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時々交流する大罪人

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「ねえ君。たまには別の苦行者の子と会ってみようか」
(はい、分かりました)

「じゃあ連れて行くからね。まあ当然直接お話は出来ないけど、触れ合って何となく心は通じるし、僕が通訳するから」
(はい、お願いします)


「はい、連れて来たよ。別の子とくっつけるね」
(ありがとうございます…ああ、やはりこの子も傷だらけですね)

「まあ、苦行者は皆同じ体にしてるからね。女の子でも基本髪は生えなくなるし。僕はまあだいぶ可哀想だからって事で生やしてもらってたんだけどね」

(ああ、そうなのですか)

「うん、この子もよろしくって言ってるよ」
(私からもよろしくとお伝えください。…この子は何をしてしまったのでしょうか)


「この子も僕と似たような感じでね。中世くらいのある大貴族の領主の娘さんだったんだけど、領地の罪人や戦の敵国兵に容赦のない刑罰を与えて、何人も処刑したり、取り返しの付かない傷を負わせたんだ」
(…ああ、なるほど)

「まあ、そういう国のそんな時代に生まれてしまったし、そうしなければ生きていけないような教育を父からされてしまったから可哀想な子なんだけどね。実際根本的には悪じゃ無いし、本当に可哀想な身分の子には慈悲を与えて雇ったりした」
(…そうなんですね。では私なんかより、ずっと立派ですね)

「うん、典型的な戦時中の英雄だね。その国では功績も相当立てたし、罪を犯していない領民からは慕われていたし。年貢はそれなりに取り立てていたけど、理不尽なほどじゃ無いし」
(…そうですか)

「とは言っても相当な事をしてしまったし、やっぱり神様も罰さない訳には行かなかったから死後は苦行者になって貰ったけどね。救った人も相当いたから、200年ちょっとくらいで許されるよ」
(それなら良かったです)


「彼女も十分に酷い事をした自覚はあるし、責め苦も納得しているよ。まあ彼女がやったのと同じくらいの責め苦は与えているけどね」
(早く、許されると良いですね)

「彼女も君のした事肯定は出来ないけど、そういう貴族や支配者たくさん見て来たし、政略結婚させられたのは可哀想にって言っているよ」
(…ありがとう)

「実際に親族にほぼ同じ事をされて荒んで、苦行者になるほどじゃなかったものの地獄に落ちた子もいたって言うし」
(…その子も、可哀想ですね)


「まあ神様も分かっている通り鬼じゃ無いし、そういう子には最後には慈悲を下さるよ」
(でしたら良かったです)

「それでね。この子結構そういう趣味だったっていうし、まあ手足無いから抱き合うのは無理だけど、しばらく触れ合っても良いかって」
(ええ、私もたまにそういう事してたし、良いですよ)

「じゃあ僕が抱き上げて、キスとかするから。口割かれちゃってるし舌無いからあんまり気持ち良くなくてごめんね」
(はい、大丈夫です)


「うん、彼女も久しぶりに女の子と触れ合えて嬉しいって。少しこのまま眠ってもいいかって言ってるよ」
(ええ、私も気持ちいいし構いません)

「じゃあ、少ししたら起こすから。おやすみ」
(はい、おやすみなさい)


「何時間か経ったよ。そろそろ帰ろうか」
(はい、よろしくお願いします。会えて良かったとこの子にお伝えください)

「うん、この子も会えて嬉しかったって言ってるよ」
(はい、私もいつかまた会いたいです)

「うーん。ごめんね。刑期が違うから残念だけどそれは無理かな」
(…ああ、でしたら仕方ないですね)

「こればっかりはごめんね。じゃあ、また抱き上げて帰るから」
(はい、お願いします)


数百年後。

「ああ、そういえば昔私が会ったあの子は今どうしているのでしょうか」
「うん、彼女は癒し番になろうか結構悩んだみたいだけど、最終的には転生したよ」
「そうでしたか。幸せになれているのでしたら良かったです」

「うん、やっぱりもう同じような生まれはしたくないって事で、割と裕福だけど普通の家に生まれ育って、優秀な賢者になったよ」
「ああ、素敵ですね」
「それでもう残酷な事はしないで普通に人々を救って、賢者だから相当寿命も長くて、今も元気にやっているよ」
「ああ、でしたら良かったです」

「それで、かつて救った部下や身内の生まれ変わりの子達も多く一緒に居て、幸せにやってるよ」
「ふふ、それは良かったです」


「まあ、あの子相当なサディストだから、そういう事は一応同意の上でやっぱりしちゃうみたいだけどね」
「そ、そうなのですか。少し怖いです」
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