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11 戦獣
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ニューフェイスの開発したコンバットスーツの一部が、警察にも支給される事になり、保育園などの事件でも時間が稼げる様になっていった。
「女子供ばかり狙いやがって、やっぱり獣だな」
「オールドタイプは知能も低いとみえる。男を9割り殺しても、女子供が生きていれば人口は維持できる。一人の男が精子提供すれば済むからな。日本人を殲滅するには、子供を産む女と未来を担う子供を殺すのが合理的なのだよ」
今回、事件を起こしたのは、彪の様な猫科の戦闘型と、犬型のキメラノイドだ。
以前と違い、頭に機械を付けていないが知能は高い様だ。
メディアジャックで宣言したのと同じ目的で、ここでの虐殺は起きていた。
「ヒトデナシめ!」
「俺達が人間に見えるのか?眼科か精神科に行けよ、お巡りさん」
園児達を救う為に飛び込んだ警官隊とネフィリムとの舌戦は不毛だった。
むしろ、論理性が無い分だけ警官隊の方が不利にも見える。
いや、論理性が無い自分達の常識が、何時でも何処でも通用すると考えるのが、全世界の人間が持つ【非常識】なのかも知れない。
それ故に、人間はいつまでたっても争い、殺し合い、奪い合ってきたのだろう。
既に明るみになった範囲では、先進国の大半でネフィリムの活動が見られ、後進国や発展途上国がネフィリムのバックについているのではないかと考えられているが、今のところ確証は無い。
「御待たせしました。ニューフェイス部隊到着しました」
「ご苦労様です。しかし、いつの間に?」
「こんな市街地にヘリで来たら、風圧で周辺の民家に被害が出ますからね」
ニューフェイス部隊と言えば、報道ではヘリで現地に到着し、空挺部隊の様に空から舞い降りるので、ソレなりの騒音がするイメージがある。
しかし、保育園や学校は、民家に囲まれた所に多いので、別の移動手段を用いたのだ。
彼等は新調された新しいスーツを着て、この現場に来ていた。
「で、状況は?」
「先行部隊が突入して、園児を守って立て籠っています。我々も頑張りましたが、児童の2割りが助けられませんでした」
警官とキメラノイドの銃撃戦は、今も単発的に行われている。
突入して、一室で園児達と立て籠っている警官隊。
建物内で、その周りを包囲するネフィリムの武装キメラノイド達。
建物の外を囲む警官隊と、到着したニューフェイス部隊というのが、現在の構図だ。
「以前の情報にあったタイプの襲撃に備えての、新装備がありますがECMは?」
「新しい装備ですか?それは助かります。効果が無い様なのでECMは切って通信を復活させています。今の我々には手段が限られていますので」
下手に通信閉鎖するよりも、内外の警察が協力する方がメリットがあると判断したのだろう。
「傍受される恐れがありますので、我々の到着は無線では告げないで下さい」
「了解しました」
ニューフェイス達の到着は、いまだ犯人達にも立て籠り側にも知らされてはいない。
今回彼等は、トレーラートラックで到着していたのだ。
勿論、車は大きいので現場までは来ておらず、近くの幹線道路に止まっている。
「確認ですが、キメラノイド達はマスクとかしていませんよね?」
「はい。ヘルメットはしていますが、以前と同じく動物っぽい顔を出しています」
動物の能力のひとつである嗅覚を妨げるマスクは、していない様だった。
「想定どうりだな。じゃあ、界人。始めてくれ」
「了解だ。暁。イッツ ショータイム!いや、まだ前座か?とりあえずステップ1 発進」
笹生界人が携帯端末を操作すると、幹線道路の方から鳥の群れの様なものが現れた。
「アレですか?新装備は」
「はい。17機のドローンです。低空だと音がしますから高度はあげてます」
見れば、かなり上空を大きなドローンが、小さなドローンを引き連れて飛んでくる。
近くに来なければ、大型ドローンでさえ鳥と見間違える高さだ。
水平方向しか見えない屋内からは、全く気付かないだろう。
「ではステップ2 展開」
犯人達も居る保育園の上空に到着すると、一台の大型を中心に円形に広がりだした。
「何かモヤが?」
「大きいですが、ただの透明なビニールシートですよ」
警官達には、何をしようとしているのか全然分からなかった。
「中心は、この辺りで良いかな?ステップ3 降下」
ブラックがモニターでドローンからの映像を見ながら位置を調整していた。
中央の大型ドローンからパラシュートが開いて、全部のドローンがゆっくりと降下を開始する。
パラシュートには御丁寧に警視庁のマークが印刷されていた。
大型ドローンの四つのファンは、姿勢制御の為にだけ動いているし、ビニールの浮力があるので、ほぼ無音で降りてきた。
建物の中からは、視界がいきなりボヤけて何が起きたか分からないだろう。
「ステップ4 放出」
屋根に大型ドローンが着陸し、小型ドローンが建物周囲に着陸すると、小型ドローンのファンが逆回転を始めた。
屋根の大型ドローンの周囲のビニールが膨れている。
よく見るとドローンの上にはガスボンベが二つ乗っていた。
「ガスですか?しかし、中には園児も・・・・」
「医療用の麻酔ガスです。ちゃんと麻酔医も連れてきてますから」
小型ドローンの逆回転は、ガスを逃がさない為なのだろう。
「中の警官はコンバットスーツを着ていますよね?」
「はい。提供されたコンバットスーツを使用しています」
ニューフェイスの提供しているコンバットスーツのマスクは、フィルター式ではなく圧縮空気のタンク式だ。
「では、無線でマスクを使用する様に指示して下さい。次に我々と麻酔ガスの事は話さずに、中の状況を報告させて下さい」
「了解です」
警官にも、ニューフェイス達の作戦が理解できた。
建物ごと麻酔ガスに浸して、マスクをしている警官以外は、犯人も要救助者も、丸ごと眠らせてしまうつもりなのだ。
眠らせてしまえば、犯人側の処置も容易になる。
警官が無線で命令を下している。
やがて10分ほどして、敵の沈黙を確認すると、ビニールの膨らみが止んだ。
「ステップ5 全機能停止」
ヘルメットをしたニューフェイス達が、ビニールを掻い潜って、中に入ろうとした。
その瞬間、保育園の中で爆発が発生したのだ。
「畜生!自爆しやがったか?報告では沈黙したはずだろ」
「まさか?ガスに抗えるはず無いのに」
「誰かが外からリモコンで爆発したんじゃないか?」
「電波妨害を解除したのが裏目に出たのか?」
急いで中に入っていくニューフェイスに続き、コンバットスーツを着た警官が何人も担架を持って入っていく。
「園児の救出を最優先しろ!」
救急車が次々と受け入れの準備を開始した。
警官が盾になっていたお陰で、眠りについた子供達に、たいした被害は無かったが、数人の警官が殉職した結果となった。
規制線の外には、野次馬が集まっていた。
その多くが携帯端末で撮影したり情報を見ていたが、中の一人は違っていた様だ。
画面には【起爆】の文字が浮かんでいたのだ。
「戦って、人間を殺す為に産まれてきた戦獣達よ。君達の存在理由は完遂された。安らかに眠れ」
フードをしたソノ人物は、どう見ても人間の子供だった。
その子供は携帯を電話モードにして耳に当てる。
「父さん。ニューフェイスの暁達がでてきたよ。だから勿体ないけど爆死させた」
『そうか。ベルフェゴール、お前は大丈夫なのか?』
「僕は見届け人だかね。今回は失敗だけど、これでもいいんだよね?」
『何回かは問題ない。複数の場所を同時に殺れば済む話だ』
「分かった。じゃあ、これから帰るよ」
ベルフェゴールと呼ばれた子供は、人混みの中に姿を消した。
その子と話をしていたのは、実験体2666と呼ばれた存在。自称【魔王サタナエル】だった。
彼のモデルは【バフォメッド】という悪魔で、イスラム教の教祖を悪魔にイメージしたものだったが、彼は自分の存在を好んでいなかったので、その名を嫌って使わなかった。
代わりに用いたのがヘブライ語で敵対者を意味する【サタナエル】だったのだ。
彼は電話を終えると、また別の存在に電話をかけた。
半身が水中の彼は普通の携帯端末など使えないので、周囲にセットされた防水の通信機器でではあるが。
「ルシファー様、よろしいですか?」
『あぁ、兄さんですか?大丈夫ですよ。しかし、ここのところ、大活躍ですね』
ルシファーと呼ばれた者は、死にかけたサタナエルを助けた存在だが、同時に弟的存在でもあるらしい。
「今回は失敗しましたがね。次回は任務遂行してみせますよ」
『まだまだ活躍するんですね?』
「はい。リリスからのオーダーは、日本人を一割に減らす事ですから」
どうやらネフィリムは、日本人の大量虐殺を狙っていて、そのバックにはリリスという存在が居る様だ。
『それは【目標値】ですよね?完遂する必要はないのでしょ?』
「そうですが、各国のネフィリムが頑張っていますから、日本だけ手を抜く事はできませんよ」
『兄さん達は、方舟の事もあるし大変なんじゃないですか?』
ネフィリムは各国に存在し、彼達はキメラノイドの製作、技術者の拉致、女子供の虐殺以外にも、何かやっている様だった。
「それを言ったら、ルシファー様の方も大変なんでしょ?我々への資金援助や資材調達だけでなく、予想外に早く法案が可決してしまいましたから」
『資金援助は兎も角、そっちは我々が直接動いてませんからね。まぁ、まだ圧力は掛けてますけど』
日本のネフィリムの活動には、ルシファーと呼ばれる人物の支援が続いていたのだ。
そのルシファーは、日本の政治にも関わっているらしい。
「では、御互いに我々の未来の為に頑張りましょう」
『兄さんも無理はなさらない様にしてくださいね』
世の中に、純粋な悪など居ない。
誰もが優しい一面を持ち合わせているのだ。
例えソレが、不遇な産まれ方をして虐殺をする様なものであっても。
「女子供ばかり狙いやがって、やっぱり獣だな」
「オールドタイプは知能も低いとみえる。男を9割り殺しても、女子供が生きていれば人口は維持できる。一人の男が精子提供すれば済むからな。日本人を殲滅するには、子供を産む女と未来を担う子供を殺すのが合理的なのだよ」
今回、事件を起こしたのは、彪の様な猫科の戦闘型と、犬型のキメラノイドだ。
以前と違い、頭に機械を付けていないが知能は高い様だ。
メディアジャックで宣言したのと同じ目的で、ここでの虐殺は起きていた。
「ヒトデナシめ!」
「俺達が人間に見えるのか?眼科か精神科に行けよ、お巡りさん」
園児達を救う為に飛び込んだ警官隊とネフィリムとの舌戦は不毛だった。
むしろ、論理性が無い分だけ警官隊の方が不利にも見える。
いや、論理性が無い自分達の常識が、何時でも何処でも通用すると考えるのが、全世界の人間が持つ【非常識】なのかも知れない。
それ故に、人間はいつまでたっても争い、殺し合い、奪い合ってきたのだろう。
既に明るみになった範囲では、先進国の大半でネフィリムの活動が見られ、後進国や発展途上国がネフィリムのバックについているのではないかと考えられているが、今のところ確証は無い。
「御待たせしました。ニューフェイス部隊到着しました」
「ご苦労様です。しかし、いつの間に?」
「こんな市街地にヘリで来たら、風圧で周辺の民家に被害が出ますからね」
ニューフェイス部隊と言えば、報道ではヘリで現地に到着し、空挺部隊の様に空から舞い降りるので、ソレなりの騒音がするイメージがある。
しかし、保育園や学校は、民家に囲まれた所に多いので、別の移動手段を用いたのだ。
彼等は新調された新しいスーツを着て、この現場に来ていた。
「で、状況は?」
「先行部隊が突入して、園児を守って立て籠っています。我々も頑張りましたが、児童の2割りが助けられませんでした」
警官とキメラノイドの銃撃戦は、今も単発的に行われている。
突入して、一室で園児達と立て籠っている警官隊。
建物内で、その周りを包囲するネフィリムの武装キメラノイド達。
建物の外を囲む警官隊と、到着したニューフェイス部隊というのが、現在の構図だ。
「以前の情報にあったタイプの襲撃に備えての、新装備がありますがECMは?」
「新しい装備ですか?それは助かります。効果が無い様なのでECMは切って通信を復活させています。今の我々には手段が限られていますので」
下手に通信閉鎖するよりも、内外の警察が協力する方がメリットがあると判断したのだろう。
「傍受される恐れがありますので、我々の到着は無線では告げないで下さい」
「了解しました」
ニューフェイス達の到着は、いまだ犯人達にも立て籠り側にも知らされてはいない。
今回彼等は、トレーラートラックで到着していたのだ。
勿論、車は大きいので現場までは来ておらず、近くの幹線道路に止まっている。
「確認ですが、キメラノイド達はマスクとかしていませんよね?」
「はい。ヘルメットはしていますが、以前と同じく動物っぽい顔を出しています」
動物の能力のひとつである嗅覚を妨げるマスクは、していない様だった。
「想定どうりだな。じゃあ、界人。始めてくれ」
「了解だ。暁。イッツ ショータイム!いや、まだ前座か?とりあえずステップ1 発進」
笹生界人が携帯端末を操作すると、幹線道路の方から鳥の群れの様なものが現れた。
「アレですか?新装備は」
「はい。17機のドローンです。低空だと音がしますから高度はあげてます」
見れば、かなり上空を大きなドローンが、小さなドローンを引き連れて飛んでくる。
近くに来なければ、大型ドローンでさえ鳥と見間違える高さだ。
水平方向しか見えない屋内からは、全く気付かないだろう。
「ではステップ2 展開」
犯人達も居る保育園の上空に到着すると、一台の大型を中心に円形に広がりだした。
「何かモヤが?」
「大きいですが、ただの透明なビニールシートですよ」
警官達には、何をしようとしているのか全然分からなかった。
「中心は、この辺りで良いかな?ステップ3 降下」
ブラックがモニターでドローンからの映像を見ながら位置を調整していた。
中央の大型ドローンからパラシュートが開いて、全部のドローンがゆっくりと降下を開始する。
パラシュートには御丁寧に警視庁のマークが印刷されていた。
大型ドローンの四つのファンは、姿勢制御の為にだけ動いているし、ビニールの浮力があるので、ほぼ無音で降りてきた。
建物の中からは、視界がいきなりボヤけて何が起きたか分からないだろう。
「ステップ4 放出」
屋根に大型ドローンが着陸し、小型ドローンが建物周囲に着陸すると、小型ドローンのファンが逆回転を始めた。
屋根の大型ドローンの周囲のビニールが膨れている。
よく見るとドローンの上にはガスボンベが二つ乗っていた。
「ガスですか?しかし、中には園児も・・・・」
「医療用の麻酔ガスです。ちゃんと麻酔医も連れてきてますから」
小型ドローンの逆回転は、ガスを逃がさない為なのだろう。
「中の警官はコンバットスーツを着ていますよね?」
「はい。提供されたコンバットスーツを使用しています」
ニューフェイスの提供しているコンバットスーツのマスクは、フィルター式ではなく圧縮空気のタンク式だ。
「では、無線でマスクを使用する様に指示して下さい。次に我々と麻酔ガスの事は話さずに、中の状況を報告させて下さい」
「了解です」
警官にも、ニューフェイス達の作戦が理解できた。
建物ごと麻酔ガスに浸して、マスクをしている警官以外は、犯人も要救助者も、丸ごと眠らせてしまうつもりなのだ。
眠らせてしまえば、犯人側の処置も容易になる。
警官が無線で命令を下している。
やがて10分ほどして、敵の沈黙を確認すると、ビニールの膨らみが止んだ。
「ステップ5 全機能停止」
ヘルメットをしたニューフェイス達が、ビニールを掻い潜って、中に入ろうとした。
その瞬間、保育園の中で爆発が発生したのだ。
「畜生!自爆しやがったか?報告では沈黙したはずだろ」
「まさか?ガスに抗えるはず無いのに」
「誰かが外からリモコンで爆発したんじゃないか?」
「電波妨害を解除したのが裏目に出たのか?」
急いで中に入っていくニューフェイスに続き、コンバットスーツを着た警官が何人も担架を持って入っていく。
「園児の救出を最優先しろ!」
救急車が次々と受け入れの準備を開始した。
警官が盾になっていたお陰で、眠りについた子供達に、たいした被害は無かったが、数人の警官が殉職した結果となった。
規制線の外には、野次馬が集まっていた。
その多くが携帯端末で撮影したり情報を見ていたが、中の一人は違っていた様だ。
画面には【起爆】の文字が浮かんでいたのだ。
「戦って、人間を殺す為に産まれてきた戦獣達よ。君達の存在理由は完遂された。安らかに眠れ」
フードをしたソノ人物は、どう見ても人間の子供だった。
その子供は携帯を電話モードにして耳に当てる。
「父さん。ニューフェイスの暁達がでてきたよ。だから勿体ないけど爆死させた」
『そうか。ベルフェゴール、お前は大丈夫なのか?』
「僕は見届け人だかね。今回は失敗だけど、これでもいいんだよね?」
『何回かは問題ない。複数の場所を同時に殺れば済む話だ』
「分かった。じゃあ、これから帰るよ」
ベルフェゴールと呼ばれた子供は、人混みの中に姿を消した。
その子と話をしていたのは、実験体2666と呼ばれた存在。自称【魔王サタナエル】だった。
彼のモデルは【バフォメッド】という悪魔で、イスラム教の教祖を悪魔にイメージしたものだったが、彼は自分の存在を好んでいなかったので、その名を嫌って使わなかった。
代わりに用いたのがヘブライ語で敵対者を意味する【サタナエル】だったのだ。
彼は電話を終えると、また別の存在に電話をかけた。
半身が水中の彼は普通の携帯端末など使えないので、周囲にセットされた防水の通信機器でではあるが。
「ルシファー様、よろしいですか?」
『あぁ、兄さんですか?大丈夫ですよ。しかし、ここのところ、大活躍ですね』
ルシファーと呼ばれた者は、死にかけたサタナエルを助けた存在だが、同時に弟的存在でもあるらしい。
「今回は失敗しましたがね。次回は任務遂行してみせますよ」
『まだまだ活躍するんですね?』
「はい。リリスからのオーダーは、日本人を一割に減らす事ですから」
どうやらネフィリムは、日本人の大量虐殺を狙っていて、そのバックにはリリスという存在が居る様だ。
『それは【目標値】ですよね?完遂する必要はないのでしょ?』
「そうですが、各国のネフィリムが頑張っていますから、日本だけ手を抜く事はできませんよ」
『兄さん達は、方舟の事もあるし大変なんじゃないですか?』
ネフィリムは各国に存在し、彼達はキメラノイドの製作、技術者の拉致、女子供の虐殺以外にも、何かやっている様だった。
「それを言ったら、ルシファー様の方も大変なんでしょ?我々への資金援助や資材調達だけでなく、予想外に早く法案が可決してしまいましたから」
『資金援助は兎も角、そっちは我々が直接動いてませんからね。まぁ、まだ圧力は掛けてますけど』
日本のネフィリムの活動には、ルシファーと呼ばれる人物の支援が続いていたのだ。
そのルシファーは、日本の政治にも関わっているらしい。
「では、御互いに我々の未来の為に頑張りましょう」
『兄さんも無理はなさらない様にしてくださいね』
世の中に、純粋な悪など居ない。
誰もが優しい一面を持ち合わせているのだ。
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