ペニスマン

終焉の愛終(しゅうえんのあいうぉあ)

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7.力の暴走☆

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 二回目の超常現象事件があってから数日後、真弓の身体に異変が起こっていた。
 一日に最低五回はオナニーをしないと、日常的に興奮してしまい、赤い巨人の姿に変わってしまうのだ。
 その代わり、興奮し、勃起しても性欲をすぐ解消すれば赤い巨人状態にならずに済むことを最近知る。
 ただここ最近急に性欲が増加し、オナニーをしなければ、赤い巨人に強制的に変化してしまうのは、学校生活を送る真弓にとっては大変なことで──。

「はぁ、はぁ……い、イくっ」

 小さい姿である真弓の膨れ上がった一物から、ダムが決壊したように白い濁流が流れ出す。トイレの水が白く濁り、蓋の辺りまで精液の水位が上昇する。
 これで本日五回目のオナニーを終えたばかりである。
 それでも、大人の男性平均サイズを遥かに上回る肥大化した真弓の一物が、”まだ出せる”とびくびくと震えながら訴えてくる。
 あまりにも巨大で、肉々しい一物をもう一度掴み、真弓の脳内を占めるのは、月丘はづきがブラジャーとパンティしか身に着けていないエロティックな姿だ。

「う、だ、出す!」 
 
 真弓の男子とは思えないかん高い嬌声が、トイレの室内に反響し、一物が白い液体を迸らせる。
 さっきの倍は発射した精液。
 自分の右手で一物を扱くのが、異常に気持ちいい。
 射精の時の快感が、前よりも高まっている。
 六回目の射精で性欲がようやく収まったと分かり、真弓は深くため息をつく。

「ふう……僕の性欲が、日に日に増している……」

===

 自前の香水で必死にズボン周りをプッシュし、男の匂いを消した真弓は教室に戻った。
 
「まゆみん、トイレの回数多くないー? お腹壊しちゃったの?」
「ふ、古屋敷……そうなんだ、実はお腹を壊してて!」
「だいじょうぶ? まゆみんのお腹ー。あたしがよしよしってしてあげるね」
「っ!?」

 古屋敷が前のめりの体勢になり、真弓に開いた胸元が丁度上から見える形となってしまう。
「よしよし」と真弓の腹を手で優しく撫で、古屋敷の胸が蠱惑的に揺れ、男の情欲を否が応にでも誘惑する。
 ──ヤバい、さっきオナニーしたばかりなのに、アレが来そう。早く性欲を解消しないと。
 むらむらとしてきた真弓は、咄嗟に強く古屋敷を手で押しのけた。
 
「い、痛っーまゆみん、いきなり押すなんてひどいよ~」
「ご、ごめん。僕、またお腹が痛くなったから保健室行ってくる! 古屋敷ホントにごめん! 後で何かおごるから!」
「やったーまゆみん、グレート黄金パフェね~♪」
「分かったー!」

 急いでトイレに駆け込み、真弓は用を済ました後保健室に向かう。
 保健室のドアを開け、中に入ろうとした真弓は何かやわらかいものにぶつかって、後ろに尻もちをつく。
 
「い、いてて……」
「あら、ごめんなさいね。ケガはない? 可愛らしいきみ」
「来栖先生」

 来栖ともみ。この大宮高校の保健室の先生であり、巨大なおっぱいを持つ大変エロい女性である。年齢は三十代前半だ。
 先ほどの真弓が顔に感じた柔らかい物体は、来栖先生の規格外のおっぱいであったのだ。
 ──わ、忘れていた。保健室にはこの人が! 
 今の真弓にとって、一番出会ってはいけない人物になるかもしれない人物を前にして、真弓は「やっぱり、戻ります」と先生へ答える。が、来栖先生は「ダメだわ、調子悪くて保健室に来たんでしょ。強がらないでちゃんと休んでいきなさい」と後に引けない空気になってしまった。
 
「はい、お水。水分補給は大切よ、しっかりとるように。それできみ、どこのクラスで何て名前?」
「あ、ありがとうございます……。クラスは2ーDで、有式真弓です」
「真弓くんねーりょうかーい。それでどうして真弓くんは保健室に来たのかな」
「お腹が痛くて……少し休めば、治ると思います」
「腹痛と。本人は寝れば治る、と……熱はある?」
「えっ」

 椅子に座っている真弓の頭の位置に、来栖先生がしゃがみこんで右手で前髪をかき分けおでこに手をぴったりとくっつける。
 至近距離で白衣を着ている来栖先生の服越しに張っている大きなおっぱいが真弓の鼻と接触し、甘い匂いが直接鼻孔に流れ込む。
 女体に飢えていた性欲センサーが一瞬で反応し、むらっと股間の辺りがもそもそ動き出す。
 
「あ、あのっぼく、体調悪いのでかえります!!」
「ちょっと、真弓君。あ、行っちゃったわね……熱はなかったようだけれど。それにしても真弓君の男の子の匂い、興奮したわ。教師が生徒に興奮しちゃダメなのに──」

 来栖先生は、徐に自分の胸を掴み、いやしかしすぐに胸から手を放し、元の業務に戻った。
 真弓の”特殊体質”に女性としての生理本能が反応しているとも知らずに。
 
===

 屋上に逃げてきた真弓は、屋上の柵網を両手で勢いよく掴み拳に力を強く籠める。

「あ、ガ……グ、あァ」

 真弓の体が、じゅうと空気を熱し、体の周りに白い蒸気が漂う。
 次第に体は赤く変色し、体の大きさが重量が爆発的に増していく。
 一秒後には、赤い巨人が屋上に仁王立ちしていた。

「──ガ、ぁ……ハーァ……」

 息を吐くたびに、空気が蒸気に変わり、白い息となって吹き荒れる。
 その目は確実に理性を失っており、大型の獣が屋上に現れたというほうが表現としては近い。
 太い指で鷲掴みしている網目がぐにゃりと裂け、大きな穴が開く。
 
「ぐ、ガァ──ッ!!!!」

 空気が獣の放つ咆哮で振動し、大宮区全体がその獣じみた声を聴いた。
 赤い巨人、否──赤い獣は、深く腰を下げて、その強靭な足のバネで跳躍し、その巨体が宙を飛び大宮区の商店街に向かっていく。

「──女……女のカラダァ」

 楕円を大きく描いて飛び、赤い獣の口からは女体を求める声が漏れる。
 明らかな暴走を起こしているのを真弓の深層心理が覗き、自覚しながら止めることができない。
 理性は停止し、本能のみが表に出ている状態であった。
 一瞬で大宮駅近くの商店街上空に飛んできて、近年建った高層ビルの屋上に衝撃波とともに着地し、クレーターが刻まれる。
 赤い獣となった巨人は、ビルの屋上の端に歩いていき街を上から見下ろす。
 ハンターが獲物を狙い定める目で、街を見渡し、その視界に歩いている女性の姿が映り込む。鋼鉄でできた屋上の壁を蹴って、赤い巨人は跳躍する。
 二十代前半の若々しい女性の前に、突如赤い巨人が空から落ちて姿を現したのだ。女性は悲鳴を上げ、腰を抜かす。

「ば、化け物……が空から」
「ガぁ……フー……」

 赤い巨人はどすどすと地面に小さい地震を生みながら、女性に近づく。
 女性は唖然として、頭がパニックで真っ白状態になり、身動きができない。
 地面に腰をぶつけた女性に赤い巨体が迫り、襲い掛かろうとする──が、伸びた手が女性の体に触れる寸前で停止。

「……えっ」

 何故か襲われないことに気が付き、女性は困惑した声を上げる。
 
「襲わないの……?」
「──に、げろ、早く」

 思ってもいなかった目の前の化け物が口にした理性的な言葉に女性は驚くが、わけもわからず立ち上がり逃げた。
 
「ガぁアァァァーーーーーーッ!!」

 何かに藻掻くかのように、空に向かって赤い巨人が咆哮した後、どこかへジャンプして飛んで行く。
 そうして、赤い巨人が辿り着いた場所は大宮駅の前だ。
 その赤き巨体はアスファルトの地面にクレーターを残すのを最後に萎み切り、元の真弓が背を屈んで俯いていた。
 影を落とした真弓の顔が駅に動き、とぼとぼとゆっくり駅に歩いていく。


===


 大宮駅構内、喫茶店『古時計』の扉が開き、客が来店したことを知らす鈴の音がちりんと鳴った。
 この喫茶店のマスター、藍田潮はさて、どんな客が入っただろうと期待し、目に入ったのが学生の身分でありながら常連客有式真弓で、いい意味で期待外れだと感想する。
 しかし、いつもは定番の三人で来ていたのに、今日は何故か真弓一人だ。
 
「よう、真弓。今日は珍しく一人じゃねえか」
「……マスター。うん、そうなんだ」
「ま、座れよ」
「うん……」

 マスターと対面するカウンター席に真弓が座って、「いつものでいいか?」とマスターがカフェラテを作ってくれる。
 
「ありがとう、マスター。美味しいよ」
「礼はいらねえ、金を」
「寄越せ、でしょ?」
「ハっ、先読みするなよ真弓」
「いつものマスターが言う台詞なんだから、先読みは楽勝」
「そうかい」

 いつもとは様子がおかしい真弓に、マスターは薄々と気が付きながらも、いつも通りの会話をしてくれる。
 それが今の真弓にとって、何よりも有難いことだった。

「学校サボってうちに来てると知れれば、のぞみの奴も学校抜け出してくるだろうな。全く臆病なお前が学校をほったらかしてくるなんて、」
「僕……、今日いけないことをやろうとしてしまったんだ」

 しかし、真弓自身がその有難い会話を崩して、悔恨の言葉を吐く。

「ほう……、真弓もヤンチャな時期がきたってことだな。それで、一体何をしでかそうとしたんだ?」
「レイプ。僕って、最悪なやつだよね……女の人を襲って、犯そうとするなんて」
「れ、レイプってお前、何言って……」
「マスター」
「っ!?」

 真弓が普段絶対に言わないことを口にし、急動揺を隠しきれないマスター。
 そればかりか、マスターの耳元まで真弓が接近し、甘い囁き声を出す。
 マスターは体が震えるような何かを感じ、真弓の目を見る。
 その目に宿っている炎は、決して理性的なものではない。

「真弓、お前様子がおかしいぞ! ちょっと、やめ」
「はぁ……はぁ……」

 カウンターを飛び越えて、マスターの体に飛びつく真弓。
 マスターの女性らしいふっくらとしたラインの臀部を、真弓が上から覆うように体を被せる。

「はぁ、マスターマスター」
「何をするんだ、真弓! 離れろ……おい、嘘だろ」

 形の良いお尻にフィットしたデニムズボン越しに伝わる硬い感触。まさかと思い、マスターは這いつくばる姿勢のまま顔だけ振り向くと、真弓が一物を晒し自分の臀部に押し付けてきている。
 その一物の巨大さにマスターが絶句し、真弓が荒い呼吸をしながら真剣に腰を振って擦り付けてくる姿に胸がきゅんと疼く。

「ま、真弓自分が何してるのか分かってるのか! は、放せ……何だこの強い力は」

 マスターは体に力を入れて無理やりに起き上がろうとするが、想像以上に真弓の腕力が強く抵抗できない。
 
「マスター……マスター……はぁ、は」
「あ、熱っ……真弓のあれが、更に大きく……」

 ズボン越しに伝わってくる熱。
 女子の様な可愛らしい見た目とは裏腹に、その持っている一物は何と男らしく凛々しいのだ。
 へこへこと腰を振るって、自分のお尻に擦り付けてくる姿を見て、マスターの吐息も荒くなっていき、頬から耳の辺りが朱色に染まる。
 
「あっ、やめ、ま、真弓……はぁ、はぁ」
「マスター……出すよ、出すから」
「ちょっと、流石にズボンに出すのは……っ」
「い、イくッ!」

 マスターのズボンには出さないで、という制止の声を無視して真弓は絶頂を迎え、その一物からは大量の白濁液がぴゅるるとお尻の辺りに落ちてズボンの色を上塗りしていく。
 真弓が精液を軽く噴水のごとき量を出し切る。
 そして、頭を低く、お尻を斜め上に突き上げた形のマスターは自分に塗りたくられた物凄い量の精液に下半身が切なげに疼くのを感じた。

「マスター……僕はなんてことを」

 目の色が正常に戻った真弓の吐く慙愧の声が、男の匂いで充満している室内に零れ落ちた。
 

===

「ご、ごめんなさいっ」

 真弓は現在、土下座の形を取っていて、謝罪相手は勿論マスターだ。
 先ほどから何十分も謝り続けられているマスターに怒りの感情は既に消え失せていて、もういいと何度も言っているのに、依然真弓が謝罪をやめようとしない。

「だから、もういいって言ってるじゃないか。ま、真弓も溜まってたんだろ、男だからこういうときもあるさ。あの時は理性がなくなってたんだ、仕方ない」
「で、でも! 僕はマスターに酷いことを! 服だって、洗濯する羽目になったし、マスターが年上とはいえ、男の僕が無理やり襲い掛かるなんて……」
「そうだとしてもだ、もう十分謝ってんだよ、お前は。もういい加減、うざったらしいから謝るな」
「でも……」
「でもじゃない! 申し訳ないと思う気持ちがあるのならさっさと頭を下げてないで立て!」
「は、はい!」

 マスターに怒鳴られ、勢いよく立ち上がりピシッと気を付けの構えを取る真弓。
 はぁ、とマスターがため息をついて、困ったように笑う。

「真弓、お前がいくら謝ろうがお前が私にしたことは絶対に消えたりしない」
「はい」
「それに謝ったってお前を今苛んでいる罪悪感は少しも薄れないだろう」
「はい……」
「私はお前のしたことを許さない」
「……はい」
「だが、今回は真弓、お前がしたことを忘れるとする」
「あ、はい?」
「だから忘れるって言ってるんだ」
「どうして」
「ふっ、お前が、私の店の常連客だからだ。私はお前が、問答無用で女性を襲うような男ではないと私は知ってる。臆病で、好きな人に話しかけられない、そんなヘタレ野郎がお前だ真弓。今回、お前は何かの理由で暴走していて、本当のお前ではなかった。よって、今回したことを私は忘れる。以上」
「マスター……」

 そうやって、笑い飛ばすマスターの笑顔が、真弓にはまぶしくて。
 真弓の両目からは大粒の涙が零れ落ちていた。
 マスターが真弓の小さい肩を、強く抱きしめる。

「ぼ、僕……また、さっきと同じようなことが起こったら。理性がなくなって、また誰かを襲うようなことがあったら僕……!」
「その時は、次は私がお前の溜まった性欲を解消してやる。大丈夫だ、私が責任をもってお前が暴れないようにしてやる」
「ま、マスター……人を襲うんじゃなくて、人を助けられるようなやつに僕はなれるかなっ!」
「なれるさ。お前の心は優しくて、困っている人がいたら手を差し伸べることができる。もし、今日と同じようにまた誰かを襲ってしまったなら、その代わり、その分誰かを助けろ。ふん、今この街を襲っている噂の超常現象とやらは真弓にはないかもしれないが、どんなに小さいことでも誰かを助けることはできるさ。お前だって、ヒーローになれるんだ真弓」
「──僕が、ヒーローに」

 力の暴走。
 それを今後、真弓は制御できるのか、それとも今よりも暴走は酷くなっていくのか。
 分からない。
 不安だらけで、今回の事で罪悪感が溢れて前を向いて歩いていくのが怖い。
 しかし、マスターがヒーローになれると言ってくれた。
 人を襲う化け物でも、女性を襲う最低な男でもなく、真弓自身がヒーローになれると。
 だったら、努力するしかないじゃないか。
 ヒーローになれるように。
 この超常現象の街で。
 
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