たっくんとゆうちゃん

kromin

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第一章

ゆうちゃんの生い立ち

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俺がこなした2件目の任務は、廃墟になった産婦人科だった。

「えっとね。今回は昭和中期くらいに閉鎖した産婦人科で、まあ要するに水子の霊とかがたくさん出て取り壊しできないの」
「そっか、分かった。水子可哀想だね」
「うん、何も悪い事してないのにかわいそうだよね。早く成仏させてあげようね」

そうして、俺達は軽快に廃墟の診療所にやって来た。

「やっぱり年季は入ってるけど、レトロで良い感じだね」
「うん、お手入れは定期的にされてるからね。さ、行こう」

そう、俺達はからからと木製の引き戸を開ける。

「おじゃましまーす」
「うん、やっぱり如何にもな感じだね」
「しょうがないけど、堕胎の用具とか色々あるしね」

「あー、この辺に溜まってるね。さあ、行こう」
「うん、分かった」

そうして俺達は呪符や霊刀を構える。

おぎゃあおぎゃあ、おかあさんおかあさんと泣き叫ぶ水子の霊たちを出来る限り優しく鎮めて行く。

「はい、お疲れ様。たっくん全くケガしてないね」
「うん。今回は全然平気だった」

「あー、ここから湧いてたんだね」

そうゆうちゃんが床板を引きはがすと、そこには胎児のホルマリン漬けが大量にあった。

「…可哀想だね」
「うん。持って帰って、ちゃんと火葬して祭ってあげようね」

俺達は何度かに分けてその瓶を持って帰って、待機してくれていたトラックに積み込んでいった。

「あ、そういえばさ。ゆうちゃん相当特殊な生い立ちって言ってたけど、どんな感じなの?」
「あーうん。僕いわゆる人造人間でさ。まあ倫理的に相当アレだから極秘で造られたんだけどね」
「そ、そうなんだ」
「うん。脳みそとか目とか色んなパーツばらばらで造られて、組み立てられたし」
「う、うわあ」
「まあすぐ組み立てられたし、その頃僕意識無かったし全然良いんだけどね」

「そういう訳で僕、名前無いんだ。一応製造番号とかコードネームはあるし、戸籍上の名前はあるんだけどね」
「…そ、そうなんだ。何か大変だね」
「んー別にどうも思ってないしいいよ。君のつけてくれたゆうちゃんって名前気に入ってるし」

「じゃ、積み込み終わったし帰ろ!」
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