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アレ奴隷時代の皮を被ってる子

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「あ、ちょっと久しぶりだね。やっほー」
「あ、お母さん。元気そうで良かった」

「うん、君も大変だったけどもうすっかり普通の姿で良かったよ」
「そうだね。誰かにされたわけじゃ無くて生まれつきだけど、僕全身の皮が無かったもんね」


「うん。赤ちゃん産みまくってたしアレ過ぎる世界だし、どうしても時々奇形の子とか呪われてる子も出ちゃったよね。仕方ないとは言えそんな体で産んじゃってごめんね」
「良いよ。お母さん悪く無いし、お母さんこそ僕以上にひどい姿で長年生かされてきたんだしさ」

「まあ私ド変態だしあの姿大好きだったし全然良いんだけどね。触覚しか無いからあの時はそんな酷い姿で産んじゃったなんて気付けなくて悪い事しちゃったけどさ」

「うん、やっぱりそれも仕方ないし、不死とはいえ慣れるまでかなり痛かったけど、まあ数年経ったらなんとかなったし。外部から酷い事されたわけじゃ無いとはいえかなりひどい状態だったから素質結構上がったしさ」
「あー確かに。君の防御力アップの呪文役立ったよ。ありがとね」


「うん、直接戦闘はそんなに強く無いけど貢献出来て良かったよ。それで引き取り手からちゃんと愛情は受けてたから、ある程度の歳になった時お母さんの皮を鞣した物買い与えてもらって、手足は剥きだしだったけど結構楽になれたしさ」
「あー確かに。私時々皮全部剥がれて売りに出されたりしてたし。超痛いけど気持ち良くて興奮するし速攻治るし全然良いんだけどさ」

「…う、うんごめん。それはかなり引く…」
「あーもう全世界からドン引きされる覚悟はしてるから良いよ」


「あーでもさ。君の与えられた皮かなり初期のマジで酷い内容のタトゥーしか彫られてない奴だったから可哀想だよね。糞豚とか最下級便器とか汎用肉奴隷とかさ」
「…うん、でも僕娼館から買われたって聞いたから想像は付いてたけどさ。手足無くてこんな酷いタトゥー彫られた皮見て想像以上で悲しくなったよ」

「…うん、仕方ないけどそんな気持ちにさせちゃってごめんね」
「良いよ。やっぱりお母さん何も悪く無いしさ。それで僕、いつか必ずお母さんに会って助けてあげたいって思ったんだよね。優しいし皮は買ってくれたけど里親そんなに裕福じゃ無いし、一般市民だから表立ってレジスタンス活動支援は出来なかったけどさ」

「それでもそう思ってくれるだけ嬉しいよ。結構かかったけどちゃんと再会出来たしさ」
「うん。お母さんと会った時、義肢だけどちゃんとした姿になれてて嬉しかった」
「うん、もうあの子と会って戦闘員中心にしてからそこそこ経った頃だったからね」


「…僕以上にひどい境遇の子もいるんだろうなとは思ってたけど、あの子本当に可哀想だったね。全身身売りされた子や兄弟家族殺されちゃった子とかもだけどさ」

「…そうだね。皆受け入れて前向きにやってたから良かったけどね。義理だけど引き取り先で仲良かった兄弟殺されちゃった子とかもいたしさ」
「ああ、珍しく良い身分の家に買われた子ね」
「うん、あの子もあの子でしんどかったけど立派にやってて偉いよね」


「まあそれから結構かかったけど、魔王倒して呪い解けて僕も普通の姿になれたし。家族殺されちゃった子とかは生き返らなくて可哀想だけど、皆天国で元気にやってたし良かったよね」
「うん、それが分かって良かったよね」


「…それでさ。まあお母さんやあの子とだいぶベクトルは違うけど、お母さんの皮被るの大好きだし、一人の時だけだけどたまにあの頃の姿に戻る事あるんだよね」
「あーわかるわかる。そういう子結構いるもんね。戻らなくて今の体好きでずっとそのままの子とかもいるし。お人形の子とかサイボーグの子とか」
「うん、それは個人の自由だよね」

「あーでもさ。あのクソ酷い内容のタトゥーじゃ可哀想だし、タトゥー全くない全身の皮剥いであげよっか?」
「いや、気持ちは嬉しいけどそれじゃお母さん可哀想だし良いよ」


「いやー超痛いけど全身剥がされるのめっちゃ痛気持ち良くて超濡れるから全然良いんだけど。こっちがお金出したいくらい」

「…いやごめん、それは本気で引く…」
「…うん、ド変態でほんとごめん…」
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