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【29】祈り
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ロビンに手を引かれ学舎の外へと出ると、レオンハルトが言っていた通り頭上に青空が広がっていた。
降り注ぐ日差しに思わず手を翳していれば、ふと視界の奥にモランとキースの姿を見つける。木材や藁を運んでいるようで、様子から察するに昨日作り始めたであろう馬小屋まで持っていく道中のようだ。
「おはよう。朝から精が出るね」
「ん?ああ、グリフの兄さんとロビンか」
近付いて声を掛ければ向こうも漸く気付いたようで、こちらに振り返って笑顔を向ける。
「レオンは一緒じゃないのか?」
「えっ、あ、ああ…うん。ま、まあね…」
モランの口から出てきた男の名に、少し落ち着いていた筈のグリファートの心臓がまた跳ね出してしまう。
誤魔化しきれていない動揺を滲ませながら返事をすれば、隣のロビンが代わりとばかりに嬉しそうな顔でモランに返した。
「今日はお休みだから、今から聖女さまとお散歩する…!」
「そ、そう。たまには休息をとった方がいいってね」
「なるほどな。確かに、レオンも聖職者様も聖壁とこっちを行ったり来たりしてばっかだもんなあ」
良かったなロビン、とモランが言えば太陽に負けない眩しい笑みがロビンの顔に浮かんだ。
今日一日グリファートと一緒にいられる事がよほど嬉しいようだ。喜ぶロビンの姿にグリファートはむず痒さを覚えながらも、素直に嬉しいと感じてしまう。
モランも同じ気持ちなのか、木材を器用に片腕に抱え直すと空いた手でロビンの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「あ…そう言えば馬小屋の作業はどう?」
「順調ですよ。あとちょっとで完成ってとこですね」
思い出したようにグリファートが聞けばキースが返事をしながら指を差す。
視線を向けた先には確かに完成間際の馬小屋が見えた。
当たり前と言えばそうなのだが、キースが作ったと言っていた聖壁内の小屋よりも立派で大きい。
昨日作業をし始めたそれの完成がもう近いとは、流石の造形士だ。
「もう完成なんて凄いね。モランもだけど君も疲れてるだろうに」
「造形士サマほどじゃないですよ。俺はまだ若いんで」
「おいおい、俺が若くないって言いたいのかよ」
キースの言葉にモランが心外な、と言い返している。そのやりとりがまるで昨日のグリファートとレオンハルトのようではあるが、流石にもう動揺はしまい。
小さく咳払いしたグリファートの事にも気付かず、キースは呆れ顔で肩を竦めた。
「別にそうは言ってませんよ?トアも疲れたのかまだぐっすり家で寝てますし」
聞けばどうやらキースとトアは馬小屋近くの家に一緒に住むことにしたらしい。
昨日はキースと共に馬小屋を作りに行っていたが、雨に打たれただけでなく泣いた疲れも身体に残っているのだろう。
風邪は引いていないようなのでそこは安心だが、傷ついた心を癒すにはやはりゆっくりとした休息が大事である。
グリファートがそれを告げればキースから「…たまの休息すらないような人もいますからねぇ」と何やら含みを持った物言いをされたが、トアには伝えておくと返された。
「じゃ、そろそろ馬小屋を仕上げてくるか。完成したら見にきてくれよ二人とも」
そう言ってモランとキースは馬小屋のある方へと歩いて行く。ロビンと二人それを見送って、改めて散歩をする事にした。
「あー!聖職者様だー!」
「こんにちは」
「おお、聖職者様ではないですか」
オルフィスの街をロビンと練り歩いていればあちこちから声を掛けられる。
集会所のような大きな建物には日頃から人々が集まっているのか、畑で作物を収穫している者や遊んでいる子供達がいたりと賑わいを見せていた。
グリファートはレオンハルトと聖壁に顔を出してばかりのため、オルフィスをゆっくり見て回る機会も中々ないのだが、どうやらロビンもこうした場は慣れていないらしい。
集会所の光景に戸惑ったロビンはグリファートの後ろに一歩隠れるも、しかしそれを目敏く見つけた子供たちによってあっという間に輪の中へと入れられてしまった。
「あっ、ロビン……」
グリファートが手を伸ばすより早く、子供たちがロビンの手を取って駆け出していく。
助けた方がいいだろうかと考えている間にも、あれよあれよと子供たちの間で会話は進み、どうやら鬼ごっこをする事になってしまったらしい。
ロビンは初めこそおっかなびっくりといった風だったが、徐々にその表情を和らげ輪の中で遊びを楽しみ始めていた。
元より大人しい性格であるし、普段から学舎でひとり料理を作っている事が圧倒的に多いロビンだが、心配するほどの事でもなかったようだ。
子供たちと馴染んでいる様子を見てグリファートもホッと息を吐いた。
「あの、聖職者様」
ふいに声を掛けられグリファートは振り向いた。
見覚えのある女性と、彼女の夫らしき男性がこちらに向かって小さく頭を下げる。女性の方は確か、聖壁から避難する時にレオンハルトが魔力壁を張ろうとしていた妊婦だ。
「君は……」
「あれからお礼もできず、すみません。どうしてもお礼を言いたくて…」
夫婦はそう言うと、集会所の広場に設置された木製ベンチのところまでグリファートを促した。ベンチの付近には浄化の力によって蘇った木々が生えており、頭上から降り注ぐ陽の光が木漏れ日となって地面にゆらゆらと煌めいている。
グリファートは促されるままベンチに腰掛けた。
「妻のためにありがとうございました。私は少し遅れてこっちに避難したんですが、聖職者様が浄化してくださったお陰で、こうして無事に過ごしております」
「それなら良かった。体調も悪くないみたいだね」
「ええ」
妊婦は頷くと、夫と顔を見合わせながら表情を和らげた。妊婦の腹の大きさからして、出産も近いのではなかろうか。
広場の中央でキャッキャと駆け回る子供たちの声を聞きながら、グリファートの口元にも自然と笑みが浮かんだ。あの子供たちのように、生まれてくる命がどうか元気に成長していってくれたらと願う。
「それで、その…」
そんな思いをグリファートが抱いていれば、隣の妊婦がそっと何かを差し出してきた。
「これはせめてもの私たちからのお礼に…。こんなものでしか聖職者様にお返しができないのですけれど……」
妊婦がグリファートに差し出してきたものは、彼女が趣味で作ったという押し花の栞だった。
ぐるりを金の縁に覆われた上等そうな黒い紙の上、素朴ながらも可憐で愛らしい草花たちが風に吹かれて舞い踊っているかのようなデザインになっている。
手作りとはとても思えない、まるで小さな絵画とも言える上品なその出来に、芸術に疎いグリファートでも思わず目を奪われてしまった。
「こうして趣味の押し花をする余裕なんて今まではなかったのですけれど…」
「妻が心穏やかでいるとこの子も落ち着いているみたいで」
そう言いお腹を摩る妊婦に夫が寄り添って肩を抱く。
趣味とは思えない出来の栞を受け取りながら、グリファートも笑みを浮かべた。
「ありがとう、大事にするよ」
グリファートはそう言うと徐にベンチから立ち上がり、寄り添う夫婦の前に膝を着いた。指を折って両の手を重ね、目を瞑って頭を下げる。
戸惑うような「聖職者…?」と言う妊婦の声が聞こえたが、グリファートは構わず口を開いた。
「元気なお子が産まれるように、ここに祈ろう」
流れる雲の隙間から丁度顔を見せた陽の光が辺りを一層明るく照らす。
木漏れ日の下、グリファートの髪がまるで女神の銀翼かのように輝いていて、そのあまりに美しい光景に暫し息を飲んでいた夫婦は、ハッとしてから深く頭を下げた。
「…っ、ありがとう、ございます…」
「教会でもないし、女神様の加護もちょっと遠いけどね」
祈りを終えたグリファートに対し夫婦は「聖職者様に祈って頂き幸せです…」と涙ぐむ。
グリファートは大袈裟だなと苦笑いそうになったが、それだけ彼らも不安を抱えて過ごしてきたという事だろう。
何せ妊婦の腹にはかけがえのない我が子がいる。守りたい誰かがいる者は強くなれるが、同時に抱えきれない不安も抱いてしまうものだ。
(それを少しでも取り除けたなら、祈った甲斐がある)
互いに支え合う夫婦とその腹に宿る確かな命の幸せを祈り、グリファートはどこまでも優しく微笑んだ。
降り注ぐ日差しに思わず手を翳していれば、ふと視界の奥にモランとキースの姿を見つける。木材や藁を運んでいるようで、様子から察するに昨日作り始めたであろう馬小屋まで持っていく道中のようだ。
「おはよう。朝から精が出るね」
「ん?ああ、グリフの兄さんとロビンか」
近付いて声を掛ければ向こうも漸く気付いたようで、こちらに振り返って笑顔を向ける。
「レオンは一緒じゃないのか?」
「えっ、あ、ああ…うん。ま、まあね…」
モランの口から出てきた男の名に、少し落ち着いていた筈のグリファートの心臓がまた跳ね出してしまう。
誤魔化しきれていない動揺を滲ませながら返事をすれば、隣のロビンが代わりとばかりに嬉しそうな顔でモランに返した。
「今日はお休みだから、今から聖女さまとお散歩する…!」
「そ、そう。たまには休息をとった方がいいってね」
「なるほどな。確かに、レオンも聖職者様も聖壁とこっちを行ったり来たりしてばっかだもんなあ」
良かったなロビン、とモランが言えば太陽に負けない眩しい笑みがロビンの顔に浮かんだ。
今日一日グリファートと一緒にいられる事がよほど嬉しいようだ。喜ぶロビンの姿にグリファートはむず痒さを覚えながらも、素直に嬉しいと感じてしまう。
モランも同じ気持ちなのか、木材を器用に片腕に抱え直すと空いた手でロビンの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「あ…そう言えば馬小屋の作業はどう?」
「順調ですよ。あとちょっとで完成ってとこですね」
思い出したようにグリファートが聞けばキースが返事をしながら指を差す。
視線を向けた先には確かに完成間際の馬小屋が見えた。
当たり前と言えばそうなのだが、キースが作ったと言っていた聖壁内の小屋よりも立派で大きい。
昨日作業をし始めたそれの完成がもう近いとは、流石の造形士だ。
「もう完成なんて凄いね。モランもだけど君も疲れてるだろうに」
「造形士サマほどじゃないですよ。俺はまだ若いんで」
「おいおい、俺が若くないって言いたいのかよ」
キースの言葉にモランが心外な、と言い返している。そのやりとりがまるで昨日のグリファートとレオンハルトのようではあるが、流石にもう動揺はしまい。
小さく咳払いしたグリファートの事にも気付かず、キースは呆れ顔で肩を竦めた。
「別にそうは言ってませんよ?トアも疲れたのかまだぐっすり家で寝てますし」
聞けばどうやらキースとトアは馬小屋近くの家に一緒に住むことにしたらしい。
昨日はキースと共に馬小屋を作りに行っていたが、雨に打たれただけでなく泣いた疲れも身体に残っているのだろう。
風邪は引いていないようなのでそこは安心だが、傷ついた心を癒すにはやはりゆっくりとした休息が大事である。
グリファートがそれを告げればキースから「…たまの休息すらないような人もいますからねぇ」と何やら含みを持った物言いをされたが、トアには伝えておくと返された。
「じゃ、そろそろ馬小屋を仕上げてくるか。完成したら見にきてくれよ二人とも」
そう言ってモランとキースは馬小屋のある方へと歩いて行く。ロビンと二人それを見送って、改めて散歩をする事にした。
「あー!聖職者様だー!」
「こんにちは」
「おお、聖職者様ではないですか」
オルフィスの街をロビンと練り歩いていればあちこちから声を掛けられる。
集会所のような大きな建物には日頃から人々が集まっているのか、畑で作物を収穫している者や遊んでいる子供達がいたりと賑わいを見せていた。
グリファートはレオンハルトと聖壁に顔を出してばかりのため、オルフィスをゆっくり見て回る機会も中々ないのだが、どうやらロビンもこうした場は慣れていないらしい。
集会所の光景に戸惑ったロビンはグリファートの後ろに一歩隠れるも、しかしそれを目敏く見つけた子供たちによってあっという間に輪の中へと入れられてしまった。
「あっ、ロビン……」
グリファートが手を伸ばすより早く、子供たちがロビンの手を取って駆け出していく。
助けた方がいいだろうかと考えている間にも、あれよあれよと子供たちの間で会話は進み、どうやら鬼ごっこをする事になってしまったらしい。
ロビンは初めこそおっかなびっくりといった風だったが、徐々にその表情を和らげ輪の中で遊びを楽しみ始めていた。
元より大人しい性格であるし、普段から学舎でひとり料理を作っている事が圧倒的に多いロビンだが、心配するほどの事でもなかったようだ。
子供たちと馴染んでいる様子を見てグリファートもホッと息を吐いた。
「あの、聖職者様」
ふいに声を掛けられグリファートは振り向いた。
見覚えのある女性と、彼女の夫らしき男性がこちらに向かって小さく頭を下げる。女性の方は確か、聖壁から避難する時にレオンハルトが魔力壁を張ろうとしていた妊婦だ。
「君は……」
「あれからお礼もできず、すみません。どうしてもお礼を言いたくて…」
夫婦はそう言うと、集会所の広場に設置された木製ベンチのところまでグリファートを促した。ベンチの付近には浄化の力によって蘇った木々が生えており、頭上から降り注ぐ陽の光が木漏れ日となって地面にゆらゆらと煌めいている。
グリファートは促されるままベンチに腰掛けた。
「妻のためにありがとうございました。私は少し遅れてこっちに避難したんですが、聖職者様が浄化してくださったお陰で、こうして無事に過ごしております」
「それなら良かった。体調も悪くないみたいだね」
「ええ」
妊婦は頷くと、夫と顔を見合わせながら表情を和らげた。妊婦の腹の大きさからして、出産も近いのではなかろうか。
広場の中央でキャッキャと駆け回る子供たちの声を聞きながら、グリファートの口元にも自然と笑みが浮かんだ。あの子供たちのように、生まれてくる命がどうか元気に成長していってくれたらと願う。
「それで、その…」
そんな思いをグリファートが抱いていれば、隣の妊婦がそっと何かを差し出してきた。
「これはせめてもの私たちからのお礼に…。こんなものでしか聖職者様にお返しができないのですけれど……」
妊婦がグリファートに差し出してきたものは、彼女が趣味で作ったという押し花の栞だった。
ぐるりを金の縁に覆われた上等そうな黒い紙の上、素朴ながらも可憐で愛らしい草花たちが風に吹かれて舞い踊っているかのようなデザインになっている。
手作りとはとても思えない、まるで小さな絵画とも言える上品なその出来に、芸術に疎いグリファートでも思わず目を奪われてしまった。
「こうして趣味の押し花をする余裕なんて今まではなかったのですけれど…」
「妻が心穏やかでいるとこの子も落ち着いているみたいで」
そう言いお腹を摩る妊婦に夫が寄り添って肩を抱く。
趣味とは思えない出来の栞を受け取りながら、グリファートも笑みを浮かべた。
「ありがとう、大事にするよ」
グリファートはそう言うと徐にベンチから立ち上がり、寄り添う夫婦の前に膝を着いた。指を折って両の手を重ね、目を瞑って頭を下げる。
戸惑うような「聖職者…?」と言う妊婦の声が聞こえたが、グリファートは構わず口を開いた。
「元気なお子が産まれるように、ここに祈ろう」
流れる雲の隙間から丁度顔を見せた陽の光が辺りを一層明るく照らす。
木漏れ日の下、グリファートの髪がまるで女神の銀翼かのように輝いていて、そのあまりに美しい光景に暫し息を飲んでいた夫婦は、ハッとしてから深く頭を下げた。
「…っ、ありがとう、ございます…」
「教会でもないし、女神様の加護もちょっと遠いけどね」
祈りを終えたグリファートに対し夫婦は「聖職者様に祈って頂き幸せです…」と涙ぐむ。
グリファートは大袈裟だなと苦笑いそうになったが、それだけ彼らも不安を抱えて過ごしてきたという事だろう。
何せ妊婦の腹にはかけがえのない我が子がいる。守りたい誰かがいる者は強くなれるが、同時に抱えきれない不安も抱いてしまうものだ。
(それを少しでも取り除けたなら、祈った甲斐がある)
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