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自殺更生島の剣闘士
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「そういえばさ、ここの島に来て脱走しようとしたりまた自殺未遂しちゃったりした子って最悪元の暮らしに戻されたりで大半懲りるって事だったけど、それでも懲りない子とかいたの?」
「うん、本当に一握りだけどやっぱ時折はいたね」
「ふーん。そういう子って最終的にどうなったの?基本ここ殺す事は無いって事だったけど」
「うん、もう何度言ったり元の体に戻して反省させてもそれでも死ぬ気満々の子は、そんなに死にたいならせめて人の役に立てって、いわゆる剣闘士みたいな事させたりしたの」
「へー、ここそんな施設もあるんだ」
「うん、かなり倫理的に問題あるから更生終わった子にしか存在は明かさないけどね。まあそういうのが好きな富裕層とかがこっそり見に来てるの」
「あーまあ、本当にあるのか知らないけどデスゲーム好きな人とかはそういうの好きかもね」
「まあ、この世界全体的に危ない所あるけど流石にデスゲームは実在しないとは思うけどね」
「で、戦わせたりするって事は体は治してあげるんだ?」
「んー、髪とか手足とかはそのままだけどそれ以外の部位は治してあげて、手足も普通に動けるようにちゃんとした義肢は付けてあげる。んで当然皆一般人だし、すぐにやられちゃったらつまらないから試合の時以外は戦闘訓練させるの。元軍隊の人とか呼んでね」
「ふーん、そうなんだ」
「で、当然敵に突っ込んで行って自殺は出来ないように義肢や体にそういう事しようとしたら苦痛を感じるような装置を付けて、ちゃんと戦わせるようにするの。かなりギリギリまで戦わせるけど、負けて大ケガしたら死ぬ前にちゃんと治療はするしね」
「あー、やっぱ殺しはしないんだ」
「うん、もう罰に近い特別措置とはいえ基本殺したりはしないよ。それでもやっぱり時には助からない子も出ちゃったらしいけどね。そんな子は本当に数えるくらいみたい」
「そっか。ある意味本望とは言え死んじゃった子可哀想だね」
「それで、もちろん常日頃死ぬ気満々で猛獣とか戦闘機械とかと戦ってる訳だけど、観客から期待されたり声援を受けてるうちにそういう子達も大体は生きがいを感じて、自分の存在価値を見出していくんだよね」
「あー、それなら良かったね」
「で、そんな感じで完全に死ぬ気が無くなったら、義肢が高性能だしかなり戦闘慣れもしてるからもちろん仮のだけど戸籍を与えてあげて、紛争地帯とかに傭兵みたいな感じで行ってもらって世界平和の為に戦ってもらうの」
「うん、それは良いね」
「うん。やっぱ容赦ないとはいえ更生施設だから、大半はちゃんと生きる意味を与えて立ち直らせてあげるよ」
「ああ、もうすぐ某国からこのキャンプに援軍が来るよ。一名だが相当の手練れとの事だ」
「そうなのですか。劣勢なので助かりますね」
それから間もなく、ジープに乗って援軍の兵士が来た。
その人は四肢全てが義肢で、短く刈り込んだ頭髪の女性だった。
「お待たせしました。数日ですがよろしくお願いします」
「…ええ、よろしくお願いいたします。深くは伺いませんが、大変ですね」
「いえ、お気になさらず。…これは直接ではないものの、自分の行いの結果ですので」
「…ああ、そうなのですか」
「…少し自分の話になり申し訳ありませんが。私は昔些細な事で生きるのが嫌になり、自殺未遂を繰り返しました」
「ですが失敗しては医師や救助した者に注意され諭される事を繰り返すも私は反省せず、最終的にある場所へ連れていかれ重い罰を科せられました。…これは表沙汰には出来ない事ですので、ご内密に願います」
「…そうなのですか。はい、分かりました」
「今にして思えばどうにでも解決は出来た事ですが、当時の私には死ぬ以外に無いとしか思えない事でした。…その結果、詳細は言えませんがある意味死よりも辛い処遇を受ける事になり、数年ずっとその状態で生かされ続けました」
「数年経ちどうにか最低の状態は脱する事が出来ましたが、私の死への渇望は変わりませんでした。辛うじて自由に動けるようになった私は、すぐにまた自死を試みました」
「しかし厳重な監視が付いていたのですぐに見つかり、私はとても叱られ諭されましたが自死をしようと繰り返し、何度かはその場所に連れて来られて間もない状態に戻されました」
「…そうだったのですか、大変ですね」
「…すべては済んだ事ですし、別の道を考えたり変わろうとしなかった私の怠慢です。そうしてそんな事を繰り返しているうちに、私は別の処遇を受ける事となりました」
「私は当時収容されていた場所の中でも一際隔離された地にある施設に連れて行かれ、この義肢を与えられ通常通りに活動できるようにされ、猛獣や戦闘用の機械、時には重罪を犯した者と戦わされる事となりました。もちろん犯罪者は表向きには死刑にされた事にしてですが」
「…我々の国にも地下ではそういった催しはあるそうですが、貴女の国もあるのですか」
「ええ、当然全ての国では無いでしょうが、ある程度豊かな国ではそういった物も多いそうです。やはり大抵は秘密裏に行われていると思いますがね」
「…そうして無抵抗で敵に襲われたり自滅したりは出来ないように処置をされ、日々そこで戦わされていくうちに、私の世界は少しずつ変わって行きました」
「初めは当然早く殺されたいと願っていましたが重症を負う度にすぐに手厚く治療され、観客達から声援を浴びるうちに取るに足りない、何の取り柄も無いと思っていた私は初めて存在を認められたような気がしました」
「そんな日々が数年続き、私はその場所でも指折りの強者となっていました。…そしてある日、私と同じ境遇で戦わされていた同じくかなりの手練れの少女と戦う事となりました」
「…お互い似た物同士という事で気は進みませんでしたが戦闘を放棄する事は出来ない為、私達は命を懸けてぶつかり合い、長い切り結びの末僅差で私が勝利しました」
「…すぐに治療はされましたが彼女の傷は深く、残念ながら助かりませんでした」
「…今際の際に彼女が呟いた言葉は、今も忘れられません」
「やっと人生楽しくなって来たのに、嫌だ、死にたくないと。…その言葉を聞いた時、私は彼女の分も生きようと決めました」
「それを私を教育管理していた人に伝えた所、私は許されその処罰を受けずに済む事になりました」
「それからはこうして傭兵として、個人の出来る範囲でですが戦わせていただいています。…以前は毛髪も全く生えていませんでして、特にその頃にはもう気にしていなかったのですが気の毒なのでと少し生えるようにして頂きました」
「…ああ、そのような事があったのですね。…本当に、大変な人生を歩んでこられましたね」
「…救護や保護された時に事態を打開する提案も色々されましたが、真剣に聞かず短慮な行動を繰り返した私の責任です。あの場に連れて来られ数年はとても辛かったですが、今となってはその罰を受けて良かったと思っています」
「そうでしたか。それならば良かったです」
「…私的な話をしてお時間を取らせ済みません。では、戦地へ向かいましょう」
「ええ、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。命の限り戦わせて頂きます」
「うん、本当に一握りだけどやっぱ時折はいたね」
「ふーん。そういう子って最終的にどうなったの?基本ここ殺す事は無いって事だったけど」
「うん、もう何度言ったり元の体に戻して反省させてもそれでも死ぬ気満々の子は、そんなに死にたいならせめて人の役に立てって、いわゆる剣闘士みたいな事させたりしたの」
「へー、ここそんな施設もあるんだ」
「うん、かなり倫理的に問題あるから更生終わった子にしか存在は明かさないけどね。まあそういうのが好きな富裕層とかがこっそり見に来てるの」
「あーまあ、本当にあるのか知らないけどデスゲーム好きな人とかはそういうの好きかもね」
「まあ、この世界全体的に危ない所あるけど流石にデスゲームは実在しないとは思うけどね」
「で、戦わせたりするって事は体は治してあげるんだ?」
「んー、髪とか手足とかはそのままだけどそれ以外の部位は治してあげて、手足も普通に動けるようにちゃんとした義肢は付けてあげる。んで当然皆一般人だし、すぐにやられちゃったらつまらないから試合の時以外は戦闘訓練させるの。元軍隊の人とか呼んでね」
「ふーん、そうなんだ」
「で、当然敵に突っ込んで行って自殺は出来ないように義肢や体にそういう事しようとしたら苦痛を感じるような装置を付けて、ちゃんと戦わせるようにするの。かなりギリギリまで戦わせるけど、負けて大ケガしたら死ぬ前にちゃんと治療はするしね」
「あー、やっぱ殺しはしないんだ」
「うん、もう罰に近い特別措置とはいえ基本殺したりはしないよ。それでもやっぱり時には助からない子も出ちゃったらしいけどね。そんな子は本当に数えるくらいみたい」
「そっか。ある意味本望とは言え死んじゃった子可哀想だね」
「それで、もちろん常日頃死ぬ気満々で猛獣とか戦闘機械とかと戦ってる訳だけど、観客から期待されたり声援を受けてるうちにそういう子達も大体は生きがいを感じて、自分の存在価値を見出していくんだよね」
「あー、それなら良かったね」
「で、そんな感じで完全に死ぬ気が無くなったら、義肢が高性能だしかなり戦闘慣れもしてるからもちろん仮のだけど戸籍を与えてあげて、紛争地帯とかに傭兵みたいな感じで行ってもらって世界平和の為に戦ってもらうの」
「うん、それは良いね」
「うん。やっぱ容赦ないとはいえ更生施設だから、大半はちゃんと生きる意味を与えて立ち直らせてあげるよ」
「ああ、もうすぐ某国からこのキャンプに援軍が来るよ。一名だが相当の手練れとの事だ」
「そうなのですか。劣勢なので助かりますね」
それから間もなく、ジープに乗って援軍の兵士が来た。
その人は四肢全てが義肢で、短く刈り込んだ頭髪の女性だった。
「お待たせしました。数日ですがよろしくお願いします」
「…ええ、よろしくお願いいたします。深くは伺いませんが、大変ですね」
「いえ、お気になさらず。…これは直接ではないものの、自分の行いの結果ですので」
「…ああ、そうなのですか」
「…少し自分の話になり申し訳ありませんが。私は昔些細な事で生きるのが嫌になり、自殺未遂を繰り返しました」
「ですが失敗しては医師や救助した者に注意され諭される事を繰り返すも私は反省せず、最終的にある場所へ連れていかれ重い罰を科せられました。…これは表沙汰には出来ない事ですので、ご内密に願います」
「…そうなのですか。はい、分かりました」
「今にして思えばどうにでも解決は出来た事ですが、当時の私には死ぬ以外に無いとしか思えない事でした。…その結果、詳細は言えませんがある意味死よりも辛い処遇を受ける事になり、数年ずっとその状態で生かされ続けました」
「数年経ちどうにか最低の状態は脱する事が出来ましたが、私の死への渇望は変わりませんでした。辛うじて自由に動けるようになった私は、すぐにまた自死を試みました」
「しかし厳重な監視が付いていたのですぐに見つかり、私はとても叱られ諭されましたが自死をしようと繰り返し、何度かはその場所に連れて来られて間もない状態に戻されました」
「…そうだったのですか、大変ですね」
「…すべては済んだ事ですし、別の道を考えたり変わろうとしなかった私の怠慢です。そうしてそんな事を繰り返しているうちに、私は別の処遇を受ける事となりました」
「私は当時収容されていた場所の中でも一際隔離された地にある施設に連れて行かれ、この義肢を与えられ通常通りに活動できるようにされ、猛獣や戦闘用の機械、時には重罪を犯した者と戦わされる事となりました。もちろん犯罪者は表向きには死刑にされた事にしてですが」
「…我々の国にも地下ではそういった催しはあるそうですが、貴女の国もあるのですか」
「ええ、当然全ての国では無いでしょうが、ある程度豊かな国ではそういった物も多いそうです。やはり大抵は秘密裏に行われていると思いますがね」
「…そうして無抵抗で敵に襲われたり自滅したりは出来ないように処置をされ、日々そこで戦わされていくうちに、私の世界は少しずつ変わって行きました」
「初めは当然早く殺されたいと願っていましたが重症を負う度にすぐに手厚く治療され、観客達から声援を浴びるうちに取るに足りない、何の取り柄も無いと思っていた私は初めて存在を認められたような気がしました」
「そんな日々が数年続き、私はその場所でも指折りの強者となっていました。…そしてある日、私と同じ境遇で戦わされていた同じくかなりの手練れの少女と戦う事となりました」
「…お互い似た物同士という事で気は進みませんでしたが戦闘を放棄する事は出来ない為、私達は命を懸けてぶつかり合い、長い切り結びの末僅差で私が勝利しました」
「…すぐに治療はされましたが彼女の傷は深く、残念ながら助かりませんでした」
「…今際の際に彼女が呟いた言葉は、今も忘れられません」
「やっと人生楽しくなって来たのに、嫌だ、死にたくないと。…その言葉を聞いた時、私は彼女の分も生きようと決めました」
「それを私を教育管理していた人に伝えた所、私は許されその処罰を受けずに済む事になりました」
「それからはこうして傭兵として、個人の出来る範囲でですが戦わせていただいています。…以前は毛髪も全く生えていませんでして、特にその頃にはもう気にしていなかったのですが気の毒なのでと少し生えるようにして頂きました」
「…ああ、そのような事があったのですね。…本当に、大変な人生を歩んでこられましたね」
「…救護や保護された時に事態を打開する提案も色々されましたが、真剣に聞かず短慮な行動を繰り返した私の責任です。あの場に連れて来られ数年はとても辛かったですが、今となってはその罰を受けて良かったと思っています」
「そうでしたか。それならば良かったです」
「…私的な話をしてお時間を取らせ済みません。では、戦地へ向かいましょう」
「ええ、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。命の限り戦わせて頂きます」
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