらず、成人を迎えていない少年に性行為をしたマスターは犯罪をしていることになってしまう。
 それが力の暴走を防ぐ手段であり、しょうがないことであったとしても、その事実は変わらない。
 その瞬間を彼女が見ていて、その上で今、真弓にはなしかけてきているとしたら。

「この写真……君の親しい友人にバラされたくないよね? もちろん」
「くっ、貴方は何が目的で」
 
 明間メルがスマホを出して、データに保存されている写真を真弓に見せる。
 写真には、真弓とマスターが行為している瞬間が捉えられていた。

「そんなの決まってる。さっきも君に話した通り、赤い巨人のことを私は知りたいんだよ。君が赤い巨人の知っていることを話してくれるなら、この写真は誰にも見せないで、処分する」
「────」
「これは、交渉だよ。有式真弓くん。君は知っていることをただ話せばいいだけの、簡単な話し合いだ。ただし、君が否定するのであれば、私はこの写真を君の親しい友人に、学校の関係者に、家族に、社会に公開したっていい。私は本気で赤い巨人を記事にする、そのためなら君を潰すことを厭わない」

 真剣な口調で、すらすらと脅し文句を並べる彼女は、美しく笑って、真弓に迫る。

「さぁ、選びなさい。君は、その女性を社会的地位のどん底にまで陥れるのか、それとも、赤い巨人のことを話して、楽になるのか。まぁ、今すぐ答えをだせってわけじゃないし、明日の放課後、私学校の屋上で待ってるから──それまでに答えを作っといてね」

 明間メルは、ひらひらと画像を出したスマホを揺らしながら、黒いハイヒールを高鳴らしてスタイリッシュにバイクへ乗る。
 バイクのエンジンを付け、颯爽と去っていく様は一種の美しさといっても差し支えなかった。

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