金髪碧眼ツインテールのツンデレ幼馴染な天才魔法剣士

ユキリス

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金髪碧眼ツインテールのツンデレ幼馴染な天才魔法剣士

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 ある日のシャルロット・ミラーは、何処からか湧き出る苛立ちにその身を焦がしていた。

「ちょっと、ユウ。どうしてこの男も一緒な訳?」

 彼女はその勝ち気な眦をより吊り上げて、切長の瞳で真正面の建物の奥を睨み付ける。

 光沢のある艶やかな金色の長髪を両の側頭部へと結え、そして大きな碧眼が可愛らしい少女がそう言った。

 彼女の容姿は傍目にも美しく人々の目を惹いた。

 否、それにも増して少女の豊満な自己主張の強い身体付きが、視線を集わせてしまう要因だろう。

 ぴっちりとした肉体の起伏を鮮明にする様な動きやすいまるでシースルーの様な物を着用していた。

 その上にチュニックを身に付け、そして胸元は豊満な乳房の為か、余程窮屈なのだろう。

 大きく開けて、色白の柔らかな弾力のある媚肉が露わとなっている。

 そしてスカートの丈も短く、利便性を重視したのかミニスカとでも称するべきだろうか。

 膝よりも上、つまりは健康的に張りのあるむっちりとした太腿が周囲へと晒されていた。

 だが露出の多い服とは対称的に、ニーソを着用の上、何処か甘い香水の様な物を着けている。

 前者は防寒のためであろうが、後者は完全に異性を意識しての物だろう。

 或いは冒険における探索で、水浴びの出来ない時に自身の体臭を誤魔化す為なのか。

 否、それにしてもこれ程までに機能性に富んだ物を好む少女が、ここで他者からの感情を優先するだろうか。

 そんな彼女はとはいえ、やはり側から見れば至極獣欲を刺激する格好をしていた。

 そう、利便性を求めた結果意図せずしてあまりに変態的な装いになってしまった。

 奇跡と言ってしまっても過言ではない。

 その証左として、ニーソの締め付けに応じて布と肌の境目に出来た、むにぃと柔らかに乗っている媚肉に、この場へと居合わせた人々は視線を惹かれていた。

 恐らくはそれを鬱陶しく思い、これが相まって不機嫌だというのもあるのだろう。

 異性からの視線に敏感であり、丁度傍目に見てもシャルロットという少女の齢は思春期真っ盛りの、年若き少女である。

 自身のファッションに対して何か意見を持たれるのは直接言われずとも、居心地の良い物ではない筈だった。

 故に意図せずして肌の露出の多い格好に対する羞恥を誤魔化すべくして、他者へと当たっている所もあった。

 そして彼女の内心を知ってか知らずか、良いところに鬱憤を発散するに値する、心底からシャルロットが嫌いな相手が現れたという訳だ。

 これにはここぞとばかりに調子付き、平素からの大上段に構えて言い放った。

「わたしはこんな奴認めないんだから」

「仕方がないじゃないか」

 何故ならば、二人は現在とある宿屋の前にいるのだが、シャルロットの言の通り自分達以外にそれ程認めたくない先客の存在を見咎めたからだ。

「おいおい、それはないんじゃねーか?この街に宿はここ一つって話だ。まさか野宿するってのもな」

 すると噂をすればといった塩梅に、その男が宿屋からチェックインを終えたのか二人の前へと歩み出てきた。

「そうだよシャル、せっかく冒険者としての門出を祝うんだから、もう少し仲良くしようよ。一応はグレイスだって同じパーティーなんだから」

「はぁ?アンタってほんとそういう所あるわよね。幾らわたしが幼馴染だからって、女の子に気を遣えない男はダメよ。わかるかしら?」

 これにまず黒髪の少年が困り顔で同意を示し、傍らの少女に言った。

 だがシャルロットは再びその端正な顔立ちを顰めると、今度こそ心底からの嫌悪を露わとした。

「わたしは嫌よ。だってこの男はアンタの事を虐めていたのよ?」

「シャル、それは‥」

「でも事実じゃない。パーティーだって仕方なく、そうよ本当にわたしは仕方なくあの男とパーティーを組んでるんだからねっ。本当ならアンタとわたしだけだったんだから」

 そう、シャルロットの言葉通り、ユウと呼ばれた少年は虐められていた。

 だからこそ、その相手と同じパーティーを学院の教師から組まされていた。

 というのも、それで友好を互いに深め合えばいいと、教師は本気でそう思っているらしいのだ。

 それは異議を唱えに直談判をしたシャルロットが確認した。

 更にはグレイスとしても乗り気らしく、気が弱いユウは教師の言葉に逆らえなかった。

 唯一シャルロットが最後まで反論し続けたが、パーティーの変更が為される様な事は終ぞなかった。

 だからだろう。

「いいかしら、貴方がもしもまたユウを虐める様な事があったら、天才魔法剣士であるこのわたしが許さないわ」

「ははっ、威勢がいいじゃねーか姫騎士さんよ。だが生憎俺としても、そんな女の背に隠れて何も出来ないひ弱な奴に構ってる程暇じゃねぇ」

「そんな風に呼ばないで。わたしは天才魔法剣士よ。その呼び名は女性に対する差別だわ。貴方、本当にサイテーの男ね」

 売り言葉に買い言葉で、二人は互いに歪み合う

 否、今は一方的にシャルロットの方から棘のある言葉が投げ掛けられている。

 それをグレイスが何処吹く風といった調子で上手くいなしている様だ。

「いいんだシャル。グレイスはもう謝ってくれたんだ」

「謝ってくれたって‥。それは形だけじゃない。本当はどう思ってるかなんてわからないのよ」

「ありがとうシャル。心配してくれてとても嬉しい。けど平気だよ」

「べ、別にアンタのためを思って言ったんじゃないんだからねっ。勘違いしないでよねっ」

「はいはい。分かってるって」

 するとそんな二人を見兼ねてか、ユウが間に割って入り、次の瞬間には一触即発の雰囲気も事なきを得た。

「ぜんぜんわかってないじゃない‥」

「え?なんだっって?」

「なんでもないわよっ。ふんっ、もういいっ。それよりも早く行きましょう」

「もう、せっかちだなぁ」

 と、幼馴染故だろうか。

 互いに気が知れた仲であるのが傍目にも理解出来るやり取りを交わし合い、二人は会話を見せ付ける。

「ひゅーっ、焼けるねぇ。お二人さん。ぜひとも俺も混ぜてくれよ」

 これにまるで芝居でもするかの様に、件のシャルロットから嫌われている男、グレイスから揶揄いの言葉が飛ぶ。

「ッ、や、やめて。貴方みたいな男からそう言う事を言われると虫唾が走るの。わたしたちはあくまで幼馴染。そうよね?ユウ」

「う、うん。シャルの言う通りだ。僕達は恋人じゃない」

 そんな茶化しを受けて、シャルロットが反論すると、ユウもそれに頷いた。

 だが、自ら同意を求めた前者は後者に対して、何処か険のある瞳を向けた。

「なによっ。そこまで言わなくても良いじゃないっ」

「え?で、でも‥」

「ふんっ。もう知らないっ」

 そんな風に少女は自らの幼馴染のその鈍感な態度に平素通り腹を立ててしまった。

 けれども未だ異性に免疫の無いユウという少年は、シャルロットの感情の機微には気付けない。

 及ばない自身の女性経験の無さから動揺するばかりである。

「お前ら相変わらず面白れぇな」

 するとこの茶番を前にして、グレイスは一つ笑みを浮かべて見せた。

 まるでその面持ちは狩人が獲物を仕留める際に露わとする残虐な本性の様だった。

「ほらっ、ユウ。こいつ全然反省なんかしてないのよ。アンタを虐めていた事なんて何とも思ってないに違いないんだからっ」

「それは‥」

「あーっ、もうっ。はっきりしなさいよっ。別に教師が決めた事なんて必ず守る必要なんてないじゃない。どうせこんなやつ置いていってもバレはしないわよ」

「いや、ダメだ。それじゃあ彼と一緒になってしまう」

 そう、シャルロットは一方的にグレイスという男を嫌っているが、仮にその感情に身を委ねてしまえば最後、それは排斥へと繋がる。

 衝動に身を任せて相手を排除するのは、グレイスのやり方に他ならない。

 ユウは学院で彼からされた仕打ちを未だ肉体に覚えている。

 その為形こそ違えど、グレイスの様に気に入らないからといって相手を虐める様な輩には、ユウはなりたくなかった。

「そう‥。それならもう勝手にすれば良いじゃない。わたしはこんな男、絶対に認めないんだからねっ」

 とはいえそんなユウのプライドなど知った事ではないシャルロットは、ふんっ、と顔を横に逸らして、拗ねた様子を見せた。

 それに伴いツインテールに結んだ金色の艶かしく輝く光沢のある長髪が揺れる。

 薄桃色の、その年齢に反して色香が漂う唇を尖らせて、少女はユウから顔を背けたのであった。








 それから幾度か冒険を共にして暫く、シャルロット、ユウ、そしてグレイスを含めた三人は人気が無く、尚且つ辺り一体を見渡せる程に広大な場所に居た。

「決闘よっ。貴方と一緒に居るなんて、やっぱりあたしには無理みたいなの。いいわよね?ユウ」

 案の定、やはりと称して然るべきか、そうだだっ広い草原に身を置く中で、シャルロット・ミラーは居丈高に言い放つ。

 平素通りの大上段に構えて、相変わらずそれは調子づいた振る舞いだった。

「また随分とツンケンしているな。おい、一体俺の何がそれ程までに気に入らない?」

「ふんっ、そんなのあたしが語るよりも明白でしょう?自分でも本当はわかってるんじゃないの?」

「ほぉ、言ってみろよ」

「あたしに命令しないで」

 再び犬猿の仲の彼等彼女等は、売り言葉に買い言葉、シャルロットはキッとグレイスを睨み付けていた。

 険のある吊り上がった眦が、巨漢を見上げながらギリギリと歯嚙みした。

 薄桃色の艶やかな唇を痛々しく噛み締め、その心中の怒気を露わとしていた。

 けれど不意に凛とした面持ちになると共に、シャルロットは次いでレイピアを腰の剣帯から引き抜いてみせた。

「いいわ教えてあげる。でもそれは直接決闘でその身に刻んであげるわ」

 宣言と同時、彼女は結えた金色のツインテールを毅然と揺らして、手にした細剣を向けた。

 その片手剣の切先がグレイスを真正面から捉え、途端に重苦しい緊張が静謐な草原へと走る。

 すると不意に両者の間に一陣の風が通り抜けて、散らした草花が宙を舞う。

「シャル‥」

 そんな決意も露わに自身を虐めていた相手に挑むシャルロットの姿を傍目にユウは一言少女の名を口の中で呟いた。

 見るにその声の響きから、シャルロットという幼馴染の少女の自身に対する献身から感極まった様だ。

「正気か?」

「ええ、まさか逃げるなんて言わないわよね?受けないだなんて、そんな興醒めな結果にならないといいけれど」

「上等だ。いいぜ。その決闘受けて立つ」

 だがユウの内心を他所に、グレイスは口端を酷薄にも吊り上げて、その決闘を受諾した。

 不安に揺れるユウの心とは対称的に、グレイスは過剰とも言える程に自信のある立ち振る舞いを見せ付けていた。

 余程己の腕に確信があるのだろう、グレイスは己の獲物である大剣へと手を伸ばす。

「ああ、そう言えば言い忘れていたけれど、貴方が負けたら学院から退学してもらうわ。構わないわよね?それくらい」

「別にいいぜ?だが、勿論それだけじゃ無いだろう?もしも俺が勝てばどうなる?」

「万一にもありえないけれど、そうね‥」

 シャルロットは少し間を開けると言った。

「いいわ、このあたしが何でも貴方の言う事を聞いてあげるわ。それでどうかしら?」

「いいねぇ。滾ってきたぜ。その条件で良いぜ」

「そう。なら始めましょうか」

 互いに初めの制約を交わして、シャルロットは自らの金色の長髪をかきあげた。

 次いで片足だけ一歩後ろへと退いた彼女は、正眼にレイピアを構える。

 際しては、丈の短いスカートの布地がその流れる様な動きに応じて翻り、其処から覗ける黒色のショーツが垣間見えた。

「‥‥」

 これにグレイスも倣い己が背負う大剣の柄へとその五指を滑らせて、肉体の軸を前方へと傾けた。

 重心を前へと置き、すぐさまどの様な反撃にも迅速に対応出来る様にしているのが傍目にも理解出来る。

 両者共に互いを見据えて二人は先程とは一転して、隙のない呼吸をしていた。

「ユウ。お願い」

「あ、うん。わかったよ」

 だからだろう。

 そんな二人へと魅入ってしまっていた名を呼ばれたユウは、シャルロットの言葉に頷き、そしてこの決闘の審判を務める事と相なった。

「それじゃあ、いくよ」

 ユウは緊張に息を呑み二人の前に立つと、片腕を大きく振り上げてから、それを勢い良く振り下ろした。



 *




 ─癪だけれど


 そう思いながらもシャルロットは自ら相手に乗せられたのを理解した上で尚も、敢えて先手を取った。

 それ程の自信があったのもそうだが、神速のレイピアの動きに、まさかグレイスが対応出来るとも思えない、という過信があったのもまた事実。

 彼女は手にした細剣で、正々堂々真正面から軌跡を取った。

 風を伴い虚空を切り裂く刺突は狙い違わず、まるで吸い込まれる様、グレイスへと殺到した。

 迫り来る斬撃に対し、けれど彼は剣を未だ抜き放つ事は無かった。

 飄々とした素振りでシャルロットの剣戟を肉薄する、すんでの所で交わすと、一足飛びに後退した。

 当たるか当たらないかのギリギリを責めている様で、触れるその寸前でシャルロットの神速の突きを軽くいなしている。

 ─上手くないわね

 一度そう判断した彼女は、距離を取ったグレイスを前に再び仕切り直す様、眼前に構えた。

「随分と及び腰なのね弱虫さん。逃げてばかりで威勢がいいのは口だけかしら?」

「ハッ、良く言うぜ。お前、殺しに来てるだろう?まさかこの場所を選んだのも最初からそのつもりか?」

「どうかしら?でも、その疑問は杞憂よ。だって─」

 するとシャルロットが言葉を発したと同時、問答を交わしていた筈の彼女の姿がその場からかき消えた。

 否、

「死人が知る必要も無いでしょう?」

 そう見えてしまう程の身のこなしで踏み込むと、既にグレイスへと接敵していたのだ。

 その身に風を纏い、学院随一の魔法剣士の本領がここに露わとなる。

 刹那、言い放たれた言葉と同時に煌めきを放つ純白の輝ける刀身の先端が、容赦なくグレイスへと見舞われる。

「シッ」

 流石の彼もこれには堪えたのか、咄嗟に大剣を抜き放つと、レイピアの斬撃の真正面にそれを縦に構えた。

 盾の代わりとして応用したのか、シャルロットの刺突は硬い金属の壁に阻まれてしまう。

 巨大な大剣は迸るレイピアの銀線に、柔軟にも対応して見せた。

 けれど側からこの光景を見れば、何方に部があるのかなど自明の理。

 戦いはあくまでグレイスの防戦一方であり、シャルロットの独壇場であった。

 ─無様ね

 これを予め読んでいたシャルロットは、自らの細剣を握る手とはもう一方の手に魔力を流した。

 宿る属性はシャルロット・ミラーの本質足る何者をも恐れぬその精神性故の苛烈なまでの炎。

 摂氏一千度を上回る熱が翳した手の内へと生じ、世界の理を捻じ曲げる超常がここに顕現した。

 そして球体の炎を自らの手に生み出すと同時、シャルロットはそれをグレイスに向けて超至近距離から叩き付けた。

「ファイアボール」

「おおッ」

 艶かしくも可憐なシャルロットの薄桃色の唇から、一言だけそう呟くのが聞こえた。

 すると眼前に爆炎が上がり、その衝撃からか土煙が辺り一体を埋め尽くした。

 粉塵が舞い上がり、凄まじい威力により生じた砂塵が虚空を漂った。

 砂礫が辺りへと飛び散り、その後にシャルロットが傷一つない美麗な装備のままに再びこの場へと姿を現した。

 対称的に、依然土煙の中から出てこないグレイスを目の当たりとしてユウは焦燥に声を掛けてきた。

「シャルロットっ、これはいくら何でもやりすぎだよっ」

 そう非難の声を掛けた彼であるが、これを他所にシャルロットは未だ姿勢を崩していなかった。

 彼女はもたらされた幼馴染の言葉を意にも介さずに、自らの魔法により生み出したばかりのその爆心地を見据えた。

 ─妙だわ

 そう、確かに完璧な一連の自身の立ち振る舞いに対する自信はある。

 にもかかわらず、その考えと反してあまりにも手応えが無さ過ぎる。

 そしてそれが何故だがは分からないが、シャルロットは自らの直感に従い気を緩める事は無かった。

 本来であれば今し方の魔法により相手はその身に重傷を負い、二度と剣を振ることが出来ない程度には火傷をしている筈。

 或いは当たりどころが悪ければ死も免れない。

 だが未だうなじの辺りに感じるピリピリとしたこの感覚にシャルロットは身に覚えがあった。

 これは依然として自身の敵足る脅威が消えていない証明であり、彼女はその本能に従順だった。

 そしてシャルロットの直感の通り、胸の内に渦巻いていた杞憂は現実の物となる。

 青々とした草原の中唯一炎の手が上がるその場所から、僅かばかり煤けた巨漢の影が現れる。

「ちっ」

 これを前にシャルロットは舌打ちを一つ。

 信じ難い光景であるが、何とシャルロットの魔法の直撃を受けたかと思われたグレイスが、まるで無傷の姿のまま、その両の足で草原に広がる焦土の中心へと佇んでいたのであった。









 依然、シャルロットとグレイスの戦闘は続いていた。

「フレア」

 辺り一体に紅蓮の炎が咲き誇ると共に、それは鮮やかな紅を散らして明滅した。

 詠唱と同時に、シャルロットの巧みな剣術が、相対するグレイスへともたらされる。

 前者の苛烈な反撃に後者がその身に擦り傷を残しながらも、如何にか爆炎からは逃れた。

 熱風がグレイスの肌を焼き、当初は緑豊かな草原だったこの場は、シャルロットの魔法により焼け野原と化していた。

 可憐であった草花は焼け爛れ灰塵と化し、焦土となった大地に両者は向かい合う様並び立つ。

 ─手詰まりね

 ただ、グレイスは防戦一方になりながらも致命傷を負うことなくシャルロットの攻撃を交わし続けている。

 それとは対称的に未だにシャルロットはグレイスへと致命打を与えられていなかった。

 攻めあぐねているのを自覚して尚も、再びシャルロットは前方へと躍り出た。

 先程よりも遥かにキレの増した踏み込みに応じて、剣技の程もまた鋭さが上がる。

 だがやはり巨大な大剣に阻まれるも、一度立て直すために後退する直前、置き土産とばかりにシャルロットはお見舞いした。

「フレア」

 そして再びの詠唱に伴い、グレイスの周囲を火炎が踊り、次の瞬間には火柱が天に上がる。

 際しては一面を爆炎が薙ぎ払い、砂塵が宙を舞った。

 次いで一度距離を大きく取ったシャルロットは後退して、充分にグレイスから離れた位置へと身を置いた。

 更に彼女はこれにまるで追い討ちをかける様、レイピアを一度腰の鞘に納めると、腕を眼前に持ち上げた。

 そして─

「フレイム」

 己の精神を統一する為瞳を瞑り手を開くと、次いで翳した手のひらから煌めきが迸る。

 先程の紅とは異なり、黄金の入り混じる輝きが、一直線にグレイスの元へと殺到する。

 これに彼はなす術なく貫かれると思われたその時、砂塵漂う中から巨体が現れた。

 そう、グレイスはシャルロットのフレアという常人を殺すには事足りるだけの威力の魔術を受けた。

 にもかかわらず未だその場に健在であり、尚且つその瞳に鋭い戦意を迸らせていた。

 背に担いでいた漆黒の大剣を抜き放ち、そして彼は相対するシャルロットに向けて構えた。

「まさか‥」

 その姿を前に、瞳を開いたシャルロットは、今グレイスがしようとしている事に瞬時に思考を巡らせて唇を戦慄かせた。

「おおッ」

 空気を震撼させる咆哮と共に、グレイスは手にしていた大剣を真正面へと振りかぶった。

 風を大きく切り裂くいななきを伴い、漆黒の刀身はシャルロットの魔法と衝突した。

 そしてせめぎ合う事も無く、簡単にその力量からか、グレイスは己に向けて放たれた脅威を真正面から切り伏せた。

 巨大な炎の塊を真っ二つになき別れとしたグレイスは、そのままシャルロットに向けて疾駆する。

「うそ‥」

 人の身の丈を上回る大剣を持ちながら、その重荷を感じさせない身のこなしで、グレイスが自らに迫り来る。

 シャルロットは咄嗟にレイピアを構えようとしたが、先程鞘に納めていたのを漸く思い出す。

 すぐさま剣帯から抜き放つべくして手を滑らせるも、相手は既に此方へと接敵していた。

 最早目と鼻の先のグレイスを前に、けれど如何にか鞘から刀身を抜き放ったシャルロットは、洗練された動きで神速の一撃を繰り出そうとする。

 だが、一歩遅かった。

 次の瞬間には手にしていた細剣を打ち払われて、大剣の腹でその身を薙ぎ払われていた。

 たった一度の、加えて刃とは逸れた部分で斬撃を受けた。

「かはッ」

 にもかかわらず、シャルロットの身体はまるでゴム鞠の様に跳ねて、無様にも大地を転がった。

 ─動けない

 吹き飛ばされながらも、すぐさま立て直そうと両手を地面につく。

 しかし、その思いに反して膝が震えて思う様に立ち上がれない。

 相手の反撃を受ける前、その衝撃の軽減の為敢えて後ろに飛んだにもかかわらず、ただの一撃でシャルロットは再起不能にまで追い詰められていた。

 眼前には地面があり、既に自らを見下ろすグレイスの存在を頭上に感じていた。

「ま‥だ‥」

「終わりだ」

「くッ」

 もたらされた衝撃により震える肉体へと鞭を打ち、如何にか顔を挙げるシャルロットであるが、すぐさまグレイスの足が降ってきた。

 靴裏で頭を足蹴にされたシャルロットは悔しげに声を挙げながら、唇を噛む事しか出来ない。

 今し方の打撃により致命傷は与えられていないものの、肺を圧迫されたせいか呼吸がままならない。

 更には敗北を期した事実を突き付けられた手前も相まって、シャルロットは強烈な羞恥に身を焦がす。

 ただ、頭をグレイスに踏みつけにされて尚も、シャルロットの碧眼は未だ戦意を湛えていた。

 けれどそれもここまでだ。

 何故ならば─

「さて、お前は俺に敗北した訳だが、早速命令を聞いてもらおうじゃねぇか」

「それは‥」

「構わないだろう?まさかあのシャルロット・ミラーともあろう者が交わした誓いを自ら破るのか?」

「くッ。身体さえ動けば貴方なんか今すぐにでもここで‥」

 そう、やはり幾ら戦う意思があろうとも肉体がそれに応じなくては意味がない。

 シャルロットは地へと倒れたまま、グレイスに只々見下ろされていた。

 最早抗う術は無く、あれ程までにシャルロットに対して防戦一方であったグレイスは今や一転して勝者の座についていた。

「謀ったのね。貴方、初めから手を抜いていたでしょう?」

「ほう。何故そう思う?」

「‥あれが無ければあたしだって油断なんて‥」

 だが、依然シャルロットはそれを認める事が出来ず、現実からの逃避で一人そう呟いた。

 無論彼女の言の通り、グレイスの欺瞞が無ければもう少し善戦出来たというのもまた事実であろう。

 とはいえそれで彼に勝てたのかといえば嘘になる。

 当然ながら自力の差でシャルロットはグレイスに敗北を期したに違い無い。

 故にその仮定の話など、論議するのに不毛な行いに他ならない。

「だが事実こうしてお前が地に伏して、俺が立っている。それは歴とした結果だろう。そして敗因はそれだけじゃねぇ。お前は魔術に頼り過ぎだ」

「‥そんな‥あたしは‥」

 思いがけないグレイスの言葉に、シャルロットは図星を突かれたのか反論もままならない。

 只々打ちひしがれるのみであり、平素から見せている気丈な振る舞いは見る影もない。

 何故ならば事実としてシャルロットは戦いの中で魔術を連発し、それで隙を突かれて敗北したのだから。

 そして先ほどまではあれ程に独壇場ともいえる立ち回りを見せていた彼女は現在ではこの有様だ。

 故に少なからず普段からの気概が削がれていても特段おかしな事では無い。

 だからだろう。

 平素の大上段に構えて調子づいた言動も今はなりを顰めていた。

 寧ろその高飛車なプライドをへし折られてしまった手前も相まったシャルロットは、屈辱に身を震わせるばかりである。

「そう‥。なら、勝利した貴方は何を願うというのかしら?」

「そうだな。お前には一月程俺の奴隷になってもらおう」

「なッ。そんな要求‥」

「それに見合う対価を俺は賭けていた筈だが?」

「‥‥‥」

 確かにグレイスの言葉通り、彼は己が殺されるやもしれない決闘を受諾した。

 これに応じてシャルロットも同様に自らの言葉で対価を払うと誓った。

 ならばこれは正式な契約に他ならず、剣士であると同時に魔術師でもあるシャルロットにとって、背いてはならない事柄だ。

「負ければ俺の奴隷になる。そう自ら言ったのはお前だろう?ならばここで、魔術師としての言葉で誓え」

 更にはまるで追い打ちをかける様に、グレイスはシャルロットの頭をぐりぐりと踏み潰す。

 これにより眩いばかりの金色の光沢のある長髪は穢れ、屈辱にシャルロットは唇を噛む。

 傍目にも輝かしく艶やかな金髪が踏みつけとされるのは、痛々しい光景であった。

 だからだろう。

 そんな二人のやり取りを見兼ねてか、両者の間に割って入る声がある。

「もうやめようよ」

 そう、先程からこの場に居合わせているにもかかわらず、今ままで口を噤んでいたユウが漸く勇気を出したのだ。

 けれど─

「黙れ。これは俺とシャルロット・ミラーの問題だ。お前には関係無い」

「けどっ、シャルは僕の為を思って‥」

「こいつが挑んできた勝負に俺は勝った。そして契約を遂行する。部外者は口を出すな」

「ぐっ」

 そう一方的にやり取りを終えられてしまい、ユウは反論出来ない。

 何故ならば魔術師という者達はそれ程までに契約に重きを置いている。

 否、その言葉に縛られてしまっていると称してなんら差し支えない。

 曰くそれを違えれば相応の罰が下されるのだとは、超常の力を行使する対価としては寧ろ必然であろう。

 だからこそシャルロットが自身で立てた誓いに背けないのをユウは理解しているのだ。

 それ故に、グレイスにも強く言えず閉口するばかりである。

「シャルロット・ミラー。俺は気が長い方では無い。これ以上の手間をかけさせるなら、分かるよな?」

「‥ええ。わかったわ。あたしは貴方の奴隷になります。これで満足かしら?」

「結構」

 そして無情にもグレイスの有無を言わせない低い声色に、シャルロットは遂に折れた。

 次いで唇を戦慄かせながらも、淡々とその要求に応じる他無かった。

 かくして学院の氷姫として名を馳せていたシャルロット・ミラー足る彼女は、惨めにも自ら挑んだ決闘に敗北した挙句、その男の奴隷となった。








 冒険の門出を飾ったのは、波瀾万丈という言葉が文字通り正しく似合う程に、ユウ・アンダルシアにとって調子が狂う日だった。

 というのも彼には生まれた時から共に育った幼馴染が居るのだが、彼女が唐突に決闘をすると言い出したのだ。

 加えて相手はあのユウを虐めてくるグレイスだ。

 彼はこの世界、つまりは異世界へと転生して初めて他人を嫌いになった。

 そんなグレイスという男は、学院内において執拗に実技訓練の際にユウを叩きのめす。

 それもシャルロットが居る目の前でだ。

 その為ユウはグレイスの心中を理解していた。

 きっと彼はシャルロットに好意があり、だから幼馴染であるユウを良く思っていないのだろう。

 そう推測していた。

 ─残念だったね。シャルロットは僕の事が好きなんだよ。

 その筈だ。

 何せ現代日本から転生して赤子として生を受けたその時から、ユウは家の繋がりからシャルロットと交流があった。

 親同士が仲良くしていた為、その付き合いから二人は親交を深めたという塩梅だ。

 だからこそ長年共に連れ添ってきた幼馴染であるが故に、ユウには確信があった。

 例えグレイスにいくら口説かれようと、シャルロットの心が動く筈がないとの、自惚にも似た過信が。

 だからだろう。

 現在では決闘を終えた草原から場所を移して、チェックインをした宿屋に身を置いていたユウは、深夜不意に隣室から聞こえた音に耳を澄ませた。

「あ‥❤️あ❤️んんっ❤️ん‥❤️」

 そう、先程別れたばかりのユウとシャルロット、そしてグレイスはそれぞれ自室へと戻った。

 そして部屋の割り当ては一番右端にユウ、に並んでシャルロット、左にグレイスといった具合だった。

 無論ユウはシャルロットとグレイスが別々の部屋に行くのを見届けた。

 だがそれでもユウは、その後にグレイスがもしかしたらシャルロットの部屋に押し掛けたのではないかという疑念を持っていた。

 当然だろう。

 なぜならばグレイスは決闘において見事シャルロット相手に勝利を納めたのだから。

 であれば夜這いなどをして無理矢理に襲ってもおかしくない。

 とはいえ当然ながらシャルロットも拒絶するに違い無いので、グレイスも嫌がる女性に乱暴を働く事はあるまい。

 と、ユウは流石に其処の線引きに、グレイスという男が厳しいのを知り及んでいた。

 学園でも女子生徒を口説く時だけは、グレイスは紳士的になるのだ。

 その光景をユウは傍目に幾度も目撃した事がある。

 そして女達は皆一様に例外なく口を揃えて言うのだ。

 彼はとても素敵な男性よ、と。

 更にはその証左として、グレイスは痴情のもつれなどでトラブルなどを起こした事が無く、その点だけは信用出来る男だとユウは踏んでいた。

 そうでなければユウとてこの様に一人、自室でおちおち読書などできよう筈も無い。

 何せ仮契約とはいえど、幼馴染のシャルロットがグレイスの言葉に縛られているのだ。

 シャルロットは学生の身分であるが曲がりなりにも魔術師の言霊で、その効力は術者の才能に依存する。

 ならば依然魔術の本懐には至らぬ未熟者のシャルロットだとしても、危ういのではなかろうか。

 だからこうして敢えて隣室同士になる様に部屋を取ったという寸法だ。

 何かあればすぐにでも飛び出せる様に今夜は寝ずの番でもしようかと思っていた矢先の、今し方もたらされた、何処か鼻にかかった甘ったるい声。

 これにはユウも息を潜め、静寂に包まれた自室で耳をそばだてた。

「あ‥❤️ん‥❤️いやぁ‥❤️んんっ❤️」

 まるで甘える様な、平素では聞く事の無いシャルロットの嬌声。

 ユウは信じられなかった。

 あの常にツンツンしている彼女はこの様な艶かしい声を出すなど、あり得ない。

 そう思いながらも確かにこの部屋の隣はシャルロットなのだ。

 ─恐らくは自慰をしているのだろうな

 ユウはその事実に凄まじい昂りを覚えると、自身の陰茎が勃起しているのに気が付いたのであった。


 *






 思えば一瞬の出来事だった。


「あっ❤️んん❤️だめぇ❤️いやぁ‥❤️」

 その夜、突然グレイスはシャルロットの部屋へとやって来た。

 そして決闘に勝った対価として身体を求められた。

 これにシャルロットはその魔術師としての誇りから、契約を違える事が出来なかった。

 故に彼女は良い諾々とグレイスの要求を飲む他に、選択を許されていなかった。

「やっぱりっ、それが貴方の本性ねっ。学園で言いふらしてやるんだからっ。んっ❤️やめなさいっ」

 口付けをされて、胡乱な意識のまま気が付けばあっという間に純潔を散らされていた。

 そう、本当にあっけなく、シャルロットの貞操はグレイスという男に犯された。

 処女を奪われたシャルロットは当然ながら最初は破瓜の痛みに身を捩った。

 けれどそれも次第に霧散してゆき、段々とグレイスから与えられる口付けにシャルロットは僅かだが快感を覚えていた。

「ちゅ❤️れぇ❤️れりょ❤️れりょ❤️んんっ❤️だから‥このっ、離しなさいよっ」

 正常位で向かい合い、舌を絡ませてきたグレイスに弄ばれながらも、シャルロットは身体を突き放す。

「っと、おいおい、どうした?お前は俺の奴隷の筈だろうが」

「んむぅっ❤️れりょ❤️れぇ❤️じゅる❤️れりょ❤️れりょ❤️れる❤️れりょ❤️」

 だが再びグレイスに後頭部を鷲掴みにされてしまい、唇を重ねる羽目となる。

 まるでこねくり回す様、シャルロットは執拗に舌を絡め取られ、口腔を弄ばれる。

 唾液に濡れた舌の感触を濃厚に互いの口内で感じ取った。

「やめらひゃい❤️ほろひゅわひょ❤️れりょ❤️れりょ❤️れる❤️れぇ❤️れぇ❤️れろ❤️れる❤️」

 これにシャルロットは一方的に、グレイスの舌技に翻弄されたまま、ビクビクと肩を震わせた。

 前者は後者から与えられる愛撫に対して、その心中とは裏腹に快感を覚えるばかりである。

 先程に純潔を散らされた筈の膣口が、グレイスの男根を更に深くへと迎えた。

「おい、こんな所まで入ってるぞ」

「あんっ❤️やっ❤️やめなさいよっ❤️今すぐやめないとっ❤️んんッ❤️」

 不意にグレイスは、無毛のツルツルとしたシャルロットの股間からツツと指先を下腹部へと上に向けて這わせた。

 其処には僅かながらにグレイスの陰茎の存在をシャルロットの膣口越しに膨らみが感じ取れる。

「あっ❤️だめッ❤️」

 そして次の瞬間、シャルロットの身体がグレイスの男根を膣口に納めたままにびくりと大きく痙攣した。

 際しては彼女の豊満なデカ尻がぶるんっ❤️と同時にたわわに弾む。

「果てたか」

「ああ‥❤️んんッ❤️」

 薄桃色の艶やかな下唇を噛み締めて、シャルロットは頬を赤く染めた。

 襲いくる快感に身を苛まれる彼女は、その両手を無意識ながらもグレイスの背中に回していた。

 しかしそれも一瞬、まるで甘える様な自身の振る舞いに漸く及びがついたのか、シャルロットは緩慢な動作で手を離す。

「あたしはっ❤️イッてなんかないわっ❤️」

 キッとグレイスを睨み付け、シャルロットはその金色の長髪を揺らした。

 これに伴い生白い柔乳が媚肉をたぽたぽと揺らし、見咎めたグレイスが手を伸ばす。

「あっ❤️なにするのよッ❤️」

「すまんな。目の前にこんな上物があった故ついな‥」

 その先は当然ながらシャルロットの豊満な乳房であり、グレイスはやわ乳の肌に五指を沈ませた。

 むにぃ❤️とスベスベとした触り心地の良い感触と共に、大いに重量感のあるたわわな柔らかさをぐにぐにと揉みしだく。

「それにしても‥」

「あっ❤️ちょっとッ❤️やめなさいよっ❤️」

 加えて、そんな肉付きの良いシャルロットのむっちりとしたデカケツを、グレイスはもう片方の手のひらで一息に張った。

「相変わらずデカイ尻だな」

「ふんっ❤️好きに言えばいいわっ❤️そうしていられるのも今だけなんだからっ❤️調子に乗らないでよねっ❤️」

 更にぱちんっ❤️と乾いた甲高い音がして、叩かれたシャルロットの尻肉の純白の肌に紅が跡を残す。

「ほんとうは貴方なんかとこんな事‥。早く終わらせてちょうだい」

「まぁ、そう急くな」

 彼女は自身のむちむちとしたたっぷりと脂肪が乗ったデカ尻肉をグレイスに鷲掴みにされて、その碧眼に険のある光を宿した。

 そんなされるがままのシャルロットとは対称的に、グレイスは腰を動かす事もなく、この時間を心底から楽しんでいた。

「跡が残るからやめてって言ってるでしょうがっ❤️」

「ほう?何故だ?ユウにでも見られるのか?」

「んんッ❤️ユウとはそんな関係じゃっ❤️」

「なら別に構わないだろう。俺の好きにさせろ」

「あッ❤️」

 再びそう言うとグレイスは振り上げた手のひらでシャルロットの尻たぶをぶるん❤️ぶるん❤️と幾度となく叩いた。

 そうして一頻り色白の安産方の尻肉へと跡を残すと、次にグレイスはアナルへと五指を這わせた。

 たっぷりとした柔らかな脂肪を退けて、グレイスはシャルロットの尻穴に指を入れた。

「ひゃっ❤️貴方ッ❤️何をっ❤️ほんとうにころすわよっ❤️」

 流石に敏感となっていた身体に思いがけず刺激を加えられて、シャルロットは背をのけぞらせた。

 そして勝気な眦の涙を浮かべてグレイスへと抗議した。

「もしかしてお前、こっちでも感じてるのか?」

「んッ❤️そ、そんなわけないでしょっ❤️いいから早く終わらせなさいよっ❤️この変態っ❤️」

 ただ、シャルロットの尻穴はフルフルと震えたまま、その言とは裏腹に身体は顕著な反応を示している。

 未だ膣奥へと納められたグレイスの男根がきゅうきゅうと締め付けられた。

 応じて彼はシャルロットの尻穴の膣壁をほじくり、刺激を与えて見せた。

「んんッ❤️くっ❤️ひゃめっ❤️れりょ❤️れろ❤️れりょ❤️れる❤️れりょ❤️」

 それと同時にシャルロットは唇をも奪われて、再び口腔でグレイスと舌を濃厚に絡ませた。

 これに合わせてグレイスは腰を勢い良く動かして、男根で膣奥を深く突き上げた。

「やっ❤️れりょ❤️れる❤️れる❤️れりょ❤️こわいのきちゃうっ❤️だめッ❤️」

 その度に大きな亀頭がシャルロットの子宮へと当たり、甘い快感が背筋を駆け抜ける。

 きゅうきゅうと子種を求めてシャルロットの子宮口は、鈴口へと無自覚にも雌の本能からか吸い付いていた。

 そして尻穴から離れたグレイスの両手がシャルロットの尻肉を掴む。

 次いでグレイスは男根を勢い良くシャルロットの膣奥へと深くまで押し当てた。

「出すぞッ」

 これと同時に耳元でシャルロットは信じ難いグレイスの言葉を耳とした。

「うそっ❤️まってっ❤️」

 瞳を大きく見開いて、デカ尻を鷲掴みにされるがままにシャルロットは静止の言葉を挙げた。

 けれどその声色は嬌声に塗れており、雌としての本能に彩られていた。

 幾度となく子宮を巨大な男根の先端で打ち据えられて、遂にグレイスは亀頭を奥深くへと突き入れた。

「あっ❤️いやッ❤️ナカに出てるっ❤️んんッ❤️」

 その瞬間膣内に納められている男根が大きく脈打ち、そして濁流の様に勢い良く白濁した粘液がシャルロットの子宮を犯し尽くす。

 決壊した欲望は止まるところを知らず、グレイスの鈴口からは湯水の如く精液が解き放たれた。

 吐精する亀頭にシャルロットの子宮口は密着し、余す事なく雄の精子を全て受け止めた。

「ああ‥❤️ああっ❤️んん‥❤️」

 シャルロットは無意識に瞳を閉じて、その熱いグレイスの子種を自らの下腹部へと感じていた。

 逞しい雄の遺伝子をその身に刻み込み、シャルロットは絶頂に打ち震えた。

 心地の良い多幸感に包まれて、彼女はグレイスの硬い胸板へと肉体の弛緩によりしなだれかかる。

 四肢からは完全に力が抜けてしまい、シャルロットは否が応にも憎き相手との密着を許す。

 隆起した筋肉を肌身に感じ、シャルロットは肉体の疲労から、急激な睡魔に見舞われた。

「おぼえていなさい‥❤️アンタなんかっ‥❤️」

 上目遣いでグレイスを見上げるシャルロットは、そう反抗的な瞳をしながらも、その美貌を弛緩させていた。

 とろけた表情で、その安産方のデカ尻を震わせているのが傍目にも見て取れる。

「んんッ❤️れりょ❤️れる❤️れる❤️れりょ❤️れぇ❤️ひょっひょ❤️もうやめなひゃいよ❤️じゅる❤️れろぉ❤️れりょ❤️れる❤️」

 これにグレイスは口端を酷薄に吊り上げて、口付けで応じた。

 深く唇を合わせ、次第に無自覚だろうがシャルロット側からも舌を絡ませてきた。

 濃厚に互いの唾液を交換し、シャルロットは自らの赤子を育む為の部屋にグレイスの熱い子種があるのを確かに理解した。

 口付けを交わす度に下腹部に熱を覚え、ぬるぬると唾液に濡れた舌を絡ませると甘い快感がシャルロットの意識を朦朧とさせる。

 子宮に雄の迸る生命力を彼女はその身に感じたままグレイスの腕に抱かれて、今度こそ多幸感溢れる中眠りへと落ちていった。








「シャル~、まだ起きていないのかい?」

 そう声が聞こえて、シャルロット・ミラーは心地の良い眠りから起床した。

 そして、次第に浮上してゆく意識の中、自身の晒している無様な格好に気が付いた。

 ぶっといどすけべな太腿を自ら開き、そしてだぷん❤️と重量のある柔乳肉を放り出して、仰向けに寝ていたのだ。

「んッ❤️さいあくっ❤️」

 そう言って、彼女は昨晩に注がれたグレイスの濃厚な白濁した子種が膣口から出ているのを前に毒づいた。

 震える四肢でどうにかベッドから上体を起こす。

 際しては豊満な乳房がぶるんっ❤️と揺れて、弾力的にたぱんっ❤️と肌をうつ。

 僅かながらに汗ばんだ身体を鬱陶しく思いつつ、寝台にむちむちとした太腿を出した。

「もうっ、やっぱり跡になっちゃってるじゃない‥」

 次いで自らの尻肉を部屋に置いてある姿見に移すとそう言った。

 事実としてシャルロットの言の通り、安産方の脂肪の乗った尻肉は、幾つもの紅の跡がある。

 昨夜に散々グレイスから嬲られた為、彼の手形状になっていた。

 まるでそれは自身の所有物である証でも刻むかの様な振る舞いだった。

「お~い?シャル?」

 そう昨日の交尾を想起していると、不意に再びのユウの声がシャルロットへともたらされた。

「少しくらい待てないのっ?今開けるんだからそこで大人しくしてなさいっ」

 相変わらずツンツンとした態度で、床に散らかっていた黒色の紐パンを拾う。

 そしてむちむちとした自身の張りのある太腿に結んだ。

「あんっ❤️ほんとサイテーねっ❤️」

 これに伴い膣の割れ目へとクロッチの部分が押し当てられたせいか、グレイスの精液が溢れ出てきた。

 どろぉと粘着質な白濁液が、黒色のショーツへと垂れる。

 だがこれを気にしてはいられない。

 何故ならば水浴びをするには宿屋の者にチップを支払いサービスを使わなくてはいけないのだ。

 そうなれば自ずと自身の痴態がバレてしまうではないか。

「くっさいわね‥❤️」

 グレイスの濃厚な雄の臭いは、むわぁ❤️と黒色のショーツに染み込み、シャルロットを辟易とさせた。

 そしてむっちりととした尻肉に湿り気を帯びた紐パンを結んだ後は、丈の短いスカートを腰に巻く。

 動きやすさを重視して、むちむちとした太腿と、尻たぶの境目が見えてしまっていても気にしない。

 そもシャルロット・ミラーという少女は元より自らの容姿はそれなりだと自覚していた。

 だから金色の輝かしい長髪を堂々と二つに結えてツインテールに出来るし、ミニスカでも動じなかった。

 肌に馴染む、前の開けたシースルーを身に付けて、上からチュニックを被る。

 シャルロットのデカ乳に合わせて胸の部分が大きく露出したそれは、より一層女性的な魅力を彼女に与えていた。

 この様にして衣服を身に付けたシャルロットは、そして最後に、まるでトレードマークの様な印象を受けるニーソを手にした。

 長く艶かしい脚をニーソの口へと滑り込ませた。

 むちぃ❤️と傍目にもその柔らかさが理解出来る程にぶっといシャルロットの太腿にぴっちりとそれは張り付いてきた。

「よしっ」

 これで天才魔法剣士、シャルロット・ミラーの完成だった。

 普段の装いとなった彼女はたっぷりとしたデカ乳を一度ぶるんっ❤️と揺らすと、満足げに胸を張る。

 当然の様にあまりにスカートの丈が短いせいで、少女の柔らかなケツ肉が露出しているが、シャルロットはその危うさに今は気付いていなかった。

 次いでオーダーメイドに誂えた高級性のブーツを履き、金色の艶やかな輝かしいツインテールの長髪をその場でクルリと一度ターンして自慢げに揺らした。

「おーい、早くしてよ」

「うるっさいわねっ、女の子は身支度をするのに時間がかかるのよっ。このバカっ」

 再びノックの音と共にもたらされたユウの声に返事をして、シャルロットは部屋から出る。

 未だグレイスが中で寝ているが、取り敢えずはユウをこの場から離れさせるのが先決だった。

 部屋の扉を開けるシャルロットは、後手にグレイスを隠す様すぐさま戸を閉めた。

「もう遅いよシャル。あ、グレイスはまだ来てないみたいなんだけど‥」

「そう。それなら先に食堂に行って待っていましょうっ」

 二人はそうやり取りを交わすと、互いに歩調を合わせて階下へと降りる。

「あの、シャル。それどうしたの?」

 けれど不意にもたらされたユウの声に、シャルロットは脚を止めた。

 際しては急な静止により、豊満な乳房がたゆん❤️たゆん❤️と虚空で弾力的に揺れた。

「え?」

「いや‥、その‥何ていうか‥」

 これに不思議そうに小首を傾げたシャルロットに、ユウは判然としない態度で視線をチラチラと送る。

「あっ、これはっ‥見ないでっ」

 だが眼差しの向く方向を辿り漸くシャルロットは気が付いた。

 其処には昨夜グレイスに散々叩かれて赤く跡の残ったデカケツの尻たぶが露出されていた。

 紐パンは尻肉の間に食い込んで、むっちりとはみ出た安産方のけつ肉を無様にも晒していた。

「う、うん。ごめん。けど大丈夫なの?」

「え、ええ。これは昨日ベッドから落ちたのよ。それでこんな風に‥って、あたしに何言わせてんのよこのバカっ」

「えぇ‥。ひどいよシャル」

 幼馴染と気の知れたやり取りを交わして、シャルロットはスカートの裾を引っ張り生白いデカ尻を隠す。

 羞恥に赤く染められた純白の頬は傍目に見て初々しく、二人はまるで恋人の様。

 そんな彼等彼女等であるが、不意にシャルロットは自身の下腹部が甘い疼きを覚えた。

「んっ❤️またッ❤️」

 黒色のクロッチに覆われた膣口から再びドロドロの精液が溢れ出た。

 自らのしばかれたデカ尻を自覚して、シャルロットは子種を注がれた胎を撫でた。

 そっと無自覚ながら何処か愛おしげに下腹部へと指先を添えたシャルロットは、頬を赤く蒸気させた。

「どうしたの?」

 このシャルロットの平素では見せない姿に怪訝な面持ちとなるユウは声をかけた。

「えっ?」

 ただ、シャルロットはこれにすぐさま反応を返せなかった。

 何故ならば彼女はグレイスの未だ熱を持つ子種が自身の子宮にある感覚に夢中になっていたからだ。

「なっ、なによっ」

「いや、何だか様子がおかしいから、大丈夫かなって‥」

「ふ、ふんっ。いいから早く行くわよっ。あたしはお腹が空いたんだからねっ」

 この様に二人は相変わらずな掛け合いを交わし、幼馴染としての日課をこなす。

 階段を降りる際、デカケツを左右にフリっ❤️フリっ❤️と揺らしながら、編み上げのブーツのヒールでカツカツとこの場へと響かせた。

「おい、お前あの女見てみろよ。めちゃくちゃでけぇ乳してやがるぜ」

「けっ、お貴族様がよ。お高くとまりやがって。あのデカケツ揉みしだきてぇぜ」

 そうしてこの場へとスカートの短い丈を翻し、颯爽と現れたデカ尻と豊満な乳房を晒すシャルロットを前に、荒くれ者たちは囃し立てる。

 冒険者をはじめとした腕利きの傭兵や、憲兵など様々なガタイの良い男達が、野次を飛ばす。

 傍目から見てもぶっとい太腿のくびれの腰に携えたシャルロットのレイピアは値打ち物だ。

 市民では手が出せない白銀の細剣は、オーダーメイドであるのがこの場に居合わせている下賤の者達にも理解できた。

 そんな目立つシャルロットだからこそより一層、どすけべなその身体をまるで舐める様に視線を這わされる。

「おい、誰か声かけてこいよ。あんなメスガキ誰かわからせてやれってんだ」

「はぁ?お前お貴族様に、んな事できっかよ。即刻不敬罪で処刑だっつーの。まぁけど、あんな上物高級娼婦にもいねぇなぁ」

「なら口説き落としてでもして、あのでかケツしばいてこいよ。あんな下品な格好してやがるんだ。ぜってー誘ってやがるぜ」

 カツンっ、カツンっ、ヒールのあるブーツを甲高い音を立てて鳴らし、食堂を歩むシャルロットを横目に、口さがない者達はそう喜色ばんだ。

 あからさまなその振る舞いを傍目に受けて、シャルロットは少しばかり恥辱に頬を赤に染めた。

「ふんっ、あいつらってば人の事を好き勝手言って‥。女の子のファッションに口を出すだなんてホントに無粋な奴らよねっ。あたしはこの格好が好きだからこうしてるのっ。ユウもそう思うわよね?」

「う、うん。そうだね」

 彼女はそうは言うが、ユウの反応も芳しくは無い。

 何故ならば事実として品性の欠片も無い、荒くれ者たちの言の通り、シャルロットはあまりにドスケベに過ぎる装いをしていたからに他ならない。

 それ程までに前開きになっているチュニックの其処から覗けるたわわに実る豊かな乳肉と、ぶっとい太腿の上に乗るデカケツ肉は、男の視線を惹いても致し方無い物であろう。

 傍目にも柔らかで揉みしだきたいという衝動に駆られてしまうシャルロットの肉付きの良い身体は、その絶世の美貌も相まって大いに獣欲を刺激してしまう。

 そんなだからあやふやなどっちつかずな態度にもなるユウにシャルロットはふんっ、とそっぽを向いてツンツンとした様子を見せた。

 そして一頻り拗ねて、先程まで金色ツインテールを揺らして顔を背けていた彼女は、不意に適当に空いている食堂の席へと腰を落ち着ける。

「ここにしましょう」

「ああ。僕もお腹が空いたよ」

 などと交わし合い、其処で辺りへと一度視線を走らせたシャルロットの視界へと男の姿が納められた。

「あっ、アイツ」

 そう誰であろう、昨晩にシャルロットの純潔を散らした男足る、グレイスが今この場へと続く階下への階段を降りる所が見えた。

「グレイスか。やっと起きたんだ」

 横でユウが何やら言っているが、シャルロットはそれを聞いてもいない。

 ただ、自らの下腹部がじんわりと熱を持ち、昨晩の交わりで注がれたグレイスに子種の存在をシャルロットは更に強く意識した。

 そんな何処かちぐはぐなシャルロットとユウの元へとグレイスが軽い足取りで向かってくる。

「なによっ」

「おいおい、朝から御挨拶だな。俺はまだ何もしてないんだが?」

 するとキッと上目遣いにグレイスを睨み付けて、シャルロットはまるで威嚇する猫の様な素振りを見せた。

 そして椅子へと腰を落ち着けるシャルロットの眼前まで来たグレイスは飄々とした態度で示し返す。

「うるっさいわね。早く座ればっ?」

「言われずともそうするさ」

 ふんっ、とその可愛らしい美貌を背けたシャルロットは、さりげなく椅子を引いた。

 其処に苦笑をひらめかせてグレイスは腰を落とす。

 奇しくも隣り合う形でシャルロットとグレイスは場を共にした。

 そんな彼と彼女を前に、向かい合う形となったユウは、何処か釈然としない表情を浮かべている。

「シャル、席は其処でいいの?」

「いいのっ。別にコイツがあたしに何か出来るわけじゃないしっ。こんな男気にするにも値しないわよっ。このあたしに掛かればこんなやつ一瞬なんだからねっ」

「ったく、相変わらずキャンキャンうるせー奴だ。少しは静かに出来ねーのか」

「なんですって?このっ─」

 という塩梅で、ユウの問い掛けに対してシャルロットは過剰なまでの反応を示した。

 そして再び売り言葉に買い言葉、シャルロットとグレイスはまたぞろ喧嘩をし始めた。

 否、平素通りシャルロットがグレイスに一方的に絡みに行っているといった所だろうか。

「ご注文は如何いたしますか?」

 ここに騒々しく思ったのかまるで割り込む様に、宿屋の看板娘と思しき少女が声を掛けてきた。

「ステーキと鶏肉のスープ」

 これにグレイスは即答して、妙に精の付く料理を言った。

「ふんっ、あたしはそら豆のスープとそうね、このフルーツパンというのを貰おうかしら」

「あ、僕も彼女と同じ物で」

 続けてシャルロットはやはり女性である為なのか、必然的に量とカロリーが控えめな物を頼む。

 にも関わらず、彼女のウエストは程よく脂肪が乗り引き締まっているが、それとは対称的に乳と尻肉は傍目にも圧巻なほどにむちむちとドスケベだった。

「そんだけしか食えねーのか。豆なんて食ってるから乳と尻ばかりデカくなって、筋肉が付かねーんだよ。そのままだと一生俺に勝てねーぞ」

「う、うっさい。しねっ。この変態っ。身体は関係ないでしょうがっ。本当にアンタってサイテーの男ねっ。この色魔っ」

「まぁ、女としては魅力的だがな」

「くっ。コイツっ、あたしっ、お尻大きいの気にしてるのにっ」

「ほう?なら胸はいいのかよ?」

「ふんっ、もたざる者からの妬みこそあるけれど、別に恥じる事ではないわよ」

「ちょ、二人共やめなよ。それにグレイス、君は女性になんて事を‥」

 そんな掛け合いをする二人をユウは周囲からの注目を集わせてしまっているのを自覚して、止めに入る。

「まったく‥。やっぱりアンタなんかと一緒に冒険なんて無理よ。いいえ、あたしが嫌なのっ。いい?絶対あたしの足を引っ張らないでちょうだい。決闘の時はちょっと油断しただけで本当ならアンタなんかにあたしは負けないんだからねっ」

「ほう‥それは楽しみだ」

「このっ、調子に乗ってッ。絶対その余裕崩して見せるんだからっ」

 とはいえ最早ユウの言葉など二人は聞いておらず、シャルロットは夢中でグレイスに食って掛かっている。

 勝気な眦を吊り上げて、シャルロットはその宝石の様な碧眼に険を宿していた。

 けれど頬を赤く染めて自前の金髪ツインテールをその心中に呼応して激しく揺らす姿は、傍目には何処か照れ隠しをしているようにも見えた。










「んんっ❤️これ、とても美味しいわねっ❤️」

 食事を取っていた筈が、自らの甘い声が入り混じりシャルロットは身を震わせた。

 自身の動じてしまう振る舞いに、シャルロットはその薄桃色の下唇を噛んだ。

 ─こいつっ❤️あたしのお尻触ってるっ❤️

 それが理解出来てしまう程に、あからさまに隣のグレイスは五指を這わせてきた。

 シャルロットの柔デカ尻肉を、ぐにぐにと揉みしだいている。

「どうしたシャルロット?調子でも悪いのか?」

 そう悪どく口端を歪め、グレイスは追い討ちでもかける様聞いてきた。

 彼はその言葉通り理解しているのだろう。

 シャルロットはそのデカケツに触れられるのが弱点であるのを。

 だからこそ執拗に尻たぶを手中に弄び、このメスは己のものだと主張してくるのだ。

 ─アンタなんかのものにあたしはならないんだからっ❤️奴隷になんてっ❤️くっ❤️

 そう気丈にも心中で反抗的に思い、それは振る舞いにも顕著に露わとされていた。

 その証左として、デカ乳を揺らして悶えつつも、切長の碧眼はグレイスを横目に睨んでいた。

 ─ち、乳首っ❤️だめッ❤️かくさなきゃっ❤️

 とはいえ刺激を与えられれば脳裏に想起するのは昨晩のべろちゅー交尾の思い出に他ならない。

 だからだろうか。

 否が応にも側の優秀なオスに肉体は応じて、乳首は勃起してしまう。

 硬くなった突起はシースルー越しに鮮明に浮き上がり、片腕でシャルロット自身が隠さなければ、ユウの眼前へと露わとなっていた事であろう。

 ピンっとたった薄桃色の乳首を視線から阻む様に、むにぃ❤️と柔乳肉を歪ませて、シャルロットは眦を吊り上げた。

 ─うそっ❤️お尻のあなまでっ❤️

「ちょっ❤️ちょっとっ❤️やめなさいよっ❤️」

 スカートの中に手を入れられて、食い込んだ紐パンをシャルロットはまさぐられた。

 そしてグレイスの指先がtバックとなったそれを退かし、アナルへと至る。

「シャル?もしかして具合悪いの?」

 そんなシャルロットが受けているセクハラなどいざ知らず、ユウは呑気にもパンを齧り、疑問を投げかけて来た。

「んぎぃっ❤️なっ❤️何でもないわよっ❤️」

 更にはこのタイミングでグレイスの逞しい五指が尻穴に入り込むと、膣壁を弄る。

 ─あたしは絶対負けないんだからっ❤️

 心中で硬く誓いながらもそれとは裏腹にシャルロットの身体は与えられる快感に反応してしまう。

 過敏なヒダをいいようにされるがままに、シャルロットの膣口は次第に濡れてゆく。

 ─だめっ❤️おしりっ❤️ゆびっ❤️つよいっ❤️

 そして愛液に湿る黒色の下着はぴっちりとマン筋へと張り付いた。

 加えて興奮からか、膣奥から昨夜注がれた子種がトロリと出ている感覚を得て、むちむちとした内腿を閉じた。

 ─っまたでてきたっ❤️うぅっ❤️だめなのにっ❤️こんな男なんかの精子っ❤️

 ぶっとい張のある色白な太ももを内股に、モジモジとシャルロットはその身を悶えさせた。

 幸にして眼前の幼馴染とは卓を挟んで死角となっている。

 故にシャルロットは現在晒している無様な姿を見られる様な事はなかった。

「それじゃあ今回はゴブリンを狩りに行くわけだけど、大丈夫だよね?二人とも」

 不意にユウがそう口火を切って、学院から申し付けられている内容を口とした。

「あっ❤️あたしは構わないわよっ❤️そんな雑魚、一人でも蹴散らしてやるんだからっ❤️」

 これに続けてシャルロットは平素通りを装い、大上段に言い放つ。

 凛とした美貌で、気丈にもそのデカ乳肉を携えた胸を張った。

 際しては乳首が勃起していた事実を忘れていたのに気付いて再び腕で隠す。

「くッ❤️ひぐっ❤️んんっ❤️」

「本当に大丈夫なの?さっきから顔が赤いけど‥」

「気にしないでって言ってるでしょうっ❤️あたしはアンタに心配される程、弱く無いわよっ❤️」

 けれど依然として、下品にケツ穴に指を入れられて子宮にある精液の熱に興奮してしまう貴族にあるまじき、下品な醜態は続けられていた。

 ユウから気遣われたシャルロットは、その言葉を鬱陶しく思いながら、自身の安産型の尻肉を揺らす。

 ─やばっ❤️あたしっ❤️

「それじゃあ、さっさと食事を終わらせて冒険にでも行こうぜ」

 だがそれもここまでだった、もう少しでシャルロットが軽イキを迎えようとする寸前で、グレイスはさっとスカートの中から手を引いて言ったのだ。

「え?」

 これにはシャルロットも突然快感を失い、思わず声を挙げてしまった。

「何かあったか?」

「どうしたの?シャル」

 そんな彼女へと、グレイスとユウは、前者は意図的に、後者は本心から疑問を呈した。

「い、いいえ。なんでも無いわよっ。そうね、アンタの言う通りだわ。ゴブリンなんて雑魚狩り早く終わらせましょう」

 シャルロットは自らの失態を露呈して、取り繕うべくして、そう鼓舞する言葉を独りごちた。

 ─こいつっ。絶対あたしを揶揄ってるっ

 とはいえ既に離れた筈のグレイスの硬い指の感触が、シャルロットの尻肉には未だ跡を残していた。

 ─こんな屈辱、許さないんだからっ

 胸中でそう決意も新たにすると、恨みがましい視線をシャルロットはグレイスへと注いでいた。

 可愛らしい碧眼が、キッと相変わらずグレイスを上目遣いに生意気にも睨み付けていた。



 *




「そっちに行ったわよっ」

 洞窟内において、シャルロットの利発な声が木霊する。

「ああッ、理解している」

 これに応じてグレイスの巨大な大剣が背から抜き放たれたと思えば、次の瞬間にはゴブリン達を薙ぎ払う。

 漆黒の鉄塊を振り抜くと同時に、グレイスはゴブリンの群を一刀の元に切り伏せた。

 瞬く間に魔物を殲滅する、そんなグレイスの姿を前として、自身も負けていられないとばかりにシャルロットも奮起する。

「この男と比べたらっ」

 ─こんな雑魚オスゴブリンなんてっ

 現在は狭い空間とあってか、シャルロットは魔術を自ら制限していた。

 そして自慢のレイピアを鞘から抜き放つと、一線してゴブリンの心臓を貫いた。

 続いてシャルロットのむちむちのドスケベ尻肉を狙い、下から襲いかかるゴブリンを背後へと振り向き様に、撫で切った。

 横に軌道を取ると、シャルロットはゴブリンの上半身と下半身を亡き別れに真っ二つにした。

 際してはぶるんっ❤️と胸に携えた巨大な乳肉を揺らし、奮闘している。

 激しいみのこなしでスカートの裾を幾度も翻し、目にも止まらない速さで神速の突きを繰り出していた。

 応じてデカ尻肉が露わとなり、それがゴブリンの情欲を掻き立てて、シャルロットは魔物の注意を惹いていた。

 たゆんっ❤️たゆんっ❤️と柔乳肉を晒し、無自覚にもゴブリン共を誘惑しているのだ。

 まるで彼等から見ればシャルロットというメスはレイプしてくださいっ❤️とでも言わんばかりにむっちりとしたぶっとい太腿の上に乗るケツ肉をフリっ❤️フリっ❤️と揺らしている様にしか思えなかった。

 ─死になさいっ❤️このっ❤️雑魚オスっ❤️

 しかし先程のアナル責めの反動からか、シャルロットはフラストレーションを溜めてしまっていた。

 その為、調子に乗った彼女は勢い良くバックステップを一度踏むと、次の瞬間には疾駆していた。

 そして再び正面に軌道を取ると、何匹ものゴブリンを蹴散らした。

「ギャッ」

「ギギッ」

「グギャッ」

「ギィッ」

 などと醜い悲鳴をあげて、彼等はシャルロットに触れる事すら叶わずに命潰えてゆく。

 最早シャルロットの独壇場かと思われたその時、不意に巨大な影が洞窟の最奥から歩み出た。

「ゴブリンロードッ!」

 シャルロットは自身の倍程はある巨大な緑色の悪魔を前に、再び大上段に構えて見せた。

 スカートを翻すと一歩片足を後退させて、金髪ツインテールを威勢よく揺らして、レイピアの切先を眼前へとロードに向けて突き付けた。

「待てシャルロット、一度後退して─」

「あら?怖気付いたのかしら?こんな木偶の坊なんてあたし一人で余裕よっ。今に見てなさいっ。アンタにも思い知らせてやるんだからっ」

 グレイスの忠告を受け、シャルロットはしかし頑なにこの場を離れなかった。

 高慢なプライドからか、自分の意思を通そうと、一向にアドバイスを聞き入れない。

「グググギャギャギャッ」

 そんな彼女をまるで嘲笑うかの様、ロードは巨腕を振り上げた。

 そして振り下ろした先にはシャルロットの姿がある。

 しかしこれにやられる程彼女は愚かでも無い。

「はぁッ」

 疾駆し、一息で距離を詰めたシャルロットは、手にしたレイピアで銀光を放つ。

 繰り出した刺突は鋭くロードの腹へと突き刺さる。

「ふんっ、あたしにかかればこんなものよ」

 返す刃で逆袈裟斬りを見舞うと、同時に彼女は背後のグレイスへと自慢げに美貌へと笑みを浮かべて見せた。

「─馬鹿が」

 だがこれに合わせて既に駆けていたグレイスは、依然生きているロードの片腕を大剣により切断した。

「グガアアアアアッ」

「え‥。どうして‥まだ生きて‥」

「下がれこの間抜けがッ」

 続いて絶叫をあげるロードを前に、呆然とするシャルロットをグレイスは突き飛ばす。

「あ‥え‥」

「おいユウッ。シャルロットを頼む」

「う、うんっ。わかったよっ」

 そしてシャルロットを回復役のユウに預けたグレイスは、真正面からロードと対峙した。

「随分と盛ってやがるじゃねーか」

 言葉と同時に逞しい筋骨が隆起し、大剣を両手で構え、腰を深く落として前傾姿勢となる。

「ギギギギアアアアアッ!!!」

「─うるせえよ」

 吠えるロードを前にして、一言そう呟くと共にグレイスはロードの懐へと肉薄し、大剣を薙ぎ払った。

 水平に軌跡を取った巨大な刃は見事、狙い違わずにゴブリンロードの上半身と下半身を真一文字に一刀両断。

 切断された切り口からは夥しい量の血飛沫が噴き上がり、辺りへと鮮血を散らす。

 ズドンっ、とまるで地響きの様な大きな音を立てて、まずロードの上半身は地面に落ちた。

 次いで立て続けに下半身も支える力を失ったのか、真後ろへと倒れ伏した。

 そして最後に立っていたのは誰であろう、今し方にロードをただの一撃で討伐せしめてしまったグレイスである。

 しかしながらたった剣の一振りで、化け物を退治したグレイスであるがその表情に変化はない。

 平素通り、冷静沈着に冷たい面持ちを浮かべたままだ。

「汚ねぇな」

 返り血を浴びたせいで赤く染まった灰色の髪を拭うと、手にしていた大剣も血振りをした。

 際しては勢い良く飛び散ったドス黒い赤が、緩やかな弧を描いて地面に跡を残す。

「すごい‥」

 一言、否が応にもそう呟かずにはいられない程に、グレイスの一連の行いは凄まじい。

 その信じ難い光景を目撃して、シャルロットは自らの胎が熱を帯びたのを理解した。

 ─あ‥❤️あたしいま‥❤️

 赤子を育む為の子宮が、優秀なグレイスの子種の遺伝子をその身に刻んだのをシャルロットは確かに自覚した。

 ─ほんとうにすごい‥❤️

 甘い疼きを下腹部へと覚えたシャルロットは其処を手で抑え、むちむちとした自らの太腿を恥じ入る様、もじもじと擦り合わせた。

 キュンキュンと胎の中が子宮に昨夜注がれたグレイスの子種の熱を甘受していた。

 ─やっぱりこれが男と女の違いなのね‥❤️でも‥。それでもあたしはっ❤️

 だがシャルロットはあまりに掛け離れたグレイスとの実力差を理解させられながらも、認め難い事実に葛藤していた。

 傍目から見ても力の差は歴然ではあるが、シャルロットにとって気に入らないグレイスの子種を子宮に感じるなどあってはならない事だった。

「おい、二人とも無事か?」

 するとそんなシャルロットの内心など他所に、グレイスは背後を振り向くと、声を与えてきた。

「あ‥❤️当たり前じゃないっ❤️あたしは全然平気よっ❤️それよりもユウを心配してあげなさいよねこのバカっ」

「うん。僕も大丈夫みたいだ」

 大剣を肩に担ぎ、二人に向かって歩むグレイスには一切の隙がない。

 曲がりなりにも剣士として学院で名を馳せているシャルロットからグレイスを見ても、一流であるのが分かる。

 ─どうしてっ❤️どうしてこんなにもお腹があついのっ❤️

 一件して軽い調子に思えてもグレイスという男は、その飄々とした振る舞いとは裏腹に、彼が冷静沈着な手練であるのをシャルロットは今ここで悟る。

 やはり彼はシャルロットが知り得る中で一番に優秀なオスであるのかもしれない。

 ─いいえっ❤️だめよっ❤️こんな最低なおとこっ、あたしは絶対に認めないんだからっ

 そんな風にシャルロットは内心の葛藤を、再び下腹部へと無自覚に手を置いて、子宮にあるグレイスの子種の存在を確認して落ち着けた。

「さて、流石にこれはギルドに報告だな」

「んっ‥❤️そ、そうね。ロードが出ただなんて大事だもの」

「うん、そうだね。あ、それと何処か怪我はないかな?」

 互いに三人は傷が無いかの確認を終えて、ゴブリン討伐の証明である部位を剥ぎ取りに掛かる。

 この様な雑魚、本来であれば関わり合いになりたくないとすら思っていたシャルロットであったが、思わぬ体験をした一日だった。

「じゃあ帰るぞ。お前ら、最後まで気を抜くなよ」

「わ、分かってるわよ。さっきみたいな無様はもう晒さないわ」

「気を付けるよ」

 こうして三人は洞窟のゴブリンを全て殲滅させると、依頼を終えて元来た道を引き返したのであった。









「其処の嬢ちゃんよぉ。ちょっと待ってくれや」

 ギルドに帰投して暫く、報告を終えたシャルロットをはじめとした三人は現在、荒くれ者たちに絡まれていた。

 彼等は重厚な装備を身に付けた、大半が恐らくは傭兵であるのだろう。

 だが、声を掛けてきたリーダー格と思しき輩は、比較的軽装だ。

 もしかすれば見た目に反して実力者であるのかもしれない。

「なによっ、退きなさいよっ。このあたしの道を阻もうだなんて許さないんだからっ」

「あぁ?テメェ調子に乗ってんじゃねーよ」

「な、なんですってっ?あっ、あたしの何処が調子に乗ってるっていうのよ?」

「わからねぇかなぁ?その下品な格好で毎回ギルドをウロウロされると俺たちだって溜まっちまうんだよ」

「はぁ?そんなのあたしの勝手じゃないっ。女の子のファッションに口出すなんて無粋よっ」

 長身のスタイルの良いシャルロットであるが、それよりも相手の方が幾分か上背がある。

 その為些かシャルロットは気圧され気味に、キッと碧眼で男を睨み付ける。

「そんなデカい乳ぶら下げて、ケツも出してんだ。本当はシャルロットちゃんだって溜まってんだろう?」

「そんなわけないでしょっ。これは仕方なくなんだからっ」

 一触即発。

 否、一方的にシャルロットが男に揶揄われていると言った方が正しい。

「待てよ。お前達は一体何が目的なんだ?」

 だがこれを見兼ねてか、シャルロットの傍らからグレイスが口を出した。

 流石にこれ以上は看過できなかった様で、彼は前へと歩み出る。

 そしてシャルロットの肩に手を回すと、まるで自分の所有物であるかの様に振る舞った。

 加えてもう片方の手でシャルロットの顎を掴み上げると己の方向へと引き寄せる。

「こいつは俺の女なんだ。あまり気安くしてくれるなよ?」

「ちッ、テメェ、オレ達竜殺しの団に逆らうってのか?」

「ハッ、竜と銘打ってはいるが所詮は幼体だろう?名前負けも良い所だ」

 次いでそう挑発をしながら、グレイスはシャルロットの腰へと手を這わす。

 丈の短いスカートからはみ出ているデカケツ肉の柔らかな感触を揉みしだく。

「んんっ❤️やめなさいっ❤️」

「クソがっ、このギルドに居られなくなるぞこのガキッ」

「やはり癒着しているか。だが果たしてお前ら如きに俺が御せるか?」

 売り言葉に買い言葉、シャルロットのしっとりとした生白い尻たぶをぐにぐにと鷲掴みにするグレイスは酷薄に微笑をひらめかせた。

「くっ❤️アンタ後で覚えてなさいよっ❤️」

「ああ、なんら構わないが」

「ひぅっ❤️」

 この場にはユウも居合わせている為、シャルロットは下唇を噛み、羞恥に身を震わせた。

 観衆の元、そのデカケツ肉を揉みしだかれている事実に、彼女は動揺しているのだ。

 むちむちとした安産型の尻肉に、tバックの下着がアナルへと食い込んでいる。

 ミニスカである為か、それすらも晒されてしまっていて、ぶっとい太腿に合わせて男達から見れば眼福であろう。

「もう辛抱ならねぇ。てめぇ、ここで殺されたくなきゃ、その女を置いていきな」

「結局は力尽くか?ならば容赦はしない」

 前者の男は腰に携えていたロングソードの柄へと手を掛けた。

 受けて立ったグレイスは、シャルロットから離れると背中に担いでいる大剣へと手を滑らせる。

「グレイス、ここでトラブルは不味いよ。学院からも極力そういうのは避けろって言われてるし‥」

 そんな最中、不意に今まで男達の迫力に気圧されていたユウが声を挙げた。

 グレイスの背後で彼は恐怖をその顔に滲ませていた。

「へっ。テメェらの事情なんて知ったことじゃねぇ」

 だが男からすれば、ひ弱なユウの言葉など嘲笑の対象に他ならない。

 彼は一笑に伏すと、肉体の重心を前方へと傾けた。

「だそうだ。彼方はどうやらやる気みたいだぞ」

 どうやら血の雨が降る事になりそうだとは、これを傍目に見ていたギルドの受付嬢の心中であり、少女はカウンターの奥へと身を隠していた。

 他の者達も同様に自分達で身を守る準備をしていた。

「そんな‥」

 これにはあまりの喧嘩っ早さに唖然としてユウは、呆然と立ち竦んだ。

 すり足で、弧でもまるで描く様に、男はグレイスの周りを歩む。

「おいおい、随分と及び腰だな。お前達の好きな女の前だぞ?これじゃあ竜殺しの名が泣くぜ」

「言ってろ」

 軽口を叩く飄々としたグレイスの言葉に、リーダー格の男はそれを一蹴した。

 ただ、確かにグレイスの五指は大剣の柄を握っていた。

 平素では魔物の前以外では、抜き放つ事の無い己の獲物をグレイスは手にしていた。

「あいつ本気でやるつもりよ‥」

「え?それは‥。どうしよう?シャル」

「別に良いんじゃない?どうせ絡んできたのはあっちが悪いんだし。それにあたしもあいつの本気、見てみたいの」

「シャル‥」

 尻込みするユウとは対称的に、シャルロットは何処か真剣な面持ちで仁王立ちをしていた。

 今では大上段に構えていた振る舞いもなりを顰め、先程とは異なりグレイスを一心に見据えていた。

「シッ」

 すると唐突、気が付けば先手を取り、男が疾駆していた。

 ロングソードを鞘から引き抜くと共に、袈裟斬りにグレイスへと刀身が迫り来る。

 これをグレイスは躱すでもなく、大剣を盾に受け流す。

 ギリッと、鉄同士が金属音を奏で合い、いなされた側は舌打ちを一つ。

「ちッ」

 必然的に体勢を崩した、其処にグレイスの掌底が思い切り鳩尾へと抉り込まれた。

 大剣を使うまでも無いと判断したのだろうか。

「ぐッ」

 生物としての急所を突かれ、男は口から酸素を吐き出した。

 途端に怯んだ相手の顔面に鋭い蹴りを放つグレイス。

「がッ」

 追撃にまともに対応出来ずもろに受けた男は、否が応にも地面を転がる羽目になる。

 鈍い音を立てて、脳震盪を起こしているであろう彼は衝撃からすぐには立ち上がれなかった。

 まさかの二段構えの徒手空拳を見舞われて、完全に男は倒れ伏していた。

 そんな彼を沈ませたグレイスの一連の流麗な振る舞いは、まるで飛ぶ鳥を落とす様だった。

「くそッ、た、立てねぇっ」

 観衆の元、己から喧嘩を売った男は、ふらつきながらも身を起こそうと必死だ。

 だが仲間に見守られる中、ロングソードを杖代わりにしても尚、彼は立てなかった。

「もう止めておいた方が良い。これ以上は互いに不幸な結果を招くだけだろう。これで俺の実力は理解した筈だ」

 頭上からグレイスの淡々とした声が降ってくる。

 これに男は頭を抱え、悔しげな面持ちとなりながらも漸く緩慢に頷いて見せた。

「ああ‥」

 脳を揺さぶられて意気消沈といった塩梅だろうか。

 戦意を喪失した男は、その場から仲間の手を借りて起き上がる。

「おい、シャルロット」

「え?あ、なによっ?なんか用なの?もしかしてお礼っ?ふんっ、そんなのアンタが勝手に喧嘩売ったからこうなったんでしょうがっ。あたしは絶対言わないわよっ。知らないんだからねっ」

「ちげーよ。今の俺の動きを見て何か学ばなかったのかって言ってんだよ」

「くッ、確かにアンタはそれなりみたいだけど‥。でもっ、あたしは一人でも勝てたものっ。女だからって侮るのは差別よ。さ・べ・つッ!!これくらいあたしにも出来るわよっ」

 そう言って、シャルロットはむちむちとした柔らかな太腿をもじもじと内股となって擦る。

 丈の短いミニスカから露出する、ドスケベデカケツ尻肉をふりっ❤️ふりっ❤️と揺らし、彼女はそのツンケンした物言いとは裏腹に内心では異なる想いを抱いていた。

 これに呼応して、二つに結われた輝かしい金髪ツインテールが艶やかに揺れた。

 流麗な長髪が、虚空へと金色の眩い煌めきを描き、激しく軌跡を残す。

 次いでシャルロットは、まるで威嚇でもする雌猫の様に美しい碧眼に険を宿し、キッと上目遣いにグレイスを睨み付けた。

 美麗に生え揃う、長く艶かしい睫毛に縁取られた宝石の如き切長の瞳は、強い意思があるのが理解出来る。
 
 ─うそっ❤️こんなのぜったいにあたしじゃ敵わないっ❤️あんな大きな男倒せないわよっ❤️うぅ‥❤️で、でもっ❤️そんな事こいつには言えないし‥❤️そうだわ‥❤️あたしには魔法があるから‥❤️こいつには負けて無いわ‥❤️そうよ‥❤️ぜったいにまけてない‥❤️負けて無いんだからねっ❤️

 そうして、決闘で無様に敗北を期した過去の自分を棚上げして、心中でまるで自分自身を騙す様に負け惜しみを語るシャルロットであった。









「学園にも討伐したロードの成果を報告をしに行かないといけないけど、でもそれとこれとは話が別だよね‥。一応伝える必要がある筈だけど‥。どうしよう今回の事‥」

 トラブルを無事に死者を出さずに納めたシャルロット含め三人は、現在宿屋に身を置いていた。

 そしてユウは憂鬱気味な面持ちを浮かべていた。

「俺達はあいつらから反感を買っていた。黙らせなければ何れにしろ諍いは起こっていただろう。ただそれが早いか遅いかの違いだ」

 これにグレイスは平坦な声色で動じずに返した。

「ふんっ、どうだかっ。アンタがあんな変な風に言わなかったら今頃大浴場も使えたのにサイアクよっ。本当にサイアクっ。あんなにベタベタ女の子の身体を触るだなんてアンタってサイテーねっ」

 だが道理が通っていても尚、この場には苛烈な性格の傲岸不遜な少女が居合わせている。

「不可抗力だ。見せしめは必要だった」

 そう、シャルロット・ミラーは本来であれば身体を清める筈であった予定を潰されてより一層ツンツンと態度を怒らせていた。

「うるさいっ」

 それは平素通りではあるのだが、それにも増して金色ツインテールを激しく動かして主張している。

 その姿から察するに相当湯に浸かりたい様だった。

 とは言え、これ程まで拘るのには相応の理由がある。

 ─うぅ‥❤️サイアクっ❤️サイアクっ❤️サイアクっ❤️どうするのよこのくっさい下着っ❤️

 というのも、シャルロットはこの街に大浴場があるのを予め知っていた為、それを踏まえた上で身体を動かしていた。

 思春期真っ盛りな彼女の肉体は代謝も良く尚且つ成長期であるから、人一倍汗を掻く。

 ─いやっ。学園に早く帰りたいっ。おっきなお風呂に入りたいわ。

 その為現在のシャルロットの色白の肌はしっとりと衣服を張り付かせていたのだ。

 デカ乳肉の柔らかな色白い肌が、むわぁ❤️とまるで甘ったるいミルクの様なシャルロットの体臭と共に、身に付けている衣服越しに透けて見えていた。

─もうっ‥❤️おっぱい見えちゃうし‥❤️はぁ‥❤️どうしてこんな事になっちゃったんだろ‥❤️本当に厄日だわ‥❤️あっ❤️いやっ❤️んんっ❤️乳首も硬くなっちゃうっ❤️

 それも側からよくよく目を凝らして見れば鮮明に少しばかり硬くなった薄桃色の可愛らしい乳首が見えてしまう程。
 
 加えてグレイスの子種が染みている紐パンも、マン筋へと湿り気を帯びてへばりついていた。

 ─それに‥❤️もっとサイズの大きいのを履けばよかった‥❤️

 べっとりとした感触の布地がぴっちりと膣口へとくっついて鮮明に筋を浮き上がらせている。

 その心中の通り、ぶっとい張りのあるむちむちな太腿に乗ったケツ柔肉には紐パンがクイっ❤️と食い込んでいる。

 ─やっぱり食い込んでっ❤️うぅ❤️直したいっ❤️イラつくっ❤️イラつくっ❤️

 安産型のデカケツの間に入り、アナルを締め付けていた。

 尻たぶを自らの指先でこっそりとむにぃ❤️と押し開くが、寸前で脂肪に埋もれてしまい、食い込んだtバックの紐に届かない。

 ─くっ❤️もうちょっとで届くのにっ❤️あとちょっとっ❤️がんばるのよシャルロット・ミラーっ

 高貴な貴族足る彼女は、自身のデカ尻肉に埋もれる紐パンをすらず為、後ろ手にバレない様無様にも奮闘していた。

 ─このっ❤️あと少しッ❤️あと少しなのにッ❤️

 当然その行いがあまりに滑稽であるのは理解しているが、彼女にとっては真剣だった。

 何故ならばあまりに肉付きの良い安産型の柔らかなデカケツ肉のせいで、下着が窮屈で仕方がないのだ。

 じっとりと汗が尻肉を濡らし、むわぁ❤️と蒸れたスカートの中は、メスの臭気が漂っている。

 ─ああっ❤️イライラするっ❤️だめッ❤️だめッ❤️落ち着くのよっ❤️こんな屈辱、今だけなんだからっ❤️

 そう思いつつも、彼女は身に余るフラストレーションの積み重ねからか、信じ難い事に自らのアナルをぐにぐにと執拗に弄っていた。

 場を共にする二人からは死角になる様、確実にバレない位置を取り、アナルの膣へと指を入れようとしたその時だった。

 ストレスから生じる苛立ちにより、自らのデカケツで無意識に自慰をしていたシャルロットへと声が与えられる。

 それのお陰で、貴族としての矜持と、本来のシャルロット自身の資質足る人一倍は高いプライドが守られた。

「そこまでユウがギルドのあいつらとの関係を気にしてるんだ。少しシャルロットも協力してくれ」

 その言によりこの場に相応しくない、振る舞いを思い止まる事が出来たのだ。

 無様な程のデカケツでアナルオナニーをすれば傍目にバレてしまうかもしれない危険を、無事に回避した。

「な、なにっ?あたしに協力って‥。まさかっ」

 だが、グレイスからもたらされた言葉に、シャルロットはすぐさま両手で自らの身体を守る様に掻き抱いた。

「んなわけねーだろうが。ただ、お前確か学院のチア衣装持って来てたよな?」

「ッ、どうしてアンタがそれをっ」

 事実グレイスの言葉通り、シャルロットは至極個人的な用途の為に、それをこの街まで持ってきていた。

 それも荷物が嵩張るにも関わらず、何故か頑なに鞄へと詰めていた。

「馬鹿か。お前がどんだけ部活とやらに熱を挙げてるかなんて誰でも知ってる事だろ。学院じゃ意外と有名だぞ。氷姫様?」

「それはっ。って、それとこれとは関係ないでしょうがっ。あたしは絶対いやよっ。イ・ヤっ!!!!あんな下衆共の前で踊るなんて無理なんだからっ」

 だがどうして誇り高い貴族である自らがその様な踊り子紛いの事をしなくてはならないのかが、シャルロットには理解出来なかった。

「おいおい‥。せっかくのコスだろうが。前は俺の事も応援してくれただろう?」

「え?」

 するとこれにまるで隙を突くかの様に、グレイスから衝撃の事実が言い放たれて、瞬間ユウの口から疑問の声が漏れた。

「ち、違うわよユウ。あたしはこいつなんかとそういう関係じゃないの。ただ、たまたまこの男が決闘で戦ってて、それが盛り上がったから皆んなで応援しようって流れになって仕方なくやっただけで‥。ね?だから本当にたまたま。そう偶然なのよっ。別にあたしがこいつに気があるだなんて馬鹿な勘違いしないでよねっ。そんなの迷惑なんだからっ」

「う、うんっ。そうだよね‥」

 とはいえすぐさまグレイスの言葉を一蹴して見せたシャルロットは、一生懸命に側から見れば過剰な程弁明した。

 だからだろう。

 ユウとてあまり深く踏み込む事はせず、この場は取り敢えず事なきを得るシャルロットだ。

 ただ、このグレイスという男が仮に、他の何か要らぬ発言をする可能性も否めない。

 故に否が応にもシャルロットの美貌は悔しげに歪み、思わず下唇を噛んでいた。

 薄桃色の艶かしい唇に力が加えられ、内心で彼女は悪態をつく。

 ─もしもあの夜の事をバラされたらあたしはっ‥。くっ、本当ならあたしはこんなユウを虐めていた男なんかに、いい様にされる立場じゃないのよ‥。弱みを握られてさえなければ今すぐにでも半殺しにしてやるんだからっ‥。でもあたしはユウとは良い友達でいたい‥。一体あたしはどうすればいいの?

 流石に幼馴染との関係の破綻はシャルロットに取っては避けたかった。

 当然だろう。

 幼き頃から共に育ち、そして経験を育んできた数少ない仲だ。

 ─そうよ。ユウはあたしの幼馴染だもの

 元来性質が苛烈であり、その男好きのする豊満なデカケツと乳肉にも増して、より魅力を引き立てるだけの美貌が相まって、彼女には同姓の友人と呼べるべき相手が居ない。

 傲岸不遜な態度は異性をも寄り付かせない高嶺の花と化していた所、唯一の幼馴染であるユウだけが友人であった。

 ならばグレイスとの肉体関係が露呈して、友情に亀裂が入るのは必然であろう。

 ─それはイヤよ

 何故ならばグレイスは元々学院においてユウを実技などの実習で執拗に叩きのめして、虐めていた過去がある。

 ─だから


「はぁ‥」

 ため息を一つ、シャルロットは両手を自らの腰に添えて前屈みとなる。

 際しては胸に携えた豊満な乳房がぶるんっ❤️たゆんっ❤️❤️ゆっさ❤️ゆっさ❤️ぼいんっ❤️どたぷんっ❤️と、一頻り上体を前に傾けたせいで揺れた。

 漸くおさまったかと思えば、大きく胸元が開けて重量のあるデカ乳柔肉が覗けてしまっているのが傍目にも見えた。

 だがそれを気にした素振りも無く、シャルロットはユウにその切長の碧眼を向けてくる。

 真正面から向き合うと、平素からの大上段な態度で構えると調子に乗って言った。

「でもわかったわよっ。どうしてもユウの為って言うなら、本当は死ぬほどイヤだけどやってやろうじゃない。こ・の・あ・た・し・学院一の天才魔法剣士であるシャルロット・ミラー様が、一肌脱いでやろうじゃないのっ」

 そう宣言すると共に、妙に勢い付いたキンキンと甲高い声が屋内へと幾度と無く木霊していた。

 やはり傍目に見ても勢い付いているシャルロットは、そのまま一つ得意げに、生意気そうなそして勝気な笑みを美貌に浮かべて見せたのであった。







「くっ❤️まさかあんな奴らに見せる事になるなんてっ❤️」

 ぶるるんっ❤️むにぃ❤️むちぃ❤️むわぁ
 ❤️ぶるっ❤️ぶるんっ❤️ぶるん❤️ぬたぁ❤️

 夜半にシャルロット・ミラーは、月明かりに照らされた自室で一人、グレイスから言い付けられた衣服を着るのに奮闘していた。

 まずは被っていたチュニックを脱いで、女体の起伏の激しいむちむちの身体を外気へと晒して露出する。

 その際に、思春期真っ盛りの汗臭い女体にぴっちり張り付いていた肌着を脱ぐとあまりにも豊満なデカ乳肉が、柔らかにまろび出た。

「うっ❤️くっさぁっ‥❤️やっぱり汗たまっちゃってるじゃない‥❤️だからお風呂に入りたかったのにっ、あいつが喧嘩してるせいで‥」

 そう彼女の言の通り、生白い乳房の間にはむわぁ❤️と蒸気している汗が球になっている。

「ほんっとサイアクね‥❤️んんっ❤️」

 にちゃぁ❤️と、ぬるぬるテカテカとした光沢のある乳肉の側面をシャルロットは手にした布地で拭いた。

 基本的には勝気なシャルロットであるが、自身のこの無様な程のデカ乳は悩みの種だった。

 無論一応は誇らしく思う事もあるが、オスからの視線をむやみやたらと集めてしまうのも癪だった。

 ─でも、ルームサービスを頼む訳にはいかないし‥。

 そして一番の気にしている点は、下乳肉の部分があまりにも蒸れてしまう事だった。

 たぽっ❤️たぽっ❤️とたっぷりと重量感のある胸に携えた女の脂肪を自身で持ち上げるシャルロットの姿は傍目から見ても滑稽だ。

 姿見の前にいる以上は、当然ながらシャルロットとて、自身の乳房がどれだけ下品であるのか理解していた。

「もうっ❤️もしかしてまた大きくなったのかしらっ❤️」

 ─流石にもうこれ以上はやめてほしいわね‥

 そう内心で辟易する程、シャルロット・ミラーという少女の柔乳肉ははちきれんばかりに大きい。

 だが、その暗澹たる心地を受け入れて、彼女は自身のデカ乳肉の汗を拭いていった。

 依然妊娠している訳ではないにも関わらず、まるでミルクの様な甘ったるい体臭なのはシャルロットの生まれながらの体質だ。

 だからこの匂いにも彼女はあまり良い思いを抱いていない。

 曰く、まるで雌牛みたいじゃないの‥とは胸中で未だ思う本音である。

 むにぃ❤️と側面に布地を這わし、たぽっ❤️ぶるんっ❤️むちぃ❤️と下乳の掃除も入念に忘れない。

 シャルロットの身体は未だ発展途上の成長期であり、新人代謝が激しい。

 その為、自らの手で身を清めるのは平素からの日課となっていた。

 それをこなしていき、次は当然安産型のデカ尻肉の汗拭きも待ち受けている。

「あっ❤️こんなのでっ❤️」

 ─乳首勃ってきちゃったっ❤️だめっ❤️

 自慰など元よりするつもりはなかったが、乳肉を刺激したせいで、それに反応してしまったのか。

 否、やはり他に要因がある。

「んんっ❤️あいつの精子どれだけくっさいのよっ❤️」

 昨晩に子宮へと注がれたグレイスの子種の残り香が、シャルロットの履いてる紐パンのクロッチから匂うのだ。

 ぴっちりとマン筋に張り付いた黒色の布地には、シャルロットの膣から溢れた白濁液と愛液で湿り気を帯びていた。

「だめっ❤️今はだめよっ❤️」

 口ではそう言いながらも、彼女は普段しているオナニーをこの街に来てからしていない。

 だからだろう。

 自ずと指先が自身のショーツへと向かう。

 黒色の布地越しに鮮明に浮き出ている膣に触れた

 ただそれも致し方無いだろう。

 お年頃なシャルロットは思春期特有の欲求を持て余していた。

 先程アナルを弄っていていた手前も相まって、相変わらずフラストレーションが溜まっているのだ。

「んんっ❤️あいつの精子の匂いまだっ❤️んッ❤️残ってるッ❤️」

 慣れない環境に未だ適応できず、それによって生じた苛立ちによるストレスから少しばかり欲求不満になっていた。

 故に子種の匂いで自慰などという倒錯的な振る舞いに興じても不思議では無い。

 それ程シャルロットはストレスに弱く、精神的負荷が全く掛からない温室で育てられてきた。

「うぅ‥❤️着替えなくちゃいけないのに‥❤️んんっ❤️あ‥❤️だめッ❤️」

 とはいえ本質は生真面目な所もあり、当初の交わした約束を守るつもりはある。

 本来であれば自慰の後は疲れて寝てしまうのだが、予定が詰めているのでそれも出来ない。

 そして自ら一肌脱ぐと大見栄を切って宣言した手前、シャルロットのプライドからそれを撤回するのは屈辱だ。

 貴族としての矜持の他に、元来の性質である人一倍に高い傲慢さが彼女の人生をより生き難くしていた。

「んんっ❤️あんっ❤️あんなやつでっ❤️こんな事‥っ❤️くっ❤️」

 不意にシャルロットの脳裏へと過ぎるのは、グレイスとの決闘で負けて、無様に倒れ伏した所を足裏でグリグリと頭を踏まれた記憶。

 自ら決闘を挑んだにも関わらず、手も足も出なかった。

 ─いいえっ❤️それは相手が欺瞞を施していたから油断して敗北を期しただけよっ❤️本当なら正々堂々戦えばあんな最低のクズ男に負けてなかったんだからねっ❤️あたしの勝ちだったんだからっ❤️

 などと自らの醜態を否定して、まるで自分自身に言い聞かせる様、心中で言い訳がましい持論を展開し始めた。

「ひぎっ❤️んんっ❤️ああッ❤️んんっ❤️あっ❤️イキそうっ❤️イクっ❤️ダメなのにっ❤️こんなのッ❤️いやぁッ❤️イグっ❤️」

 しかしながら、くいっ❤️くいっ❤️と黒色の紐パンにショーツを自らの膣口へと食い込ませるマンズリをシャルロットは如何しても止められない。

 ツルツルとした無毛のマン肉を子種の染みたショーツ越しにグニグニと弄る。

 これに伴い先程まで感じていた苛立ちが消えてゆく感覚に捉われた。

 ストレスがまるで緩和されていくかの如き錯覚にシャルロットは陥っていた。

 ─そうよっ❤️あたしは貴族なんだからっ❤️あんな男の言う事を聞くのなんてこれで最後よっ❤️ぜったいにギャフンと言わせて見せるわっ❤️

 と、腰をヘコっ❤️ヘコっ❤️と前へと突き出しながら当初の着替えという目的も忘れて、その気丈な心中とは裏腹にふーっ❤️ふーッ❤️と次第に息を荒くしていた。

 それに伴い生意気そうな切長の碧眼が蕩け、眦を垂れてゆく。

「イッグっ゛❤️イっちゃうッ゛❤️だめだめだめッ❤️」

 そんな自慰に夢中になるシャルロットに呼応してか、彼女の流麗な金髪ツインテールの同様に揺れた。

 輝かしい眩いばかりの光沢のある長髪は、輝かしく虚空へと跡を残す。

 煌々と月明かりの照らす元、シャルロット・ミラー足る彼女は、学院でのグレイスを想起する。

 以前にあの男が戦っていた所を応援した事があった。

 それも有象無象の女子に混ざり、夢中で彼に甘い声で声援を飛ばしたのだ。

「ひぎッっ❤️だめッ❤️んッ❤️」

 その時の光景を思い出すとより一層、かくっ❤️かくっ❤️とぶっとい色白の太腿が震えた。

 気が付けばデカ乳をヘコっ❤️へこっ❤️と快感を逃す為に揺らし、豊満な乳房はたぱんっ❤️たぱんっ❤️と下品にも弾む。

 そして重量のあるそのたっぷりとした脂肪が勢い余り、自らの美貌に当たってしまった。

「ふぎゅッ❤️」

 自身の乳肉が顔面に衝突して、その安産型の尻肉を床に落とす。

 むにぃ❤️とデカ乳肉の脂肪が木製の地面へと押し潰される。

 無様にも尻餅を付き、ガニ股のままに背後へと倒れ込んだシャルロットは、むちむちとしたぶっとい太腿を開いたままに、大きく肉体を痙攣させた。

「イッグッ゛❤️イッグ゛❤️んんんッ゛❤️」

 ぷしゅッ❤️ぷしッ❤️ぷしッ❤️と、下着を濡らして姿見へと自身のイキ潮を振り掛ける。

 その姿を姿見を前にして、自らの脳裏へと刻みながら、tバックの食い込んだアナルを晒してアクメした。

 尻の穴を自ら鏡面へと晒しデカケツを目にしながら絶頂を迎えたのだ。

 本来の目的とは逸れて、未だ身体を清めるのを終えていないのにも関わらず、更に自身のイキ潮で部屋を汚したシャルロットだ。

「はぁッ❤️ああんっ❤️んん‥❤️はぁ❤️やばいわね‥❤️早くっ、着替えないとっ❤️」

 だからだろう。

 一度果てた事により多少なりとも平静を取り戻した彼女は、自身が撒き散らした愛液が跡を残した床と、びしょ濡れになった下着を確認して言った。

 ─うぅ‥❤️こんな時にあたしってば‥❤️どうしちゃったのかしら?

 自らの痴態を前に、彼女は依然ガニ股に太腿を晒し、デカ乳肉を放り出したままに暫くの間放心するばかりであった。

 そして、上級貴族としてあるまじき品性の欠片も無い男好きのするどすけべ、柔らかケツ肉を一度震わせて、ぴゅるっ❤️ぴゅるっ❤️と残りのイキ潮を出し終える。

「はっ❤️んっ❤️んんっ❤️」

 膣口にべっとりと張り付いたショーツは最早使い物にはならないだろう。

 ─でも‥❤️構わないわよね‥❤️

 お気に入りの下着であったが、所詮は幾らでも予備はある。

 自慰を習慣にしているシャルロットにとって、代えのショーツなど予め用意していて当たり前だった。

 特に黒色は、汚れなども目立たずに大変重宝していた。

 次いで漸く晒していた無様な格好から起き上がると、自らの撒き散らした、床のイキ潮の掃除を始めた。

 デカケツをふりふりと揺らし、一生懸命に布で拭う。

 一頻り終えた後、その雑巾代わりにした布巾を投げ捨てると、新たに純白の布地を手に取った。

「よしっ」

 一連の振る舞いに続き、再び姿見の前に今度は後ろ向きに立ち、背後を振り返ると、自身のむちむちとした尻肉を綺麗にしていった。

 むにぃ❤️とたっぷりと乗った尻たぶを横に退け、愛液に濡れた部分を拭いてゆく。

「あ、そうだわっ。もうこれは脱いだ方がいいわね‥」

 などとうっかりしていたシャルロットはびしょびしょに自身の潮で濡れたショーツを一息に降ろすと爪先から抜いた。

 片脚を上げて両脚からショーツを取ると、同室に備え付けの寝台の上へと投げ捨てる。

 応じて無毛のツルツルとしたマン筋が露わとなった。

 しかしながら今朝の様に膣口からグレイスの子種が溢れ出る事はない。

 恐らく子宮に注がれた精液も既にシャルロットの体内に吸収されてしまったのであろう。

 その証左として妙に彼女の肌艶はいつにも増して輝いている珠の肌だ。

 無論今し方に絶頂を迎えたのが原因の一つであるだろうが、それだけではない筈だった。

 オスを知った思春期のシャルロットの身体は、それも相まってメスとしての魅力をより一層引き上げていたのだ。

 鞄から新たな紐パンを取り出して、ぶっとい太腿を通して再び下着を身に付ける。

 上に乗るデカ尻肉に括り付けるに当たり、イッたばかりのおまんこの筋へとぴっちりと布地が吸い付いた。

 相変わらずサイズが小さい為、否が応にも安産型の豊満な尻たぶに食い込んで、tバックとなる。

 まるで黒色の余った紐パンの先端は、解いでくださいっ❤️とでも言わんばかりだ。

「えっと、これよね‥ん~、やっぱり流石に恥ずかしいわね‥」

 そして、ある程度身体が清められて、綺麗になったのを確認した彼女は、例のチア服を手に取った。

 広げて見てもその衣装がオスに媚びる為に誂えられているのが理解出来る。

 ただ、一概にシャルロットはそうは思わない。

 ─いいえっ。堂々としてこそよねっ。女だからって肌を隠すのは差別だものっ。別にあたしはどうしても着たい訳じゃないんだからっ❤️そもそも女の子のファッションセンスに口を出す男はサイテーなのよ‥。時代は男も女も関係ないもの

 などと自身の論理感を心中で反芻したシャルロットは、言い訳がましく自身にそう再び言い聞かせた。

 そして一人、大義名分を得た彼女はそのドスケベ衣装を身に付けていく。

「んっ❤️少し小さいわねっ❤️もうっ❤️あたしのまた大きくなってるっ❤️」

 谷間の開けたユニフォームを被り、それによって乳肉の上に乗ったカーテンが出来てしまう。

 あまりのデカ乳肉とは対称的にシャルロットの腹部は女としてのある程度の脂肪があり、程よく引き締まっていた。

 そしてむちむちとしたぶっとい太腿の上にミニスカを通し、安産型のデカケツの上に身に纏う。

 ピッチリとしたノースリーブに、フリフリとスカート姿のシャルロットは姿見に真正面から向かい合う。

「ふんっ❤️あたしにピッタリな衣装ねっ❤️」

 するとそんな妄言を吐き、シャルロットは胸に携えた自前のデカ乳肉を得意げにぶるんっ❤️ぶるんっ❤️と間抜けに揺らした。

 その姿は傍目から見てもやはり滑稽でいて、確かに似合ってはいるものの、デカケツはスカートの裾からはみ出ていた。

 加えて乳肉の上に乗ったユニフォームの布は丈が短く、真っ白なシャルロットの可愛らしいへそが露出してしまっていた。

「おい、まだ用意が出来ないのか?」

「うるっさいわねっ。今行くわよっ。女の子は時間が掛かるものなんだからっ」

 丁度そんな塩梅に身支度を整えたシャルロットの部屋へと声がもたらされる。

 これに上擦らせた声色でキンキンとした甲高い返事で受け答えた。

「あはは‥、シャルはファッションにうるさいからね‥」

「ほう‥。それは重畳」

 次いでユウもその場へと居合わせているのだろう。

 そんな風に、他所で自身を語る二人に胸中でシャルロットは毒付いた。

 ─なによっ‥。ユウったらグレイスと仲良くしちゃって‥。あたしが何のためにこんな格好してると思ってるのよっ❤️このバカっ❤️

 という塩梅に、胸中でツンツンしながらも、彼女は自分の趣味のチアコスを着れて大変満足だった。

「んっ❤️でも‥❤️よく見てみるとこれはやっぱり小さ過ぎるわねっ❤️」

 ぱっつんぱっつんの100cm程のデカ乳肉を、ぶるんっ❤️だるん❤️ぶるるんっ❤️と、前方へと放られて、ユニフォームが締め付けている。

 ミニスカに関してはそのむちぃ❤️と傍目にも安産型と窺えるデカ尻と、無様な程にぶっといむちむちとした生意気な太腿が見えていた。

「ふふんっ❤️」

 姿見を前にして、恐らくは調子に乗っているのだろう。

 一度その場で可憐にもターンして、スカートの裾を鮮やかに翻すと、得意げに鼻を鳴らした。

 相変わらず胸に携えたデカ乳肉を自慢げに誇らしく思っているらしい。

 そしてシャルロットの心中においては、これほどにドスケベな格好をして尚も、これが自らの正装であると信じていた。

 否、シャルロットという少女は、現在成長期真っ盛りであり、もうじき超乳とデカケツが更に女としての脂肪を蓄えるに違い無い。

 先程にアクメを晒し、イキ潮を噴き散らしたお陰で、どうやら多少なりともストレスが発散された様である。

 上機嫌に足取りも軽く、歩むが其処で何かが足りない事実に気付いた。

 ─そういえば

 漸くそれが何かに及びがついたシャルロットは、忘れていたニーソックスを鞄から取り出した。

 最早彼女のトレードマーク足るそれの口へと艶かしい脚を通す。

 次いで両脚にぴっちりとしたニーソを履いたシャルロットは、ぶっといむちむちの太腿を今回は純白の布地で覆った。

 下着は黒の紐パンであり、色を統一出来ないのは不本意であるが、現在着ている衣装が全体的に白を基調としているからこれに合わせたという塩梅だ。

 そして自らの髪色と同色の、衣装と共に持ち合わせている金色のハイヒールを最後に履けば、傍目から見ても娼婦と見紛うドスケベメスガキの完成だった。

 例外の、ブラを付けていないのは、単純にシャルロット自身の好みの問題である。

 それによって、乳房の形が鮮明に衣服越しにも浮き出てしまい、薄桃色の乳首すらも晒されてしまっているのだが、彼女は頑なに身に付けたがらないのだ。

 その為、ツンっ、と上向いた硬い突起は、今も布地越しに確認出来る。

 だがそれを気にも留めるでもなく、なんら意に介した素振りもないシャルロットは、今度こそ部屋の扉の前へと足を運ばせる。

「今開けるから其処を退いてなさいよねっ❤️」

 そう言って、ばるぅっ❤️と間抜けにも乳肉を弾力的に揺らしながら自室の戸口を開け放つ。

「どうかしらっ?このあたしのチアガール姿を見れた事光栄に思いなさいよねっ❤️ふんっ❤️」

 平素通りの相変わらずな大上段に構えて、シャルロットは金髪ツインテールをたなびかせた。

 傲岸不遜にも両腕を組み、まるで見下す様に部屋の前に佇むグレイス並びにユウへと自慢げに言い放つ。

 ガタンっ、と大きな音を立てて部屋から姿を露わとしたその登場に、グレイスは感嘆に口を開く。

「なかなか様になっているじゃないか。流石、肉好きの良い身体をしているだけはある」

「それで本当に褒めてるつもりなの?くだらないわねっ❤️それにっ、べっ❤️別にあんたに褒められたところでまったく嬉しくなんてないんだからねっ❤️勘違いしないでよねっ❤️」

 これに気を良くしたのか、シャルロットは口元を手で隠し、やはり何処かニヤけてしまっている。

 もじもじとむっちりとした太ももを照れた様擦り合わせている。

 そしてまるで雄に媚びる為にあると思えてしまう程のデカケツは、ふりっ❤️ふりっ❤️と揺らされていた。

「う、うん。シャル可愛いよ」

「あ、うん。ありがとユウ」

 するとそんなシャルロットを前にして、控えめに声を挙げたユウの視線は、やはり一点に吸い寄せられている。

 シャルロットの肉付きの良い乳房に対して熱い眼差しを注いでいた。

「それじゃあ行きましょうか。このあたしを待ってるんでしょう?」

「いや、お前から酌をしに行って、ショーを見せ付けてやるんだよ」

「はぁ?なんであの下賤の男どもに媚びる様な真似事をしなくちゃいけないのよっ。あたしはそんなの聞いてないわよっ。ただ衣装を見せるだけだって言ったじゃないっ」

 信じ難いグレイスの言葉に、シャルロットは生意気そうな眦を勝気に吊り上げて言う。

 聞いていなかった命令に、彼女は反抗的にグレイスを見上げた。

「んなわけあるか。シャルロット、お前がその身体を使ってあいつらの前で踊るに決まってるだろうが。一体何のためにわざわざその衣装に着替えさせたと思っている」

「っく、屈辱だわ‥。高貴なあたしがそんな娼婦みたいな事‥」

 そんな風に、ユウの称賛の言葉はグレイスが引き出した劇的なシャルロットの反応とは対称的に、大した返答はもたらされる事はなくあっさりと流されてしまう。

「俺たちはこれからもここでそれなりにやっていかなくちゃならねー。だが現状はどうだ?一方的に恨まれたままだろう」

「それはあんたがあいつらを挑発したからでしょうがっ。あたしは関係ないわよっ」

「ああ?お前のその下品な身体を見て、アイツらは猿みたいに発情してるんだよ。俺が割って入らなければ今頃お前どうなってたかわかってるのか?」

「くッ」

 ─そんな事‥。あたしは‥

 そして立て続けに図星を突かれたせいで、シャルロットはその艶やかな薄桃色の唇を噛み、押し黙る他にない。

 それもそのはず、本当はあの場でもしも襲われていれば、気圧されていた為に確実に勝てる自信がシャルロットには無かった。

 それは頭では理解しているが、納得はしておらず、それに加えて素直に感謝を述べるのも癪だった。

 だからこそ、今もこうして反抗的な目付きで生意気にも上目遣いで、キッとグレイスを睨み付けているのだ。

「わかったな?」

「し、しかないわね‥。ええ、わかったわよ‥。そこまで言うならこのあたしが本当に仕方なく、やってあげてもいいわ」

 けれど、その気丈な振る舞いも続くグレイスの有無を言わせぬ物言いで次の瞬間には見る影も無く、すぐさま屈服してしまう。

 大きな上背のある鍛え上げられた巨体で、眼前の目と鼻の先までグレイスに迫られて、シャルロットは筋骨に圧迫された。

「なっ、なによ?」

 そうしてシャルロットは壁にまで追い詰められると、ゴツゴツとした無骨な五指で頭を撫でられた。

「良い子だ」

「っ、ちょっとっ!レディの頭を勝手に触るんじゃないわよっ!」

 不躾にも無造作にグレイスからいい様にされたシャルロットは、けれど頬を赤く染めてミニスカの裾をギュッと握り締めていた。

 応じて少しばかり俯きがちになると、彼女はどうしてか自らのおまんこのスジが湿り気を帯びたのを理解した。

 ─うそっ❤️どうしてっ❤️こんなサイテーなやつにっ❤️女の子を自分の所有物だって思ってる様なクズ男になんてっ❤️

 それにより着替えたばかりであるにも関わらず、すぐさま下着を濡らしてしまう。

 ─いやぁっ❤️こんな奴に頭撫でられただけで‥❤️だめなのに‥❤️こんなの本当のあたしじゃない‥❤️あっ❤️ちくびッ❤️乳首勃っちゃう‥❤️

 際しては、布地がピッタリとマン筋に張り付いてしまい、その屈辱にシャルロットは身を震わせた。

 次いで油断していた為に、乳首が傍目にも分かる程に勃起して浮き上がり、ユニフォーム越しにも鮮明に見えてしまっていた。

 その様に途端に従順になったシャルロットは、前出に手を組み合わせてもじもじとこれから自らが披露する行いに思いを馳せて羞恥に美貌を赤く染めた。








 
 思いの他グレイスの計略は上手く事を運んだ。

 そしてシャルロットはその美貌と高飛車な振る舞いに反して、少し頭が弱い。

 そうユウは長年の付き合いから理解していた。

 だからグレイスの馬鹿げた提案にも乗って、自ら醜態を晒そうとしている。

 ただ、食堂において一日の終わりの宴会を開いていた傭兵団に声を掛けたグレイスは、最初歓迎されていなかった様だが、次第に雲行きが変わり始めたのだ。

「俺に組み手で勝てばこの女を一晩貸してやってもいいぞ」

「あぁ?」

「何、そう難しい事ではない。ただの宴席の余興だ」

 などと、件の諍いのあった傭兵団のリーダー格へとグレイスは賭け事を持ち掛けた。

 当然ながら商品はシャルロット・ミラーその人だ。

 少女は現在グレイスの傍らに品性の欠片も無い装いで仁王立ちをしていた。

 チアガール姿でデカ乳と豊満な尻肉を見せ付けながらも、ふふんっ、と鼻を一度鳴らし、酷く調子に乗っている姿があった。

「テメェ‥、いいぜ上等だ。あの時は少しばかり焼が回ったが、今回はそうはいかねぇ。で、ルールは?」

「お前達が何人で掛かってこようとも構わない。先に倒れた方が負けだ。ただ獲物は無しだ」

「はッ、健気だねぇ。だが乗ったッ!その勝負受けて立とうじゃねぇかッ!!なぁオメエらッ!!!」

 互いに擦り合わせを行い、傍目から見ても傭兵団の男の振る舞いには先程とは異なり油断が無い。

 どうやらグレイスの実力を正確に学んだ様だ。

「大丈夫かな‥」

 これに不安そうに表情を曇らせて呟くのがユウだ。

 流石のグレイスでも複数人の相手は厳しいのでは無いかと愚考してしまう。

 それにあの大剣こそが彼の実力の真骨頂であり、武器無しでは少々厳しいのではとも思う。

「あんた達覚悟しなさいよねっ。この男はそこそこ、そう‥本当にそこそこ強いわよっ!」

 だがそんなユウの心中とは裏腹に、シャルロットは大上段に構えて平素からの傲岸不遜を示す。

「はぁ‥」

 これにはさしもの長い付き合いのユウでも辟易だ。

 一体何故こんな事になってしまったのか。

 確かにシャルロットのせいとは一概には言えないが、彼女はその美貌に反して頭が悪いのだ。

 その実力も申し分無く、学業の成績という面でも優秀だ。

 けれどそれとは対称的にあまりに地頭がポンコツ過ぎるとユウは思う。

 それは典型的な男好きの身体と美貌の、スイーツ脳だとすらユウは日本の知識と照らし合わせて理解していた。

 シャルロットはそんな女に該当するからこそ、しかし其処が可愛げがあり、幼少からユウが好んでいた所だ。

 未だ手すら繋いだことは無いが、想いが通じ合っていれば良いのだ。

 ただ、唯一にして致命的な欠点は、その振る舞いにあった。

 そうユウは考えて改めてシャルロットを見た。

「グレイスっ、ぶっ飛ばしてやりなさいっ!こんな奴らっ!」

 すると彼女はユウの視線にも気付かずに、豊満な乳房を張って大胆不敵に傭兵団を見下していた。

 これも彼女が上級貴族である弊害だろう。

 ユウも貴族の生まれだが若干シャルロットの方が位は上だ。

 故にあまり強くは言えない。

 そも、シャルロットという少女は下手に出ないとすぐに癇癪を起こすのだ。

 だからだろう。

 ユウは今回のシャルロットのその態度にも強く意義を唱えられなかった。

「いい?この上級貴族である高貴なあたしが欲しいだなんて、百年早いんだからっ!」

「うるせぇ。少し黙ってろ」

 ただ、傍らに居たグレイスが多少なりともシャルロットを宥めているお陰も相まって、ユウの溜飲も多少はおさまった。

 ─変わったな‥

 学院におけるグレイスという男はここまで面倒見が良い男ではなかった。

 ユウを一方的に実技では虐めていたし、良くシャルロットにも絡んでいた。

 にも関わらず冒険を共にしてからは、当初こそシャルロットとの決闘があったものの、それを抜かせば大変心優しい男にも見えた。

 魔物に襲われた所を助けられ、命を救われた事も少なく無い。

 以前のゴブリンロードの時でさえ、グレイスのお陰でピンチを乗り越えられたのだ。

 だからだろう。

 ユウはグレイスに対しての信頼を置いていた。

 ただ、あまりにシャルロットが従順になり過ぎでは無いかとも邪推してしまう。

 ─いや

 これはあくまで自身の杞憂に過ぎないのだ。

 それはユウとて理解しているが、グレイスとシャルロットの距離が近いのもまた事実。

 と、そんな塩梅に思考を巡らせていると─

「さて、始めるとするか」

「おうよッ!!!よしオメェらッ!!!!!!こいつに勝てばこのお貴族様の嬢ちゃんを好きに出来るってよぉッ!!!!!売女の高級娼婦なんか目じゃねぇぞッ!!!!オラァッ!!!」

 前者のグレイスがそう言うと、今まで椅子に腰を落ち着けていたリーダー格の男が立ち上がり、仲間を煽動した。

 これにはただの宿屋の酒場とは思えない程の熱気に同所は包まれた。

 すると呼応する様に、酒場に置かれていた机や椅子などを周囲に居た客が率先して片付けてゆく。

 そして即席の闘技場が、ガラリと空間の空いたこの場へと出来上がる。

 開けたその場所に、多少の距離を設けてグレイスと傭兵団の一人が向かい合う。

「なんだ初めはアンタじゃ無いのか」

「ああ。まずは様子を見させてもらおう。と言いたい所だったが、最初から本気だぜ」

 けれどその交わし合う言の通り、相手はリーダー格の男では無く、彼の仲間である獣人だった。

「亜人か‥」

「何か問題が?」

「いや、相手にとって不足はないと思ってな」

「それは重畳」

 グレイスと同様に巨体であり、人族とは異なる身体の造りをした男がその場で構えを取った。

 口端からは牙が覗き、猫の様な瞳の瞳孔が開く。

 ギラついた獣としての本性がグレイスの前に露わとなった。

 獰猛にも残虐な笑みを浮かべ、その男は狩の準備を済ませた。

「まさかこんな隠し球がいるとはな‥」

「おいおいッ!卑怯とは言わないでくれよ?お前から持ち掛けた賭けなんだからよぉ」

「無論、道理だな」

「ほぉ‥。テメェ、ホゼを前にしてビビらねぇとは中々いいタマしてんじゃねーか。いいぜ、こいつに勝ったらオメーを認めてやるよ」

「なるほど」

「って言ってもその次には俺も控えてるがなぁ」

 既に準備を終え、威嚇すらしているホゼと呼ばれた獣人を他所に、グレイスは軽口を叩く。

 これにリーダーの男が傍らからヤジを飛ばした。

「ホゼだ。リーダーの命令でね。悪いが手加減は出来ない。全力でいかせてもらう」

「ああ、俺はグレイスだ。互いにベストを尽くそう」

 ただホゼという男は比較的友好で、グレイスに何処か遠慮している所が垣間見えた。

 その為、態度とは裏腹に声色は穏やかだった。

 それもそのはず、獣人と人族の身体は根本的に異なり、その膂力も雲泥の差だ。

 仮に前者がただの一殴りでもすれば、人体などたまったものでは無い。

 それ程までに亜人と人族では種族差に隔たりがある。

 故にホゼという男には、その実力に裏打ちされた確かな自信と余裕があった。

「グレイスっ!!!アンタ手を抜いたら承知しないんだからねっ!!この勝負、絶対勝ちにいきなさいよっ!」

「ぼ、僕も応援してるよっ」

 だが、其処で互いに視線を交錯させるグレイスとホゼを他所に、シャルロットとユウの二人から声援が飛ぶ。

 シャルロットはその二人の間に入らない様に逸れた位置に立ち、指をグレイスへと突き付けて笑みを一つ浮かべて見せた。

 ユウはそれとは対称的に、おっかなびくりという様子で、控えめに声を挙げた。

 何故ならユウは偏に獣人が恐ろしかった。

 あんな人間の皮を被った化物相手に、自身が戦う姿を思わず思い浮かべてしまい、自ずと足を震わせしまう。

 無論あれを相手取るグレイスには尊敬の念すら抱くが、果たして勝てるのかユウには甚だ疑問だった。

 かくして、シャルロットという一人の少女を賭けたゲームがこの場へと幕を上げ、開催されたのであった。








 重い沈黙が酒場へと舞い降りて、緊張がこの場を走る最中、先手を取ったのは獣族のホゼであった。

 彼はその特性で狩の本能からか、グレイスへと勢い良く突進した。

 そして、獣の様にただのタックルで終わるかと思いきやそうでは無かった。

「ッと」

 肉薄する寸前でホゼは拳を突き出して、神速の強打をグレイスへと見舞った。

 これを受ける側は流石に真正面から迎え打つのは部が悪いと踏んだのか、いなさずにギリギリで回避する。

「シッ」

 続く打撃にも同様に上体を逸らして相手の拳は空を穿つ。

 そこからはホゼの連打が続き、グレイスはやられるがままに如何にか躱わし続け、防戦一方だ。

「ちょっとアンタっ!何手加減してんのよっ!あたしの時はもっと強かったでしょうがっ!」

 ただここでシャルロットの精一杯の声援が飛ぶ。

 脚を思い切り上に上げて、ミニスカからは健康的な張りのある太ももが丸見えだ。

 ついでに黒色のマン肉が鮮明に浮き出たショーツも露わとなる。

「ふッ」

 そしてこれに応える様に、今し方迫り来た拳を遂にいなしたグレイスは、次の瞬間には相手の懐へと深く潜り込む。

「くッ」

 これにはホゼも焦燥を露わとして先程までの余裕は途端に失われた。

 すぐさま体勢を立て直そうとするも、それを許すほどグレイスとて甘くは無い。

「ぐはッ」

 グレイスが構えたその刹那、気付けば彼の拳は見事ホゼの腹部へと抉り込まれていた。

 叩き込まれた無骨な殴打は、硬いホゼの腹筋でも尚、それでも耐えられない致命の一撃に値した。

 人族からもたらされたとは到底思えない様な、とてつもない衝撃を腹に受けて、ホゼはその場であまりの痛みから硬直した。

 そして一度でもその場に留まれば、それが例え一瞬であれど隙たり得るのだ。

 少なくともグレイスはホゼの晒した致命的なミスを逃さない。

「シッ」

 身体をくの字に曲げていたホゼの頭部に鋭いグレイスの蹴りが炸裂した。

 奇しくもそれはリーダー格の男に見せた技と同様で、ホゼは頭部に強打を受けてしまう。

「がッ」

 それが与えた衝撃は凄まじく、ホゼはただの脚技のみで酒場の壁へと吹き飛ばされた。

「ぐッうぅ‥」

 だが、その巨体を木製の床へと転がすと、如何にか体勢を立て直す。

「なんだと?」

 どうやら獣人であるせいか、その耐久性は遥かに人族を超える様だ。

 足癖の悪いグレイスのハメ技に、何とホゼは耐え切った。

「ホゼッ!!!!やっちまえッ!!!」

 そんな拮抗する二人へと傍らに腕組みをしているリーダーの男から声が飛ぶ。

「おおッ!!」

 ホゼはふらつきながらも、咆哮を上げて疾駆した。

 ビリビリと空間を震撼させる彼の声が、対峙するグレイスを威圧する。

「ちっ」

 これにはさしもの彼も舌打ちを一つ。

 己の技が効かないとなれば、多少調子を崩しても致し方無い。

 躊躇いなく肉薄してくる獣相手にグレイスは漸く構えを取った。

「なッ」

 けれどそれすらもブラフ。

 意外にも搦手こそを得意としているグレイスの本領がここに発揮された。

 真正面からホゼの突進を受けると思われたグレイスは寸前で如何にか躱わす所か、その予想を遥かに上回る流麗な身のこなしを披露して見せた。

 そして勢い良く空に突き出されたホゼの腕を掴むと、その相手の重量を利用して、背負い投げる。

「がッはッ」

 罠にまんまと嵌まったホゼは背中を強かに床へと打ち付ける。

 だが─

「グルルルッ」

 尚もそれすら効いた様子が無く、更に興奮したいななきを見せて、大の字に転がった筈のホゼは勢い良く立ち上がり背後を振り返る。

 同時に彼の獣としての闘争心が、この場へと躊躇い無く曝け出された。

「おいおい」

 そんな幾度倒してもキリがないホゼの頑丈さに、グレイスは一度距離を取る。

「くッ」

 だがすぐさま間合いを詰められて、ホゼの両手が眼前にまで迫る。

 そしてこれを回避したとて、バックステップを踏んだグレイスに拳が飛んでくる。

 矢継ぎ早に繰り出される打撃に流石に厳しくなってきた様で、グレイスは一歩後退した。

「うそ‥」

 そのあまりのホゼの化け物振りに、シャルロットは当初の気丈な振る舞いもなりを顰ませた。

「いいぞッ!!!そのまま追い詰めろッ!!!」

 そして攻守逆転を果たし、今では責める側のホゼを見て、リーダーの男は歓声を挙げる。

 ただ、グレイスは幾度も放たれる打撃を上手く捌き、相手の隙を窺っていた。

 応じてホゼの勢いも先程肉体に受けた衝撃も相まって、次第に衰えていく。

 段々とホゼの拳にキレが無くなってきた所で、グレイスはここぞとばかりに動いた。

 前者の背後に後者は回り込むと、相手の首に腕を回す。

「がッ」

 そして思い切り床に引きずり倒すと、万力で容赦なく絞め落としにかかる。

 際してはグレイスの筋肉が傍目にも見える程鮮明に隆起して、血管が浮かぶ。

「ぐぎッ」

 都合、ホールドをかけられたホゼは懸命にそれを外そうとするが、既に極められた後で、一足遅かった。

 凄まじい力で頸動脈を圧迫されて、ホゼは抵抗するのも最早ままならない。

 幾ら獣族といえど、これにはひとたまりもないだろう。

「グレイスっ!そのままやっちゃいなさいッ!!!」

 すると其処にシャルロットの凛とした声が与えられ、グレイスの腕には更なる力が加えられた。

「ぐッ‥がッ‥」

 遂にはホゼの口から痛々しい呻き声が上がり、その限界を知らせていた。

 今まで儚き抵抗として入れられていた力が身体から抜けていき、それと共に弛緩が訪れる。

 あっという間に思いの外呆気なく、獣人足る巨漢は意識を手放そうとした所で、すると次の瞬間外野から声が与えられる。

「おいッ!!もう良いだろッ!!勝負はついた筈だッ!!」

 などとリーダーの男からもたらされた声は同所へと大きく響いては聞こえた。

 これに応じてグレイスは腕から力をゆっくりと抜いていく。

 次いで床に転がるホゼを他所に、あっさりとその肉体を離すと何事も無かった様にその場から立ち上がった。

「大丈夫だ。まだ落ちていない」

「ああ‥。分かってる」

 そう一言交わすと、頷いたリーダーの男は咳をしているホゼの上体を起き上がらせた。

「平気か?」

「ゲホっ‥、クソっ‥ああ‥。すまねぇ。負けたよ」

 そう気遣いの言葉を受けて先程とは異なり獣人の男は悔しげに反応した。

「加減が出来なかった」

 安否を確認し終えた二人を見下ろして、グレイスは一言そう言った。

「いや‥。これは歴とした勝負だ。そしてテメェは獣人相手に勝っちまった‥。癪だが俺も認めなきゃならねぇ」

「些か見苦しい自覚はあったが、そう言ってくれると有り難いな」

「お前のやり方は俺の好みじゃねぇが、それは確かな実力には違いねぇ」

 これにリーダーの男は真剣な面持ちで語る。

 彼は悔しげにしながらも、芯の部分の傭兵なりの矜持がある様だった。

 そして傭兵団の長としても、グレイスの実力は認めざるを得ない。

 それが傭兵という職業柄、実力主義の世界で生き抜いてきた者の心中に他ならない。

「だが何か忘れちゃいねぇか?」

「何だと?」

 とはいえこれで終わる程に簡単に終わる勝負ではなく、そうは問屋が降ろさない。

「初めにテメェが言った事だ。何人でかかっても構わねぇとな」

「ああ。その通りだ」

「ならこれで小手調べは終わりだ。次はこの俺がリベンジさせてもらおうじゃねぇか」

 どうやら獣族という人外を倒してそれを見せ付けられて尚も、その相手に挑む程男には気概が残っているらしい。

「望む所」

「はッ!全く威勢が良いなぁッ!!!」

 これに口端を大きく吊り上げて、グレイスは一つ笑みを浮かべて見せた。

 先程には搦手で相手を捩じ伏せた事相まって、その露わとされた表情は傍目に見ても酷薄だ。

 それに受け答えて、リーダーの男も漲らせた闘志を示して見せた。

 ホゼは団員に壁際へと運ばれて行き、この場にはグレイスと男が対峙する。

 互いに距離を設け、真正面に並び立つ様相対した。

「そういえばまだ名乗っていなかったな。団長のガルシアだ。ただの平民の出でなぁ。其処でお高く見物を決め込んでる貴族様とは違って御立派な姓は無ぇ」

「グレイスだ。改めてよろしく頼む」

「ああ、それじゃあやろうぜ」

 辛くもホゼを如何にか倒したグレイス。

 ただ、そんな疲弊したグレイスの前に更なる立ちはだかる困難がある。

「っ‥」

 すると視線を交差させる男二人を眺めて、周囲で見守っている観衆から息を呑む音が聞こえた。

 出所はまるで当然と言わんばかりにシャルロットで、静寂の包んだこの場へと鮮明に聞こえる程に大きくそれは響く。

 馬鹿みたいな頭の悪い下品なこの場には凡そ相応しくない格好をした彼女は、自らの場違いには見当も及ばない。

 だからこそより一層この酒場に居合わせているシャルロットの異様さが傍目に見ても理解出来る。

「ぐ、グレイスっ‥あんた大丈夫なの?」

「お前は黙って見てろ」

「う、わ、わかったわよっ!ふんっ、別にあんたの事なんか心配なんてしてないんだからねっ!」

 舞い降りる緊張に耐えきれなかったのか不意に控えていたシャルロットが声を挙げた。

 与えられた気遣わしげな彼女らしくない何処か弱々しい声色を受けて、しかしグレイスはこれを一蹴。

 今し方のホゼとの戦闘で疲弊したにも関わらず平素からの平静を保ち、淡々と受け答えた。

「ね、ねぇ?でもがんばりなさいよ?このあたしが一応は応援してあげてるんだからっ。もしも負けるなんて事があったら、絶対に許さないんだからねっ」

 などと豊満な胸を携えて、シャルロットは上目遣いに一度グレイスに駆け寄るとそう言って、それから再び壁際へと戻り、腕を組んだ。

 そして彼女は、不安げな眼差しを依然グレイスへと向けて、けれど気丈な立ち振る舞いでいちいち大仰な大上段でデカ乳を張る。

「何、そう心配する事は無い」

 この姿を横目にグレイスは苦笑をひらめかせて、彼にしては珍しく穏やかな面持ちを浮かべて見せた。

「ふんっ、だから心配してないって言ってるでしょうがっ!!勘違いしないでよねっ!ただあたしは、こんな奴らにあんたが負けるのを見るのが癪なだけなんだからっ!」

 これをもたらされたシャルロットは与えられた優しげな声に、その美貌を赤く染めると共に自身のくびれた腰に手を添えて前のめりになり、金色のツインテールを激しく主張した。

 流麗な眩いばかりの煌めきを帯びた長髪が、彼女の気性に合わせて荒く揺れて虚空へと弧を描く。

「それは責任重大だな」

 輝かしい跡を残すそれを傍目に、グレイスはそう口端を上げて答えると、再び眼前の相手を見据えて初っ端なから構えを取った。

 そんな彼は真正面に対峙する眼前の手練足る傭兵団のガルシアという障害を、果たして無事に踏み越える事が出来るのか。








 グレイスとガルシアの戦いの火蓋が切って落とされて暫くの事。

「すごい‥」

「団長が押してるぞっ!」

「そのままやっちまってくだせぇっ!」

 などと、酒場は最高潮の盛り上がりを現在見せていた。

 熱気溢れるこの場へと居合わせている傭兵団員等の声援が、矢継ぎ早に叫ばれる。

 どうやらアルコールも含んでいるらしく、彼等の興奮の度合いは常人を軽く超えていた。

 ある者は盃を呷り、そしてある者は真剣な面持ちで腹の底からの応援をしていた。

 そして彼等の言の通り、グレイスとガルシアの二人は互いに今も肉薄しており、前者が防戦一方だった。

 先程はホゼに対してあれ程の大立ち回りを見せたグレイスだが、それとは一転して後退するばかりだ。

 ただ、この光景を見て尚も素直に喜べない者も居合わせていた。

「何か変だ」

 ホゼだ。

 彼は表情を曇らせて、先程の疲労から回復したのか、今度は妙に行儀良く椅子へと腰を落ち着けている。

「変ってなんだよ?どう見ても団長の優勢だろうが。このままいけば余裕なんじゃねーか?」

「いや‥。明らかにあの男は強い。そして狡猾だ。確かに団長も善戦しているが、そう簡単に取らせてくれる様な相手じゃないのはお前も分かってるだろう?」

「‥ああ。お前とあいつの戦いを見て、とてもじゃねーが敵わないと思ったね。俺には生憎手に余る相手だ。けど、それなら一体どうしてああも一方的なんだよ?」

 団員から呈された問い掛けに、ホゼは観察に努めて其処から得た違和感に漸く思い至る。

「敢えて防御に徹しているんだ。だからお前が言う様にあいつが劣勢に見える」

「だとしてもだ。狙いはなんだ?」

 そう、本来なら良い勝負が出来る実力があるのにも関わらず、如何して防御に甘んじているのかが分からない。

「‥恐らく‥、やつは待ってるんだ。団長が動けなくなるのを」

 それも一度としてあの猛撃の中隙を晒さずに。

 故にただひたすらに防御の姿勢を取り続けている。

「‥一体なんだってんだあいつは?何者なんだ‥」

 ホゼの推測を耳にして傍らの男が唖然とした面持ちで息を呑む。

 そしてそんな二人を他所に、依然ガルシアとグレイスの戦闘はより一層激しさを増していた。

「おおおおおッ!!!」

「くッ」

 とはいえ流石に厳しくなってきたのかグレイスとて余裕とはいかず、平素からの飄々とした態度が其処には無い。

 ガルシアの連打を受けて、グレイスは寸前で回避していたのを今度は両腕でガードして受け流した。

「やっぱりどっちもすげぇよ‥俺にはあんな事できない‥」

「ああ‥。だが‥」

 眼前で繰り広げられる余興を超えた決闘紛いの戦いに、感嘆の言葉を自ずと口からそうこぼす団員の男だ。

 だがその言葉に素直に頷く事が出来ないホゼは、再びグレイスの表情を見る。

「っ‥」

 すると其処には先程まで浮かべられていた必死の様子は無く、冷淡な相手を観察する色があった。

 だがすぐさまそれも消え失せて、再度ガルシアの拳に必死の耐えている風を装う面持ちとなる。

 ほんの一瞬ホゼの動体視力であるからこそ垣間見得たグレイスの欺瞞。

 それは必死に戦い続けているガルシアには気付けない。

 恐らく他の観戦している者達とて同様だろう。

 獣人足るホゼだからこそ、その人族を遥かに凌駕する身体能力でグレイスの騙りを見破った。

 これらを踏まえて考えるとつまりはグレイスの誘いにまんまとガルシアが乗せられている事になるのではなかろうか。

「化け物か‥」

 確かに単純な膂力であれば人族のグレイスと獣族のホゼでは比べると後者の方に部があるかもしれない。

 ただ、先程ホゼが敗北を期した様に、戦闘においては圧倒的にグレイスが上手だった。

 その為ホゼは獣の本能からグレイスが常人では無い事を理解していた。

 そも、ただの人族では己をああも容易く、くだす様な事出来るはずもない。

 故にホゼは、傭兵団団長のガルシアの勝利を祈りながらも、どうしても脳裏にはグレイスが負ける光景が思い描けなかった。



 *




 ─おさまらねぇ

 その日、ガルシアという男にとっては厄日であった。

 と言うのも以前から妙に鼻につく女、シャルロットとかいう貴族に声を掛けたはいいが、その連れの男に返り討ちにあったのだ。

 かの美しき少女は傍目から見ても、その装いは酷く獣欲を誘う。

 あの豊満な乳房と安産型のデカ尻を撫で回せばどれだけ雄としての支配欲を満たせるか。

 想像するだけでも自ずと下半身に血が巡る思いだった。

 にも関わらず、己はグレイスにただの一撃で倒されてしまった。

 気がつけば地面が前にあり、その上情けまで掛けられてしまい、ガルシアのプライドは大いに傷付けられた。

 見逃された彼はその日の夜、団員等と共にやけ酒に浸った。

 今日あった事をスッキリ忘れる為に、パアッとやろうと高い金を払いご馳走を注文した。

 そんな豪華な料理が運ばれてきて、舌鼓を打っている矢先に現れたのが件のシャルロットという少女の連れ、グレイスだった。

 彼は傍らに妙にどすけべな衣装を身に纏ったシャルロットを侍らせて、デカ乳とむちむちとした尻肉を晒させていた。

 最初は己の女を自慢しに来ただけだろうと踏んでガルシアも相手にしていなかったが、次第にそうではないと理解出来た。

 何と男は信じられない様な賭けを持ち掛けてきたのだ。

 それも自身に何の得も無い、寧ろ損をするばかりのゲームを。

 それを余興と称したグレイスは、傍らのシャルロットを示して言った。

 俺に勝てばこいつを一晩貸してやってもいいと。

 ならばガルシアは、その賭けに乗らない手は無かった。

 俗に言う据え膳食わぬは男の恥という訳では無いが、ここで引けば男が廃ると思ったのだ。

 だからこそ、団員の目の前という事もあり、それと同時にこれまでの傭兵として生き抜いてきた自信からグレイスの申し出を受けた。

 油断さえしなければどうとでもなる筈だ。

 そう考えて、まずは相手の実力を確かめる為に相応しい団員仲間の獣人を初めに指名した。

 これにはさしものあの男も驚いていた様だが、けれどあっさりと次の瞬間には受け入れていた。

 まさか獣人の膂力を知らない筈もあるまいに、グレイスは淡々と勝負を受けたのだ。

 そして何とホゼ相手にグレイスは勝利を納めて見せた。

 それもさして時間を掛けずただの数分で。

 加えて良く観察してみればグレイスが一度も反撃を貰わずに戦っていた事が理解出来た。

 挙句彼は、自ら持ち掛けた賭けではあるが、更には飄々とした振る舞いで、ガルシアの連戦をも承諾して見せた。

 これには心中で驚愕する他に無かったが、ガルシアとて譲れない戦いであった。

 それ程までにあのシャルロットという少女を一晩だけでも抱いてみたいという思いがあった。

 無論ガルシアはこれまで幾度も町娘や娼婦などを手中に納めた事はある。

 けれども上級貴族で尚且つ、あそこまでの美貌をしている女は今まで一度として目にした覚えがない。

 男好きのする顔立ちに、女性的な魅力に満ち溢れたデカ乳肉や、丈の短いスカートから覗くたっぷりと媚肉が乗った豊満な尻肉は、喉から手が出る程に欲しい。

 そう思わせるだけのオスを惹きつける魔性が、あの生意気そうな美貌の少女にはある。

 あの高飛車で、傲岸不遜な少女を己の肉竿で屈服させられればどれだけ心地良いか、ガルシアには想像するだに胸の内から獣欲が溢れ出すのが理解出来た。

 故に、グレイスといういけすかない男を打倒して、シャルロットという少女を手にする。

 その筈だった。

 にも関わらず当初の狙いとは裏腹に、ガルシアの拳は未だ致命打を与えられていなかった。

「クソがッ」

 自ずと挙げてしまった悪態と共に、己の拳がグレイスに向けて放たれる。

「ふッ」

 だがいとも容易くその軌道を読まれているせいか、大した衝撃も喰らわせられずに捌かれてしまう。

「はッはぁ‥はぁ‥はぁ‥」

 遂にガルシアの拳は痺れを伴い段々と上がらなくなってきていた。

 幾度も打撃を繰り出してそれでも尚、グレイスには届かない。

 依然防御の姿勢を取り続けている彼を前にして、流石のガルシアも己が乗せられた事実に気付いていた。

 最早何度打ち込んだのか分からない拳は、疲弊に疲弊を重ねた後であり、加えて体力も削れている。

「何なんだテメェはよぉ‥」

「どうした?来ないのか?」

 其処で己の脚が震えているのに気が付いて、ガルシアはそれが疲弊からなのか、はたまた恐怖によるものなのか一体何方であるのか分からなかった。

 底の知れない相手であるグレイスと改めて対峙して、思わず膝が笑ってしまう。

「そうか。ならば此方から征くぞ」

 返事をしないガルシアを見て、痺れを切らしたのか不意に今まで防戦一方であったグレイスが遂に一歩前に足を進ませた。

「へっ、漸くまともにやる気になったか。守るだけじゃ俺は倒せねぇからな。来るならさっさと来やがれってんだッ!!」

「言われずとも、元よりそのつもりだ」

 ガルシアの反射的にした挑発を受けて、グレイスは冷徹な面持ちで淡々とした振る舞いを示す。

 ゆったりとした動作で構え、次いで上体を前傾姿勢へと倒す。

 そして半身を落としたグレイスは、短く呼気をその場に落とし、真正面にガルシアへと視線を遣った。

 臨戦体制となり、肉体の重心を此方へと傾けたと、ガルシアがそう思った時であった。

 次の瞬間にはグレイスの姿はその場から掻き消えていて、彼の存在を捉えられなくなる。

 焦燥に胸を焦がされて、視線を虚空へと漂わせたのも束の間。

 その直後の事だった。

「─あ?」

 刹那、一瞬の浮遊感と共に、背中に衝撃を受けた後、そして気が付けば天と地が逆転して、ひっくり返った己は酒場の天井を只々呆然自失と見上げていた。

「平気か?」

 そして仰ぎ見るその先から降ってくる声がある。

 グレイスだ。

 彼は今し方まで目の前に居たはずなのに、にも関わらず、今では反転して尚且つ立ち位置が逆だった。

「はッ‥は‥はは‥は。なんだオメェよぉ。一体何なんだよマジで‥」

 否が応にもそう乾いた笑い声が喉の奥から込み上げてくる。

「それで、まだやる気はあるか?」

「いや‥もういい。認めよう。お前の勝ちだ」

 問い掛けと共に、零度の視線で見下されて、自ずとガルシアは降参の意を示していた。

 だがそれも致し方無いだろう。

 何故ならばガルシアはグレイスに今し方何をされたのかも分からなかった。

 一体どう対処すればいいのか検討もつかない。

 そんな技に挑むなど、長年戦場で数々の武を目にしてきたガルシアとて不可能だった。

 ただ、もしもこれがホゼを背負い投げた技ならば、ガルシアは驚愕する他にない。

 傍目から見ればあれの対処など容易とすら思えた。

 だが直にこの身に受けてみればどうだ。

 まるで抵抗出来ずにこうして床へと大の字で倒れる羽目になっている。

「団長っ、大丈夫ですかい?」

 そんな塩梅に思考するガルシアへと不意に団員の一人が気遣わしげに近付いてきているのに気が付いた。

 それを境に、次第に一人また一人と男達が心配をしたのか床に寝たままのガルシアへと駆け寄ってきた。

「ああ、気にするな。少し考え事をしていただけだ。何処も怪我は無ぇ」

 だがすぐさまその場から上体を起こして一息に立ち上がったガルシアの姿を見て、団員等は漸く胸を撫で下ろし安堵の息を吐いた。

「しっかし‥」

 次いで背後のグレイスをガルシアはため息混じりに振り返る。

「オメェ、一体何者だよ」

「ただの学生だ」

「その歳でか?」

「老けているとはよく言われる」

 などと緊張が解けた様に、二人は軽い調子で言葉を交わす。

 その言の通り、グレイスの顔立ちは何方かと言えば老けているとは言うよりかは大人びた精悍な印象を受ける。

「成程な。俺はこんな若造に負けた訳か‥。く、はははッ!!こんな滑稽な事あるかよッ!!なぁオメエらッ!!!!」

 そして唐突ガルシアは自嘲の笑みを浮かべたかと思えば、更に団員の仲間へとそう言い放つ。

 けれど口ではそう言いつつも、特段ガルシアの面持ちには曇りが無く、平素通りの活気があった。

「いや~、団長も凄かったっすよ?俺ならあんな動き出来ませんし‥」

 これに返す男は、何処か揶揄う様な笑みを浮かべてそう言った。

「おぉッ!慰めてくれるのか?お前にしては珍しい事もあるもんだなぁ?なぁ?ホゼよ?」

「ええ‥。随分と派手な負け方をしましたからね。流石の団長でもへこんでいるのでは無いかと」

「俺がか?はッ!ちげぇねぇッ!!!だが負けた事自体よりも、女を抱け無かった事にだけどなぁッ!!」

 などと、彼等は身内同士で途端に盛り上がり始めた。

 それを他所に、先程まで観戦していたシャルロットとユウもグレイスへと駆け寄ってきた。

「アンタっ、よくやったわねっ!!!このあたしが褒めてあげるわっ!!」

「グレイス、よく勝てたね。しかも傭兵相手二人に」

「ああ。といってもギリギリだったがな」

 三人で余興の熱を共有し、互いに歓喜の面持ちを浮かべる。

 側から見ていただけの者も、今回のグレイスの大立ち回りには興奮した表情を露わとしている。

 それもそのはず、何せほぼグレイスの独壇場と称して差し支えない戦いであったのだ。

 娯楽としての闘技場で見られる戦いよりは幾分か劣るものの、その分グレイスの多くの技が披露された。

 これを見せ付けられた側は、武器を使わない組み手であれどその点を帳消しにするだけの感動をその胸に得た。

 それ程までにグレイスの見せた実力は、戦いからもたらされる興奮を観衆へと与えていた。

「本当に凄かったですぅ~❤️私、感動しちゃいましたぁ~❤️」

 その証左として、今まで観戦していた宿屋の看板娘である少女が続き、甘い声を挙げて近寄ってきた。

「な、なによあんたッ!!急に話しかけてきたと思ったらそんな風にっ!!」

「や~ん、こわいですぅ」

 などと此方でも姦しくシャルロットと少女が何やら言い争いをし始めた。

 すると次の瞬間には看板娘がグレイスに身体を寄せて、その手を取った。

「わたしぃ、リーナっていうんですぅ❤️」

「あっ、こらっ!あんた男にそうやってベタベタするなんてハレンチよっ!そう、さいてーよっ!さ・い・て・いッ!女の子として恥ずかしく無いのっ?あたしは同性として目に余る振る舞いだと思うわっ!」

 そう言って普段からのツンツンとした態度でシャルロットは眩いばかりの煌めきを帯びた金髪ツインテールと、そのたっぷりとした豊満なデカ柔乳肉をゆっさっ❤️ゆっさっ❤️と揺らしながら、リーナと名乗る少女に大上段から指先を突きつける。

「やんやんっ❤️あの人なんだか怖いですぅ❤️」

「くっ、それをやめなさいって言ってるでしょうがっ!今すぐグレイスから離れなさいよねっ!」

 だがそんな高飛車な態度を見せるシャルロットに、少女は更に怯えた様子で自身の乳房をぐにぃ❤️とグレイスへと押し付けた。

 かくして、一時はどうなるかと思われたシャルロットの身を賭けた勝負も、結果としてそれはグレイスが勝利を納める形で無事に終焉を迎え、幕を閉じたのであった。








 それからは互いに友好を深め合う為、先の賭けとは別に、単純な力比べの余興を新たに催す運びとなった。

 流れで腕相撲をする妙な展開になって、シャルロットは現在グレイスを必死に応援していた。

 そのデカ乳肉を上下にぶるんっ❤️ぶるんっ❤️ぶるんっ❤️ぶるんっ❤️と幾度も揺らして、それに応じてむちむちとした太腿を虚空へと振り上げる。

「ふれーっ❤️ふれーっ❤️」

 などと、安産型の尻肉を時にふりっ❤️ふりっ❤️と媚びる様揺らし、むっちりとしたデカケツを酒場の男達に見せ付ける。

 否、これはあくまで仕方なくしている事であり、シャルロット自身はグレイスの言葉に従っているに過ぎない。

 故に傭兵団から性的な目で見られている事実に気付き、その頬を羞恥に赤く染めた。

 ─あたしっ❤️みられてるっ❤️

 と、むっちりとしたぶっとい生意気な太腿と、尻たぶのデカケツの境目をむにぃ❤️とその柔らかさを露わとした。

 その度にチラリチラリと黒色のマン筋が鮮明に浮きが上がるクロッチが垣間見える。

 彼女の紐パンの結び目はまるで、解いてくださいっ❤️とでも言わんばかりに蠱惑的にゆらゆらと揺れている。

「ふれっ❤️ふれっ❤️グレイスっ❤️がんばりなさいよーっ❤️」

 そう傍目にも甘ったるい声色で、媚びたメスの蒸気した美貌で声援を飛ばす。

「おい嬢ちゃんッ!もっと脚上げろやッ!」

「そうだぜッ!そうしないとテメェの男が負けちまうぞッ!」

 色白の張りのあるむちぃ❤️とした太腿に視線を取られ、団員等は野次を飛ばす。

 しかしながら、現在卓上において連戦連勝を飾るグレイスには、ただの力比べにおいても負ける様子が無い。

 ─あたしはこいつの女じゃ無いわよっ❤️ふざっけんじゃないわよっ❤️このっ❤️

 ただシャルロット自身が気にするのは其処では無い。

 だからより一層眦を吊り上げた彼女は、その不満からか、勢い良く足を怒りに身を任せて振り上げて、その黒色の扇状的なショーツを見せる。

「おおッ!!」

「うおおおおおおおッ!!」

「今見えたッ!!見えたよなッ?」

「ああッ!めちゃくちゃエロいぜッ!!」

 これにこの場へと居合わせている男共は腹の底からの歓声を上げた。

 アルコールを浴びる程に嗜んでいるせいかそれも相まって、雄叫びの様な声が酒場に響いては聞こえる。

 ─ふんっ❤️ばっかじゃないのっ❤️

 けれどシャルロットは内心でその男達のあけすけな態度を嘲笑った。

 曰く、あからさまな発情したサルね。

 とはシャルロットの心中で抱かれた本音である。

 ─所詮男なんてっ、えっちな事しか頭にないんでしょっ❤️ふんっ❤️あたしは知ってるんだからねっ❤️

 などと胸中でシャルロットは男達の盛った姿を一笑に伏すと、くいっ❤️くいっ❤️と紐パンのクロッチがマン肉に食い込むのも構わずに脚を上げる。

「ふれーっ❤️ふれーっ❤️」

 次いでふりっ❤️ふりっ❤️とデカケツ肉を再び揺らすと、傍目にもそのたっぷりとした脂肪が乗った媚肉は柔らかそうだった。

「テメェには負けらねぇなぁッ!!!あんな上玉の嬢ちゃん見せつけてやがってッ!!この野郎羨ましいぞッ!!」

 そんなどすけべな格好の美貌の少女を見て、グレイスと力比べをしていた男が悔しげに咆哮した。

 ─やっぱりっ❤️男なんて女の子の身体しか見て無いんだわっ❤️サイテーよっ❤️サイテーっ❤️

 すると男の声を聞いて、シャルロットは金色の眩いばかりのツインテールを激しく揺らして主張する。

 酷く不服そうに艶やかなその唇を悔しそうに噛み締めて、しかし彼女はミニスカでの応援を止められない。

「くそッ!また負けたぜッ!お前幾らなんでも強過ぎるだろッ!何かコツでもあるのか?」

「強いて言うなら力の入れ方だな」

 応じてグレイスは丁度今し方に相手の男に勝利を納めた。

 卓上では次々とグレイスの前に傭兵団の男は敗北を期す。

 最早先程の組み手と同様にグレイスはこの場を再び独壇場にしていた。

 ─ふんっ❤️だから言ったじゃないっ❤️あいつはそこそこ強いってっ❤️でも当然よねっ❤️このあたしに勝った男なんだからっ❤️

 そのオスとしてのカリスマ性を発揮する光景を前に、シャルロットは自身の胸の内で自慢げにふふんっと鼻を鳴らす。

 ─あ‥❤️ち、違うのっ❤️あたしはあの時油断していたから‥❤️だから負けたのよっ❤️別にあの男を認めたわけじゃないんだからねっ❤️ぜったいっ❤️ぜったい認めないんだからっ❤️あんなサイテーな男っ❤️

 などとシャルロットはまるで自身に対して言い訳でも述べる様、再度己の心中に葛藤を浮かべた。

「ふれっ❤️ふれっ❤️ふれーっ❤️グレイスっ❤️がんばれっ❤️がんばれっ❤️グレイスっ❤️ふれーっ❤️」

 しかしながらグレイスを見ていると否が応にも口から媚びた声が出てしまう。

 自ずと口にしていたのは、彼を必死に応援するメスとしてオスに奉仕する為の言葉。

 ─くっ❤️しょうがないわっ❤️今だけよっ❤️こんな風に言いなりになってあげてるのは今だけなんだからねっ❤️本当はこんな屈辱っ❤️貴族である高貴なこのあたしが受けていいはずがないんだからっ‥❤️

 そう彼女は自らに言い聞かせて、如何にかデカ乳肉と尻たぶを観衆に晒す羞恥心を誤魔化した。

 ─そうよっ❤️これはノブレスオブリージュなんだからっ❤️あたしはぜったいにあんなクズ男なんかに屈しないっ❤️貴族としての務めなのっ❤️だからごめんなさいママっ❤️約束破ってごめんなさいっ❤️

 そして本来であれば婚前交渉などシャルロットには許されていない。

 それは母と交わした誓いであり、幼少期の約束でもあった。

 淑女としてみだりに肌を殿方へと晒してはいけませんよ、とはシャルロットの母の言い付けではある。

 けれどシャルロットはそれを何一つとして守れなかった。

 故に彼女はその自身の醜態に対して心中で幾度も謝った。

 ─そうよっ❤️あたしは確かにあの男でオナニーをしてしまったけれど、きっと、いいえ、ぜったいに何かの間違いだものっ❤️あれは本当のあたしじゃ無いのっ❤️普段ならあんな男で自分を慰めるなんてっ‥❤️だからママっ❤️こんなあたしを許してっ❤️

 無様にも決闘に負けてしまい、レイプという無理矢理な形でグレイスに純潔を散らされてしまった事。

 頭をグレイスに踏まれた時の光景を脳裏へと思い描き、敗北の屈辱をオカズにして自慰をしてしまった事。

 それら無様な自身の痴態を、シャルロットは心の中で自ずと正当化していく。

 ─あたしは決闘に負けた代償で仕方なくグレイスに従ってるだけ‥❤️本当に仕方なくなんだからっ❤️

 だが、そんな言い訳がましい内心とは裏腹に、彼女の黒色のショーツは湿り気を帯びていく。

 下着のマン筋を覆う為のクロッチの部分が傍目には分からない位にだが僅かながらに色を変えて濡れていった。

「嬢ちゃんよぉッ!!もっとそのデカケツ振ってくれやぁッ!!今晩のネタにすっからよぉッ!!」

「おいッ!!それよりその下品な乳をもっとこう、ばいんばいんッ!!てな具合に弾ませろやッ!!」

「オメェらわかってねぇなぁ相変わらずッ!!ケツと乳だってッ?ああ確かにエロいだろうよッ!!だが俺はあの生意気なぶっとい太腿を推すねッ!!見てみろよあの柔らかそうな、な真っ白い脚をよぉッ!!」

 とはいえシャルロットの感傷に浸る心中など知る由も無いこの場を共にする男達は、口々に要望を飛ばしてくる。

 シャルロットの葛藤とは対称的な様子で彼等は、己の欲望に赴くがままに正直だった。

「くっ❤️ふれ~っ❤️ふれ~っ❤️グレイスっ❤️」

 これを無視してシャルロットは継続して股を大きく開き、脚を上に振り上げるが、自身のその声が更に甘ったるくなっているのに気付かない。

 そうして相変わらず傭兵団との腕相撲に興じるグレイスにシャルロットは、一生懸命に無様な格好で声援を飛ばし続ける。

 どすけべにも下品なデカ乳の下乳肉を外気へと晒し、ミニスカからはその短い丈のお陰も相まって、ぶっとい張りのある太腿と共にその上にたっぷりと脂肪が乗る安産型のでか尻柔肉の尻たぶがむにぃ❤️と露出していたのであった。









 宴もたけなわ。

 先程まではグレイスが提案した余興が催されていたのも束の間の事。

 次第に酔いが回ってきたのか、アルコールを入れた男達は静かになり始めた。

 そして現在では互いに談笑を交わしている。

「なぁ、あのシャルロットとかいう嬢ちゃん見てたら堪らなくなってきやがったぞおい。娼婦でも呼ばねぇか?」

 そして、一人の男が何の気無しにそう言った言葉が発端だった。

「お、いいねぇ。実は俺もご無沙汰でよぉ。今日は乳がでけぇ奴が良いなぁ」

「はぁ‥。一回でも良いからお貴族様とやってみたかったぜ。見ろよあの顔、上玉なんてもんじゃねーぞ」

「だよなぁ。マジでグレイスが羨ましいぜ。きっと夜もお盛んなんだろうな」

 などと傭兵団の男達は本人足るシャルロットを他所にセクハラ紛いの言葉を口としていた。

「ちょっとっ、聞こえてるんだからねっ。あんた達グレイスに負けたんだから、少しくらい遠慮しなさいっ」

「おー、こえー、こえー。だってよ」

「へいへい。でも嬢ちゃんだってそんな涼しい格好してるのが悪いんだぜ?」

「っ、これはグレイスがやれって言ったから仕方なく着てるだけなんだからっ。本当ならあんた達みたいな下賤の男が目に出来る物じゃないのよっ」

「ほー、なら今だけでも楽しませてもらうとするかぁ」

 売り言葉に買い言葉。

 ツンツンとした態度でグレイスの隣へと腰を落ち着けていたシャルロットは、反抗的な目付きで男達を睥睨している。

 これにニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて見せた男が盃を掲げた。

「ほれ、酒を注いでもらおうじゃねぇか?」

「なっ、どうしてあたしがそんな事‥」

「シャルロット。俺にも頼む」

「くっ、仕方なくないわね‥。後で覚えてなさいよ‥。この高貴なあたしがお酌なんてっ
 ‥、そんな下女みたいな真似‥」

 けれどすぐさま傍らのグレイスから命令があり、シャルロットはその艶やかな薄ピンク色の唇を悔しげに噛む。

「ほっ、ほらっ。これでいいんでしょ?」

「もっと媚びろ」

「くっ、ど、どうかしら❤️」

「中々様になってるじゃないか」

「そんなわけ無いでしょっ❤️このばかっ❤️で、でもせっかくこのあたしが注いであげてるんだから有り難く思いなさいよねっ❤️ふんっ❤️」

 すると次の瞬間にはグレイスの差し出した器へとシャルロットは上目遣いで酒を注いでいた。

 際してはその豊満なデカ乳ですりっ❤️すりっ❤️と身を寄せて、その柔らかな脂肪の塊をむにぃ❤️とグレイスに押し付けた。

 有無を言わせぬ物言いをされると否が応にも身体が動いてしまう。

 ─くっ❤️こんな女給みたいな真似‥❤️もしかしてあたしの家の使用人もこういう思いだったのかしら‥❤️だとしたら最悪ね‥❤️サイテーよ‥❤️ほんとうに‥❤️

 などと心中では屈辱に耐え、羞恥心によりシャルロットは身を焦がされる思いだった。

 その証左として彼女はそのたっぷりと脂肪の乗ったデカ尻肉をもじもじと震わせて、辱めを耐え忍んでいるのだ。

「おい嬢ちゃんッ!こっちにも頼むぜッ!」

 そんな彼女へと今し方にシャルロットと言い合いをしていた男から声が飛ぶ。

 彼は酔っているのか酒場の壁に寄りかかり、床の上で複数のジョッキや酒の肴の料理を広げていた。

「うっ❤️わかったわよっ❤️仕方ないわねっ❤️感謝しなさいっ❤️このシャルロット様がてずからお酌をするんだからっ❤️本当ならあんた達愚民なんて一生関わり合いに慣れない存在のこのあ・た・し・がっ」

「へへっ‥。わりぃな」

「本当よ‥❤️泣いて喜びなさいな❤️」

 故に必然的にシャルロットは男の傍らにしゃがみ込む。

 腰を落とすとたっぷりとした脂肪の乗る尻肉が、脚を折りたたむと同時にむにぃ❤️と柔らかに形を変えた。

 彼女は男の空になった器へととぽとぽと水音を立てて琥珀色の液体を注いでいく。

「いや~、嬢ちゃんはえれぇ別嬪だなぁおい?」

「ええ、当然ね❤️だってあたしはミラー家の次期当主、シャルロット・ミラーだもの。貴方達みたいな有象無象と一緒にしないで欲しいわねっ」

 これに応じて、しゃがみ込んだ脚の隙間から、下品なぶっといむちむちとしたシャルロットの太腿が男の前に露わとされている。

 加えてミニスカであるからかそれも相まって、鮮明にマン肉の筋が浮き出た黒色のショーツは、傍目に見ても男からすれば垂涎ものに違いない。

 しっかりとクロッチ部分は膣口の形が分かる程にその股間へとピッタリ張り付いている。

 恐らくは先程までグレイスの余興の応援をしていたせいもあるのだろうが、むわぁ❤️としたシャルロットの甘ったるい蒸れた汗の匂いがスカートの中で充満していた。

「もうこれで良いでしょ。あたしは戻るわよ」

「んな事言わないでよぉ、もっと近くに寄れって」

「嫌よ。そんなの」

 ただ酌を終えてしまったシャルロットはすぐさまぶるんっ❤️とその乳房を揺らして一息にその場で立ち上がると共に、踵を返した。

「そりゃあねぇぜ。これじゃ生殺しもいい所だぜ」

「ふんっ。勝手に言ってなさい」

 けれど呼び止める男の声を一蹴したシャルロットは、再びグレイスの隣の席へとそのむちむちとしたデカ尻肉を落とす。

 安産型の腰を落ち着けた彼女は、一人料理を食べるグレイスへと問うた。

「あんたなんでそんな寂しくしてるわけ?あっちに混ざってくればいいじゃ無いの。多分歓迎されるわよ」

「いや、もう充分友好は深めた」

「ふーん。あ、そういえば、ユウってば何処に行っちゃったのかしら?姿が見当たらないけれど‥」

「ああ。恐らく外だろうな」

「え?」

「散々飲まされて気持ち悪くなったんだとさ」

「はぁ?なんで断らないのよ。全く‥バカじゃないの‥」

 そして再びシャルロットはグレイスに酌をしながら、互いに言葉を交わし合う。

 先程までは尋常ならざる熱気が包んでいた酒場であるが、現在ではそれも一転して、静寂がこの場を支配していた。

 同所において唯一聞こえるのは、酒に酔い潰れた傭兵団の男達の立てるイビキと、未だ騒ぎ続ける団長ガルシアと獣人のホゼの声のみだ。

 大半の者達はアルコールに飲まれてしまい、床へとノックダウンしているか、卓上に伏せている。

「ひゅーっ、お熱いねお二人さん」

 すると不意に席を並び合うシャルロットとグレイスへと掛かる声がある。

 その声の主は誰であろう、傭兵団のガルシアで、傍らにホゼを連れ立ち此方のテーブルへと来た様だった。

「随分と酒に強いんだな?」

「そりゃあそうさ。ほら見てみろ。他にも散々飲んだのにまだ馬鹿騒ぎしてる奴がいるだろう?俺は純粋な人族だが、獣人も多いんだ」

「成程」

 どうやらガルシアの言の通り、種族差で獣族はアルコールに耐性がある様だ。

 恐らくはあらゆる面で耐久性が高いのだろう。

「おいっ、それより娼婦でも呼んでパァっとやろうぜッ?なぁいいだろう嬢ちゃん?」

「ダメに決まってるでしょう?あたしが居るのよ?」

「なら嬢ちゃんも混じればいい」

「なっ、絶対に、い・や・よ!!」

 キッと生意気そうな切長の眦で、シャルロットはガルシアを睨み付ける。

「そうですよぉ❤️わたしたちぃ❤️はずかしいですぅ❤️」

 すると唐突、その言葉と同時に酒場の奥から看板娘が出て来て、この場へとパタパタと可愛らしい足音を立ててやってくる。

 曰く、確かさっきも自分をリーナと名乗る少女がグレイスに抱きついていたわね‥。

 とはシャルロットが心中で何処か忌々しげに呟く本音である。

 というのも、あからさまに男に媚を売るリーナという少女に対して嫌悪感を抱いていた。

 強制されているなら兎も角自ら雄に従うなど、現在グレイスの命令によりその要求を飲まざるを得ないシャルロットにとってそれは信じ難い振る舞いだった。

 だからだろう。

「誰かと思ったらまたあんたね‥。こっちに来ないで他の所に行きなさいよっ」

「えぇ❤️酷いですぅ❤️リーナはグレイスさんとお話ししたのにぃ❤️」

「ふんっ、やっぱりね。どうせ男目当てだと思ったのよ。やめておきなさい。こんなクズでサイテーな男よりも、もっとあなたを大切にしてくれる人がきっといつか現れるはずよ」

「えぇ?そんなぁ❤️クズでサイテーだなんて酷いですぅ❤️リーナはそんなことぜんっぜん思いませんよぉ~❤️グレイスさんはと~っても強くてぇ❤️すぅ~っごく男らしくて頼りになってぇ~❤️と~っても魅力的な人だとリーナは思いますよぉ~❤️」

「‥そんなわけ無いでしょ?あんたバカぁ?もしも本気で言ってるならその目は節穴もいい所よ。あたしはね、貴方自身の為を思って言ってあげてるの?分かる?」

「や~ん❤️この人やっぱり怖いですぅ~❤️」

「くっ」

 暖簾に腕押し。

 意に介した素振りも無く、全て軽い調子で一方的に一蹴されてしまう。

 この事実に内心で歯嚙みするシャルロットは、それと同様に悔しげに下唇を噛んだ。

 だがそんな彼女の心中などいざ知らず、リーナという少女は全く持って何処吹く風といった塩梅に何ら堪えた様子が無く、全て飄々と受け流してしまう。

 やはり傍目から見てもシャルロットという少女は何処か頭が弱く、それに応じて口で言い負かされる場面も多いといった印象を受けた。

 ただそれとは裏腹にやたらと振る舞いだけは傲岸不遜なシャルロットは、尚も続けた。

「グレイスっ、あんたも何か言いなさいよっ」

「俺は一向に構わない。なにか問題があるか?」

「大有りでしょうがこのバカっ。学生の身でこの子に手を出すだなんて、風紀が乱れるもの」

 高飛車に両手を組むと、凛然とした態度で言い放つ。

「風紀ときたかッ!!こりゃあ相変わらず面白い嬢ちゃんだぜッ!!」

 だがそんなシャルロットの言葉に反応したのは、テーブルで再び酒を飲み始めたガルシアだった。

 彼はどっかりと音を立てて椅子に腰を下ろすと、一息に盃をあおり、器に納められていた琥珀色の液体を飲み干した。

 アルコールを喉に流し込み、カァッと息を吐いて、快活にも大きな声でガハハッ!!と笑い出した。

「うるっさいわねっ!男は黙ってなさいっ!」

 とはいえシャルロットも負けておらず、平素通りの苛烈さで勢い良く椅子から立ち上がると、大上段から指先をガルシアへと突き付ける。

「グレイスさんはぁ❤️彼女さんているんですかぁ?」

「ちょっとアンタっ!勝手にグレイスと話さないでよねっ!」

「う~❤️怖いですぅ❤️」

「くっ、やめなさいって言ってるでしょう?」

 するとシャルロットの隙を突いてリーナがグレイスの手を取って上目遣いに問い掛けた。

「この女がそうだ」

 これにグレイスはシャルロットを指し示し言った。

「そうなんですかぁ?それならわたしは二番目でもぜぇ~んぜん構いませんのでぇ❤️ぜひ彼女にして欲しいですぅ❤️」

 その言葉と同時、リーナは媚びた調子で自らの乳房をグレイスに押し付ける。

「そうか。其方がいいと言うのであれば構わないが‥」

 そう彼は少し考える素振りを見せてから受け答えた。

「本当ですかぁ?」

 すると、そんなグレイスの来るもの拒まずな姿勢での返答にリーナは妖しく瞳を輝かせた。

「ああ」

 しかしグイグイと来る、距離の近い少女を前にしてもグレイスは動じない。

「もうっ、アンタも断りなさいよっ」

 そう次々と皆が思うように勝手に動くせいか、全く収集がつかなかった。

「モテモテだな」

 これにはガルシアの傍らのホゼも一つ苦笑を浮かべてしまう。

「そこっ!余計な事言わないでよねっ!」

 しかしすぐさまシャルロットの怒声が飛び、彼はやれやれと肩をすくめた。

「シャルロット、少し落ち着け」

 けれど流石にこれを見兼ねたのか、グレイスはただそう一言低い声で述べた。

「うっ、わ、わかったわよ‥」

 すると今までイキリ立っていたシャルロットもその有無を言わせぬ言葉を受けて、肩を震わせると途端に大人しくなった。

 次の瞬間には今し方の独壇場もなりをひそめて、その身を椅子の上へと小さく落ち着けた。

「わぁ❤️グレイスさんすごいですぅ~❤️あんなにうるさかったのにぃ❤️たった一言でこんなに静かになっちゃうなんてぇ~❤️かっこいいですぅ~❤️尊敬しちゃいますぅ~❤️」

「あんたね‥いい加減にしないとはっ倒すわよ‥」

 とはいえ未だグレイスに寄り添うリーナがどうやら気に入らない様で、シャルロットは下唇を噛み、やはり何処か悔しげに、そしてキッと険のある切長の眼差しを向け続けていたのであった。
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