夜 行 街

セレブの仲間入り？

2

　
もう、此処からは猛烈ダッシュ。約束した時間まであと僅かしかないから尚更。

グッバイイケメン兄ちゃん！

伝えられていた昇降口から入り金ピカエレベーターを即座に見つけてボタンを押す。

つか、靴はそのままでいいのか？
かなり気になるが、そのままにエレベーターへ乗り込む。
確か理事長室は５階だったな。
エレベーターが着いたことを音で知らせたかと思えば、まだ３階だった。
徐々に開くドアから垣間見えるのは。

「麗」

呼べば視線をこちらに向けて無言で入って来る。
反応薄いね、お前。

桂木 麗
ｶﾂﾗｷﾞﾚｲ

俺の従兄弟。いや、義従兄弟と言うべきか。
長い金髪の髪は腰まであるロングストレート。目に眩しい。

「今からか」
「あぁ、麗は？」
「俺は……」

スローテンポな麗は朝が弱く、頭が働かない。それを俺に教えてくれたのは。

「藍！」

到着したエレベーターから麗と一緒に降りると、笑顔で俺を呼び駆け寄って来るのはもう一人の従兄弟、桂木 学(ｶﾂﾗｷﾞｶﾞｸ)。

麗が朝弱く、低血圧だと言って教えてくれた本人。
瞳は明るい茶に、色白で儚い感じの麗とは反対に学は褐色の肌にエキゾチックな黒い瞳。日本人特有の黒とは違い、混じり気がない。

麗と学は兄弟。兄が麗で弟が学。
眼福な兄弟だ。

「一緒だったの？」
「いや、エレベーターでな」
「ふーん、って麗？」

なんだよ、そのふーんは。
麗を見れば立ったまま寝入りそう。オイオイ、もう１０時デスよ。

「なぁ、麗や学も呼ばれてんの？」
「いや、俺達は生徒会」

生徒会、別世界。

「ほら、行くよ麗」
「………」
「レーイ。ほら、早く行かねぇと」
「ん」

俺はピクリともしない麗の片手を掴んで握り、歩き出す。すると学は、もう片方を掴み歩き出した。

「理事長室はもう少し歩くとあるよ」
「うぃ」

こうゆう雰囲気も悪くない。今までいた学校はこんな事まずなかったし。

発見発掘、理事長室！

「藍、なにガッツポーズしてんの」
「へ？！」

キャラ壊れてるよ。

「じゃ、またね藍」
「おぉ！麗もまたなァ」
「……」

うん。頑張れ麗！

同じ階にあるらしい生徒会室まで手を繋いで歩く二人は、なんだか微笑ましい。
仲が良いのは貴重だ。






20160216.