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四章
52 ションボリする美形獣人
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エディにプイッと顔を背けられたロキースは、衝撃を受けてションボリとしていた。
丸い耳はぺショリと伏せられ、蜂蜜色の目が悲しげにエディを見つめる。
「俺に抱っこされるのは、そんなに嫌か……?」
熱くなった顔を冷やそうと躍起になっていたエディの耳に、ロキースの低い声が届く。
慌てて顔を上げたエディは、見上げた先の情けない美形の顔に、やっちまったという表情を浮かべた。
「嫌ではないけれど……でも、人前でやることでは、ないような?」
手のひらを頰に押し当てたまま、エディは言った。
ロスティがどうかは知らないが、ディンビエではあまりそういったことはしない。
少なくとも、兄夫婦は彼女の前でそのようなことをしたことはないし、両親だってそうだ。
しどろもどろで弁解するエディに、ジョージの唇が意地悪げにニンマリと笑みを浮かべる。
悪戯をしかける前の猫のような目に、エディは嫌な予感しかしない。
本能的に逃げようとしたエディ。だがしかし、ジョージは素早くこう告げた。
「そうだ。では、こうしましょう。あなた方は、アポ無しでやってきて私の貴重な休日を台無しにしてくれた。そんな私への誠意として、エディさんにはロキースに抱っこしてもらいましょう。これなら、私の仕事が捗り、尚且つ罰にもなる。ああ、なんて名案なのでしょうか」
とんでもないことを言い出したジョージに、エディはアワアワと唇を震わせた。
そんな彼の膝の上では、ニューシャが小さな手でパチパチと拍手している。
エディはジョージの小さなお姫様に「裏切り者」と言いたくなった。だが、もともと彼女はエディの味方でもなんでもない。
(ぐぬぬ……ここでジョージ様の機嫌を損ねるわけにはいかない。休日を潰してしまったのは確かに僕たちのせいなわけだし。抱っこくらいで誠意になるのならば、安いものじゃないか⁉︎ 安いよね? そうだと言ってよ、僕! だってさ、ほら、用件はまだ一つも言えてないからね⁉︎)
(いやいやいや。待ってよ、僕。抱っこだよ? しかも、人前で。前はさ、二人きりだったし、ソファの背もたれ越しだったよ? まだ二回目なのに、こんな情緒も何もない場面でやっちゃっていいわけ?)
混乱するあまり、内なるエディは分裂した。
彼女の脳内では、二人になったエディがあれこれ主張している。
(いや、二回目だからだよ! 一回目より貴重さはないでしょ?)
(何言ってるの⁉︎ 一回目も二回目も大事に決まってる! キスだって、ファースト、セカンド、サードって大事にするんだから!)
(え、そうなの?)
(そうなんです!)
あうあうと困惑しているエディに、ニューシャは心底不思議そうである。大きな目でパチパチと瞬きを繰り返す。
聞いていた感じだと、彼女の両親は実に仲睦まじいらしい。
それが日常ならば、ちょっとした触れ合いでさえドギマギして呼吸を荒げるエディは、さぞ不思議に映るだろう。
丸い耳はぺショリと伏せられ、蜂蜜色の目が悲しげにエディを見つめる。
「俺に抱っこされるのは、そんなに嫌か……?」
熱くなった顔を冷やそうと躍起になっていたエディの耳に、ロキースの低い声が届く。
慌てて顔を上げたエディは、見上げた先の情けない美形の顔に、やっちまったという表情を浮かべた。
「嫌ではないけれど……でも、人前でやることでは、ないような?」
手のひらを頰に押し当てたまま、エディは言った。
ロスティがどうかは知らないが、ディンビエではあまりそういったことはしない。
少なくとも、兄夫婦は彼女の前でそのようなことをしたことはないし、両親だってそうだ。
しどろもどろで弁解するエディに、ジョージの唇が意地悪げにニンマリと笑みを浮かべる。
悪戯をしかける前の猫のような目に、エディは嫌な予感しかしない。
本能的に逃げようとしたエディ。だがしかし、ジョージは素早くこう告げた。
「そうだ。では、こうしましょう。あなた方は、アポ無しでやってきて私の貴重な休日を台無しにしてくれた。そんな私への誠意として、エディさんにはロキースに抱っこしてもらいましょう。これなら、私の仕事が捗り、尚且つ罰にもなる。ああ、なんて名案なのでしょうか」
とんでもないことを言い出したジョージに、エディはアワアワと唇を震わせた。
そんな彼の膝の上では、ニューシャが小さな手でパチパチと拍手している。
エディはジョージの小さなお姫様に「裏切り者」と言いたくなった。だが、もともと彼女はエディの味方でもなんでもない。
(ぐぬぬ……ここでジョージ様の機嫌を損ねるわけにはいかない。休日を潰してしまったのは確かに僕たちのせいなわけだし。抱っこくらいで誠意になるのならば、安いものじゃないか⁉︎ 安いよね? そうだと言ってよ、僕! だってさ、ほら、用件はまだ一つも言えてないからね⁉︎)
(いやいやいや。待ってよ、僕。抱っこだよ? しかも、人前で。前はさ、二人きりだったし、ソファの背もたれ越しだったよ? まだ二回目なのに、こんな情緒も何もない場面でやっちゃっていいわけ?)
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(え、そうなの?)
(そうなんです!)
あうあうと困惑しているエディに、ニューシャは心底不思議そうである。大きな目でパチパチと瞬きを繰り返す。
聞いていた感じだと、彼女の両親は実に仲睦まじいらしい。
それが日常ならば、ちょっとした触れ合いでさえドギマギして呼吸を荒げるエディは、さぞ不思議に映るだろう。
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