ショートショート集

異世界転生株式会社

「あー、ベテランドライバーの〇〇さん。ごく普通のDK跳ねてきてくださーい。もちろん罪には問われないように裏から手を回しますんで」

「で、比較的良識のある殺人鬼の〇〇さんは、このサラリーマン刺して来て下さい。隠密スキル長けてるから大丈夫だと思いますが捕まらないよう気を付けてくださいね」


「それから裏でそういう事してる〇〇さんは、この子酸で満たされた浴槽に突っ込んで来てください」
「い、いやそれぐちゃぐちゃになっちゃうけど大丈夫なんですか」

「あーはい、転生後速攻で優秀な錬金術師なりマッドサイエンティストなりに拾われて全身改造するように手配するので大丈夫ですよ」

「そ、それならまあいいけど大変でしょその子」
「あーでもこの子、自分の顔とか身分に超コンプレックス持っててもう自殺も考えちゃってる子なんで、まあ超痛いけど生まれ変われて嬉しいと思うんで大丈夫ですよ」

「そ、それなら良いんですけど。にしてもひどいな。まあ仕事だからやるけど」


「そういう訳でほんと申し訳無いけどごめんねー。すぐ転生するから」（ジュウウウウウ）
「ぎ、ぎゃーーーー」


「はーい、終業でーす。皆さん今日もお疲れ様でしたー」
「お疲れ様でーす」

「いやー。数年前に始めたベンチャー企業のわが社もすっかり順調ですね」
「ああ、異世界転生は需要の高まる一方だからな」

「僕も前の会社リストラされて若干自殺も考えてた所なので、天職に就けて良かったです」
「ああ、君もある意味異世界転生かもな」

「よーし、明日も転生派遣頑張るぞー！！！」


※酸に突っ込まれた子の転生後

「いやー。超痛くて死にかけたけど優秀な人に拾われて全身改造されて綺麗なお人形みたいになれて良かったなー」

「昔の顔大嫌いだったし、暴力は振るわれないけど親最低で大嫌いだったし。まあめちゃくちゃ痛かったけど転生できて良かったなー」

「やっぱりメンテとかは定期的に要るけどそれ以外はすごく調子良いし強いし。死にかけて転生したせいかかなり強くなって魔法も使えるようになったし」

「よーし、悪の魔術師退治頑張るぞー」

「あー君ね、これからまあありがちなオークにアレされた女騎士とか実は優しい盗賊とか、食を極めたくて旅に出た孤高の料理人とか星の意思が実体化した何かよくわからない設定の子とかそんな感じの奴らが仲間になるから」
「あー、確かにありがちですね」

「まあ君相当強いし大丈夫だよ。じゃあ頑張ってね」
「はーい」