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エメラルド TSUTSUJI
しおりを挟む夢で必ず視ることがある。先祖代々から幸村の家系図を遡って見ている自分とおばあちゃん。難しい漢字のところを指差して話し始めるんだ。いつもそう。
「都築。ご先祖様には不思議な力を持って生まれてきた人がいるんだよ」
覚え聞かせるように何度も繰り返し話してくれた。応接間にしてはやけに寒々しくて、それでいて豪華な部屋で。
まだ幼い頃、両親が亡くなって父方の家に預けられ、一緒に暮らすことを凄く喜んでくれたおばあちゃん。
「この家は代々、近親婚を続けて血が狂ってしまった。都築。お前や、お前の兄弟は男で生まれた。漸く悪夢から、呪われた血から解放される」
淡い灰色の髪に白い髪が混じり、レンズが少し大きめの眼鏡をした目が大きめのおばあちゃん。顔は可愛くて歳の割に皺も少なく、若く見える。ずっと着物を着ているおばあちゃんの表情は、ここにはいない誰かを思い出してるのか涙が零れていく。凄く綺麗だ。
「都築」
忘れないで。
覚えてるよ。だから血縁のいないここに来たんだ。忌まわしいと言われることを終わらせるために。
距離を置くことが第一歩。
20160215.
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