涙が枯れて雨が降るとき

早月川 兎喪

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1.友達のいない彼女

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「誰からも好かれる人間」 本当にそんな人間が存在するのか。きっとそんな人間は存在しないであろう。
どんなに努力をしても誰かに嫌われるにきまっている。
そう思っていた。


四月七日    

高校二年生の始業式。
進級したばかりの新しいクラスでざわついた教室。
そんな中僕は窓から桜の見える一番後ろの席で音楽を聴いていた。

「君は誰かと話さないの?」

突然音楽とは違う音が混ざり込む。
声の方を見るとうっすら茶髪で髪が肩にかかるくらいの女の子がいた。

「僕は一人が好きなんだ。そういう君は誰とも話さない僕にしか話しかける人がいないの?」

迷惑そうな顔をした僕を見て彼女は微笑して答える

「私ね、父親の仕事の都合でこの村に昨日来たの。だから、友達とか知り合いがまだいないんだよね…」

「そーなんだ。」

「もしよかったらさ、学校終わった後一緒に村を案内してくれない?」

「嫌だよ。他の子に案内してもらいな。今日は弟に勉強教えるから」

「君、弟いないでしょ。嘘ついてる顔してる。」

「君はサイコパスか何かかい?」

「ほらー、やっぱ嘘だった。
嘘ついた罰として私を案内しなさい!
それから私は君じゃなくて奈美、上村     
奈美だから!」

「今日案内するから明日から関わらないでくれよ」

こうして僕と村上奈美との一日だけの関係が始まった。
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