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第二部三章 始末
離縁と人質
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武田信繁と遠山直廉の会談から一刻後。
「離縁……でございますか……」
直廉の居室に召し出された龍は、沈痛な表情を浮かべながら、父親から告げられた言葉を反芻した。
「うむ……」
哀しそうに目を伏せる娘を心配げに見つめながら、直廉は小さく頷いた。
「此度の事により、ワシは琴……お前の母と離縁する事に相成った」
「それは……やはり、武田様からの御命令で……?」
「うむ……それもある」
龍の問いかけに、どこか疲れた顔で頷いた直廉は、「……だが」と言葉を続ける。
「仮に、武田様が何も仰らなかったとしても、ワシの判断で、琴とは縁を切るつもりでおった。それだけの事を、彼奴はしおったからな。我が遠山家の今後を考えても、このまま何も咎める事無く捨て置く訳にはいかぬ……」
「……」
「お前には辛い話かもしれぬが……」
「……いえ」
父の言葉に、龍は気丈に首を横に振った。
「母様は、あのような事をなさったのですから、離縁は当然かと思います。むしろ、磔に処されずに済んで良かったというか……」
「……そうか」
取り乱す事無く淡々と答えた龍に、直廉は安堵の表情を向ける。
そんな彼に、龍はおずおずと訊ねた。
「それで……母様は、この後――?」
「うむ……」
直廉は、薄っすらと無精髭が伸びている頬を撫でながら、疲れた顔で龍の問いに答える。
「当初は、出家させて、尼僧として廣恵寺に預けようかとも思うたのだが、琴は頑として聞き入れず……結局、武田様とも話し合った上で、尾張に帰す事にした」
「尾張……織田家へですか?」
「うむ」
龍の問いかけに、直廉は頷いた。
「後々の事を考えれば、それが一番よかろうというのが、武田様のお考えじゃ。……ワシも、此度の事を契機として、織田家との繋がりを一切断つのが無難じゃと思うてな」
「……左様で御座いますか」
直廉の答えを聞いた龍は、寂しさと哀しさが入り混じった沈痛な表情を浮かべるが、それ以上は何も言わず、深々と頭を垂れる。
「……母様の事、畏まりました。わたしは、父様と武田様の御判断に従います」
「すまぬな、龍」
龍の了解の言葉にホッとする直廉だったが、彼女に告げなければならぬ事がもうひとつある事に思い至り、先ほどよりも辛そうな表情を浮かべた。
「それでな……龍よ」
「……はい?」
直廉の言葉に頭を上げ、怪訝そうな声で訊き返す龍。
そんな娘の顔を見るのが忍びなく、やや目を伏せて床の木目を見つめながら、直廉は言葉を継いだ。
「すまぬが……お前には、これから甲斐府中へと赴いてもらう事になる」
「……!」
直廉の言葉に、一瞬驚いて目を見開いた龍だったが、すぐにその意味するところを察する。
「それは……つまり、人質として――という事で御座いますか?」
「……」
龍の問いかけに、直廉は胸が締め付けられる思いで、小さく頷いた。
そんな父を見た龍は、僅かに戦慄く唇をきゅっと噛み――それから深々と頭を下げた。
「――承りました」
「龍……?」
予想外にあっさりと応諾した龍に驚き、目を丸くする直廉。
そんな父に微笑みを向けながら、龍は気丈に言う。
「……ご安心下さいませ、父様。わたしも、武家の娘で御座います。この乱世において、御家の為に他家へ人質として赴く事もあり得ると、日頃より覚悟しております」
「……さすが、ワシの娘ぞ」
直廉は、こみ上げるものを堪えるように目を瞑りながら娘を称賛し、何度も首を縦に振った。
そして、龍の毅然とした顔を潤んだ瞳で見つめながら、少し上ずった声で告げる。
「……なれば、数日中に甲斐へ出立できるよう、今から準備を調えよ」
「はい、畏まりました」
直廉の命に、龍は従順に首肯した。
そんな娘の顔を沈痛な表情で見つめながら、直廉は淡々と言葉を続ける。
「――甲斐までは、武田方の将と一緒の道行きとなる。呉々も粗相の無いようにするのだぞ」
「え……?」
直廉の言葉を聞いた龍は、彼が口にした『武田方の将』が誰なのかが少しだけ気になった。
彼女は、微かな不安に胸を高鳴らせながら、父親におずおずと訊ねる。
「父様……その、御一緒して頂くという武田方の将とは……一体どなた様でしょうか……?」
◆ ◆ ◆ ◆
一方、その頃、
「……は?」
二の丸御殿の客間で、左手を布で吊った諏訪四郎勝頼が、今しがた聞かされた言葉に思わず耳を疑い、唖然としていた。
「お、叔父上……今、何と仰られましたか?」
彼は上ずった声で、上座に座る叔父の信繁に恐る恐る訊き返す。
信繁は、そんな甥の顔を真っ直ぐに見据えながら、今しがた伝えた事をもう一度口にした。
「だから……お主は甲斐へ戻れと申した。聞こえなかったか?」
「しょ、承服しかねます!」
勝頼は、信繁が繰り返した命を聞くや、血相を変えて激しく頭を振る。
「こ、此度の私は、叔父上……典厩様の副将としてこの戦に参陣しております! なのに、まだ斎藤領にも入らぬ内に甲斐へ帰されなければならぬのですかッ?」
「四郎様、畏れながら……」
興奮して捲し立てる勝頼を宥めるように声をかけたのは、信繁の傍らに控えた武藤昌幸だった。
恭しく頭を下げた昌幸は、勝頼が首から吊っている左腕を指さした。
「先ほどの金創医の診立てで、骨は折れてはおらぬものの、これから更に酷く腫れあがるゆえ、妄りに動かしてはならぬと釘を刺されたでしょう? そのような、万全ならざる身で戦場へ赴く事は罷りならぬとの、典厩様の御判断で御座ります。武人の端くれとして、拙者も四郎様の御気持ちは痛いほど分かり申すが、ここはどうかお堪え下され」
「く……し、しかし……!」
「昌幸の申した通りだ、四郎よ」
昌幸の言葉に圧されつつも、なお不服そうな様子の勝頼に、信繁は厳しい声をかける。
「骨が折れていなかったのは幸いだったが、その腕では満足に戦えまい。お主はまだ若い。此度の戦には加われなくとも、後々にいくらでも機会があろう。だから、今はおとなしく退がり、ゆっくりと傷を癒す事だ」
「で……ですが、典厩様!」
信繁の言葉にも、勝頼は憤然と声を荒げた。だが、負傷した左腕に鈍い痛みが走ったのか、すぐに顔を顰め、微かな唸り声を上げる。
それでも彼は、信繁の顔をキッと見返しながら、気丈に叫んだ。
「……確かに、この左腕では、槍働きは難しいでしょう。ですが、軍配を振って隊の指揮を執る事や、知略を以て典厩様を傍らでお輔けする事は充分に可能に御座る! 然らば、退がる必要など御座りませぬ!」
「……」
「……お頼み申します! まだ、私は一隊の将としてはともかく、副将としては何の御役にも立てておりませぬ! 何も為さぬまま、おめおめと甲斐へ帰る事になっては、私を典厩様の副将へと任じて下さった御屋形様に対して顔向けが出来ませぬ……!」
「四郎様……」
昌幸は、必死に訴える勝頼に感じるものがあったのか、困ったような顔で信繁の横顔をチラリと見る。
信繁も、難しい顔をして、指で顎髭を撫でた。
「……」
「……」
「……」
暫しの間、客間に重苦しい沈黙が垂れ込める。
――その重い空気の中で沈黙を破ったのは、信繁だった。
「四郎よ……」
小さく溜息を吐いてから、勝頼の名を呼んだ信繁は、ハッと緊張する甥の顔をじっと見据えながら、穏やかな声で言葉を続ける。
「実はな……甲斐に戻るお主に、ひとつ任せたい事があったのだ」
「任せたい……事?」
「うむ」
訝しげな顔をして訊き返す勝頼に、信繁は大きく頷きながら言った。
「それは、他でもない――遠山家の人質として送られる遠山勘太郎の娘・龍姫を、躑躅ヶ崎館まで送り届ける役目だ」
「離縁……でございますか……」
直廉の居室に召し出された龍は、沈痛な表情を浮かべながら、父親から告げられた言葉を反芻した。
「うむ……」
哀しそうに目を伏せる娘を心配げに見つめながら、直廉は小さく頷いた。
「此度の事により、ワシは琴……お前の母と離縁する事に相成った」
「それは……やはり、武田様からの御命令で……?」
「うむ……それもある」
龍の問いかけに、どこか疲れた顔で頷いた直廉は、「……だが」と言葉を続ける。
「仮に、武田様が何も仰らなかったとしても、ワシの判断で、琴とは縁を切るつもりでおった。それだけの事を、彼奴はしおったからな。我が遠山家の今後を考えても、このまま何も咎める事無く捨て置く訳にはいかぬ……」
「……」
「お前には辛い話かもしれぬが……」
「……いえ」
父の言葉に、龍は気丈に首を横に振った。
「母様は、あのような事をなさったのですから、離縁は当然かと思います。むしろ、磔に処されずに済んで良かったというか……」
「……そうか」
取り乱す事無く淡々と答えた龍に、直廉は安堵の表情を向ける。
そんな彼に、龍はおずおずと訊ねた。
「それで……母様は、この後――?」
「うむ……」
直廉は、薄っすらと無精髭が伸びている頬を撫でながら、疲れた顔で龍の問いに答える。
「当初は、出家させて、尼僧として廣恵寺に預けようかとも思うたのだが、琴は頑として聞き入れず……結局、武田様とも話し合った上で、尾張に帰す事にした」
「尾張……織田家へですか?」
「うむ」
龍の問いかけに、直廉は頷いた。
「後々の事を考えれば、それが一番よかろうというのが、武田様のお考えじゃ。……ワシも、此度の事を契機として、織田家との繋がりを一切断つのが無難じゃと思うてな」
「……左様で御座いますか」
直廉の答えを聞いた龍は、寂しさと哀しさが入り混じった沈痛な表情を浮かべるが、それ以上は何も言わず、深々と頭を垂れる。
「……母様の事、畏まりました。わたしは、父様と武田様の御判断に従います」
「すまぬな、龍」
龍の了解の言葉にホッとする直廉だったが、彼女に告げなければならぬ事がもうひとつある事に思い至り、先ほどよりも辛そうな表情を浮かべた。
「それでな……龍よ」
「……はい?」
直廉の言葉に頭を上げ、怪訝そうな声で訊き返す龍。
そんな娘の顔を見るのが忍びなく、やや目を伏せて床の木目を見つめながら、直廉は言葉を継いだ。
「すまぬが……お前には、これから甲斐府中へと赴いてもらう事になる」
「……!」
直廉の言葉に、一瞬驚いて目を見開いた龍だったが、すぐにその意味するところを察する。
「それは……つまり、人質として――という事で御座いますか?」
「……」
龍の問いかけに、直廉は胸が締め付けられる思いで、小さく頷いた。
そんな父を見た龍は、僅かに戦慄く唇をきゅっと噛み――それから深々と頭を下げた。
「――承りました」
「龍……?」
予想外にあっさりと応諾した龍に驚き、目を丸くする直廉。
そんな父に微笑みを向けながら、龍は気丈に言う。
「……ご安心下さいませ、父様。わたしも、武家の娘で御座います。この乱世において、御家の為に他家へ人質として赴く事もあり得ると、日頃より覚悟しております」
「……さすが、ワシの娘ぞ」
直廉は、こみ上げるものを堪えるように目を瞑りながら娘を称賛し、何度も首を縦に振った。
そして、龍の毅然とした顔を潤んだ瞳で見つめながら、少し上ずった声で告げる。
「……なれば、数日中に甲斐へ出立できるよう、今から準備を調えよ」
「はい、畏まりました」
直廉の命に、龍は従順に首肯した。
そんな娘の顔を沈痛な表情で見つめながら、直廉は淡々と言葉を続ける。
「――甲斐までは、武田方の将と一緒の道行きとなる。呉々も粗相の無いようにするのだぞ」
「え……?」
直廉の言葉を聞いた龍は、彼が口にした『武田方の将』が誰なのかが少しだけ気になった。
彼女は、微かな不安に胸を高鳴らせながら、父親におずおずと訊ねる。
「父様……その、御一緒して頂くという武田方の将とは……一体どなた様でしょうか……?」
◆ ◆ ◆ ◆
一方、その頃、
「……は?」
二の丸御殿の客間で、左手を布で吊った諏訪四郎勝頼が、今しがた聞かされた言葉に思わず耳を疑い、唖然としていた。
「お、叔父上……今、何と仰られましたか?」
彼は上ずった声で、上座に座る叔父の信繁に恐る恐る訊き返す。
信繁は、そんな甥の顔を真っ直ぐに見据えながら、今しがた伝えた事をもう一度口にした。
「だから……お主は甲斐へ戻れと申した。聞こえなかったか?」
「しょ、承服しかねます!」
勝頼は、信繁が繰り返した命を聞くや、血相を変えて激しく頭を振る。
「こ、此度の私は、叔父上……典厩様の副将としてこの戦に参陣しております! なのに、まだ斎藤領にも入らぬ内に甲斐へ帰されなければならぬのですかッ?」
「四郎様、畏れながら……」
興奮して捲し立てる勝頼を宥めるように声をかけたのは、信繁の傍らに控えた武藤昌幸だった。
恭しく頭を下げた昌幸は、勝頼が首から吊っている左腕を指さした。
「先ほどの金創医の診立てで、骨は折れてはおらぬものの、これから更に酷く腫れあがるゆえ、妄りに動かしてはならぬと釘を刺されたでしょう? そのような、万全ならざる身で戦場へ赴く事は罷りならぬとの、典厩様の御判断で御座ります。武人の端くれとして、拙者も四郎様の御気持ちは痛いほど分かり申すが、ここはどうかお堪え下され」
「く……し、しかし……!」
「昌幸の申した通りだ、四郎よ」
昌幸の言葉に圧されつつも、なお不服そうな様子の勝頼に、信繁は厳しい声をかける。
「骨が折れていなかったのは幸いだったが、その腕では満足に戦えまい。お主はまだ若い。此度の戦には加われなくとも、後々にいくらでも機会があろう。だから、今はおとなしく退がり、ゆっくりと傷を癒す事だ」
「で……ですが、典厩様!」
信繁の言葉にも、勝頼は憤然と声を荒げた。だが、負傷した左腕に鈍い痛みが走ったのか、すぐに顔を顰め、微かな唸り声を上げる。
それでも彼は、信繁の顔をキッと見返しながら、気丈に叫んだ。
「……確かに、この左腕では、槍働きは難しいでしょう。ですが、軍配を振って隊の指揮を執る事や、知略を以て典厩様を傍らでお輔けする事は充分に可能に御座る! 然らば、退がる必要など御座りませぬ!」
「……」
「……お頼み申します! まだ、私は一隊の将としてはともかく、副将としては何の御役にも立てておりませぬ! 何も為さぬまま、おめおめと甲斐へ帰る事になっては、私を典厩様の副将へと任じて下さった御屋形様に対して顔向けが出来ませぬ……!」
「四郎様……」
昌幸は、必死に訴える勝頼に感じるものがあったのか、困ったような顔で信繁の横顔をチラリと見る。
信繁も、難しい顔をして、指で顎髭を撫でた。
「……」
「……」
「……」
暫しの間、客間に重苦しい沈黙が垂れ込める。
――その重い空気の中で沈黙を破ったのは、信繁だった。
「四郎よ……」
小さく溜息を吐いてから、勝頼の名を呼んだ信繁は、ハッと緊張する甥の顔をじっと見据えながら、穏やかな声で言葉を続ける。
「実はな……甲斐に戻るお主に、ひとつ任せたい事があったのだ」
「任せたい……事?」
「うむ」
訝しげな顔をして訊き返す勝頼に、信繁は大きく頷きながら言った。
「それは、他でもない――遠山家の人質として送られる遠山勘太郎の娘・龍姫を、躑躅ヶ崎館まで送り届ける役目だ」
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