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エルフの巫女たち
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オメオの家は、精密な物を作る工房にもなっていて、近所の家と繋がっていた。プラント部品の大きなものを作る工房は、港側に有るそうで、機会があったら見学させてくれると言っていた。私は、とりあえず、スーザンがくれた服をもう一度羽織った。目立つのは、酒宴の席だけで十分。
工房に入ると、何人かがまだ働いていた。
「オメオ、今日は、宴会なんだって」
「そうよ。ダイオが息子を連れてきたのよ」
「そりゃ、楽しみだ」
「それより、バイオシステムに、胎水を入れてくれない。錦のメンテナンスがしたいのよ」
「なんだって。そんなもの、何処にある」
「この子が着ているのよ。後で紹介するけど、エルフの家を再興するんだって」
「ミランダです」
「詳しく聞かせろ」
それを聞きつけた、工房の人が、何人も集まって来た。
「ドレイクが話すのが、筋じゃないか。他の仕事はいいから、錦のメンテナンスをしておくれよ」
「任せろ」
「ミランダは、エルフなのか」
「あの」
「後でいいだろ。それに、サラマンダー家の姫だよ、この子は」
「そりゃすごい」
「この人たちもトップ技師さんなんですか」
「短なる極つぶしさ」
「ひどいな、オメオ」
「わしらは、熟練工だぞ」
「ミランダを着替えさせるから、後は頼んだよ」
「わかった」
「こりゃ、ビールがうまそうだ」
ダイオ訪問というのは、もう、町中に広まっているようだ。これじゃあ、船に積んであったビール10樽で、足りるはずがないと、頭をひねった。
「行くわよ。こっちが我が家よ」
「おかあさーん」
「お帰り」
子供たちが出迎えてくれた。私は、この子たちの手を取って、「ミランダよ」と、あいさつした。みんな可愛い。
「オメオさん、ダイオの船には、ビールが10樽しかありませんでしたけど、足りるんですか。なんだか、町中で、宴会みたいな雰囲気なんですけど」
「町中だよ。私らは、ドワーフだよ。土の魔法の真骨頂は、増殖魔法よ。10樽も使わないさ。もったいない。ここは、人工降雨だから、天気は自由さ。宴会の時は雨を降らさないのよ。城の前の中央広場で宴会よ」
「あー」
納得
「私は、食事の準備をするから、その部屋で着替えてね。それをココに、さっき、一番最初に話しかけて来たビールっ腹に渡してね」
「はい」
コンピューター、ここの機材って不思議。分かる?
― 旋盤とか圧縮機械だろ。機械や機材の骨組みを作るやつだ。中には、よく見ないと分からないのもあるけど。こんなの、火の国でも作れると思うぞ。
ふーーーん、全然分かんないや
― 女の子は、機械が苦手なだけだぞ。ヒロが分かるから、気にするな
分かった
オメオは、出迎えてくれた子供たちと食堂に向かった。
ヒロは、防護服って言ってたけど、錦を脱いで、普通の服を着た。エイブラハムは、巫女服の下に、下着をつけるなって言ってたけど、着けててよかった。じゃあないとすーすーする。
「ココさん、錦です。私もメンテナンスしているところを見ていていいですか」
「いいですぞ。姫様」
ココが、バイオシステムに向かうと、熟練工の人達が2人付いて来た。なんだか、光っている窓ガラスがいっぱい並んでいる所と、巫女服を入れる巨大なガラス瓶の横に付いてココに、OKサインを出している。この真新しい物が珍しくて、いちいちコンピューターに聞くのだが、面倒だから、寝ているときに、いっぺんに教えると言って取り合ってくれない。
作業が始まった。巫女服は、瓶の中に吊るされた。
「今、バイオタンクの中に入れているのは、胎水です。これには、人間が感じる感覚と同じ微量な電気が流れております」
ココさんが、一生懸命説明してくれているけど、わからないわ。コンピューター、ココさんに相槌がうてるぐらいは、解説して
― 人が痛いとかくすぐったいというのは、神経があるからだろう。神経は脳に、その感覚を伝えている。それと同じ状態を、この瓶の中で再現しているんだ。錦は、体に密着している。第二の皮膚のようなものだよ
ふーん
「ココさん、胎水って、赤ちゃんが、お腹の中にいるときの水ですよね。錦は、そんな感じになっているんですか」
「そうですぞ。この服には、オパール結晶が、とても多く含まれていますからな。情報を通信して、自己修復機能の能力状態なんかを確認しとるんです」
えーー、解説して
― 錦に含まれているオパールは、多分エルフの成分が結晶化して宝石になった物だ。この宝石には、いろいろな機能がついているようだ。ちょっとぐらい綻びても、自分で治すみたいだぞ
「自分で、自分を治しちゃうんですか。すごい。近くで見ていいですか」
― どこもほころびていないだろ
なんだか、最近、小さいところまで、良く見えるのよね。気になるじゃない
「どうぞ」
私は、ガラス瓶に手をつけて被りつくように錦を見た。
「ココ、なんか変だ。見ろ、胎水が青く発光しだした」
「状態はどうだ。異常なのか」
パネル側のドワーフが振り向いた。
「正常だ。でも、処理しきれない情報が、飛び交っているようだぞ。だから発光している」
この時、私は、古のエルフの巫女が見ている夢を見ていた。錦を通して、多くの巫女が、この服にそでを通していたことが分かっる。彼女たちは、凛としていて、とても気高いのだが、みんな一様にやさしい微笑みを浮かべている。
一人の巫女が、私に手を差し伸べた。私は、その手を取ろうと前に進んだ。
― ・・ミランダ。おい、ミランダ
あれ?ここはどこ
― パオとオメオの工房だろ
巫女様たちは、何処に行ったの
― 何言ってる・・・、何だこりゃ、神経シナプスの伝達物質が大量に増殖されているぞ。ミランダ、何をインプットされた
よく覚えていない。でも、歴代の巫女様に会ったわ
「ココ、胎水の光が収まりだした。なんだったんだ今のは?」
「わからん」
「計器は、ずっと正常だ。作業を続けていもいいか」
「そうしてくれ。ミランダ姫、ちょっとトラブルがありました。バイオタンクから離れてもらえますか」
「ごめんなさい」
「おっ、オメオが迎えに来た。こっちは任せて行ってくだされ」
まだ夕方には早いが、私は、オメオのおいしい夕飯をいただくことになった。
工房に入ると、何人かがまだ働いていた。
「オメオ、今日は、宴会なんだって」
「そうよ。ダイオが息子を連れてきたのよ」
「そりゃ、楽しみだ」
「それより、バイオシステムに、胎水を入れてくれない。錦のメンテナンスがしたいのよ」
「なんだって。そんなもの、何処にある」
「この子が着ているのよ。後で紹介するけど、エルフの家を再興するんだって」
「ミランダです」
「詳しく聞かせろ」
それを聞きつけた、工房の人が、何人も集まって来た。
「ドレイクが話すのが、筋じゃないか。他の仕事はいいから、錦のメンテナンスをしておくれよ」
「任せろ」
「ミランダは、エルフなのか」
「あの」
「後でいいだろ。それに、サラマンダー家の姫だよ、この子は」
「そりゃすごい」
「この人たちもトップ技師さんなんですか」
「短なる極つぶしさ」
「ひどいな、オメオ」
「わしらは、熟練工だぞ」
「ミランダを着替えさせるから、後は頼んだよ」
「わかった」
「こりゃ、ビールがうまそうだ」
ダイオ訪問というのは、もう、町中に広まっているようだ。これじゃあ、船に積んであったビール10樽で、足りるはずがないと、頭をひねった。
「行くわよ。こっちが我が家よ」
「おかあさーん」
「お帰り」
子供たちが出迎えてくれた。私は、この子たちの手を取って、「ミランダよ」と、あいさつした。みんな可愛い。
「オメオさん、ダイオの船には、ビールが10樽しかありませんでしたけど、足りるんですか。なんだか、町中で、宴会みたいな雰囲気なんですけど」
「町中だよ。私らは、ドワーフだよ。土の魔法の真骨頂は、増殖魔法よ。10樽も使わないさ。もったいない。ここは、人工降雨だから、天気は自由さ。宴会の時は雨を降らさないのよ。城の前の中央広場で宴会よ」
「あー」
納得
「私は、食事の準備をするから、その部屋で着替えてね。それをココに、さっき、一番最初に話しかけて来たビールっ腹に渡してね」
「はい」
コンピューター、ここの機材って不思議。分かる?
― 旋盤とか圧縮機械だろ。機械や機材の骨組みを作るやつだ。中には、よく見ないと分からないのもあるけど。こんなの、火の国でも作れると思うぞ。
ふーーーん、全然分かんないや
― 女の子は、機械が苦手なだけだぞ。ヒロが分かるから、気にするな
分かった
オメオは、出迎えてくれた子供たちと食堂に向かった。
ヒロは、防護服って言ってたけど、錦を脱いで、普通の服を着た。エイブラハムは、巫女服の下に、下着をつけるなって言ってたけど、着けててよかった。じゃあないとすーすーする。
「ココさん、錦です。私もメンテナンスしているところを見ていていいですか」
「いいですぞ。姫様」
ココが、バイオシステムに向かうと、熟練工の人達が2人付いて来た。なんだか、光っている窓ガラスがいっぱい並んでいる所と、巫女服を入れる巨大なガラス瓶の横に付いてココに、OKサインを出している。この真新しい物が珍しくて、いちいちコンピューターに聞くのだが、面倒だから、寝ているときに、いっぺんに教えると言って取り合ってくれない。
作業が始まった。巫女服は、瓶の中に吊るされた。
「今、バイオタンクの中に入れているのは、胎水です。これには、人間が感じる感覚と同じ微量な電気が流れております」
ココさんが、一生懸命説明してくれているけど、わからないわ。コンピューター、ココさんに相槌がうてるぐらいは、解説して
― 人が痛いとかくすぐったいというのは、神経があるからだろう。神経は脳に、その感覚を伝えている。それと同じ状態を、この瓶の中で再現しているんだ。錦は、体に密着している。第二の皮膚のようなものだよ
ふーん
「ココさん、胎水って、赤ちゃんが、お腹の中にいるときの水ですよね。錦は、そんな感じになっているんですか」
「そうですぞ。この服には、オパール結晶が、とても多く含まれていますからな。情報を通信して、自己修復機能の能力状態なんかを確認しとるんです」
えーー、解説して
― 錦に含まれているオパールは、多分エルフの成分が結晶化して宝石になった物だ。この宝石には、いろいろな機能がついているようだ。ちょっとぐらい綻びても、自分で治すみたいだぞ
「自分で、自分を治しちゃうんですか。すごい。近くで見ていいですか」
― どこもほころびていないだろ
なんだか、最近、小さいところまで、良く見えるのよね。気になるじゃない
「どうぞ」
私は、ガラス瓶に手をつけて被りつくように錦を見た。
「ココ、なんか変だ。見ろ、胎水が青く発光しだした」
「状態はどうだ。異常なのか」
パネル側のドワーフが振り向いた。
「正常だ。でも、処理しきれない情報が、飛び交っているようだぞ。だから発光している」
この時、私は、古のエルフの巫女が見ている夢を見ていた。錦を通して、多くの巫女が、この服にそでを通していたことが分かっる。彼女たちは、凛としていて、とても気高いのだが、みんな一様にやさしい微笑みを浮かべている。
一人の巫女が、私に手を差し伸べた。私は、その手を取ろうと前に進んだ。
― ・・ミランダ。おい、ミランダ
あれ?ここはどこ
― パオとオメオの工房だろ
巫女様たちは、何処に行ったの
― 何言ってる・・・、何だこりゃ、神経シナプスの伝達物質が大量に増殖されているぞ。ミランダ、何をインプットされた
よく覚えていない。でも、歴代の巫女様に会ったわ
「ココ、胎水の光が収まりだした。なんだったんだ今のは?」
「わからん」
「計器は、ずっと正常だ。作業を続けていもいいか」
「そうしてくれ。ミランダ姫、ちょっとトラブルがありました。バイオタンクから離れてもらえますか」
「ごめんなさい」
「おっ、オメオが迎えに来た。こっちは任せて行ってくだされ」
まだ夕方には早いが、私は、オメオのおいしい夕飯をいただくことになった。
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