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エピローグ 三 エメラルド
しおりを挟む「ああ、楽しい時間も、もう終わりか…。また、2人で旅行に行きたいね、翔太!」
「それ、どこかで聞いたことあるような…。」
「あ、ばれた?」
2016年9月。舞、翔太の2人は、大学の夏休みに、海外旅行でフランスに行っていた。そして、2人は旅行を満喫した後帰って来て、今は、日本の空港に到着した所であった。
「にしても、翔太が行きたがってたルーアン、意外と…ってかマニアックだけど、良かったね!」
「当たり前じゃん!
あと、マニアックは余計だよ…。」
「だって、本当のことだもん!」
「まあ、それもそうだね…。」
こう言って2人は、笑った。
舞の手術が成功し、腫瘍が完全に取り除かれてから、約3カ月が経過していた。舞は、術後の経過も良好で、医師から、
「9月なら、海外旅行に行ってもらっても、大丈夫ですよ。気分転換に、旅行もいいかもしれませんね。」
とも、言われていた。
そして、舞の首には、退院祝いとして翔太からもらった、エメラルドのネックレスが、光っている。
そして、舞がふと周りを見回した瞬間、1組のカップルが、舞の目にとまった。
そのカップルの男性の方は、翔太とよく似た雰囲気で、女性の方は、背が高めで、ダークブラウンの髪色の綺麗な人…。
「…あれってもしかして、麻衣ちゃんと健吾くんじゃない?
…ちょうど旅行の時期も、重なってるし。」
「いや、それはさすがにないよ。
2人とも、どこかで生きているとは思うけど…。」
「だって、あっち、見てよ。」
「…え、どこどこ?」
舞は翔太を促したが、翔太がその方向を見ると、そのカップルは、もういなくなっていた。
「…誰もいないじゃん。気のせいだよ。」
翔太はそう言ったが、舞の胸の中には、ある確信のようなものがあった。
『いや、あれは絶対、麻衣ちゃんだ。私には、分かる。
麻衣ちゃん、絶対に、幸せになってね。これから色々あると思うけど、頑張ってね!
私も、翔太と、幸せになるから。』
舞は、心の中で、そう呟いた。
それは、まだ厳しい残暑の残る、9月のことであった。 (終)
「それ、どこかで聞いたことあるような…。」
「あ、ばれた?」
2016年9月。舞、翔太の2人は、大学の夏休みに、海外旅行でフランスに行っていた。そして、2人は旅行を満喫した後帰って来て、今は、日本の空港に到着した所であった。
「にしても、翔太が行きたがってたルーアン、意外と…ってかマニアックだけど、良かったね!」
「当たり前じゃん!
あと、マニアックは余計だよ…。」
「だって、本当のことだもん!」
「まあ、それもそうだね…。」
こう言って2人は、笑った。
舞の手術が成功し、腫瘍が完全に取り除かれてから、約3カ月が経過していた。舞は、術後の経過も良好で、医師から、
「9月なら、海外旅行に行ってもらっても、大丈夫ですよ。気分転換に、旅行もいいかもしれませんね。」
とも、言われていた。
そして、舞の首には、退院祝いとして翔太からもらった、エメラルドのネックレスが、光っている。
そして、舞がふと周りを見回した瞬間、1組のカップルが、舞の目にとまった。
そのカップルの男性の方は、翔太とよく似た雰囲気で、女性の方は、背が高めで、ダークブラウンの髪色の綺麗な人…。
「…あれってもしかして、麻衣ちゃんと健吾くんじゃない?
…ちょうど旅行の時期も、重なってるし。」
「いや、それはさすがにないよ。
2人とも、どこかで生きているとは思うけど…。」
「だって、あっち、見てよ。」
「…え、どこどこ?」
舞は翔太を促したが、翔太がその方向を見ると、そのカップルは、もういなくなっていた。
「…誰もいないじゃん。気のせいだよ。」
翔太はそう言ったが、舞の胸の中には、ある確信のようなものがあった。
『いや、あれは絶対、麻衣ちゃんだ。私には、分かる。
麻衣ちゃん、絶対に、幸せになってね。これから色々あると思うけど、頑張ってね!
私も、翔太と、幸せになるから。』
舞は、心の中で、そう呟いた。
それは、まだ厳しい残暑の残る、9月のことであった。 (終)
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