107 / 278
第3章 なりきり学生生活は問題だらけ?
第030話 幕間 コレットチーム、方針
しおりを挟む「何だい? 恩返しなんて言っておいて口だけだったのかい?」
「いやいや、私達も本気だったけどね? 実力が伴わないから夢みたいなものだったのよ? タニアさんの冒険者チームはこの町に残るらしいけど話しがついていてビックリしたんだからね!? 一気に現実味を帯びちゃって気持ちが追いついてないのよ!?」
「ああ、そりゃ悪かったね」
「コレット慌てすぎ」
「そうよ、まだランク2になったばかりじゃない。最短でも後3ヶ月は先の話しでしょ? そもそも私達の実力が付かないとランク3には上がれないしねえ?」
「大丈夫だよ。3人共筋は悪くない、真面目に鍛練してるし後足りないのは実戦だね」
「うっ、実戦……、魔物と……か」
スタンピードの時に何も出来なかった上にルルが死にかけて……、アイリスちゃんに助けて貰ったけど苦手意識が出来ちゃったみたい。
「まあこればっかりは慣れるしかないね。で、どんな依頼を受けるつもりなんだい?」
「まだ決めて無いです。タニアさんとも相談したくて……」
「ああ、確かに初めての外の依頼ならアタシもいた方が安全だね。それなら慣れるまでは一緒に出来るようにしようか」
「ああっ! ありがとうございます!」
「やったあコレット! これで安心だね!?」
「ん、良かった」
「ははっ、一応同じチームなんだ。そんな遠慮なんかしないで良いよ。それに3人との実戦での連携も試しておきたかったしね」
翌朝寮を出て皆んなと合流、今日はタニアさんと一緒だ。魔物相手の依頼があれば受ける事になるかも知れないから緊張して余り寝られなかったのよね。寝不足で大丈夫かな。
「ようタニア、今日は嬢ちゃん等の引率か?」
「ランドか。ふっ、この娘等ならランク2に上がったよ。まあまだ一人前とは言えないけど、アタシがお守りをするような関係じゃないんだよ」
「ほう? いやそうかそうか! まあ俺等もランク2に上がったし嬢ちゃん等が上がるのも当然か」
ランドさん達は元ランク3の冒険者で4人チームを組んでいて私達と同じタイミング、スタンピードの件を気に傭兵ギルドに鞍替えした人達だ。ギリ30歳台でまだオジサンじゃないって言ってたけど14歳の私達からすれば十分オジサンだ。
まあ35歳のアイリスちゃんは私達と同年代か下にも見えるけどノーカンで良いでしょアレは。
ランドさん達はサージェスさんって言う魔物の生態調査専門の傭兵チームに師事していて、その人達がいる町とこの町を行き来しながら色々学んでいるそうだ。
そのサージェスさん達はシーラさんから色んな所に出張させられて同じような指導をしているそう。スタンピードの時にも会ったけど今も何か凄く疲れてそうなのよね。……大丈夫かなあの人達。
「そうだ。町の外の依頼を受けるんなら俺等の依頼を手伝わないか? タニアが来てくれりゃ俺等も安心だしな」
「危険な依頼なら無理だよ? この娘等を危険に晒すような事はしたくない」
「いや危険は……、低いと思ってる。冬にゴブリン共のスタンピードが起こっただろ? 彼処の再調査だ。先月にも行ってゴブリンを間引いてるからそこまで増えてるとは思えない、多分安全だ」
「魔物相手に絶対安全なんてある訳ないか。まあそう言う話しなら確かに危険は低そうだ。どうする? アタシは金次第で受けても良いと思うけど」
結局その依頼を受ける事になっちゃった。ゴブリンはスタンピードの件から苦手意識があったのに……、まあだからこそ苦手克服の為にタニアさんも勧めてるんだろうけど。
そうして傭兵ギルドの鍛練場そばに馬車が2台停めてあって、そこにもう1チーム見知った顔が揃っていた。
「あれ? アタシ等だけじゃないのかい?」
「タニアか、お前達も誘われたのか」
「エリックさん達もランドさん達の依頼に同行するんですか?」
エリックさん達は4人パーティで世話焼きのエリックさんが問題児3人を引き取ってまとめあげてるチームだ。アイリスちゃんもエリックさんには一時期色々お世話になっていたらしい。
アイリスちゃんを傭兵ギルドに誘ったのもこの人で、アイリスちゃんに私達の事を頼まれていたらしくて色々と気遣ってくれている良い人だ。
「はあ、何だよつまんねえ依頼だと思ってたら子守りまでさせられるのかよ」
「私は好きにさせて貰うわよ。子守りの依頼なんて受けて無いんだからタダ働きなんてごめんよ」
「……自衛も出来ないのなら依頼を受けるべきではないでしょうけどね」
リズさんとラストさんは姉弟でやんちゃな姉弟と言う感じで、クリスさんは一見大人しめなんだけどどうやらエリックさんに片思いみたいで近づく女の子には冷たいのだ。
でも14歳の私達からすればエリックさんはイケてるおじさんって感じで恋愛対象じゃないのにね。クリスさんも告白しちゃえば良いのに、でもエリックさんの気持ちが分からないのよね。
良い年齢だし相手なら幾らでもいそうなのにそう言った噂を聞かないから男色だの幼女趣味だのと言う噂をたてる人達もいるんだよ? 本人は知ってるのかな?
「アタシが守るから問題ないよ。アンタ等よりアタシの方が強いしね。この娘等だってある程度自衛出来るくらいにはなってるしな」
「……っち、そうかよ!」
ラストさんが悔しそうにタニアさんを睨み付ける、けどタニアさんは気にしていないようだ。私達はタニアさんも含めエリックさんと何度か手合わせをしていた。リズさん達は手加減出来ないので外されてたけど。
エリックさんはランク5、スタンピードの時に助っ人で来ていたランク6のレイクさんを除けばこの町で最高位の傭兵だ。けどタニアさんには惜敗していた。
タニアさんが言うにはエリックさんとの実力は殆ど変わらないそうだけど。
でも町1番の実力者が私達のチームに入ってくれたって事なのよね。そう思うと足手まといになってちゃ駄目だって焦りが出ちゃう。頑張らないと。
「馬車が2台って私達が乗るんじゃなかったのかあ」
馬車はランドさんのチームが御者をして荷物を運ぶようだ。荷物は……ブロック? コの字型をした変わったブロックが2台の馬車に沢山乗っている。魔物の調査に必要なのかな?
「はっ、ランク2風情が何言ってんだ。身の程を知れよな」
「全くよ、馬鹿じゃないの?」
「むっ、そう言う2人もランク4なのに歩きじゃない。ああ、身の程を知ってるから歩いてるのね。流石ですねー?」
「テメー喧嘩売ってんのか!? 買ってやんぞ!」
「そうね、身の程知らずのお馬鹿には教育が必要よね?」
うわぁ……いきなり喧嘩ムードに。て言うかラビィ、格上相手なんだからもうちょっと遠慮してよね! 私もエリックさん以外の3人は苦手……って言うかもうぶっちゃけ嫌いなんだけど。
「そうかい? そんじゃお馬鹿姉弟をアタシが教育してやろうかね」
「「うっ」」
タニアさんがバキバキ拳を鳴らして凄むと流石にやんちゃお馬鹿な2人も目を反らして離れて行った。
「タニアさんすみません」
「いやコレットが謝る事じゃないよ。でもラビィは反省しな。言葉1つで恨まれる事もあるんだからね」
「うっ、……はぁい。すみません」
「ラビィもお馬鹿」
「ちょっ、ルルまで! もうっ! 悪かったわよ! ちょっとムカついて我慢出来なかったのよ」
「タニア、それに他の皆んなもすまんな。ほら、お前達も謝れ」
暫くしたらエリックさんが姉弟を連れて来た。あっちも説教していたみたいだ。けど反省してるようには見えない。
「ちっ、何で俺等が、あのガキが生意気な事抜かしたからだろが」
「そうよ。寧ろそっちが謝るべきでしょ!?」
「相手は成人もしてない子供だぞ? 良い大人が一々突っ掛かるなよ。恥ずかしいとは思わないのか?」
「「ぐっ………………悪かったな」わね」
そんな睨み付けながら言われても怖いんだけど? そしてタニアさんに言われてラビィも渋々謝らされた。ラビィも心臓強いわね。何かやんちゃ姉弟と似たモノを感じるわ。
あっ、3人共舌出しあって挑発してる。もう子供じゃん! って姉弟がエリックさんに頭を叩かれた。ラビィもタニアさんにデコピンされて額を押さえている。
お互い一応もう1度厳しく言っておくけどまた何か絡むようなら教えてくれと言われた。先が思いやられるわ。寧ろもう関わりたくないんだけど?
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる