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四章
23、よう頑張ったな
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最初は苦しそうやった絲さんも、感じる部分を徹底的に責めたから。
次第に甘く喘いで、自分から腰を動かせるようになった。
それでも俺が不意に深い部分を穿つから、その衝撃に背をのけぞらせ苦痛の表情を眉間に浮かべた。
障子越しに、しなかやか彼女の体を照らす雷の光。
「あ、ぁ……ぁん、ふ……ぁ、ぁ」
「ええで。また達しても」
「蒼一郎……さ、ん。蒼一郎、さ……ん」
狂おしそうに俺の名を呼んで、絲さんは何度目か分からぬ絶頂を極めた。
すでに絲さんには、雷鳴は聞こえてへんようやった。
俺の上で、びくりと痙攣する体。余計に締まって、俺は彼女の後を追った。
何度も達した絲さんは、布団に横たわった俺の胸から腹にかけてもたれるように、ぐったりと身を伏せた。
しっとりと汗ばんだ肌が密着して、彼女の浅い呼吸も押しつけられた胸から感じられる。
「よう頑張ったな」
「絲、頑張れました、か?」
「うん。よう出来たで」
俺は囁きながら、絲さんの乱れた髪を指で直してやった。
そのまま瞼を閉じて眠るかと思ったが、絲さんは手を伸ばして俺の肩に巻かれた包帯に触れた。
「傷に障ってませんか?」
「大丈夫やで」
「……よかった」
力なく微笑むその様子が、あまりにも愛らしくて。けど、さすがにまた抱くわけにもいかず。
俺は何度も絲さんの頬に接吻した。
ああ、なんて可愛いんやろ。なんて愛おしいんやろ。
自分から動くやなんて、そんなことをすることのないお嬢さんやのに。頑張ってくれたんやな。
ごめんな、俺の我儘で無理させて。
いつの間にか体の上の重みが増したと思うと、絲さんは眠りに落ちていた。
気づけばすでに雨は上がり、雷の音も聞こえへんようになっとった。
空気が湿っとうせいで、畳の匂いが普段よりも濃く感じられる。
◇◇◇
結局そのまま寝る訳にもいかへんから。絲さんをもう一度風呂に入れてやることにした。
いつもは滑らかなその素肌が、べたべたというか、まぁ俺の所為でそのままにできへんしな。
すでに組の奴らは寝入っとうみたいで、廊下は静かで真っ暗やった。
軒先から落ちる雨の雫の。ぽたりという音だけが聞こえてくる。
まぁ、人もおらへんから絲さんが素っ裸でも問題ないやろ。
そう思い、彼女を横抱きにして風呂に向かったんやけど。
するりと足元を撫でる感触を覚えた。
「ひ……っ」
俺はかろうじて声を飲み込んだ。絲さんが目ぇ覚まして、しかも飛び起きてきた組員が絲さんの裸を見たりしたら。
あかん、目も当てられへん。
予想通り、俺の足首を撫でたのは猫の尻尾だった。黒猫やから闇に紛れるんやな。
雨が強かったから、うちに避難しとったんやろ。
「静かにするんやで」
俺の言葉を理解したかどうかは分からないが。猫は小さく「にゃあ」と鳴いた。
そして何故か風呂場についてくる。
なんでやねん。猫って水が苦手やろが。
風呂の湯は随分と温(ぬる)なっとった。絲さんを俺の膝に座らせて、湯桶で体をすすいでやる。
それでも目を覚まさへんのは、よっぽど疲れたんか、緊張しとったんやろな。
「お前も洗たろか?」
俺が声を掛けると、中途半端に開いた戸から覗いとった猫が、するりと背を向けた。
まさかとは思うけど。あいつ、雄とちゃうやろな。
次第に甘く喘いで、自分から腰を動かせるようになった。
それでも俺が不意に深い部分を穿つから、その衝撃に背をのけぞらせ苦痛の表情を眉間に浮かべた。
障子越しに、しなかやか彼女の体を照らす雷の光。
「あ、ぁ……ぁん、ふ……ぁ、ぁ」
「ええで。また達しても」
「蒼一郎……さ、ん。蒼一郎、さ……ん」
狂おしそうに俺の名を呼んで、絲さんは何度目か分からぬ絶頂を極めた。
すでに絲さんには、雷鳴は聞こえてへんようやった。
俺の上で、びくりと痙攣する体。余計に締まって、俺は彼女の後を追った。
何度も達した絲さんは、布団に横たわった俺の胸から腹にかけてもたれるように、ぐったりと身を伏せた。
しっとりと汗ばんだ肌が密着して、彼女の浅い呼吸も押しつけられた胸から感じられる。
「よう頑張ったな」
「絲、頑張れました、か?」
「うん。よう出来たで」
俺は囁きながら、絲さんの乱れた髪を指で直してやった。
そのまま瞼を閉じて眠るかと思ったが、絲さんは手を伸ばして俺の肩に巻かれた包帯に触れた。
「傷に障ってませんか?」
「大丈夫やで」
「……よかった」
力なく微笑むその様子が、あまりにも愛らしくて。けど、さすがにまた抱くわけにもいかず。
俺は何度も絲さんの頬に接吻した。
ああ、なんて可愛いんやろ。なんて愛おしいんやろ。
自分から動くやなんて、そんなことをすることのないお嬢さんやのに。頑張ってくれたんやな。
ごめんな、俺の我儘で無理させて。
いつの間にか体の上の重みが増したと思うと、絲さんは眠りに落ちていた。
気づけばすでに雨は上がり、雷の音も聞こえへんようになっとった。
空気が湿っとうせいで、畳の匂いが普段よりも濃く感じられる。
◇◇◇
結局そのまま寝る訳にもいかへんから。絲さんをもう一度風呂に入れてやることにした。
いつもは滑らかなその素肌が、べたべたというか、まぁ俺の所為でそのままにできへんしな。
すでに組の奴らは寝入っとうみたいで、廊下は静かで真っ暗やった。
軒先から落ちる雨の雫の。ぽたりという音だけが聞こえてくる。
まぁ、人もおらへんから絲さんが素っ裸でも問題ないやろ。
そう思い、彼女を横抱きにして風呂に向かったんやけど。
するりと足元を撫でる感触を覚えた。
「ひ……っ」
俺はかろうじて声を飲み込んだ。絲さんが目ぇ覚まして、しかも飛び起きてきた組員が絲さんの裸を見たりしたら。
あかん、目も当てられへん。
予想通り、俺の足首を撫でたのは猫の尻尾だった。黒猫やから闇に紛れるんやな。
雨が強かったから、うちに避難しとったんやろ。
「静かにするんやで」
俺の言葉を理解したかどうかは分からないが。猫は小さく「にゃあ」と鳴いた。
そして何故か風呂場についてくる。
なんでやねん。猫って水が苦手やろが。
風呂の湯は随分と温(ぬる)なっとった。絲さんを俺の膝に座らせて、湯桶で体をすすいでやる。
それでも目を覚まさへんのは、よっぽど疲れたんか、緊張しとったんやろな。
「お前も洗たろか?」
俺が声を掛けると、中途半端に開いた戸から覗いとった猫が、するりと背を向けた。
まさかとは思うけど。あいつ、雄とちゃうやろな。
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