ようこそ精神障害へ

まる1

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利用者さんのお話

あらー!大変だわw

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日常業務に慣れてきた頃。
主に身体面での障害が大きい女性利用者さん、知花さんと話すことが増えた時期だった。

一対一ではなくて、他の利用者さんも混ざって会話をしたり、トランプをしたりしていた。
みんな大分平穏でいい感じに雰囲気が出来てたと、その時は思っていた

夕食の時、軽度の発達障害、知的障害がある滝さんが夕食を放り投げ、突然泣き出したのであった。
食堂から逃げるように自室に戻った滝さんだが、サビ管が様子を見にいった。

内容はこうであった。
「K事務長がいつも知花ちゃんとばかり話していて、私の事は好きじゃないから耐えられなかった」
「K事務長にもっと好かれたいのに、どうしていいか分からない」と泣いていた。

これは困ったぞ!好かれるのは嬉しい事だが、こんな事になるとは思わなんだ笑。

施設長の入江とサビ管に相談し、しばらく私はスタッフルームで作業することになった。
一度遠ざけて諦めてもらおうオペレーションが発動した。

しかし、しかし!滝さんの情熱的なアプローチは終わらなかった、むしろ始まったのである。
退勤して車に乗ろうとすると玄関で待ち伏せされたり、出勤の時も出待ちされたりといろいろあった。
滝さんに話した。
「滝さんがやきもち焼いて不穏になると周りが怖がっちゃうから、今は滝さんと離れてる。」
「滝さんがやきもち焼かずに前の通りにしてくれれば戻れるから頑張ろう?」と。
その後滝さんがやきもち焼いてしまうと周りが不穏になること、イライラしても物を投げたりしないで。
等とどうすれば前の状態になれるか話をしていた。

な、なんと今度はそれを見ていた知花さんがやきもちを焼き始めた!!
※モテる男はつらいぜ、なーんてね
今度は知花さんが滝さんのようになってしまった。知花さんは滝さんを無視するなど感情的に何かをするというよりは、無視するなどそっち系の行動でやきもちを焼いていた。

結局最後には、お互いが滝さんに、知花さんに嫌われていて悲しい、と訴えてまできた。もう本末転倒ですわ笑
施設長、サビ管が入り、恋愛感情を持つのは自由だけどスタッフはそういう事に対して本気になったり、個別対応は今後一切しません、二人がやきもち焼いても周りに迷惑をかけないように、と約束し、一旦この件は終わったのだった。
文字に起こすと、なんてことない痴話げんかかと思われるかもしれないが、知的障害をもつ人に理解してもらうのはとっても難しいのです...
知的障害全般とは言わないが、理解より感情が優先されてしまって本人が分かっててもどうしようもないジレンマがあるのだ。自分だけかもしれないが、理解を求めようと必死に伝えてもその30分後にはもう別の感情で走り出してしまう、知的障害の方の支援は私はとても苦手だなと、今改めて思う。

今回は痴情のもつれ?みたいなお話だったが今だからこそ笑えるが、自分が悪くないのに自分がやり玉にあがるのはなんとも大変であった。
皆さんの周りに軽度の知的障害を持っていて性格が頑固だなーと思う人がいるかもしれないが、その人も自分自身に苦しんでいるので、どうか優しく接してあげてほしい。

というお話でした。

終わり。

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