はーとふるクインテット

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番外編集 アレな世界のいろいろな話

ハッピーハロウィン

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「トリック・オア・トリート!ハッピーハロウィン~☆」
「お菓子くれないとアレな事しちゃうぞ~♪」
「転校生くんちゃん、アレな悪戯は極力したく無いので何かお菓子を頂けますか」

「わーびっくりした、そういやもうすぐハロウィンだったね。ゆういちクン達仮装似合ってて可愛いね」

「うん、ありがとね転校生くんちゃん。まあまだ9月下旬だから気が早いけど、この学園ハロウィンフェスもやるからその衣装合わせと予行演習でね」
「あー、こんな早くからお菓子持ち歩いてる人もそうそういないだろうから気にしなくていいよ。今のはノリで言ってみただけだから。絶対アレな事はしないから安心して」
「ええ。アレな人や殺人鬼には容赦しませんが、善良な人は例え悪戯でも危険な事はしませんのでどうかご安心下さいね」

「よ、良かった。ゆういちクンが本気でアレな事したら命に関わる気がするし。えーと、でもせっかくだし何かないかな。あ、普段から皆に配ってるのど飴しかないけど、これでよかったらどうぞ」

「あ、わざわざありがとね。さすがプロデューサー、僕達の体調面も考えてくれてて偉いね」
「うん、まだまだ未熟だけどそのくらいはね。…まあここてうてうの人達とか普通じゃない体質の子結構いるけどね…」
「あーまあ、アレな国の中でも一際アレな人達が集結してる人外魔境だからねここ。鈴蘭くんなんかデフォで一年中ハロウィンやってるような物だし」

「…そ、そうだねリアルキョンシーだもんね彼…」

「鈴蘭クンは素でいけるからハロウィンの仮装しなくて楽だよねー」
「うーん、でも彼もたまには別のコスプレしたいんじゃない?去年は初参加だったからそのままの恰好でやってたけどさ」
「ええ、気分転換は大事ですからね。ゾンビなど似合いそうですね」
「まあ実際死んでるしね。というかアレって中華版ゾンビだよね」
「あ、あはは…いや笑って良いのかなこれ…」
「うん、もう彼昔の事全く気にしてないし自虐ネタやブラックジョークも結構かますから笑っちゃって良いと思うよ。下品な表現はアレだから控えるけど、僕も前世の事MCでたまにネタにするし」
「…そ、そうなんだ。みんな前向きで何よりだよ…」

「あ、そうそう。ハロウィンフェスってよっぽどの泡沫ユニットやそういうの参加しないってポリシーある人達以外は基本全員参加だし、他のユニットの子たちも仮装準備してるだろうし見に行ってあげるといいよ。まあまだ本番までだいぶ日があるし、今日はもう放課後だし少しずつで良いと思うけどね」

「そっか、じゃあ今日はもう帰っちゃった子もいるだろうし、明日からなるべく見て回ろうかな。みんな、教えてくれてありがとね」


そうして私はハッピーチャイルドの皆と別れその日は帰路に着き、翌日から主だったユニットの子のハロウィンフェスについて聞いて回る事にした。

「えーっとスズランくん達はやっぱチャイナな感じで、鈴蘭くんも衣装は違うけど今年もキョンシー路線か。じゃあ今日はあとエターナルの子達に聞きに行こうかな」

「あれ、転校生くんちゃん。僕達の部室に何か用?」
「うん、昨日幸野くん達にハロウィンフェスの事聞いたから、病葉くんたちはどんな恰好するのかなーって気になってさ」

「ああ、ハロウィンのアレね。うーん。僕達はみんなこういう体質だから、やっぱ不死者っぽい仮装の予定かな。吸血鬼とか」
「あー、やっぱそういう感じか。皆似合いそうだね」

「んー、でも三人みんな吸血鬼だとちょっとくどくない?八尾は人魚食ってアレになった訳だし半魚人とかいい感じにネタになって良くない?」
「いや、半魚人は明らかに恰好悪いからやだ。何で俺だけネタ枠にするんだよ」
「あはは、実際八尾って一番ジジイでドンくさいからネタ枠だしー」
「…面影お前な、前から思ってたけどもうちょっと年長者に敬意を払えよな。まあ年寄り扱いも嫌だけどさー」

「あー、八尾くんそれならそのまま人魚で良くない?」

その瞬間、今までふざけていたエターナルの皆の顔が突然真顔になった。

「…あー、ほら。人魚はさ。まなとさんがトラウマ抉られちゃうから全校生徒厳禁なんだよ。あの人優しいから自分から言いはしないけど、まあ暗黙の了解みたいな奴でさ」
「…ああ、そっか。…そうだったね。配慮の無い事言っちゃってごめん」

「まあここの生徒以外はそんな事情分かる訳も無いし、そもそも世間ではあの人達の存在自体トップシークレットだし仕方ないよ」
「うん、俺も保護されてた施設で歴史学んだ時に6人の英雄達の事はきっちり教えてもらったけどさ。それこそ半分神話やおとぎ話のような物だと思ってたし、まさか今もあんなに若い姿で一般生徒に紛れて生活してるなんて夢にも思わなかったからしょうがないよ」
「あーうん、俺もこの学園来るまでそんな感じだったな。…で、同じ理由で蛇男とか、半身蛇のラミアみたいな仮装も厳禁なんだよね。蝶々は禁止されてはいないけど、やっぱてうてうの人達に気を遣って本格的に仮装する奴らはいないね」
「まあ、畏れ多いからね。そうもなっちゃうよね」

「…そういう事になってるんだね。じゃあ、てうてうの人達はハロウィンフェスに参加しないの?」
「うん、あの人達が編入学したのは今年からだけど。…一部の人達はほぼ見世物にされたり、化け物扱いされてた訳だし。やっぱりそういうの考慮して、特別扱いで不参加になるだろうね」

「…そっか。…仕方ないけど、皆可哀想だな」

「…まあ、悲しいし難しい問題だけど。こればっかりは僕達にはどうしようもないからね」
「…ああ、アレな世界とはいえ歴史は変えられないからな」
「そーだね。あの人達も本当は普通に参加したいかもだけど、トラウマ抉られたりあんな複雑な過去があったらそうもいかないよね」

「…そうだね」


「…ってあー、辛気臭い雰囲気にさせちゃってごめんね。まあちょうどこれから俺達もアレデザイナーさんに衣装の相談しに行こうと思ってたし、良かったら気分切り替えて一緒に行かない?」
「あ、じゃあ折角だし、勉強になるし私も一緒に行こうかな。…あの人も正直かなり怖いけど」

「まあ、この学園の関係者だから当然アレだけどあの人も良識はちゃんとあるから大丈夫だよ」
「うん、転校生くんちゃんみたいな良い子は絶対アレしないし。まあ俺も昔アレ加工作業の現場見た時はかなり気持ち悪かったけど」
「あーうん、俺も大丈夫だったけど吐きそうになった」
「…や、やっぱり皆そうなんだ」

「まあ、もしまたアレ作業中だったら部屋に入る前に悲鳴が聞こえるだろうし大丈夫だよ。アレ作成してたら僕達が壁になって見えないようにしてあげるから」
「…う、うん。ありがとね。何か根本的におかしいような気もするけど今更か…」

「じゃあほら行こ。まあ、てうてうの人達も、…クロも。きっと、いつかは時間が解決してくれるよ」
「…うん、そうだといいね」
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