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【風】
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【風】
ライターの仕事をしている私は、今週末出
版社へ送る為の原稿をあらかた書き終える
と、一息つくついでに昼食と夕食の材料を買
いに近くのデパートまで出かける事にした。
七月も半ばに差し掛かり、空はカラッと晴
れ渡っていたが、つい先日まで梅雨が引きず
っていた事もあってか、どこかじめじめとし
た空気がまとわりつくような感じがした。
下に鉄道の走る陸橋の上を歩いていた時、
ふと一陣の風が吹いた。
この橋の上は、アーチ状にかけられた構造
によるものなのか、時折このような突風が吹
く。
突然の強風に乱れた髪を直しながら、私は
風の去った方へ目を向けた。
湿っぽい今日の空気にしてはやけに冷た
く、乾いた風だったように感じた。
そこで私は、以前とある人物から聞いた、
「風」にまつわるある話を思い出した。
私は専門という訳ではないが、贔屓にして
くれている雑誌の内容もあって、やれどこそ
この松は切ったら祟りに遭うやら、あのトン
ネルには逆さ吊りの女の幽霊が出るだのと胡
散臭いーーつまりオカルト的な記事を書く事
が多いのだが、そのような記事ばかり書いて
いると時折、こんな質問を受ける事がある。
ーー小暮さんは、"お化け"が見えるのです
か?
それは編集者だったり、取材に協力してく
れた方だったりと様々な人物から尋ねられる
のだが、勿論私にはそういった能力は皆無で
あるし、大抵の場合質問をする相手もそんな
ことは承知で、軽い気持ちで聞いてきてい
た。
ただ、過去に一度だけ、恐らく本気で助け
を求めていた女性がいた。
名前は平坂唯という。
都内でイラストレーターをしている彼女
は、かつて私が記事を書いていたとある怪談
特集の記事を読んだことがきっかけで私のこ
とを知ったと言い、自分の聞いた話と似た話
を知らないか、と私のもとを訪ねてきた。
自身が雑誌の中でも正直そこまで目立つよ
うな記事を書いているという認識はなかった
し、読者がわざわざ訪ねてくることも今まで
なかったので、私は少々戸惑ったのだが電話
越しの平坂さんの声に何かしら感じるものが
あり、また、彼女の体験したという話にも多
少なりとも興味があったので実際に会ってみ
ることにした。
そしてこれから記すのは、そこで聞いた彼
女の体験談を文章に仕立てたものである。
*
平坂さんかつての友人に一人、奇妙な癖を
持っていた人がいた。
その友人の名前を仮に木村涼子さんとする
が、彼女は強い風が吹く時、その直前必ず強
く目を瞑るのだという。
平坂さんは木村さんとは幼馴染みであり、
ある時その事について尋ねてみたのだとい
う。
「ねぇ、リョーコちゃん、前からずっと気に
なってたんだけどさ」
それは平坂さん達がまだ中学生だった頃。
夏も終わりかけた日の夕方の事だったとい
う。
「ん、なに?」
「リョーコちゃんってさ、風が吹く時に絶対
目ぇ瞑るよね、それって癖なの?」
夕暮れに染まる田んぼの畦道を、二人並ん
で歩いていく。
「ん~、それかぁ。別に癖って訳じゃないん
だけど……」
唐突に平坂さんの隣で木村さんが立ち止ま
った。
「リョーコちゃん?」
不審に思った平坂さんの呼びかけにも応じ
ず、木村さんはその場で硬直している。
平坂さんはこの状況に、あっと思った。
そして、そう思ったとほぼ同時に、二人の
正面からぶつかるように強い風が吹いて来
た。
「きゃッ⁉︎」
思いの外強かった風に平坂さんは小さく悲
鳴をあげた。
「……今のはなかなか凄かったね」
そう言って、何事もなかったかのように胸
の辺りまで伸ばした長い黒髪を撫で付けてい
る木村さんに、平坂さんはやや興奮して、
「やっぱり!風が見えてるみたいだね」と叫
んだ。
「……まぁ、当たらずとも遠からずって所か
な」
木村さんは苦笑いしつつも、すたすたと先
を歩いていく。
「ねぇ、それって本当?」
先を行く彼女のを追い越して、平坂さんは
木村さんの前に回り込んだ。
「それって凄くない⁉︎ねぇねぇ、どうやって
見るの?」
当時オカルトに傾倒していた平坂さんは、
その事について、どうしても聞いてみたくな
ってたまらなかったのだと言う。
「別に、どうやってって言われても、昔から
見えてたからってだけだし……」
「じゃあ、どんな感じで見えてるのかだけで
も教えて!こう、ブワーって感じで来るの?
それともバーッて感じ?」
「ユイったらもう……」
身振り手振りで表現する平坂さんに、木村
さんは呆れたようなそぶりをみせるが、平坂
さんのはしゃぎように満更でもない様子で、
「ちょっと待ってて」と言うと、徐に鞄を下
ろしその中から『数学』とマジックで表紙に
記されたノート、そして筆箱を取り出した。
「どうしたの急に?」
「ん、言葉で説明するの苦手だし、さっきの
風の奴を描いてあげるよ。そうすれば一発で
しょ?」
木村さんは、裏側を上にして鞄を膝に抱え
ると、それを机がわりにして開いたノートに
すらすらとイラストを描いてゆく。
木村さんの絵心については以前から知って
おり、なかなかどうしてどうして器用なもの
だと感心しながら平坂さんはその様子を眺め
ていた。
一体どんな絵を描くのだろう。
期待に胸を膨らませながら木村さんの描き
出してゆくイラストを見ていくが、完成が
近づいていくうちに、どうも平坂さんの思っ
ていたものとは違っている事に気がついた。
「ねぇ、なにそれ?」
「ん~?なにって、さっきの奴だけど?……
まぁ、こんなもんかな。ほい、できた」
パッパッとノートの表面を払うような仕草
をすると、木村さんは平坂さんの顔の前にノ
ートを突き出した。
数学の公式や練習問題が書かれたノートの
余白には、一見するとムカデにも見えるそ
の"何か"は、身体の節々が人間の胴体ででき
ており、そこから伸びる腕が無数に生え、脚
のようなものを成していた。
さらにムカデらしきその"何か"の顔は、女
性とも男性とも取れる人間の顔が逆さまに付
いており、その口元から黒い煙のようなもの
が漏れ出ていた。
簡単なイラストではあったが、平坂さんは
そのイラストを見て猛烈な嫌悪感を抱いたと
言う。
「な、なにこれ……」
きっと自分をからかっているのだ、平坂さ
んは引きつった顔でぎこちなく笑う。
しかし木村さんは、きょとんとした顔でノ
ートに描かれたイラストを確認する。
「え?何ってさっきの奴だけど……?結構う
まく描けたと思うんだけどなぁ」
「何言ってんの、そんなのいるわけないじゃ
ん!意味わかんない冗談言うのやめてくんな
い⁉︎」
平坂さんはほぼ反射的にそう言っていた。
「……そっか」
木村さんは少し間を置くと、その表情を曇
らせる。
平坂さんは、しまった、とすぐに後悔し
た。
「やっぱりユイも信じてくれないんだね……
私には本当に見えてるのに」
木村さんは悲しそうに呟くと、ノートを鞄
にしまい呼びかける平坂さんの声を無視し
て、自宅へ帰って行ってしまった。
きっと泣いていたのだろう。
木村さんへの同情と、あの妙なイラストを
見た時に感じた異様な嫌悪感を同時に思い出
し、平坂さんは一人で先に行ってしまう木村
さんの背中を見送るしか出来なかった。
*
それから、関係がどこかぎこちなくなって
しまった二人は、結局中学を卒業するまでほ
とんど話すこともなく、別々の高校へ進学し
てからは一度も会うこともなかったと言う。
車の行き交う雑音が絶え間なく聞こえる街
中のとあるカフェで、平坂さんが私に語って
聞かせてくれたお話は以上のような内容だっ
た。
「小暮さんなら、似た話を何かご存知ですよ
ね?」
平坂さんは何かを求めるような口ぶりでそ
う言った。
確かに私はありふれた幽霊話ではつまらな
いと、専ら得体の知れないような何かが登場
する話を収集して来てはいたのだが、正直言
って平坂さんの語ってくれたような話は今ま
で一度も聞いた事がなかった。
私がそのことを伝えると、平坂さんは「そ
うですよね」と呟いて肩を落としてしまっ
た。
とはいえ個人的に興味深い話だったので、
私は他にも何かないかと尋ねようとしたのだ
が、「この話なら雑誌に載せて頂いても構い
ませんから」と平坂さんはそれ以上話すこと
を拒むように席を立ってしまった。
「ずけずけと不躾でした。すいません」
怒らせてしまったと思い、私が立ち去った
坂さんにせめて謝罪だけでもしようとカフェ
の外まで追いかけてそう声をかけると、彼女
は立ち止まり、肩越しに私を睨見つけた。
「……風だけじゃないんですよ」
「え?」
「ありふれた同じものを見ていたつもりでも
自分と他人では全く違うものが見えていたん
ですよ。ーー彼女には……」
平坂さんはそこまで言うと、今度こそ立ち
止まることなく、街の喧騒の中へ溶けていっ
てしまった。
私は未だに、今日のような強い風の吹くと
彼女の話を思い出す。
他人とは全く違うものが見えていたという
木村涼子という少女は、実は平坂さん自身だ
ったのではないだろうか?
それからしばらく経って後、彼女の話を何
度も思い出すにつれ、なんとなくだがそんな
気がして来ている。
だがあんな別れ方をした今となってはもう
確かめようもないだろう。
ただ、最後に私へ向けた彼女の寂しげな瞳
が、数年経った今でも忘れる事ができないで
いる。
2018年7月2日
ライターの仕事をしている私は、今週末出
版社へ送る為の原稿をあらかた書き終える
と、一息つくついでに昼食と夕食の材料を買
いに近くのデパートまで出かける事にした。
七月も半ばに差し掛かり、空はカラッと晴
れ渡っていたが、つい先日まで梅雨が引きず
っていた事もあってか、どこかじめじめとし
た空気がまとわりつくような感じがした。
下に鉄道の走る陸橋の上を歩いていた時、
ふと一陣の風が吹いた。
この橋の上は、アーチ状にかけられた構造
によるものなのか、時折このような突風が吹
く。
突然の強風に乱れた髪を直しながら、私は
風の去った方へ目を向けた。
湿っぽい今日の空気にしてはやけに冷た
く、乾いた風だったように感じた。
そこで私は、以前とある人物から聞いた、
「風」にまつわるある話を思い出した。
私は専門という訳ではないが、贔屓にして
くれている雑誌の内容もあって、やれどこそ
この松は切ったら祟りに遭うやら、あのトン
ネルには逆さ吊りの女の幽霊が出るだのと胡
散臭いーーつまりオカルト的な記事を書く事
が多いのだが、そのような記事ばかり書いて
いると時折、こんな質問を受ける事がある。
ーー小暮さんは、"お化け"が見えるのです
か?
それは編集者だったり、取材に協力してく
れた方だったりと様々な人物から尋ねられる
のだが、勿論私にはそういった能力は皆無で
あるし、大抵の場合質問をする相手もそんな
ことは承知で、軽い気持ちで聞いてきてい
た。
ただ、過去に一度だけ、恐らく本気で助け
を求めていた女性がいた。
名前は平坂唯という。
都内でイラストレーターをしている彼女
は、かつて私が記事を書いていたとある怪談
特集の記事を読んだことがきっかけで私のこ
とを知ったと言い、自分の聞いた話と似た話
を知らないか、と私のもとを訪ねてきた。
自身が雑誌の中でも正直そこまで目立つよ
うな記事を書いているという認識はなかった
し、読者がわざわざ訪ねてくることも今まで
なかったので、私は少々戸惑ったのだが電話
越しの平坂さんの声に何かしら感じるものが
あり、また、彼女の体験したという話にも多
少なりとも興味があったので実際に会ってみ
ることにした。
そしてこれから記すのは、そこで聞いた彼
女の体験談を文章に仕立てたものである。
*
平坂さんかつての友人に一人、奇妙な癖を
持っていた人がいた。
その友人の名前を仮に木村涼子さんとする
が、彼女は強い風が吹く時、その直前必ず強
く目を瞑るのだという。
平坂さんは木村さんとは幼馴染みであり、
ある時その事について尋ねてみたのだとい
う。
「ねぇ、リョーコちゃん、前からずっと気に
なってたんだけどさ」
それは平坂さん達がまだ中学生だった頃。
夏も終わりかけた日の夕方の事だったとい
う。
「ん、なに?」
「リョーコちゃんってさ、風が吹く時に絶対
目ぇ瞑るよね、それって癖なの?」
夕暮れに染まる田んぼの畦道を、二人並ん
で歩いていく。
「ん~、それかぁ。別に癖って訳じゃないん
だけど……」
唐突に平坂さんの隣で木村さんが立ち止ま
った。
「リョーコちゃん?」
不審に思った平坂さんの呼びかけにも応じ
ず、木村さんはその場で硬直している。
平坂さんはこの状況に、あっと思った。
そして、そう思ったとほぼ同時に、二人の
正面からぶつかるように強い風が吹いて来
た。
「きゃッ⁉︎」
思いの外強かった風に平坂さんは小さく悲
鳴をあげた。
「……今のはなかなか凄かったね」
そう言って、何事もなかったかのように胸
の辺りまで伸ばした長い黒髪を撫で付けてい
る木村さんに、平坂さんはやや興奮して、
「やっぱり!風が見えてるみたいだね」と叫
んだ。
「……まぁ、当たらずとも遠からずって所か
な」
木村さんは苦笑いしつつも、すたすたと先
を歩いていく。
「ねぇ、それって本当?」
先を行く彼女のを追い越して、平坂さんは
木村さんの前に回り込んだ。
「それって凄くない⁉︎ねぇねぇ、どうやって
見るの?」
当時オカルトに傾倒していた平坂さんは、
その事について、どうしても聞いてみたくな
ってたまらなかったのだと言う。
「別に、どうやってって言われても、昔から
見えてたからってだけだし……」
「じゃあ、どんな感じで見えてるのかだけで
も教えて!こう、ブワーって感じで来るの?
それともバーッて感じ?」
「ユイったらもう……」
身振り手振りで表現する平坂さんに、木村
さんは呆れたようなそぶりをみせるが、平坂
さんのはしゃぎように満更でもない様子で、
「ちょっと待ってて」と言うと、徐に鞄を下
ろしその中から『数学』とマジックで表紙に
記されたノート、そして筆箱を取り出した。
「どうしたの急に?」
「ん、言葉で説明するの苦手だし、さっきの
風の奴を描いてあげるよ。そうすれば一発で
しょ?」
木村さんは、裏側を上にして鞄を膝に抱え
ると、それを机がわりにして開いたノートに
すらすらとイラストを描いてゆく。
木村さんの絵心については以前から知って
おり、なかなかどうしてどうして器用なもの
だと感心しながら平坂さんはその様子を眺め
ていた。
一体どんな絵を描くのだろう。
期待に胸を膨らませながら木村さんの描き
出してゆくイラストを見ていくが、完成が
近づいていくうちに、どうも平坂さんの思っ
ていたものとは違っている事に気がついた。
「ねぇ、なにそれ?」
「ん~?なにって、さっきの奴だけど?……
まぁ、こんなもんかな。ほい、できた」
パッパッとノートの表面を払うような仕草
をすると、木村さんは平坂さんの顔の前にノ
ートを突き出した。
数学の公式や練習問題が書かれたノートの
余白には、一見するとムカデにも見えるそ
の"何か"は、身体の節々が人間の胴体ででき
ており、そこから伸びる腕が無数に生え、脚
のようなものを成していた。
さらにムカデらしきその"何か"の顔は、女
性とも男性とも取れる人間の顔が逆さまに付
いており、その口元から黒い煙のようなもの
が漏れ出ていた。
簡単なイラストではあったが、平坂さんは
そのイラストを見て猛烈な嫌悪感を抱いたと
言う。
「な、なにこれ……」
きっと自分をからかっているのだ、平坂さ
んは引きつった顔でぎこちなく笑う。
しかし木村さんは、きょとんとした顔でノ
ートに描かれたイラストを確認する。
「え?何ってさっきの奴だけど……?結構う
まく描けたと思うんだけどなぁ」
「何言ってんの、そんなのいるわけないじゃ
ん!意味わかんない冗談言うのやめてくんな
い⁉︎」
平坂さんはほぼ反射的にそう言っていた。
「……そっか」
木村さんは少し間を置くと、その表情を曇
らせる。
平坂さんは、しまった、とすぐに後悔し
た。
「やっぱりユイも信じてくれないんだね……
私には本当に見えてるのに」
木村さんは悲しそうに呟くと、ノートを鞄
にしまい呼びかける平坂さんの声を無視し
て、自宅へ帰って行ってしまった。
きっと泣いていたのだろう。
木村さんへの同情と、あの妙なイラストを
見た時に感じた異様な嫌悪感を同時に思い出
し、平坂さんは一人で先に行ってしまう木村
さんの背中を見送るしか出来なかった。
*
それから、関係がどこかぎこちなくなって
しまった二人は、結局中学を卒業するまでほ
とんど話すこともなく、別々の高校へ進学し
てからは一度も会うこともなかったと言う。
車の行き交う雑音が絶え間なく聞こえる街
中のとあるカフェで、平坂さんが私に語って
聞かせてくれたお話は以上のような内容だっ
た。
「小暮さんなら、似た話を何かご存知ですよ
ね?」
平坂さんは何かを求めるような口ぶりでそ
う言った。
確かに私はありふれた幽霊話ではつまらな
いと、専ら得体の知れないような何かが登場
する話を収集して来てはいたのだが、正直言
って平坂さんの語ってくれたような話は今ま
で一度も聞いた事がなかった。
私がそのことを伝えると、平坂さんは「そ
うですよね」と呟いて肩を落としてしまっ
た。
とはいえ個人的に興味深い話だったので、
私は他にも何かないかと尋ねようとしたのだ
が、「この話なら雑誌に載せて頂いても構い
ませんから」と平坂さんはそれ以上話すこと
を拒むように席を立ってしまった。
「ずけずけと不躾でした。すいません」
怒らせてしまったと思い、私が立ち去った
坂さんにせめて謝罪だけでもしようとカフェ
の外まで追いかけてそう声をかけると、彼女
は立ち止まり、肩越しに私を睨見つけた。
「……風だけじゃないんですよ」
「え?」
「ありふれた同じものを見ていたつもりでも
自分と他人では全く違うものが見えていたん
ですよ。ーー彼女には……」
平坂さんはそこまで言うと、今度こそ立ち
止まることなく、街の喧騒の中へ溶けていっ
てしまった。
私は未だに、今日のような強い風の吹くと
彼女の話を思い出す。
他人とは全く違うものが見えていたという
木村涼子という少女は、実は平坂さん自身だ
ったのではないだろうか?
それからしばらく経って後、彼女の話を何
度も思い出すにつれ、なんとなくだがそんな
気がして来ている。
だがあんな別れ方をした今となってはもう
確かめようもないだろう。
ただ、最後に私へ向けた彼女の寂しげな瞳
が、数年経った今でも忘れる事ができないで
いる。
2018年7月2日
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