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一人称オデの男しかいない異世界
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ここはいわゆる剣と魔法のファンタジー世界。
「さあ、冒険もそろそろ中盤だドね」
「ああ、そうだな」
「…あ、あのー」
「んー?暴走トラックに跳ね飛ばされて転生して来たDK勇者くん、どうしたド?」
「…い、いや今更なんだけどさ。典型的パワーファイターな君はともかく、どうしてパーティーキャラ全員一人称オデなの。行く先々で出会うNPC男性も全員オデキャラだし」
「…もう4月程も旅しているのに本当に今更だな。この世界の男は皆一人称がオデなのだ」
「そ、そうなの。銀髪痩躯でクールな細剣使いの君が一人称オデとか違和感凄まじいんですけど」
「まあ、異世界から来た君的にはそうだろうけどさ。オデたち皆そうだしそういう世界だし慣れなよ」
「…い、いや物腰柔らかな吟遊詩人でCV花江〇樹の君も致命的にオデ呼び似合わないし。普通そこは僕とかでしょ」
「うーん、そうは言ってもねえ。伝承で別の男性一人称が存在すると知ってはいたけど、オデも実際に目にするのは初めてだし。この世界でオデ以外の一人称を使う男性なんてよっぽどの狂人しかいないと思うよ」
「…そ、そうなの」
「ああ、この世界の真実を知って発狂した天才科学者も一人称は最期までオデだったしな」
「…い、いや一人称オデの天才科学者とか普通無いでしょ」
「えー、それはオデ差別だド」
「うん、偏見は良くないよ」
「え、えー…。正直オデキャラ多すぎて精神的に疲れるから女性キャラ加入しないかなあ」
「うーん、流れ的にそろそろ新しいキャラ来ても良いと思うけど。でもたまに女性でもオデ使う人いるよ」
「ああ、男勝りな奴などはそうだな」
「えー、オレっ娘みたいな感じか」
「おうお前ら!オデは正義感溢れる盗賊団の首領の娘だがお前ら面白そうだし、オデも連れて行け!」
「あーほら、こういう感じの子とかさ」
「…え、えー…」
仕方なくおてんば義賊のオデっ娘を仲間に加え、更に少し後。
「うーん、もう冒険もかなり進んで終盤近いドね」
「ああ、最近は無いが初代PSで言うとDISC2の終盤あたりだな」
「…な、何で異世界の君達が初代PS知ってんの」
「まあ異世界転生してくる人達は昔からたまにいたし、次元移動や宇宙の真理について研究してた例の天才科学者とかもいるからさ」
「…な、なるほど。あの後更に数名仲間増えたけど、結局皆男でオデキャラだし…」
「ああ、家族を皆殺しにしたあのクソ魔王を殺した時、オデの復讐の旅も終わる」
「…う、うん。闇深いCV梶〇貴の復讐者な君も絶対オデってタイプじゃないよね…」
「…軟禁されていたものの何不自由なく侯爵家の子息として過ごしていたけど、実は数年前例の科学者の部下に凶悪兵器として利用するべく造られたクローンだったと知ってもう何もかもどうでも良くなったオデだけど。こんなオデにも何か出来る事があるといいな」
「…そ、そうだね。最初は典型的な高慢な箱入り息子だったけどその真実を知ってから相当卑屈になったCV鈴木〇尋の君も気の毒だけどやっぱオデ似合わなさすぎるし」
「色々闇の深い子達が多いけど、オデはきっと皆幸せになれると信じているよ」
「…飄々とした糸目でCV石〇彰の君も違和感凄すぎるし絶対この後裏切るよね。ってかこのパーティー地味に声優陣豪華だな」
「さあ、何か秘密があるっぽい魔王の城ももうすぐだよ。オデ達皆強くなったし普段は可愛い小動物姿だけど本気出すと巨大な聖獣になるマスコットキャラもいるし、きっと勝てるよ。ねえ聖獣くん」
「オデオデー!!」
「…鳴き声までオデだし…」
相当居心地悪いながらも仕方なく魔王の城へ乗り込み死闘を繰り広げ、若干の犠牲者は出てしまったものの僕達は何か秘密があるっぽい魔王をどうにか討伐した。
ラストダンジョン突入直前に糸目のCV石〇彰の青年はやっぱ裏切り、貴重な戦力が抜けてかなり大変だった。
魔王が崩れ落ちた瞬間、天上から伝承でだけ存在が示唆されていた最高神が現れて僕達に語り掛けた。
「…勇者達よ、感謝する。こやつは遥か昔オデが完璧な存在になるため切り捨て地上に封じた弱さや悪の心の化身なのだ」
「ああ、そうだったのですか」
「…最高神まで…」
「…オデの半身よ、済まなかった。この若者達を見ていて、弱さや闇は目を背け切り捨てる物では無いと悟った。再び一つになり、これからはずっとお前と共に生きて行こう」
「…オデはもう、一人では無いのか」
「うん、良かったね」
「…やっぱ魔王もだし…」
そうして半身の魔王と融合し本来の姿となった最高神は去って行き、僕達の長い旅は終わった。
「いやー、パーティーやNPCキャラから数人犠牲は出てしまったけど、終わって良かったドね」
「…そうだね。CV梶〇貴の復讐者の彼は魔王に特攻を仕掛けて散ったけど、最期は満足そうで良かった」
「まあ、来世ではきっと幸せになれるし、ギャグ時空の別世界線では元気にやってるから大丈夫だよ」
「…そ、そうなんだ」
「…オデも自爆するつもりでいたんだけど、オデを庇って死んで融合したオリジナルのあいつの分も、オデ頑張って生きて行こうと思うよ」
「…う、うんそれは良かったんだけどやっぱ一人称でぶち壊しだし…」
「生まれた意味を知れて良かったな」
「糸目のCV石〇彰の彼は最後の最後に魔王に一撃与えてどこかに去って行ったね」
「結局あいつは何をしたかったんだろうな」
「典型的なトリックスターだドね」
「やー、オデももうすっかり大盗賊だな!お前ら楽しかったよ、またな!」
「…う、うん元気でね…」
そうして闇深クローンの子は祖国へ戻り、僕達を送り出した王国に帰還後。
「ああ、君すごく頑張ってくれたからこの国の王様が養子にしたいってさ」
「名君と誉れ高いオデオン王の世継ぎになれるなんて凄いド、良かったドね」
「ああ、ごく普通のDKからは異例の大出世だし良かったな」
「オデオデー!」
「…い、いや何か居心地悪すぎるから申し訳無いけど帰ります…」
「えー、超もったい無いドー」
そんな訳で世継ぎを丁重にお断りし僕はさっさと元の世界に帰った。
僕の世界も世界で殺人鬼うろついてたり暴走トラックしょっちゅう出たりデスゲーム人気だったり相当アレだがオデ以外の一人称に久々に触れられて心の底から安堵した。
※二週目以降限定で挑める超強い狂人の裏ボスだけは一人称俺。
「さあ、冒険もそろそろ中盤だドね」
「ああ、そうだな」
「…あ、あのー」
「んー?暴走トラックに跳ね飛ばされて転生して来たDK勇者くん、どうしたド?」
「…い、いや今更なんだけどさ。典型的パワーファイターな君はともかく、どうしてパーティーキャラ全員一人称オデなの。行く先々で出会うNPC男性も全員オデキャラだし」
「…もう4月程も旅しているのに本当に今更だな。この世界の男は皆一人称がオデなのだ」
「そ、そうなの。銀髪痩躯でクールな細剣使いの君が一人称オデとか違和感凄まじいんですけど」
「まあ、異世界から来た君的にはそうだろうけどさ。オデたち皆そうだしそういう世界だし慣れなよ」
「…い、いや物腰柔らかな吟遊詩人でCV花江〇樹の君も致命的にオデ呼び似合わないし。普通そこは僕とかでしょ」
「うーん、そうは言ってもねえ。伝承で別の男性一人称が存在すると知ってはいたけど、オデも実際に目にするのは初めてだし。この世界でオデ以外の一人称を使う男性なんてよっぽどの狂人しかいないと思うよ」
「…そ、そうなの」
「ああ、この世界の真実を知って発狂した天才科学者も一人称は最期までオデだったしな」
「…い、いや一人称オデの天才科学者とか普通無いでしょ」
「えー、それはオデ差別だド」
「うん、偏見は良くないよ」
「え、えー…。正直オデキャラ多すぎて精神的に疲れるから女性キャラ加入しないかなあ」
「うーん、流れ的にそろそろ新しいキャラ来ても良いと思うけど。でもたまに女性でもオデ使う人いるよ」
「ああ、男勝りな奴などはそうだな」
「えー、オレっ娘みたいな感じか」
「おうお前ら!オデは正義感溢れる盗賊団の首領の娘だがお前ら面白そうだし、オデも連れて行け!」
「あーほら、こういう感じの子とかさ」
「…え、えー…」
仕方なくおてんば義賊のオデっ娘を仲間に加え、更に少し後。
「うーん、もう冒険もかなり進んで終盤近いドね」
「ああ、最近は無いが初代PSで言うとDISC2の終盤あたりだな」
「…な、何で異世界の君達が初代PS知ってんの」
「まあ異世界転生してくる人達は昔からたまにいたし、次元移動や宇宙の真理について研究してた例の天才科学者とかもいるからさ」
「…な、なるほど。あの後更に数名仲間増えたけど、結局皆男でオデキャラだし…」
「ああ、家族を皆殺しにしたあのクソ魔王を殺した時、オデの復讐の旅も終わる」
「…う、うん。闇深いCV梶〇貴の復讐者な君も絶対オデってタイプじゃないよね…」
「…軟禁されていたものの何不自由なく侯爵家の子息として過ごしていたけど、実は数年前例の科学者の部下に凶悪兵器として利用するべく造られたクローンだったと知ってもう何もかもどうでも良くなったオデだけど。こんなオデにも何か出来る事があるといいな」
「…そ、そうだね。最初は典型的な高慢な箱入り息子だったけどその真実を知ってから相当卑屈になったCV鈴木〇尋の君も気の毒だけどやっぱオデ似合わなさすぎるし」
「色々闇の深い子達が多いけど、オデはきっと皆幸せになれると信じているよ」
「…飄々とした糸目でCV石〇彰の君も違和感凄すぎるし絶対この後裏切るよね。ってかこのパーティー地味に声優陣豪華だな」
「さあ、何か秘密があるっぽい魔王の城ももうすぐだよ。オデ達皆強くなったし普段は可愛い小動物姿だけど本気出すと巨大な聖獣になるマスコットキャラもいるし、きっと勝てるよ。ねえ聖獣くん」
「オデオデー!!」
「…鳴き声までオデだし…」
相当居心地悪いながらも仕方なく魔王の城へ乗り込み死闘を繰り広げ、若干の犠牲者は出てしまったものの僕達は何か秘密があるっぽい魔王をどうにか討伐した。
ラストダンジョン突入直前に糸目のCV石〇彰の青年はやっぱ裏切り、貴重な戦力が抜けてかなり大変だった。
魔王が崩れ落ちた瞬間、天上から伝承でだけ存在が示唆されていた最高神が現れて僕達に語り掛けた。
「…勇者達よ、感謝する。こやつは遥か昔オデが完璧な存在になるため切り捨て地上に封じた弱さや悪の心の化身なのだ」
「ああ、そうだったのですか」
「…最高神まで…」
「…オデの半身よ、済まなかった。この若者達を見ていて、弱さや闇は目を背け切り捨てる物では無いと悟った。再び一つになり、これからはずっとお前と共に生きて行こう」
「…オデはもう、一人では無いのか」
「うん、良かったね」
「…やっぱ魔王もだし…」
そうして半身の魔王と融合し本来の姿となった最高神は去って行き、僕達の長い旅は終わった。
「いやー、パーティーやNPCキャラから数人犠牲は出てしまったけど、終わって良かったドね」
「…そうだね。CV梶〇貴の復讐者の彼は魔王に特攻を仕掛けて散ったけど、最期は満足そうで良かった」
「まあ、来世ではきっと幸せになれるし、ギャグ時空の別世界線では元気にやってるから大丈夫だよ」
「…そ、そうなんだ」
「…オデも自爆するつもりでいたんだけど、オデを庇って死んで融合したオリジナルのあいつの分も、オデ頑張って生きて行こうと思うよ」
「…う、うんそれは良かったんだけどやっぱ一人称でぶち壊しだし…」
「生まれた意味を知れて良かったな」
「糸目のCV石〇彰の彼は最後の最後に魔王に一撃与えてどこかに去って行ったね」
「結局あいつは何をしたかったんだろうな」
「典型的なトリックスターだドね」
「やー、オデももうすっかり大盗賊だな!お前ら楽しかったよ、またな!」
「…う、うん元気でね…」
そうして闇深クローンの子は祖国へ戻り、僕達を送り出した王国に帰還後。
「ああ、君すごく頑張ってくれたからこの国の王様が養子にしたいってさ」
「名君と誉れ高いオデオン王の世継ぎになれるなんて凄いド、良かったドね」
「ああ、ごく普通のDKからは異例の大出世だし良かったな」
「オデオデー!」
「…い、いや何か居心地悪すぎるから申し訳無いけど帰ります…」
「えー、超もったい無いドー」
そんな訳で世継ぎを丁重にお断りし僕はさっさと元の世界に帰った。
僕の世界も世界で殺人鬼うろついてたり暴走トラックしょっちゅう出たりデスゲーム人気だったり相当アレだがオデ以外の一人称に久々に触れられて心の底から安堵した。
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