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第十八話

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「避けて!!」

俺は押し込んだ盾を引き、全力で横へと飛びのく。
直後、俺の居た場所に頭ぐらいの大きさの岩が走りぬけ、先ほどまで抑えていた大きなトカゲ・・・いや、もはや小さな恐竜のような魔物に打ち込まれた。
意識が俺に向いていた魔物は、不意に前方から現れた岩を避けることができず、顔面にクリーンヒットしたが、少し後ろにのけぞってフラフラしただけで大したダメージは与えられていないようだ。

「退くわよ!!」

その隙に俺達は後方へと全速力で走り出した。
一時置いて、眩暈から立ち直った魔物が恐ろしい速度で追いかけてくる。俺とケイラは魔力武装によって速度が向上しているにも関わらず、振り切ることができない。じわりじわりと差を詰められ始めたその時、目の前から別の魔物が現れた。

「グアァァァァ!!!」

鼓膜が破れるかと思うほど大きな雄たけびを上げた魔物は、一直線に俺達へと走ってきた。見た目はもはや動物のようなものではなく、図鑑で見たティラノサウルスのようだった。
お互いが全速力で向かい合って走っていた為に一瞬で詰められる距離。その距離がゼロになる瞬間、俺は魔力武装を全開にして横を走っていたケイラにタックルし、そのまま抱え込んで横へと飛びのいた。

「ギャァァァ!!!」「グアァァァ!!!」

振り返ると、俺達を追いかけてきていた小さな恐竜とティラノサウルスが殺し合いを演じていた。どこの白亜紀だこれ。

「いまのうちに逃げよう。」

その提案にケイラは黙って頷き、静かにその場を後にした。

周りに気を配りながら道なき道を進む。無我夢中で逃げてしまったため、戻る道が分からない。とりあえずは川を探すことにして慎重に進んだ。
しばらくすると水の流れる音が聞こえてきた。結構な水流の音だ。大きな川が近くにあるらしい。ケイラが早く確認しようと注意が疎かになったその時、横の茂みから五匹の魔物が飛び出していた。
見た目がダチョウのような鳥の姿をした爬虫類の魔物・・・ほんとここは恐竜王国か・・・。

「クェェェェ!!!!」

「くそ!またかよ!」

悪態をつきながら俺が前へ進み出て、飛び出してきた一体を盾で受け止める。ドシンッ!とした重量感のある突撃に耐えながら、横をすり抜けようとした四匹目掛けて石弾を放った。内、二匹は頭にヒットし、一匹は胴体に。もう一匹は外してしまった。

「くそ!早い!」

頭に当たった二匹は足を止め、俺目掛けて突進をしてくる。右手に持っていた槍で振り払い、牽制するが、魔物はピョンと身軽に後ろに飛びのき、それを避けた。
あとの二匹はそのままケイラ目掛けて突進したが、ケイラは小さな石を散弾銃のように発射し、その二匹の足を止めた。だがいずれの攻撃も相手にダメージを与えるほどではなく、単に距離をとって仕切りなおしになるだけの結果になってしまった。

「どうする?」

「どうするったって・・・これは流石にキツイわね。」

「威力の高い魔法で薙ぎ払えないのか?」

「出来なくはないけど、発動まで時間がかかるわ。それまで一人で耐えられる?」

無理だ。二、三匹ならともかく、こんな素早いのが五匹ともなると、とても一人で受け持てない。全部が俺だけを狙うなら耐え切れるだろうが、向うもそうそうコチラの思惑通りには動いてくれないだろう。
考えてる間にもジリジリと魔物達は距離を詰めてきた。俺たちもジリジリと後ろへ下がる。が、後が無い。後ろは切り立った崖になっていた。その下は少し大きな流れの速い川・・・。
俺とケイラは互いに目を合わせて見詰め合った。

「・・・泳げるか?」

「・・・天才魔法使いにできないことなど無いわ。」

お互いに意思を確認したその時、一斉に魔物が飛び掛ってきた。

「飛べ!!!」

「ああもう!!!」

覚悟を決め、俺とケイラは崖の下の川に向かって飛び降りた。二匹ほど魔物が一緒になって落ちてきたが、クエェェェ!と情け無い声を上げながらどうすることもできずにもがいていた。

ドボーーン!!!!!

何とか川へと飛び込んだ俺達は、そのまま勢いのある水流に流され、一気に下流へと押し流されていった。




「死ぬかと思ったわ!」

「ああ、ちょっと笑えなかったな・・・。」

流れていた丸太にしがみつき、流れが穏やかになってきた下流で俺達は岸へと上がった。
一緒に落ちてきた魔物は川まで辿り着くことができず、川辺の岩に無残に打ち付けられて絶命していた。

「ね?わかったでしょう?魔素溜りなんていけるもんじゃないのよ!」

「確かに・・・思った以上だった・・・。」

「あれでまだ入り口付近から少し入っただけよ!もっと奥に行けばアレより凄いのがゴロゴロいるんだから!」

「アレより凄いのって・・・勘弁してほしいな。」

「とにかく、今のままじゃ無理よ!流石の私でもあれだけ動き回られちゃどうしようもないわ。」

「ああ。魔力を練る暇が無いってのが良く分かったよ。」

「とにかく、しばらく魔素溜りの事は忘れましょう・・・。」

「うーむ、しかし・・・・。まあ、とりあえず服を乾かそう。」



そう。俺達は街の南にある魔素溜りへと挑んだのだ。無理だというケイラを説得し、先っちょダケだから!と頼み込んで様子を見に来たのだ。
結果はご覧のとおり。入り口付近で既に先に進めなくなってしまった。逃げ出せたのが奇跡みたいなものだろう。
俺達は川辺で火を起こし、干し肉をかじりながら下着姿になって服を乾かし始めた。

「しかし、あれほどとは・・・。」

「街や村周辺の魔物ばかり相手にしてたから舐めてたんじゃない?」

「ああ。正直そうだな。まさか恐竜がわんさか出てくるとは思わなかった・・・。」

「キョウリュウ?」

「俺たちの世界では数千年前に滅んだと言われている、ああいう魔物みたいなものさ。」

「へぇ~。ナオヒロの世界にも魔物はいるのね。」

「いると言うか・・・『いた』だな。実際に見たことは無い。」

「どうして居なくなったの?」

「さぁ・・・空から星が落ちてきたとか、色んな説があるが、定かじゃない。」

「星が落ちてくるですって?!」

「いやわからんよ。昔の事すぎて記録も無いんだ。」

恐竜か・・・。そういや昔、なぜ恐竜は大きいのかという話を聞いたことがあるな。これも諸説あるが、昔の地球は酸素が濃かったから大型でも生存が可能だったらしい。そうなると弱肉強食の世界では必然として恐竜は大型化していったのだとか。大きさは強さだからな。もちろん一概には言えないが、小さいよりは生存率も上がるだろう。周りが大型化すれば餌にも困らないしな。
この辺りも魔素が濃いから大型化しているのだろうか?

「で、どうする?とりあえずギルドにでもいってみる?」

「ん?ああ、そうだな。ギルドに向かうか・・・。」

「日銭を稼がなきゃね。」

「それもあるんだが・・・。」

俺は前々から考えていたことをケイラに伝えた。




「仲間を募る?なんでそんなことするの?」

「恐らくだが、俺とケイラは入り口レベルであれば強さ的には問題なさそうだ。だが、どうにも決め手に欠けるという事もわかった。」

「決め手って?」

「俺は相手を止める・・・つまりは盾役。ケイラは魔法使い、つまり砲台だ。この辺の魔物であれば全く問題はないんだが、あの森のように動きが早かったり、多数の群れで現れると、どうしても対応できなくなる。」

「まあ、実際そうだったわね・・・。でも誰でもいいってわけでもないでしょう?」

そう人数さえ揃えば良いというものでもない。ある程度の実力は当然必要だ。実力の無い駆け出し冒険者など育ててる暇もない。かといって高ランク冒険者を雇うような金も俺にはない。
理想的にはアタッカーが一人、中衛のような存在が二人。もしくはその逆ぐらいの面子が居ればいいんだが・・・。

「そもそも仲間ってどこで見つければいいんだ?」

「私に聞かれても知らないわよ。ギルドで相談してみればいいんじゃないかしら?」

「やっぱりそれが無難か。」

そもそも、魔素溜りの最奥へ行こうという者は殆どいないだろう。リターンはでかいがリスクも大きすぎる。だがチャレンジした者がいるのは事実なので、できればそういった人達に協力してもらいたいのだが・・・。

「やはりベテランがいいのかな。」

「難しいところね。実力的には無難なんでしょうけど、ある程度やってきた冒険者なんて簡単にコチラの言うことを聞いてくれるかもわからないわ。私たちは所詮新人冒険者なんだし。」

「だよなぁ。かといって、どこかのグループに入れてもらうのもなぁ・・・。」

「嫌よ。何させられるか分かったものじゃないわ。そもそも、他のグループに入って「魔素溜りに行きましょう」って言って行って貰えると思う?」

とまあ、こんな感じである。
やりたい事はあるのだが、どうすればいいのか分からない。経験の無い弱みがそのまま現れていた。



服を乾かした俺達はそのまま町へと戻り、ギルドへと向かった。
昼過ぎということもあって、ギルドにいる人影もまばらだ。俺は仲間を募る方法を聞くとカウンターに向かい、ケイラは掲示板を見てくると言って行ってしまった。

カウンターも職員が三人座っているが、埋まってるのは一人だけだった。ピカピカの鎧を着た若い三人組がスキンヘッドの怖そうな職員に話しかけている。
俺は最初に冒険者登録をしてもらった若い女が受付しているカウンターに向かった。

「あら。今日はどうされました?」

「ああ、ちょっと聞きたいことがあってね。相談にのてもらっていいかな?」

「ええ。構いませんよ。どんな相談でしょう?」

「実は・・・」



   ■■■   ■■■   ■■■



「またなんとも・・・何をやってるんだキミたちは。」

「いや・・・面目ない。まさか団体戦がこんなに大変だとは・・・。」

「キミ達は個々の能力は高いんだけどね。どうにも相手に合わせるということができないらしい。」

「ほんとスミマセン・・・。」

額に手を当て、目を瞑りながら顔を横に振るソラン。ほんと勘弁してください。これ以上落ち込ませないでください。

「で、何か解決策ってあるのかな?」

「解決策ねぇ・・・。リーダーはエージなんだから、エージが指示をすればいいんだろうけど。」

「いやぁ、俺もどうしていいのか全く分からないんだよ。」

「そうだろうねぇ。経験不足がここにきて響いてきたね。」

「経験か・・・やっぱり数をこなすしかないのかな。」

「うーん。そうだね。このまま行くならそれしかないだろうね。」

「このままって?」

「もっと手っ取り早い方法は、ベテランを加入させることだね。」

「誰か他の人を入れるってことか?」

「入れるというか・・・組むでもいい。そうやって教えてもらうのもアリだろうね。」

「教えを請うか・・・いや俺はいいけど・・・」

「そうだね。カイルは素直に言うことを聞くようなタマじゃないしね。」

ケラケラ笑いながらソランが言った。いや笑い事じゃねーよ。

「そもそも、カイルも騎士団でやってたなら、もう少し連携できても良さそうなものだがなぁ。」

「騎士団でアタッカーしてたっていうし、周りが押さえてる間に好き勝手やってたんじゃない?」

「ああ、ありえるな・・・。」

「ま、強さは本物だよ。アタッカーとしてはだけどね。」

「そういや聞きたかったんだけどさ、ソランって冒険者だったんだろ?」

「そうだよ。これでも強かったんだよ。」

「という割にはBランクなんだな?」

「ああ、それね。だってAに上がっちゃうと色々面倒なことが多くなるからね。」

「面倒って?」

「指名依頼のことは聞いたろ?あれが断れなくなるんだ。」

「ああ、そういやそんなこと言ってたな。」

「ギルドからはAランクになれって言われ続けてたけどね。自由にウロウロしたかったから断ってたんだ。BランクでもAランクの依頼が受けられるから、別に困ることもないしね。」

「でもAランクだとメリットも多いんんだろ?宿が安くなったりとか。」

「まあね。でもパーティーを組んでるような連中には人数が多い分恩恵も大きいだろうけど、ボクのようにソロで活動していると、そんな恩恵よりデメリットのほうが大きくなるよ。」

「なるほど。そういうことか・・・。」

「ま、エージも早くBランクぐらいにはならないとね。身体的には問題ないんだから。」

「身体的には・・・ねぇ・・・・。」

「そう。足りないのは経験。だから・・・。」

「だから?」

「殺しあおうか。」

「やっぱりかよ!」

ニッコリ微笑みながら切りかかってくるちょっとアレなソラン相手に、今夜は五十三回の死亡で済んだ。



「どうでしたか?」

朝起きて朝食を取りに食堂へ向かうと、既にクリスが朝食をとっていた。カイルは物凄い寝相でまだ寝ている。

「ああ。連絡はとれたよ。」

「まあ良かった。で、その御方は何と?」

「『経験不足は数をこなすか、補うしかない』だそうだ。」

「補うとは?」

「簡単に言うと誰か仲間に入れるか、指導を仰げってことだな。」

「仲間を・・・。指導を仰ぐにも、冒険者の指南をしてくれるような方はいらっしゃるのでしょうか?」

「さぁ・・・全く分からない。仲間を募るにしても誰でもいいってわけでもないしなぁ。そもそも、今の俺達にこのタイミングで部外者を入れるのはハードルが高すぎる。」

「新人では意味が無いですし、ベテランだと逆に主導権が握れなくなりそうですしね。」

「主導権なんて渡してもいいんだが、そいつがマトモに手綱を握ってくれるとは限らないだろうしな。」

「確かに・・・海千山千の冒険者ですからね。逆に利用されかねませんわ。」

「はぁ~・・・どうしたもんか。」

「ふあぁぁぁ。二人とも早いな。おはよう。」

豪快な寝癖をそのままにした頭でカイルがやってきた。
こいつはやる事なす事全てが豪快だな・・・。

「ああ、おはよう。ぐっすり寝れた様で何よりだ。」

「ああ。思いの他よく寝れたよ。疲れてたんだろうな。」

「無理もないでしょう。昨日は散々でしたから・・・。」

「で、アニキ、どうだったんだ?」

俺は先ほどクリスと話をした内容をカイルに話した。

「ふーん。指導を仰ぐか・・・。結局、それって指導できる人を仲間にするって事だよね?」

「結果的にはそうなるな。でも、そんな都合の良い人が居るか?わざわざ俺らの面倒を見ようなんて人が。」

「ま、焦らなくてもいいんじゃない?誰でも最初は初心者なんだし。俺達はむしろ強さ的なアドバンテージがあるじゃん。」

「そうもいかない。確かに誰でも初心者だ。だが、俺達は普通の初心者とは少し違う。」

「違うとは?」

「普通の初心者だったら、こんな高い宿に泊まらずに、もっとボロい安宿に泊まるだろう。もちろん危険もその分ある。だが、そんな環境で過ごせるか?二人は貴族だし、俺だって元々は治安の良い所に居たんだ。寝てる間も誰かが忍び込んでくるようなところで過ごせるとは思えない。」

「ま、まあ・・・確かに。」

「魔物より怖いのは人だ。悪意があって知恵もある。人が居ない野宿より、下手な安宿に泊まるほうが俺は怖いからな。」

「そうだな・・・稼がなきゃ、ここも出て行くしかないもんな。今はアニキに甘えてるけど、いつまでもそういうわけにもいかないもんな・・・。」

「今のままでいけば一ヶ月もすればこの宿を出て行かなきゃいけなくなる。装備も揃えたし、決して懐が暖かいわけじゃない。どんどん稼げるようにならないと、この先みじめな思いをすることになるぞ。」

「そうですわね。できるだけ早くお役に立たなければ・・・このままだとエージのお荷物のままですわ。」

「お荷物とは思ってないが、現実は厳しいってことだな。」

そのまま黙り込む三人。
ザウバに格好つけて二人を守るといったくせに、早々に躓いてしまった。情けない。
だが、このまま躓いて蹲ってるわけにもいかない。せっかく集まった仲間だ。次の一歩を踏み出さなければいつまでたってもジリ貧のままだ。

「いっそ、ダメ元で仲間を募るか。」

「仲間・・・ですか。」

「ああ、最初は仲間と言わず、組むだけでもいい。そうそう都合よく相手が見つかるかわからんが、ダメならダメで別れればいいんだ。何もしないでいるよりはマシだろう。」

「そうですわね。相手が見つかるまでは三人で数をこなして連携を高めましょう。」

「でも、仲間ってどこで捕まえるんだ?そのへんに転がってるわけじゃないだろう?」

「分からん。だが、冒険者の事で分からなければ、相談する先は決まってるだろう。」

「ギルド・・・ですね。」

「ああ。午前中は少し街の外で魔物を狩って、昼からギルドに行こう。朝一だと人が多いから相談に乗ってもらえないかもしれないしな。」

「そうだな。わかった。良い方向に進むといいな!」

今日の大体の方針が決まった俺達は、そのまま街の外へと繰り出し、またギャーギャーワーワー言いながら魔物を狩って、ギルドへと向かった。



ギルドに入ると、思ったとおり人の数はまばらだった。皆依頼をこなしに出て行ってるんだろう。
カウンターに目をやると、相変わらずのオーラを放ちながらクルージさんが座っていた。あの人見た目が怖いからか、あまり冒険者があの人のところへ並んでるの見ないんだよなぁ。できれば俺も隣の可愛らしい女性の担当がよかったなぁ。
そんなことを考えていると、クルージさんとバッチリ目があってしまった。微笑みながら手招きするクルージさん。いや、その顔で微笑まれても怖いですから。
逃げるわけにもいかず、そのままクルージさんの受付へと向かう。

「こんにちは。本日はどうされましたか?」

「どうも。ちょっと相談事がありまして。こういうのってギルドで聞いてもらえるものなんですかね?」

「内容にもよりますが、冒険者に関することであればお受けしますよ。私も昔は冒険者でしたから、それなりに詳しいつもりです。」

「え?!そうなんですか?ちなみにランク的には・・・」

「Aですよ。この国の住民権を得るにはAランクが必須ですからね。住民権を獲得後、引退してこうしてギルドに雇ってもらったんです。」

「へぇ~。住民権を得るのはランクAが必要なんですか。」

「ええ。それを目指してランクを上げる冒険者の方々も多いですよ。それで、どのようなご相談でしょう?」

「ああ、そうでした。実は・・・・」




   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


「「仲間を募集したいんだけど・・・」」



互いに横から聞こえてきた言葉に振り返る二人の男。

これがあの日以来、二度目の視線が交錯した瞬間だった。
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