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二章 初デートは小鳥が囀る晴天の下
09 隣人とパン屋は少女の幸せを願う
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初デートの翌日のことである。
レーヴはいつになく上機嫌な様子で自宅の鍵を施錠すると、スキップでも始めそうなくらい足取り軽く、家の前の道へ出た。
隣の家に住む老夫婦、メレル夫妻はいつものようにまったりと庭先の花々に水やりをしていたのだが、レーヴの様子に二人揃っておやおやと目を見張った。
「「おはよう、レーヴちゃん」」
「おはようございます!」
この可愛らしいお嬢さんが隣に越してきて早七年。彼女が十八の歳から今まで見守ってきたが、こんなに元気いっぱい幸せいっぱいな様子の彼女は初めてだと老夫婦は思った。ほんのり色付いた頰は薔薇のようで、いつも眠そうに半分閉じている目はキラキラと虹でもかかりそうなほど輝いている。
「レーヴちゃん、何かいいことでもあったのかい?」
「ふふ!何でもないですよ」
どこが何でもないと言うのだろうか。明らかに何か良いことがあったに違いないが、夫妻は敢えて何も聞いたりはしなかった。
こういう時はあれである。十中八九、色恋に関することに違いないのだ。迂闊に突けば、これから出勤しようとしている彼女が遅刻しかねない。彼女の幸せをお裾分けしてもらいたい気持ちは山々だが、それは本位ではないーーと二人はこの僅かな時間で目配せをし合って、最終的には、
「いってらっしゃい、レーヴちゃん」
と送り出したのだった。
この日も、誘拐された日と同じような暖かな日だった。ロスティの夏は短いが、湿度が低くとても過ごしやすい。きっと気分が良いのは季節のせいだろうと、レーヴは今にも駆け出したいような気持ちを抑えて足取り軽く歩く。
非常に分かり易いが、彼女は浮かれていた。
誘拐紛いのことをされ、意図せずレーヴに恋した魔獣を押し付けられ、ゲンナリしていたところに想像以上の美形獣人に跪かれ、デートでは恋人のような戯れをしてーーと立て続けにいろんなことがあったおかげで、レーヴの頭はすっかりお花畑になってしまったらしい。今まで『恋なんてしない』と戒めていた分、反動は凄まじい。
ルンルンと鼻歌でも歌いそうなくらい上機嫌にレーヴがやって来たのは馴染みのパン屋だ。
『ネッケローブのパン工房』
くねくねとした癖のある字を焼き付けたプレートがかかる木製の扉を開くと、カランカランとカウベルのような軽快な鈴の音が店内に響く。
入ってすぐに客用のトングとトレーが置かれた小さなカウンターがあり、店内にはまるで市場の移動馬車のように点々と並べられたテーブルに様々なパンが陳列されている。
小さな籠には試食用の小さなパンまで用意されていて、至れり尽くせりである。
店の奥にはガラス張りの工房があり、赤いレンガの大きな石窯の前では小太りの男性がせっせと作業していた。
石窯から焼き上がったパンを取り出していた男性が、レーヴに気づいた。ふっくらとした頰とつぶらな目を嬉しそうに緩めて、挨拶を寄越してくる。
「おや、おはよう、レーヴ」
「おはよう、ネッケローブさん」
黄色と紺のチェックシャツにオーバーオールのようなデザインのエプロンを引っ掛けた、ぽっちゃり体型の彼の名前はネッケローブと言う。このパン工房の主であり、レーヴのパン作りの師匠だ。
ここのパンに惚れ込んで通い続けていたレーヴに、ある日突然、彼から『パンを作ってみない?』と申し出があったのだ。思いがけない提案ではあったが、休日は専らパン屋開拓だったレーヴにとって、この申し出は嬉しいものだった。なぜなら、開拓しすぎて王都のパン屋は網羅し尽くしていたからだ。
それから一年ほど休みの度にパン作りを教えてもらった。お陰でレーヴのパン作りは今やパン屋に劣らぬ腕前である。
「今日はご機嫌だね。ちょっと前には、面倒なことを押し付けられたって怒りながら大量のパンを買っていったのに」
「そうなんですよ。面倒だと思ってたんですけど、思っていたよりなんとかなりそうです」
ご機嫌な様子のレーヴに、ネッケローブがおやおやと眩しそうな顔をして彼女見た。なんというか、レーヴの肌がその奥から輝いているような、そんな気がしたからだ。今の彼女と同じものを見たことがあるなとネッケローブは思案しながら、焼き上がって粗熱が取れたパンを陳列用のバスケットに詰めていく。
「レーヴ、一昨日あげた小麦粉はどうだった?」
振舞うことになったからサンドイッチのパン用に小麦粉を分けて欲しいとレーヴがやって来たのは数日前のことだ。レーヴに小麦粉を分けるのは珍しいことではなかったが、振舞うというのは珍しかったので何となく気になっていた。
「最高だったわ!あの感触……素晴らしい小麦ね!もっちりとしていて、空気をたくさん含んで……」
「おいおい。誰かに作ってあげたんだろう?感想とか、なかったのか?」
パン生地の感想を言い始めたレーヴに、ネッケローブは相変わらずだなと苦笑いだ。詰め終えたバスケットを、レジ近くのテーブルに置く。夏の日差しのようなピカピカしたオレンジのデニッシュは今日の目玉商品だ。
「……えっと、美味しいって、全部、食べてくれた」
らしくもなく恥じらうように顔を伏せるレーヴに、ネッケローブは一瞬驚いたように目を見張って、でもすぐにクロワッサンのような三日月の形に唇の端を上げて、にっこりと微笑んだ。
「良かったじゃないか」
わしゃわしゃとクリームパンのようにぽっちゃりとした手がレーヴの頭を撫でる。その仕草は、兄のような優しい手つきだ。
「うん……」
モゴモゴと恥ずかしそうに唇を動かしているが、その頰は緩み、目も潤んでいる。誰が見ても、これは恋する乙女というやつだろう。そうしてネッケローブは気付く。先程感じた既視感は、彼が自身の結婚式で見たものだったのだと。彼の妻が、まさにそうだった。
「やっとかー……」
浮いた話が一切ないので、まさか異性に興味がない子なのかと心配していたが、杞憂だったようだ。彼女は彼女でそれなりに交友関係があるらしい。ネッケローブはパン屋に来る時のレーヴと仕事中の彼女しか知らないから、知らないのも仕方がない。
「やっと、ってなに?」
「なんでもないよ」
不思議そうに見上げてくるレーヴの頭をもう一度だけわしゃっと撫でて、ネッケローブは工房へと戻っていく。パン屋は清潔第一である、レーヴを撫でたら手を洗わなくては。
手を洗いながら、ガラス越しに店内を見る。レーヴはトレーとトングを持ってパンを物色していた。彼女のお気に入りはサンドイッチだ。今日はバゲットのサンドイッチをまだ用意出来ていない。ベーグルサンドの具はクリームチーズとスモークサーモン、クロワッサンの方はハムと葉野菜だ。
「今日は何にするんだ?」
「ベーグルサンドとー……あと、このオレンジのデニッシュにする」
「はいよ」
「ねぇ、人参のパンって、ある?」
「人参のパン?それって、どういうタイプのだ?人参を生地に練りこんだのとか、クリームにして入れたのとか、いろいろあるだろ」
「あ、そっか。そういうのもあるね。うん、わかった、大丈夫」
何が大丈夫なのかネッケローブにはさっぱりだが、きっとレーヴにはそんなもので良かったのだろう。小さな声で「メロンパンみたいにキャロットパンとかにすればいいのか」なんて言っているが放っておくことにする。
そうしていつものように紙のバッグに詰めて、今日は良いものを見たのでオマケにラスクも入れてやる。可愛い妹分に、少しでも幸せが訪れますようにと、そんな願いを込めて。
「ありがとう。じゃあ、いってきます」
「おう、いってらっしゃい」
ルンルンと足取り軽く出て行くレーヴに手を振る。
「いいなぁ。命短し恋せよ乙女ってか。いや、命短しじゃ困るけどよ。ま、頑張れよ、レーヴ」
彼が結婚して随分になる。結婚当初は可愛らしかった妻も、今は立派な母である。恋していた頃が懐かしいが、今の生活はそれ以上に愛おしい。
早々とレーヴの結婚式にはパンで祝いのリースでも作ってやろうとネッケローブはデザインを脳裏に描くのだった。
レーヴはいつになく上機嫌な様子で自宅の鍵を施錠すると、スキップでも始めそうなくらい足取り軽く、家の前の道へ出た。
隣の家に住む老夫婦、メレル夫妻はいつものようにまったりと庭先の花々に水やりをしていたのだが、レーヴの様子に二人揃っておやおやと目を見張った。
「「おはよう、レーヴちゃん」」
「おはようございます!」
この可愛らしいお嬢さんが隣に越してきて早七年。彼女が十八の歳から今まで見守ってきたが、こんなに元気いっぱい幸せいっぱいな様子の彼女は初めてだと老夫婦は思った。ほんのり色付いた頰は薔薇のようで、いつも眠そうに半分閉じている目はキラキラと虹でもかかりそうなほど輝いている。
「レーヴちゃん、何かいいことでもあったのかい?」
「ふふ!何でもないですよ」
どこが何でもないと言うのだろうか。明らかに何か良いことがあったに違いないが、夫妻は敢えて何も聞いたりはしなかった。
こういう時はあれである。十中八九、色恋に関することに違いないのだ。迂闊に突けば、これから出勤しようとしている彼女が遅刻しかねない。彼女の幸せをお裾分けしてもらいたい気持ちは山々だが、それは本位ではないーーと二人はこの僅かな時間で目配せをし合って、最終的には、
「いってらっしゃい、レーヴちゃん」
と送り出したのだった。
この日も、誘拐された日と同じような暖かな日だった。ロスティの夏は短いが、湿度が低くとても過ごしやすい。きっと気分が良いのは季節のせいだろうと、レーヴは今にも駆け出したいような気持ちを抑えて足取り軽く歩く。
非常に分かり易いが、彼女は浮かれていた。
誘拐紛いのことをされ、意図せずレーヴに恋した魔獣を押し付けられ、ゲンナリしていたところに想像以上の美形獣人に跪かれ、デートでは恋人のような戯れをしてーーと立て続けにいろんなことがあったおかげで、レーヴの頭はすっかりお花畑になってしまったらしい。今まで『恋なんてしない』と戒めていた分、反動は凄まじい。
ルンルンと鼻歌でも歌いそうなくらい上機嫌にレーヴがやって来たのは馴染みのパン屋だ。
『ネッケローブのパン工房』
くねくねとした癖のある字を焼き付けたプレートがかかる木製の扉を開くと、カランカランとカウベルのような軽快な鈴の音が店内に響く。
入ってすぐに客用のトングとトレーが置かれた小さなカウンターがあり、店内にはまるで市場の移動馬車のように点々と並べられたテーブルに様々なパンが陳列されている。
小さな籠には試食用の小さなパンまで用意されていて、至れり尽くせりである。
店の奥にはガラス張りの工房があり、赤いレンガの大きな石窯の前では小太りの男性がせっせと作業していた。
石窯から焼き上がったパンを取り出していた男性が、レーヴに気づいた。ふっくらとした頰とつぶらな目を嬉しそうに緩めて、挨拶を寄越してくる。
「おや、おはよう、レーヴ」
「おはよう、ネッケローブさん」
黄色と紺のチェックシャツにオーバーオールのようなデザインのエプロンを引っ掛けた、ぽっちゃり体型の彼の名前はネッケローブと言う。このパン工房の主であり、レーヴのパン作りの師匠だ。
ここのパンに惚れ込んで通い続けていたレーヴに、ある日突然、彼から『パンを作ってみない?』と申し出があったのだ。思いがけない提案ではあったが、休日は専らパン屋開拓だったレーヴにとって、この申し出は嬉しいものだった。なぜなら、開拓しすぎて王都のパン屋は網羅し尽くしていたからだ。
それから一年ほど休みの度にパン作りを教えてもらった。お陰でレーヴのパン作りは今やパン屋に劣らぬ腕前である。
「今日はご機嫌だね。ちょっと前には、面倒なことを押し付けられたって怒りながら大量のパンを買っていったのに」
「そうなんですよ。面倒だと思ってたんですけど、思っていたよりなんとかなりそうです」
ご機嫌な様子のレーヴに、ネッケローブがおやおやと眩しそうな顔をして彼女見た。なんというか、レーヴの肌がその奥から輝いているような、そんな気がしたからだ。今の彼女と同じものを見たことがあるなとネッケローブは思案しながら、焼き上がって粗熱が取れたパンを陳列用のバスケットに詰めていく。
「レーヴ、一昨日あげた小麦粉はどうだった?」
振舞うことになったからサンドイッチのパン用に小麦粉を分けて欲しいとレーヴがやって来たのは数日前のことだ。レーヴに小麦粉を分けるのは珍しいことではなかったが、振舞うというのは珍しかったので何となく気になっていた。
「最高だったわ!あの感触……素晴らしい小麦ね!もっちりとしていて、空気をたくさん含んで……」
「おいおい。誰かに作ってあげたんだろう?感想とか、なかったのか?」
パン生地の感想を言い始めたレーヴに、ネッケローブは相変わらずだなと苦笑いだ。詰め終えたバスケットを、レジ近くのテーブルに置く。夏の日差しのようなピカピカしたオレンジのデニッシュは今日の目玉商品だ。
「……えっと、美味しいって、全部、食べてくれた」
らしくもなく恥じらうように顔を伏せるレーヴに、ネッケローブは一瞬驚いたように目を見張って、でもすぐにクロワッサンのような三日月の形に唇の端を上げて、にっこりと微笑んだ。
「良かったじゃないか」
わしゃわしゃとクリームパンのようにぽっちゃりとした手がレーヴの頭を撫でる。その仕草は、兄のような優しい手つきだ。
「うん……」
モゴモゴと恥ずかしそうに唇を動かしているが、その頰は緩み、目も潤んでいる。誰が見ても、これは恋する乙女というやつだろう。そうしてネッケローブは気付く。先程感じた既視感は、彼が自身の結婚式で見たものだったのだと。彼の妻が、まさにそうだった。
「やっとかー……」
浮いた話が一切ないので、まさか異性に興味がない子なのかと心配していたが、杞憂だったようだ。彼女は彼女でそれなりに交友関係があるらしい。ネッケローブはパン屋に来る時のレーヴと仕事中の彼女しか知らないから、知らないのも仕方がない。
「やっと、ってなに?」
「なんでもないよ」
不思議そうに見上げてくるレーヴの頭をもう一度だけわしゃっと撫でて、ネッケローブは工房へと戻っていく。パン屋は清潔第一である、レーヴを撫でたら手を洗わなくては。
手を洗いながら、ガラス越しに店内を見る。レーヴはトレーとトングを持ってパンを物色していた。彼女のお気に入りはサンドイッチだ。今日はバゲットのサンドイッチをまだ用意出来ていない。ベーグルサンドの具はクリームチーズとスモークサーモン、クロワッサンの方はハムと葉野菜だ。
「今日は何にするんだ?」
「ベーグルサンドとー……あと、このオレンジのデニッシュにする」
「はいよ」
「ねぇ、人参のパンって、ある?」
「人参のパン?それって、どういうタイプのだ?人参を生地に練りこんだのとか、クリームにして入れたのとか、いろいろあるだろ」
「あ、そっか。そういうのもあるね。うん、わかった、大丈夫」
何が大丈夫なのかネッケローブにはさっぱりだが、きっとレーヴにはそんなもので良かったのだろう。小さな声で「メロンパンみたいにキャロットパンとかにすればいいのか」なんて言っているが放っておくことにする。
そうしていつものように紙のバッグに詰めて、今日は良いものを見たのでオマケにラスクも入れてやる。可愛い妹分に、少しでも幸せが訪れますようにと、そんな願いを込めて。
「ありがとう。じゃあ、いってきます」
「おう、いってらっしゃい」
ルンルンと足取り軽く出て行くレーヴに手を振る。
「いいなぁ。命短し恋せよ乙女ってか。いや、命短しじゃ困るけどよ。ま、頑張れよ、レーヴ」
彼が結婚して随分になる。結婚当初は可愛らしかった妻も、今は立派な母である。恋していた頃が懐かしいが、今の生活はそれ以上に愛おしい。
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