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第三話 定番のコーディネートは王道にしてマンネリ

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『おお!俺氏inしちゃったり?』『悪役令嬢ちゃんに?マジでマジで?断罪?わーナニ言ってんの王子の取り巻きと貴族、伽、伽、胸尻太腿連呼性欲だけで生きてんの?』『ないわーないわークズ糞貴族変わんねー』『この国あいかわらず腐ってんナァ!』

『よ!悪役令嬢ちゃん?ハジメマシテだ。助け……いる?』

 軽薄極まりない青年の声は、その時だけは真剣にわたくしに問うた。はっきりとした口調だったににもかかわらず、広間の貴族と王子達はあいかわらずないことないことわたくしの罪と伽の不参加を責め立てている。視界いっぱいのべったりと血のついた大理石の床の緋色の石はそこだけまるく綺麗な床を残して消えていた。

『さぁて?どうする?お嬢さん』

  わたくしは声を聴いた瞬間迷わず頭のなかで強く念じました。

『助けて』と、

 フと誰かが笑った気配がいたしました。冷や汗でべとついた体を草原のあおあおとした風が吹き抜けて清めたような、鼻血で金臭い鼻孔の奥を爽やかにして野蛮な突風が清め押し流し拭い去ったように感じます。こころなしか体は軽く気持ちが歌いだしたくなるように軽やかです。『誰か』によってそっと背中に手をあててはげまされたようなそのような気配がいたしました。体にわずかながら力が戻ります。

『よし、助けてやる。もうちょいガンバレ』

 わたくしは左右に視線を走らせました、近衛騎士達は何かを感じ取ったのか拘束を緩め離します。わたくしは痛みをこらえて自らの脚で立ちました。

「婚約破棄承りました。」

 わたくしはすべての力をふりしぼり王妃教育で培った渾身の表情トレーニングと作法の極みの淑女の微笑を浮かべました。声の出し方息のつぎかた、高さすべてが心に響くよう訓練された所作です。渾身の淑女の礼カーテーシーは、魅せて最大限に美しく華麗で王妃たらんと磨き抜かれた渾身の礼でございましょう。そう教育されそう育ったのですから……。

五人の王族貴族子息をはべらせ、どこぞの絵画のように微笑していたピンクさん(仮)が目を見開きます。

「三日以内に国土から去るように」

 ピンクさん(仮)の口紅をべったり紅うつりさせてた王太子殿下の本日はじめてのお言葉です。殿下は滑るようにわたくしにあゆみより白魚のような指が伸ばされ、わたくしの黄金薔薇と緑の宝石があしらわれた首飾りを握り引きちぎりました。首飾りはあっさりと千切れ紐だけがしゅるんと首に巻きつきます。

「これは王妃になるモノが着ける品物、罪人には不相応である」

 王太子殿下は、ピンクさん(仮)にあゆみよると手のひらからしゅるりと薄緑の紐を発生させピンクさん(仮)の首に優しく装着いたしました。なぜか凍り付くピンクさん(仮)

「可憐で賢く慈愛に溢れたローザたん♡にこそ王妃候補の首飾りはふさわしい」

「ローザたん♡様おめでとう」

「ローザたん♡ちゃん万歳」

「ローザたん♡様に栄光あれ!」

  あら?ローザたん♡までがお名前なのね。はじまった茶番の称賛劇にわたくしは背を向け可能な限り全速力で会場を去らせていただきます、人垣はさぁっと割れまるで引き潮のよう。

「ちょ、ちょっと待ってコレは貴女のよぉぉ、仕事は嫌よぉぉ愛されるだけでいいのにぃぃぃ」
 取り巻く貴公子達は、ピンクさん(仮)に優しくなだめ微笑、おのおの髪をすいて毛先ををとり、くちずけたり。てを握りキスをおとした腰を抱き甘い言葉を囁いたり、五人全員いなや広間の人々すべてがピンクさん(仮)を口々に褒めたたえ称賛し憧れ持ち上げるさまは気色わるく号令もないのし周知されたようにとにかくにこやかに全肯定しほめそやしにこにことわらうさまは異様ともとれてございます。

「ローザたん♡それは可憐で高貴なオーラを持つ君にこそふさわしい」

「そうだよローザたん♡愛してる」

『相変わらずのおつむお花畑どもだなーまるで学んでねぇ』


 リップ音がしたのできっとお楽しみが始まるのでしょう、いちゃいちゃ劇場がまさか広間でなさる(ナニを?)ことはないでしょう多分。なんかあわてている気配がいたしますが、渾身の気力をのせ可能な限りの速さで優美さをギリギリキープしつつわたくしは、わたくし達は逃げました。
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