はーとふるクインテット

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番外編集 アレな世界のいろいろな話

とある小学生の作文

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■ぼくの好きなこと  3年2組 〇〇 ××

ぼくは、ゲームやアニメ、まんがが好きでした。

今も好きですが、ちょっと前にもっと好きなことができました。

それは、きれいな目玉を見ることです。


少し前のたんじょう日に、好きなものを買うといいとおじいちゃんたちにおもちゃ屋さんにつれて行ってもらいました。

さいしょはかっこいいロボットのおもちゃか、ゲームを買おうと思っていました。

でもその時、ガラスのケースの中に入ったりっぱなお人形を見て、ぼくはみとれてしまいました。

そのお人形は、とってもきれいな目をしていたのです。


しばらく時間もわすれて、ずっとそのお人形の目を見ていました。

ぼーっとしてどうしたんだい、とおじいちゃんに心配そうに声をかけられて、ぼくははっと気がつきました。

そうしてぼくはまよわず、おじいちゃんたちにこのお人形を買って、と言いました。

××ちゃんはかっこいいものが好きなのにこんなのでいいのかい、とふしぎそうに言われましたが、おじいちゃんたちはそのお人形を買ってプレゼントしてくれました。


それからぼくは、毎日そのお人形の目を見つめていました。

××ちゃん急にしゅみでもかわったの、まあこの国アレだしそういう事もあるだろうけどとかお母さんたちにも言われましたが、ぼくは気にせずずっとずっとお人形の目を見ていました。


でも、近ごろそれだけではまんぞくできなくなって来ました。

どうしてかは分かりませんが、お人形の目を見るほかに、もっと何かしたいことがあるような気がしてきたのです。


そうして、この前ぼくはなんとなくお人形を床にたたきつけてこわして、その目玉を取り出しました。

その時、ぼくは今までで一番こうふんしました。


お人形を落とした音を聞いたお母さんが心配してぼくのへやに来て、そのこうけいを見てドンびきしました。

それからお父さんが帰って来たあとすごくしかられて、もうぜったいにこういう事はやめなさい、あとこういうのが好きなのはぜったいだれにも言わないように、と何度も言われ、やくそくさせられました。

こういうのが好きなのはアレだとなんとなく分かってはいましたが、ここまできつく言わなくてもいいのにとぼくはなっとくがいきませんでした。


だから、それからはお父さんたちにはかくれてやることにしました。

プレゼントにもらったようなりっぱなお人形はぼくのおこづかいでは買えないので、ぼくはそこらののらネコでやる事にしました。


あきらかにだれもかっていなさそうな、やせていたりきたないのらネコをがんばってさがしておこづかいで買ったエサやミルクをあげてなつかせ、すっかりなついたころに首をしめたり大きな石でなぐりころして、そのきれいな目玉を取り出してずっと見つめて、ぼくはうっとりしていました。

お人形の目玉とはちがうのでくさってしまうのがざんねんですが、家のれいとう庫なんかに入れてバレたらまたすごくしかられるのでしばらくしたらすてて、まためんどうですがべつののらネコをさがしてはアレしました。

ないしょですが、さつ人きになったらけいさつにつかまったりしごと人さんにアレされてしまうので人ではできませんが、正直いうと人でもアレしてみたいなあ、と思っています。


あと、さい近ぼくはふしぎなゆめを見ました。

ゲームに出てくるようなかわった服を着た女の人から、お前はしょうらい運命の男の子に出会うと言われました。

お前は大人になったら茶色いかみの毛にきれいな緑の目をした、とてもかわいい男の子に出会う。

お前はその運命の子の目玉をアレしてしまいなさい、それからもたくさんたくさん好きな子の目をアレして、この国の子の目玉をぜんぶアレしてしまえ、とこわい顔で言って、その女の人は消えていきました。


その女の人ははじめて会ったはずですが、ずっと昔から知っている人のような気がしました。

いつごろ会えるのかはっきりとは分かりませんが、大人になってその男の子に会うのが楽しみです。




流れ星学園に転校生くんちゃんがやってくる10年ちょっとくらい前の、学園近隣の小学校の職員室にて。

「…あー、教頭先生。3-2の〇〇くんの件ですが、お読み頂けましたか」
「ああ、例の作文なら目を通したよ。確実にアレな兆候が出ているね。すぐ親御さんに連絡を取って相談しよう。文を読んだ限り、ご家族はまともなようだからね」

「ええ、私も何度か面談や家庭訪問で会っていますがご両親はきちんと良識のある方ですし、近親者ではアレな奴や殺人鬼も出ていないようですので。…やれやれ、まあこの国だし覚悟はしていたが私のクラスからこんなアレな子が出るのは悲しいなあ」
「うーむ、君はまだ教職に就いてから間もないのでそう思ってしまうだろうし、確かに普通の国なら問題だろうがね。まあこの国アレだから大きな声では言えないが、毎年平均一クラスから一人はアレな子出るからそれ程気にしない方が良いよ。アレ具合にも程度の差はあるがね」

「…そ、そうですか。まあ物心付いた時から分かってはいましたが本当この国アレですね。しかしこの年で罪も無い動物を悪びれなく殺めるような子ですし、…正直、更生は難しいでしょうね」

「…そうだろうね。取り急ぎこの子はご家族の承諾を貰った上ですぐにアレな子専用の隔離矯正クラスへ移動させ、徹底的に道徳教育をし直そう。…明らかに例の女神様の影響をかなり強く受けているようだし、君の言う通り教育しても抑えるのは難しいだろうがね」


「…あまりこういう事を言いたくも無いが、地域猫や飼い猫でも殺めていれば一発でアレ更生施設へ送れたのだがね。呪いのせいか大概こういう事する子達、悪知恵は働くのだよねえ」

「…そうですか。私も教え子を見限りたくはないのですが、確かにもう更生の余地がないのなら早めに厳重に隔離してしまった方が市民の安全のためかもしれませんね。…アレな殺人鬼やこういう子達もあの女神様の呪いの被害者だと思うと、ある意味気の毒ではありますが」

「うむ、確かにね。まあかの有名な殺人ピエロ一家みたいにもう一族郎党狂いきってたり根っから救いようの無いアレな奴等も時折いるが、この子みたいに呪いさえなければ普通に成長できていたかもしれない人は気の毒だがね。だがこのアレな国だから、そういう殺人衝動や異常性癖を持ってても仕事人とか、近所の例の学園関係者みたいに法に触れないように上手く衝動と付き合っていく方法や進路はいくらでもあるし。厳しい事を言うがやはり自業自得だろう」
「ああ、あの有名なアイドル養成学校ですか。…そうですね。確かにあそこ出身の芸能人や教員達も大半アレ気味ですが、道は踏み外していないですものね。…では、すぐに〇〇くんのご両親に連絡し、もちろん彼抜きでクラス替えの許可を貰えるよう面談をいたします」


「うむ、善良なクラスメイト達が犠牲にならないよう急いでくれたまえ。…ああ、そういえば」
「どうしたのですか、教頭先生?」

「うん、アレ更生施設で思い出したのだがね。最近知り合いの議員から聞いたのだが、少し前の閣議でこの子みたいな明らかに異常性癖を持ってるアレ予備軍や出所したアレな元犯罪者たちをあえて一ヶ所に集めて、厳重に監視や行動の制限を付けた上で更生目的で社会の中で働かせてはどうか、という案が出てね。…まあこの国のアレ殺人鬼や重犯罪者達の再犯率とんでもなく高いからそれはほぼ建前で、実際のところは体のいい隔離みたいなものだが」

「ええ、良いのでは無いでしょうか。この国今でも仇討ち令現役ですから、とてつもない重犯罪やらかしでもしない限り相当な大量殺人犯とかでもそのうち出所してしまいますしね。死刑にしたり塀の中に留めておけないのなら、いっそ一纏めにしておいた方が仕事人的にも助かるでしょうし管理もしやすいかもしれないですね。当然、人里離れた山奥とか無人島とかでやるのでしょう?」

「…いや、それがね。その案が出された時は皆当然そのつもりだったが、もう数十年前から議員やってて正直痴呆入りかけなんじゃみたいな老人だが相当な家柄なので邪険にも出来ないアレな議員が、それじゃ現代の島流しみたいなものじゃないか、アレ殺人鬼や狂人とはいえ人権はあるんだから同じ人間として平等に普通の町で受け入れるのが筋という物だろう、例えばあの伝統ある芸能人育成学校がある町など良いんじゃないのかねとか言い出したらしくてね」

「…い、いやいやいやそれはアレ過ぎるでしょう。若い子も多くいるこんな町にそんなアレな奴等集めたら、どうなるかなんて分かりきっているでしょうに。教育者としてこんな発言したくはありませんが、アレ殺人鬼や異常性癖の狂人なんてもう人の皮を被った化け物のようなものですし、仇討ち令出るような奴等に人権とか平等だの言ってる場合じゃないでしょう」

「ああ、当然周囲の議員達も何ふざけたこと抜かしてるんだこのボケ老人はといった反応だったそうだよ。まあアレな国だしアレ気味な議員も時にはいるとはいえ、そこまで重要な法案や政策に決定権を持つような人間は大概良識あるから安心するといいよ」
「ええ、そうですよね。そんな狂った案可決されたらこの町終わりますよ。言いたく無いけどその議員本当アレですね」

「まあ極めてアレなボケ老人とはいえやはり相当な家柄なので、一応形式上だけはその案も検討するという事になったようだが。そんなアレ過ぎる案が可決されるなど万に一つも無いだろうし大丈夫だろう。正直そのボケ老人、本当どうにか適当に理由付けて早く鍵付きの病院なり老人ホームなりにぶち込んで欲しいものだがね。ああ、こんな乱暴な言動してたのは生徒達には内密に頼むよ。善良な教え子たちに過激な言動が移ったら大変だからね」


「ええ、勿論口外しませんのでご安心下さい。この国の神様達も基本は善良ですし分かって下さるでしょうが、今後ともそんな狂った案を推し進める、アレな議員や権力者が出てこないといいですね」
「ああ、そう祈りたいね」
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