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後日談 アレな大団円
前野の後日談
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「前野君、プロジェクトの成功おめでとうございます」
「ああ、これはメイチェン博士。ありがとうございます。博士の協力のおかげですよ」
「はは、謙遜なさらないでください。僕一人ではあの高度な術式の完成に三年はかかっていたでしょうから。流石人間クアッドコアと呼ばれるだけはありますね」
「ははは、まあそのせいで生まれた直後は相当アレな事になってたそうですがね。どうせ覚えてない頃の話だし速攻で治ったので構いませんがね。当然表向きには出来ない研究ですが、応用すればまなとさんの能力を抑えて船や乗り物内で全力で歌えるようにも出来るとの事で是非本人もそうして欲しいと希望がありまして。おかげでもう少し先になりそうですが裏政府から勲章ももらえそうですよ。その時は共同研究していたあなたも当然一緒に授与されますので」
「ああ、それは光栄の極みです。喜ばしい事ですね。おかげで更に趣味の研究も捗りそうです。…ああ、その件についてなのですが、少々よろしいでしょうか」
「ええ、何です?」
「…僕は勿論良識はあるものの趣味でハッカーとしても活動しているので、あくまで個人的な腕試しで大企業や有名な組織のPCやネットワークにアクセスし機密データをこっそり閲覧しているというのは以前お話しましたね」
「あー、この前仰ってましたね」
「それでここの学園長の黒葛原家も相当セキュリティには力を入れているので興味を持ち、苦戦したもののガードをすり抜け機密データのフォルダにアクセスする事に成功したのですが。…この前も軽くお話しましたが、今から約8・9年程前幼少期の黒葛原咲夜、つまり今は解任されたものの元学園長代行が強く例の政策の施行を推し進めていたのです」
「…ええ、そう伺いましたね」
「…これ以上この件に君を巻き込んでも良い物か迷いましたが、正義感がありこの学園に深く関わる君だからこそ話しておいた方が良いと判断しました。…これまででそれを公表すれば即座にもみ消されるか捏造とされ、僕が社会的にもアレな意味でも抹殺されて終わっていたでしょう。…しかし、結果的に未遂で終わったとはいえ英雄のクロ君に大怪我を意図的に負わせかけ謹慎中の今ならば、黒葛原家や裏政府も無視する事は出来ないでしょう。…公表しなくても、良いのですか」
「…うーん。俺としてもそれが本当ならば人道的に見過ごせないですがね。…おそらくこの件は例の英雄のうち数名も、既に把握していると思うんですよ」
「それは、どういう…ああ、成程」
「ええ、そういう事です。あの人は未来視だけでなく過去の事も視られると以前聞きました。ですので既に代行が昔何をしでかしたのかも知っているでしょうし、あの人の性格的にも上司かつ信頼できる仲間である彼にも話している可能性が高いでしょう。…だから、事なかれ主義と言われればそれまでですが。俺は彼等に裁きを任せる事にしたんですよ」
「ああ、そういう事でしたか。分かりました、では僕もこの件にはこれ以上触れません。…あの英雄に、すべて任せましょう」
「ええ、それでどうかお願いします」
それからさらに少し後、再び保健室にて。
「前野君、たびたび失礼します。何度もお邪魔してすみませんね」
「いえいえ、博士との会話は楽しいですからお構いなく」
「…そうそう、例の彼の件ですが。君の狙い通りになったようですね」
「ええ、彼はやはり俺の見込んだ通りの人でした。…これで今はまだ元、ですが代行も真人間に生まれ変わり、今後は学園やそれ以外でも善政を敷いてくれる事でしょう」
「ええ、そう信じたいですね」
「どうですメイチェン博士、全て落着した記念にまたパーッと美味い物でも食べに行きませんか。何が食べたいですかね」
「いいですね。では例のワープ転送の瞬間をまた見たいので、あの宅配ピザが食べたいですな」
「ああ、これはメイチェン博士。ありがとうございます。博士の協力のおかげですよ」
「はは、謙遜なさらないでください。僕一人ではあの高度な術式の完成に三年はかかっていたでしょうから。流石人間クアッドコアと呼ばれるだけはありますね」
「ははは、まあそのせいで生まれた直後は相当アレな事になってたそうですがね。どうせ覚えてない頃の話だし速攻で治ったので構いませんがね。当然表向きには出来ない研究ですが、応用すればまなとさんの能力を抑えて船や乗り物内で全力で歌えるようにも出来るとの事で是非本人もそうして欲しいと希望がありまして。おかげでもう少し先になりそうですが裏政府から勲章ももらえそうですよ。その時は共同研究していたあなたも当然一緒に授与されますので」
「ああ、それは光栄の極みです。喜ばしい事ですね。おかげで更に趣味の研究も捗りそうです。…ああ、その件についてなのですが、少々よろしいでしょうか」
「ええ、何です?」
「…僕は勿論良識はあるものの趣味でハッカーとしても活動しているので、あくまで個人的な腕試しで大企業や有名な組織のPCやネットワークにアクセスし機密データをこっそり閲覧しているというのは以前お話しましたね」
「あー、この前仰ってましたね」
「それでここの学園長の黒葛原家も相当セキュリティには力を入れているので興味を持ち、苦戦したもののガードをすり抜け機密データのフォルダにアクセスする事に成功したのですが。…この前も軽くお話しましたが、今から約8・9年程前幼少期の黒葛原咲夜、つまり今は解任されたものの元学園長代行が強く例の政策の施行を推し進めていたのです」
「…ええ、そう伺いましたね」
「…これ以上この件に君を巻き込んでも良い物か迷いましたが、正義感がありこの学園に深く関わる君だからこそ話しておいた方が良いと判断しました。…これまででそれを公表すれば即座にもみ消されるか捏造とされ、僕が社会的にもアレな意味でも抹殺されて終わっていたでしょう。…しかし、結果的に未遂で終わったとはいえ英雄のクロ君に大怪我を意図的に負わせかけ謹慎中の今ならば、黒葛原家や裏政府も無視する事は出来ないでしょう。…公表しなくても、良いのですか」
「…うーん。俺としてもそれが本当ならば人道的に見過ごせないですがね。…おそらくこの件は例の英雄のうち数名も、既に把握していると思うんですよ」
「それは、どういう…ああ、成程」
「ええ、そういう事です。あの人は未来視だけでなく過去の事も視られると以前聞きました。ですので既に代行が昔何をしでかしたのかも知っているでしょうし、あの人の性格的にも上司かつ信頼できる仲間である彼にも話している可能性が高いでしょう。…だから、事なかれ主義と言われればそれまでですが。俺は彼等に裁きを任せる事にしたんですよ」
「ああ、そういう事でしたか。分かりました、では僕もこの件にはこれ以上触れません。…あの英雄に、すべて任せましょう」
「ええ、それでどうかお願いします」
それからさらに少し後、再び保健室にて。
「前野君、たびたび失礼します。何度もお邪魔してすみませんね」
「いえいえ、博士との会話は楽しいですからお構いなく」
「…そうそう、例の彼の件ですが。君の狙い通りになったようですね」
「ええ、彼はやはり俺の見込んだ通りの人でした。…これで今はまだ元、ですが代行も真人間に生まれ変わり、今後は学園やそれ以外でも善政を敷いてくれる事でしょう」
「ええ、そう信じたいですね」
「どうですメイチェン博士、全て落着した記念にまたパーッと美味い物でも食べに行きませんか。何が食べたいですかね」
「いいですね。では例のワープ転送の瞬間をまた見たいので、あの宅配ピザが食べたいですな」
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