不思議物語

ikura

文字の大きさ
上 下
2 / 11

押入れ

しおりを挟む



私は女子校に通っていた。そこは歴史が古く校舎が新校舎と旧校舎とが渡り廊下で繋がって出来ていた。新校舎と言ってもヒビが入っていたり、汚れていたり真新しい と言った感じではない。旧校舎の方は正しく“昭和”という印象だった。
ある1年生の3学期だった。私の高校は、必ず何かしらの委員会に所属しないといけなかったので、あまり活動をしていないボランティア委員会にはいった。1ヶ月に1回あるかないかという頻度で、ある日久しぶりに活動すると連絡があり、いやいや集まった。そしてそこで「ボランティア委員会でひな壇を飾ろう」という話になり、どこからそんなお金が出るんだろ?と考えていたら ずっと前までこの学校できちんと飾っていたが人数が一時期すごく減って飾らなくなってそれ以来ずっと飾っていない、と1番古株の先生が教えてくれた。
翌日みんなで集まり飾ることになった。人形などは旧校舎の茶道部が使ってる押入れにある。との事だったので1年がそれを取りに行くことになった。私は面倒だったので鍵の管理を申し出て「最後に出ていくから荷物お願い」とうまく理由を付けて荷物を持つのを回避した。
そして各々荷物を取り出して教室の外へてる。残っている人がいないかを確認して
「よし、だれもいない」
と、外に出ようとした時後に気配を感じ振り向くとそこはちょうど人形が入っていた押入れがあり、何故か中を確認しなきゃと言う思いが込み上げてきて、恐る恐る近づき手をかけた
その時
「ねぇ!先輩に怒られるから早く行こう!」
と声をかけられ 一気に現実に戻された感覚におそわれた。
「あ、ごめん今外に出るよ」
もう一度押し入れの方を確認してから、急いで教室から出ようとした。
(あれ、でも)
「ねぇ、なんで荷物何も持ってないの?」
と振り返り確認するとそこには誰もいなかった。
突然怖くなり急いで外に出てみんながいる所まで走って行った。
そして、さっきあった出来事をしどろもどろながらみんなに伝えると
「行ってみよう。押入れになにかあるかもしれない」
と一人の先輩がいいみんなで確認しに行くことになった。私は怖くて友達の腕をギュッと掴んでいた。
そしてみんなであの押し入れを恐る恐る開けた
「え……」
困惑の声が静かな部屋で響くように聞こえた。
そこには、お雛様が今まで時間がたっていない と思わされるような綺麗さと ほんとに生きているのでは、と疑うほど美しい目をしていた。お雛様から目を離せなくなっていたら
「きゃぁぁぁ!」
と声を上げ座り込む子がいた。その声のおかげで戻ってこれたのか次々と後ずさりや腰を抜かす人が出てきた。

話を聞いてみると、ひな壇の飾る道具をとる時にこの押入れを開け、ものを取り出したのだがこんなに美しくホコリひとつもかぶっていない人形はどこにもなかったとの事だった。
今考えてみると、なぜあの時 “戻ってこれた”と思ったのか、ホコリがひとつもなく汚れていないのに何も不思議に思わなかったのか、色々不思議なことがおおい
そして何より、もしもあの時に誰か…なにかに声をかけられずに押し入れを開けていたら私は今頃どうなっていたのだろうか
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強靭で純粋なる殺意の塊

ツヨシ
ホラー
車から降りて来た男は、まさに殺意の塊だった。

オニが出るよ

つぐみもり
ホラー
僕は喘息の治療のため、夏休み中は田舎の祖父母の家に泊まることになっていた。 山道で出会った、狐面をした虹色の髪の少年が警告する。 「帰れ、お前のような奴が来る所じゃない」 遠くで、甲高い悲鳴のような鳴き声が響いた。

クリア─或る日、或る人─

駄犬
ホラー
全ての事象に愛と後悔と僅かばかりの祝福を。 ▼Twitterとなります。更新情報など諸々呟いております。 https://twitter.com/@pZhmAcmachODbbO

言った。

梶崎 みのる
ホラー
幸せなどない私の日常。

怪談実話 その4

紫苑
ホラー
今回は割とほのぼの系の怪談です(笑)

怖い話ショートショート詰め合わせ

夜摘
ホラー
他サイトで書いた話の再掲や、新作ショートショートを載せて行きます。 全て一話完結です。怪談・オカルト有り、人怖有りです。 短い時間でお手軽に読めるシンプルな怖い話を目指しています。 少しでもヒヤッとして貰えたら嬉しいです。 ※ものによっては胸糞注意です。 ※同じ作品をノベルアップ+さんでも短編として掲載しています。 ※作品情報の画像は夜摘が撮った写真を写真加工ドットコム様で加工したものです。

私が体験した怖い話

青海
ホラー
 生きていると色々不思議なことに出会ったりします。  ありえない事に遭遇すると、もしかしたらいるのかもしれないと思ってしまいます。    今生きているときに感じる喜びや悲しみ、憎しみや怒り…。  死んだ瞬間に色々な感情が一瞬で何も消えて無くなるのでしょうか…。  何十年も抱えた恨みも消えるのでしょうか?  ほんとうに?

浦町ニュータウン~血塗られた怪異~

如月 幽吏
ホラー
浦町ニュータウンで起きる怪異。 それはその土地に関係しているという――― 《第一部》 美湖の様子がおかしい。 そして、両親は美湖を心配するが、それは、美湖ではなく、佳代子だった。 明かされる佳代子と霧島の過去ーー 《第二部》 美湖の死後今度は友人の汐梨がーーー。 更新中!!

処理中です...