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第二章 二度目の異世界
30.魔力
しおりを挟む遅くなりました。
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「ユリウスおにぎり食べてくれたかなぁ」
ソファに寝転がり、天井を見上げていた。
『俺はシュウの事を傷つけるつもりはなかったんだ』
今にも泣きそうな顔でユリウスは部屋から出て行った。
「はぁ……謝らないと」
〈誰に謝るの?〉
ルルが俺の視界にいきなり現れた。
「わぁっ!」
俺はびっくりしてソファからずり落ちた。
〈ちょっと!アタシの顔見て驚くとか失礼じゃないかしら?〉
そう言ってルルは俺を起き上がらせてくれた。
「ご、ごめん」
〈それで、誰に謝るの?もしかしてユリウスにかしら?〉
「ゔっ、何でわかるの?」
〈そりゃ分かるわよ。あのシューヤと一分一秒でも離れたら死ぬってくらいべったりだったユリウスが、アナタから離れてる時点でおかしいじゃない〉
そう言ってルルは俺の隣に座った。
「…………確かに」
二度目の異世界で、ユリウスはずっと俺の側に居てくれた。だから今ここにユリウスが居ない事に違和感もある。自分で遠ざけておいて変な話だ。
〈それで、どうして喧嘩したの?〉
「別に喧嘩したって訳じゃないよ。ただ——」
俺はルルに今朝の事を話した。
「——という事があったんだ」
ルルは最後まで俺の話を聞いてくれた。途中途中で凄い顔してたけど
〈なるほどね~ まぁアタシでも怒るわね。だからシューヤは気にすることないと思うわ〉
「でも……」
ユリウスを傷つけてしまった。
〈……シューヤは優しいわね〉
「そんなことないよ」
〈いいえ、優しいわ。15年前も今も。だからユリウスが調子に乗ったんでしょうね〉
ん?最後の方、声が小さくて聞こえなかった。
〈でも強いて言うなら、押しに弱くてちゃんと聞かなかったってところね〉
「ゔっ、それについては反省してます……」
そうだ。気になるなら聞けばいい話だったんだ。相手が話してくれるのを待って、受け身になってしまうのは俺の悪いところだ。
〈しかし、刻印ねぇ……あの種族はほんと執着がすごいわね〉
「ルルは詳しいの?」
〈詳しいっていうか、昔から神獣フェンリル様は重すぎ溺愛と執着心の塊だって有名だったのよ〉
「えぇ? そうなの」
〈シューヤのそれ、アタシから見たら執着の塊で相手を牽制しまくりよ〉
「けんせい?」
〈シューヤは自分のものだ。触るな近づくな見るな。と、ユリウスが牽制してるわね〉
(そんな風に見えてるの??? え、ユリウスなんてもの付けたの???)
俺が頭を抱えていると、ルルが俺の肩に手を置き、ぽんっと
〈だからユリウスがフェンリルだと知った時、シューヤに同情したわ〉
「同情って……」
〈これで無いと言える? 勝手に刻印や妊娠のことも相談も無しに出来るようにして、アナタが逃げられないよう周りを囲ってるじゃない。それでユリウスと喧嘩になったんでしょ?〉
「はい……」
ルルのおっしゃる通りです。その後ルルの小言は続いた。
〈ふぅ……まぁアタシがとやかく言っても決めるのは本人同士だから、今言った事は一つの意見として受け止めなさい〉
「はい……(後半ほぼダメ出しだったけど)」
〈それはそうとシューヤ、アナタ魔法使えるようになったの?〉
ルルがいきなり聞き捨てならない事を言った。
「え……まほう?」
〈? アナタの身体から魔力が感じられるわよ〉
嘘……だって俺には魔力がないはずだ。だからユリウスは俺の中にあ、アレを注いで浸透させたって言ってた。
「俺には魔力はないはずだよ」
〈でもここに魔力の塊が見えるわよ〉
そう言ってルルは俺のお腹を指差した。正確にはお臍よりしたの……
「!!!!?」
〈ちょっと、どうしたのシューヤ?〉
俺の顔は今、真っ赤だろ。
だって、そこはユリウスがたくさん注いだ場所だ。
つまり、ルルは俺の腹に溜まっているユリウスの精液を指差したのだ。
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あと数話で第二章が完結します。
年末が近づき、仕事が忙しくなってきたので第二章が終わりましたら、しばらくお休みさせていただきます。
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