4 / 121
第一章 みんなとの出会い
ハッピーチャイルド
しおりを挟む
「おはよ、カズサ君」
「あれ?転校生ちゃん、今日は男の子の恰好なんだ」
「あー実は僕ね、特殊な体質で。どっちでもないし、どっちにもなれるの」
「だから、その時々で、好きな恰好になってるの」
「でも20歳くらいになったら、完全にどっちになるか決めなきゃいけないんだけどね、まだ迷ってるんだ」
「へー、そうなんだ。でも珍しいけど、そういう人もいるって聞いた事がある」
「うん、じゃあ皆にもそう伝えとくね。俺、君の事転校生くんちゃんって呼ぶね!」
「うん、それでよろしくね!」
「でさ。放課後、別のユニットの子が挨拶したいってさ。会ってあげてよ」
その放課後。
「初めまして。僕、輪廻幸野」
「お友達数名と、ハッピーチャイルドってユニット組んでるんだ。結構人気なんだよ」
「まあ複数形だから本当はチルドレンなんだけどね。何となくこっちの方がいいかなーってこの名前になったの」
その子は短めでふわふわの黒髪の、かわいい子だった。
「でさ、僕実は、前世の記憶があるんだ。ある時突然思い出したんだけどね」
「へー、そうなんだ。どんな前世だったの?」
「うん、あの有名な都市伝説の、だるま男みたいな感じ」
「まあそういう目に遭って、そのまま助からなくて死んじゃったみたいなんだよね」
「…た、大変な目に遭ったね」
「うん、まさに中学でその都市伝説をアウトローな先生から教えて貰った瞬間に思い出したんだけどさ」
「もう思い出してしばらくは本気でしんどかったし、何度か吐いちゃったりもしたんだけど」
「まあ今世ではすごく幸せだし皆優しいし、元気にユニット活動も順調にやってるしさ」
「まあ今となっては全部良い思い出かなーっと思ってるんだ」
「…ま、前向きで良かった」
「でさ、そんな訳で僕、思い出してからはそういう奴心の底から大嫌いになってさ。なんか思い出した影響なのか体も強くなったし」
「ほらこの国、今は良くなってきてるとは言え昔相当色々あったじゃん。だから現代でも仇討ち例施行されてるし、他人の奴やっても良いし」
「その日から早速、僕そういう奴らのリスト見るようになったんだ」
「…そ、そうなんだ」
「うん。今日もこれから、手頃なそういう奴ぶっ殺しに行こうと思ってるし。今日何にしようかなー。よし、大きいナイフとショットガンにしよ。報酬出るから色々武器買えるし」
「そういう訳で、これから行ってくるからまたね!」
「…い、行ってらっしゃい」
彼はとても楽しそうに物騒な物を持って出て行った。
その少し後。
「あ、こんにちはお兄さん」
小学生くらいの、小さな男の子がやって来た。
「僕、坂上雄一。ゆういちクンって呼んで」
「うん、よろしくねゆういちクン」
「僕ね、小学生だけどかなりお勉強出来るから、特例で飛び級して、ここの高校1年なんだ」
「へー、すごいねゆういちクン」
「うん、で、幸野クン達とユニット組んでるの。僕踊るの得意だよ。ピエロみたい」
「すごいねー。今度見せてね」
「いいよ。でさ、僕の親、幸野クンの前世程ではないにせよ、相当なクソでさ」
「殺されかけた所をどうにか保護されて、そいつら捕まったの」
「でもさ、潰されたり殺されたりはしてないから、そこまで長期間はぶち込まれなかったの」
「まあだからさ、あいつら出てきたらぶっ殺しに行こうと思ってたんだけど、まだ僕子供だしさ」
「悔しいけど数年は我慢かなーっと思ってたら、それ知った幸野クンがいっしょにぶっ殺してくれたの」
「やーアレほんとに爽快だったなー。もう包丁であらゆる所めった刺しでひき肉状態だったし」
「流石に悪趣味だからやめたけど、これでハンバーグ作ろっかって二人で爆笑したし」
「そういう訳で僕、幸野クン大好きなの!!」
「…な、仲良くてよかったね」
「うん、その時の報酬ほとんどくれたし、もう幸野クン宇宙一好き!」
「あ、僕レッスンあるからまたね。今度また遊ぼうね!」
そう軽やかにスキップして、ゆういちクンは出て行った。
またまたその少し後。
「ああ、こんにちは。あなたが転校生くんちゃんですね」
眼鏡をかけた幸野くんより少し年上そうな、穏やかな美少年だった。
「僕は彼らとハッピーチャイルドに所属する、2年の五百蔵しんらと言います」
「よろしくね、しんら君」
「僕達やっぱり過去やユニット名的に、幸せについて常日頃考えているんだけど」
「やっぱり一瞬だけど僕も、相当しんどい事があってね」
「…そうなんだ」
「うん、ある朝突然、ご飯を食べてたら何の味もしなくなって。気づいたら耳も聴こえなくなって」
「匂いもしないし、触角も無いし、声も出ないし。目は見えたんだけど、それ以外の五感が完全に消失しちゃったんだ」
「…すごく、大変だったね」
「うん。気づいたときは本当に焦ったし悲しかった。急いで親になんとか筆談で伝えて、すぐに病院に連れて行ってもらって。この国そういう分野すごく発展しているから、1週間くらいで治ったから良かったんだけど」
「それからは、普通に感じて、普通に暮らせるこの世界に心から感謝したんだ」
「…うん、治って、本当に良かった」
「珍しいけどこの国昔から色々あるから、たまにそういう人もいるらしいんだよね。他の子も昔結構そういう事あったし」
「…そうなんだ。みーな君もだけど、皆大変だね」
「うん、だからさ、僕普通に暮らせるのに、それを幸せと感じない人大嫌いなんだ」
「そういうありきたりの幸せを享受できずつまらない事でぐちぐち言ってる人を見ると、殺すまではいかないまでも2・3発ひっぱたきたくなるんだ。実際たまにひっぱたくし」
「そ、そうなんだ」
「うん。だからユニットの子達皆相当昔色々あったけど、今すごく幸せなんだ!」
「いつも世界中に全力で幸せを伝えられるよう、頑張って歌ってるんだ。今度聞きに来てね。じゃあ、またね」
そうひらひらと手を振り、彼は出て行った。
「…ぼ、僕、ここでやっていけるかな」
「あれ?転校生ちゃん、今日は男の子の恰好なんだ」
「あー実は僕ね、特殊な体質で。どっちでもないし、どっちにもなれるの」
「だから、その時々で、好きな恰好になってるの」
「でも20歳くらいになったら、完全にどっちになるか決めなきゃいけないんだけどね、まだ迷ってるんだ」
「へー、そうなんだ。でも珍しいけど、そういう人もいるって聞いた事がある」
「うん、じゃあ皆にもそう伝えとくね。俺、君の事転校生くんちゃんって呼ぶね!」
「うん、それでよろしくね!」
「でさ。放課後、別のユニットの子が挨拶したいってさ。会ってあげてよ」
その放課後。
「初めまして。僕、輪廻幸野」
「お友達数名と、ハッピーチャイルドってユニット組んでるんだ。結構人気なんだよ」
「まあ複数形だから本当はチルドレンなんだけどね。何となくこっちの方がいいかなーってこの名前になったの」
その子は短めでふわふわの黒髪の、かわいい子だった。
「でさ、僕実は、前世の記憶があるんだ。ある時突然思い出したんだけどね」
「へー、そうなんだ。どんな前世だったの?」
「うん、あの有名な都市伝説の、だるま男みたいな感じ」
「まあそういう目に遭って、そのまま助からなくて死んじゃったみたいなんだよね」
「…た、大変な目に遭ったね」
「うん、まさに中学でその都市伝説をアウトローな先生から教えて貰った瞬間に思い出したんだけどさ」
「もう思い出してしばらくは本気でしんどかったし、何度か吐いちゃったりもしたんだけど」
「まあ今世ではすごく幸せだし皆優しいし、元気にユニット活動も順調にやってるしさ」
「まあ今となっては全部良い思い出かなーっと思ってるんだ」
「…ま、前向きで良かった」
「でさ、そんな訳で僕、思い出してからはそういう奴心の底から大嫌いになってさ。なんか思い出した影響なのか体も強くなったし」
「ほらこの国、今は良くなってきてるとは言え昔相当色々あったじゃん。だから現代でも仇討ち例施行されてるし、他人の奴やっても良いし」
「その日から早速、僕そういう奴らのリスト見るようになったんだ」
「…そ、そうなんだ」
「うん。今日もこれから、手頃なそういう奴ぶっ殺しに行こうと思ってるし。今日何にしようかなー。よし、大きいナイフとショットガンにしよ。報酬出るから色々武器買えるし」
「そういう訳で、これから行ってくるからまたね!」
「…い、行ってらっしゃい」
彼はとても楽しそうに物騒な物を持って出て行った。
その少し後。
「あ、こんにちはお兄さん」
小学生くらいの、小さな男の子がやって来た。
「僕、坂上雄一。ゆういちクンって呼んで」
「うん、よろしくねゆういちクン」
「僕ね、小学生だけどかなりお勉強出来るから、特例で飛び級して、ここの高校1年なんだ」
「へー、すごいねゆういちクン」
「うん、で、幸野クン達とユニット組んでるの。僕踊るの得意だよ。ピエロみたい」
「すごいねー。今度見せてね」
「いいよ。でさ、僕の親、幸野クンの前世程ではないにせよ、相当なクソでさ」
「殺されかけた所をどうにか保護されて、そいつら捕まったの」
「でもさ、潰されたり殺されたりはしてないから、そこまで長期間はぶち込まれなかったの」
「まあだからさ、あいつら出てきたらぶっ殺しに行こうと思ってたんだけど、まだ僕子供だしさ」
「悔しいけど数年は我慢かなーっと思ってたら、それ知った幸野クンがいっしょにぶっ殺してくれたの」
「やーアレほんとに爽快だったなー。もう包丁であらゆる所めった刺しでひき肉状態だったし」
「流石に悪趣味だからやめたけど、これでハンバーグ作ろっかって二人で爆笑したし」
「そういう訳で僕、幸野クン大好きなの!!」
「…な、仲良くてよかったね」
「うん、その時の報酬ほとんどくれたし、もう幸野クン宇宙一好き!」
「あ、僕レッスンあるからまたね。今度また遊ぼうね!」
そう軽やかにスキップして、ゆういちクンは出て行った。
またまたその少し後。
「ああ、こんにちは。あなたが転校生くんちゃんですね」
眼鏡をかけた幸野くんより少し年上そうな、穏やかな美少年だった。
「僕は彼らとハッピーチャイルドに所属する、2年の五百蔵しんらと言います」
「よろしくね、しんら君」
「僕達やっぱり過去やユニット名的に、幸せについて常日頃考えているんだけど」
「やっぱり一瞬だけど僕も、相当しんどい事があってね」
「…そうなんだ」
「うん、ある朝突然、ご飯を食べてたら何の味もしなくなって。気づいたら耳も聴こえなくなって」
「匂いもしないし、触角も無いし、声も出ないし。目は見えたんだけど、それ以外の五感が完全に消失しちゃったんだ」
「…すごく、大変だったね」
「うん。気づいたときは本当に焦ったし悲しかった。急いで親になんとか筆談で伝えて、すぐに病院に連れて行ってもらって。この国そういう分野すごく発展しているから、1週間くらいで治ったから良かったんだけど」
「それからは、普通に感じて、普通に暮らせるこの世界に心から感謝したんだ」
「…うん、治って、本当に良かった」
「珍しいけどこの国昔から色々あるから、たまにそういう人もいるらしいんだよね。他の子も昔結構そういう事あったし」
「…そうなんだ。みーな君もだけど、皆大変だね」
「うん、だからさ、僕普通に暮らせるのに、それを幸せと感じない人大嫌いなんだ」
「そういうありきたりの幸せを享受できずつまらない事でぐちぐち言ってる人を見ると、殺すまではいかないまでも2・3発ひっぱたきたくなるんだ。実際たまにひっぱたくし」
「そ、そうなんだ」
「うん。だからユニットの子達皆相当昔色々あったけど、今すごく幸せなんだ!」
「いつも世界中に全力で幸せを伝えられるよう、頑張って歌ってるんだ。今度聞きに来てね。じゃあ、またね」
そうひらひらと手を振り、彼は出て行った。
「…ぼ、僕、ここでやっていけるかな」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
ガテンの処理事情
雄
BL
高校中退で鳶の道に進まざるを得なかった近藤翔は先輩に揉まれながらものしあがり部下を5人抱える親方になった。
ある日までは部下からも信頼される家族から頼られる男だと信じていた。
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる