たっくんとゆうちゃん

第四章

アカネの昔の話

俺は大金持ちとは言えないものの、そこそこの名家の生まれで、何不自由ない生活を送っていた。

学力は若干アレだったが、身体能力はもともと高く、スポーツ推薦も決まったのでそれなりの中学に行けた。


そんな訳で何も問題ない平穏な暮らしを送っていたが、中学に上がる前のある日突然、遠い親戚のかぐやが行方不明になった。

それ程面識がある訳では無いが結構仲良しだったので、当然心配した。
俺も可能な限り知り合いに頼ったりして探し回ったが、やっぱり見つからず数年が過ぎた。

俺が中学の２年に上がった頃、ようやくかぐやは発見されたが、想像を上回る凄惨な状態だった。

俺は何でここまで人間に酷い事が出来るのかと衝撃で、かぐやの事を思うと本当に悲しくなった。
何不自由なくのうのうと日々を送っていた自分が、心底嫌いになった。


かぐやのお見舞いにすぐ行きたかったが、そんな自分がどんな声をかけられるのかと思うと、怖くて行けなかった。

詳細は不明だが、その後間もなく優秀なお医者さんにかかれ、ほぼ元通りになれたと聞いた時は本当に嬉しかった。


でもやっぱり、俺は合わせる顔が無いと思ったので、会いに行くことはできなかった。
そんな意気地なしの自分が、より一層嫌いになった。

こんな自分に、何か思い切り罰が当たれば良いのにと日々思うようになった。

それから間もなく、本当に罰が当たり、当然熱くて苦しかったけど、それで少し楽になれた気がした。


その後速攻で組織に保護されかぐやと再会し、ようやく自分は救われた気がした。
まあ当然熱いのは嫌だけど、炎属性使えるようになったのは恰好いいし、かぐやや仕事仲間の皆も楽しくて良い奴ばかりだし、火事に遭って良かったと思う。