たっくんとゆうちゃん

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第二章

御堂さんについて

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アカネもすっかり馴染んだある日の事。

「あー、今度のお仕事。やっぱり仇討ちくん程や無いにしても、かなり難しそうなんで俺も行くわ」
「え、そういう事もあるんですね」
「うん、滅多にないけど、危険度高いのはあるよ」
「僕も御堂さんと一緒の、かなり久しぶりです」
「俺も、初めてだ」
「よろしくお願いしまーす!」

そんな訳で、早速。


「えーっとね。今回のお相手さんは。まあ相当可哀想な昭和初期の子」

「…たっくんみたいにすごく小さい頃、手足切られて見世物小屋に売られちゃってね。まあ毎日すごく嫌な事されてたの」

「で、死ねないように猿轡されてたんだけど、ある日うっかり付け忘れて、そのまま舌噛んで死んじゃってね」
「もうずっとその辺りに良く出て、酷い事した奴らの子孫や、あと通りすがりの人呪ってるの」

「…本当に、可哀想ですね」
「…たっくんには辛いお仕事させちゃって、ごめんね。しんどいならお休みしても良いよ」
「…いえ、俺、行きます」

「…そっか。じゃあ早速、行こうか」

その綺麗な公園には、ちょうど旬の彼岸花がたくさん咲いていた。

皆で少し待った後、彼女は現れた。


「…ゆるさない、ゆるさない。もう見ないで。触らないで。嫌な事、しないで」

長い黒髪の可愛らしい和服を着込んだ少女は、芋虫のようにぐねぐねと身体をくねらせていた。

「…もう誰も、嫌な事しないよ」
「うん、早く助けてあげよう」
「…呪言を唱える」
「…うん、俺も頑張る」

「じゃ、皆行くで」

御堂さんはゆうちゃんより少し長い日本刀を構え、彼女に踏み込んだ。


確かに彼女は相当に強かった。呪いを強烈に振りまき、鋭い衝撃派を出したり、瘴気を辺りに撒き散らしたりした。
大地が腐り、彼岸花がみるみる枯れて行った。


「…いったたた」
ゆうちゃん達も頑張ってかわしているものの、衝撃派にあちこち切り裂かれていた。

かぐやも一生懸命呪言を唱え、アカネも精一杯援護射撃してくれた。

「…おし、これで行けるな。たっくん、お札お願い」

御堂さんが彼女を袈裟斬りにし、力なくうずくまる彼女に優しくお札を貼り、俺は彼女を義手で抱きしめた。

「…本当に、辛かったね」
「…お兄ちゃんも、同じなの」
「…うん。俺は、助けて貰えたけど」
「…そっか。良かったね」
「…うん。君も、もう大丈夫だよ」
「…ありがとう」

彼女は静かに泣き、すっと消えて行った。

「…彼岸花綺麗だけど、もっと可愛い花お供えしてあげたかったな」
「…どっか近くのお花屋さんで、花束買ってあげようよ」
「…うん、そうだね」

「あー、服ぼろぼろになっちゃった。まあ皆、お疲れさん」
「あれ、御堂さんも義手だったんですか?長袖と手袋で気づかなかった」
「ああうん、片方だけね。昔まあ色々あってね」
「…そうなんですか。大変ですね」
「んー、でもまあ、たっくんなんて手足全部ほぼばっさりやん。…その後相当長い間酷い目に遭っとったし」

「まあだからたっくんに比べたら、こんなんかすり傷みたいなもんよ」
「…そう思って頂けたら、良かったです」
「それにさ。たっくん本当に可哀想なのに、毎日すごく明るいやん。そういう元気なたっくん、本当に偉いと思うよ」
「はい、ありがとうございます!」


「他の皆も、結構ケガさせちゃってごめんね」
「うんまあ、僕強いしすぐ治せるんで大丈夫です」
「…俺も、呪法があるので」
「あーうん俺も切り傷だらけだけどこのくらい絆創膏貼っておけばすぐ治るんで!」

「たっくんも抱きしめる時、呪いちょっと受けちゃったでしょ。大丈夫?」

「あーうん。少し頭痛いけど、たぶんこのくらいなら平気」
「良かった。後ですぐお清めしとこうね」
「うん、ありがと」


「じゃあ、お花買って備えたら、帰りに皆でご飯食べようか!」
「あー俺サイゼが良い!」
「僕デニーズ!」
「俺は和食食べたいんで大戸屋がええなー」
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