はーとふるクインテット

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第四章 驚天動地のアレ事件

カルテット→クインテット

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クロがユニット解消を告げた日の夜の事。

「…という訳で、ずっとここに泊まるのも悪いから今後は別の部屋に行きたいんだ」
「あー分かった。ここ空き部屋結構あるしどうにでもなるからすぐ手配するわ。…あ、だけどよ」
「うん、どうしたの」

「いや、お前一人きりで寝泊まりするって滅多に無かったしいきなり一人になったら寂しく無いか?」
「…うん、そうだね。少し寂しいかも。…でもね」

「おう、どうした?」

「…僕さ。実は昔、結構一人で寝泊まりしてた気がするんだ。前野、何か知らない?」

「…あー、流石に昔過ぎて俺もそれは知らねえわ。ごめんな」


「…そっか。あのさ、前野。…もう本当の事言ってくれても良いんだよ?」

「…悪いな。流石に俺の口からは言えねえわ」

「…分かった。僕も無理言ってごめんね」

「…まあ、何だ。分かってると思うが、この学園中あいつ以外皆お前の味方だ。しんどいだろうが、皆支えになってくれるから頑張んな」
「…うん、ありがとう」

「でさ、ここで寝るの辛いなら、とりあえず今夜ははこべとかエターナルの部屋泊まったらどうだ。今日はもう遅いから無理だろうが、幸野とかお夏も結構近所に住んでるしよ」
「うん、そうだね」

「前も言ったと思うがお前なら皆喜んで泊めてくれるだろうし、みなのマンションも近所だしな。あいつお前と似たような物だし話も弾むだろ」
「…そうだね、最近よくご飯一緒に食べるし」

「で、学園の皆にはLINEでお前が泊まりたがってるの伝えとくから。…ユニット解消の件はどうする?」

「…それは、僕が明日自分で言うよ」
「おう、分かった。じゃあ行って来な。いつでもここも泊まりに来て良いからな」

「…うん、今まで本当にありがとう。じゃあね」


そうしてクロは静かに去って行った。

「…あいつ、本当気の毒だな。…頑張ったな」

「気の毒だし学食のおばちゃんに頼んで、何か精の付く朝食でも作ってもらうかな。あいつのためならおばちゃんもいくらでも作ってくれるだろ」


そして少し後、エターナルの自室にて。

「…急にごめんね。今日、泊めて欲しいんだ」
「え、クロいきなりどしたの。全然良いけどさ」

「あー、さっき前野からLINE来てたけど本格的にシロと部屋分けたいんだってね。うん、ずっと保健室暮らしも悲しいだろうしいくらでも泊まりなよ。ここ結構広いしさ」

「うん、ベッドは無いけど大きいソファならあるしさ。お前なら十分寝れるでしょ」
「そうだね、ありがとう」

「…あー、それでさ。しんどい事聞いちゃうけどごめんね」
「…うん、どうしたの?」


「…お前、もしかしてもう気付いてる?」

「…うん。多分、大体気付いてる」

「…そっか。しんどいよね」

「…そうだね」

「…俺達さ。あいつのやらかした事知った瞬間からずっと、あいつぶっ殺してやりたかったんだ。佐紀さん達からアレ聞かされた直後、皆であいつの部屋乗り込もうと思ったくらいだし」

「…うん、佐紀さんに制止されて思いとどまったけどね」
「あー、俺もアレ聞いた瞬間ドン引きしたわ。900年そこそこの人生でも初なくらいに」

「…そうなんだ。そう思わせちゃってごめんね」

「いや、クロ何一つ悪くないんだし謝る必要無いよ。それからずっと隙を見ては事故死とかに見せかけて殺れないかなーって皆で画策してたんだけどさ。もう察してると思うけどこの前の事故の時も俺達超テンション上がってたし」

「…やっぱり、そういう事だったんだ」

「うん、そういう事。あの人も流石に爆発までは考えて無かったし、細工した人がついやりすぎちゃったみたいだけどね」
「…その人、どうなるんだろう」

「んー、流石にあの人も教えてはくれなかったけどあの人も慈悲の面あるし、クロ巻き込んだとは言えあいつに天誅与えたくてやった事だしそう悪い扱いはしないと思うよ」
「うん、裏の政府も分かってくれるとは思うよ。とはいえ君をかなり傷付けちゃったしそれなりの罰は下るだろうけどね」
「…そっか、悪い事しちゃったね」

「あー、やっぱりそれもクロ何も悪くないし気に病む必要無いって。たぶん首謀者もお前怪我させた時点で覚悟はしてるだろうしさ」
「…うん」


「でさ、ほらそんな事あった直後だと難しいだろうけど。折角来てくれたし眠くなるまで皆でゲームでもしようよ」
「うん、僕結構スマブラ強いし」
「あー、俺そこまで強くないから桃鉄とかがいいなー」
「八尾年だから反射神経鈍いしね」
「いや、俺不老不死だしお前に年寄り呼ばわりされたく無いんだけど」
「えー、300歳くらい差あるし僕から見たらかなり年寄りだよ」
「あはははは、俺から見たらどっちも超ジジイだしー」

「…ふふ」

「お、クロ笑った。お前笑うとかレアだよね」
「うん、しんどいだろうけどさ。もうあの子以外皆君の味方だしこれからはいっぱい笑いなよ」
「そうそう。あのクソ野郎から離れられればもう今後は良い事しか無いだろうしさ」

「…うん、そうだね。皆ありがとう」


そして、翌朝体育館のホールにて。

「…そういう訳で、皆。僕はこれから当分てうてうの人達とユニット活動をします」


聞かされた主要な生徒達は皆どよめいたが、すぐに静かになった。

「うん、すごく良いと思うよ。クロ君頑張ったね、偉いね」
「うんうん、絶対その方が良いって」
「ああ、そうだな。てうてうの人達も喜んで迎え入れてくれるだろう」
「だね。あの子にはそのくらいの仕打ちが必要だしさ」

「うん、僕も昨晩既に直接クロから聞かされて、すぐに承諾したよ」
「あ、そうだったんですか」

「うん、彼がシロに解消を告げ学園に戻った後にね。僕達の部屋に来て相談してくれたんだ」
「はい、僕も千里眼で見えてましたし」
「うん、すごく嬉しかったよ」
「おう、あいつもこれで相当凹んだだろ。まあアレ過ぎるから絶対反省はしないだろうが」

「あー、だろうね。あの子絶対謝ったりしない子だしね」
「うん、謝ったら死ぬ病だもんねあいつ」
「ああ、あいつが謝ったら天変地異が起きるだろうな」
「だね、神様も絶対驚くよね」


「で、お察しだけどシロ君今日どこにもいないね」
「まあ、これじゃ当然皆の前には出られないよね」
「そうだな。まああいつもてうてうだし飲まず食わずでも数日は死なないだろうし、大丈夫だろう」
「うん、今頃自室で超凹んでるだろうね。悪いけどやっぱりいい気味だな」

「あー、マジでウケるしあいつの部屋行って笑い飛ばしてやりたい所だけど狂わせられたら嫌だしなー」
「うん、流石に今の状態で激昂させたらあの子も狂わせてくるかもね」
「あーうん、激昂シロ絶対ヤバいよな」

「だろうねー。本当僕もあいつの部屋のドア斧でぶっ壊して煽り倒してやりたい所だけど」
「うん僕もー。おコンバンハしてやりたい」
「ええ、僕も器物損壊はしたくありませんが今回ばかりは同意です」

「あはははははは」


一方その頃、部屋の壁が穴だらけになり荒れ果てたシロの自室にて。

「…いや、クソ。クソ過ぎでしょ。夢なら醒めてよ。ってかこんなの夢に決まってんでしょほら早く醒めろよクソ」

「いや、なんで醒めないの。ふざけんなクソが。僕昨日から壁ボコりまくってかなり手から血出てるのに。ってかこんだけ壁殴りしてんだから早く直しに来いよクソ業者が」

「…なんで、僕だけこんな目に遭わなきゃいけないの」

「…クロ、戻って来て」
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